Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

NIRVANA 'Incesticide'に想いを馳せるレビュー【ニルヴァーナ ディスクレビュー】

ニルヴァーナの問題作に想いを馳せる

Nirvanaが好きである。
Smells Like Teen SpiritもAbout A GirlもServe The ServantsもBlewもPollyもLithiumもAll Apologiesも。
 
洋楽のロックの道に入って誰もが序盤に見つける大きな分岐点にNirvanaはいると思う。 
鈍色の空の下いわゆるアメリカの一本道の途中に、あの有名なスマイリーのマークでようこそ!と看板がかかっていて、でもその裏側をめくると真っ黒で血を流したスマイリーがいてここは終着点と書かれていそうな、ブラックユーモアなイメージが沸く。
 
有史以降ロックの歴史を振り返ってみても5本の指に入るくらい重要なバンドだし、影響力・カリスマ性はボーカル・カートの死後20年以上経った今でも増す一方だ。
隙あらば、何回カート・コバーンの死の真相が暴かれた事か。
でもそんなゴシップを読む暇があるならこのアルバムを聞いてくれ。
 
Nirvana 'Incesticide'
 
Nirvanaを好きという事はもれなく心はカート・コバーンに囚われているに等しい。
心がざわめく程カリスマ的でアンタッチャブルでアンビバレントでピュアな存在。
初めて知って言い様のないスリリングな好感に襲われ、好きになっていく事に比例して怖いほど彼を理解出来ない。
華と毒が驚くほどナチュラルに同在して、その焦がす様なヒリヒリとした美しさがカートの魅力なのだと思うのだ。
 
このアルバムは所謂Bサイド集である。
だが、ただのシークレットトラック集ではない何かが潜む問題作でもある。
狂ったピュアネスとシニカルな悪戯心が渦巻く衝撃的な一枚。
今回はこのアルバムに想いを馳せる。
素敵な暇つぶしになれば幸い。
 

Nirvana 'Incesticide'

f:id:idwcufds:20161018155312j:plain

 
カートが書いたおぞましく奇妙な絵がジャケットのこのアルバムは1992年リリースされた。インセスティサイドはカートの造語だ。
CDを売りたいレーベル側からすれば、天文学的な売れ方をしたネヴァーマインドの勢いのままに、次々と新作を出したい所だが、一向に動かないニルヴァーナに対し業を煮やして無理やり制作した未発表曲やシングルのBサイド曲やカバー曲のごちゃまぜのアルバム。
彼等がバンド人生で最も悩まされるセルアウト=売上を上げる方式で、これでもかけとけ、みたいな形で生み出された背景のある反骨的な一枚。
レーベルが恐ろしい程力を持っている時代、それがフラットな状態になる努力がされるきっかけはカートコバーンの死まで待つ事になる。
 

f:id:idwcufds:20161018155559j:plain

 
こんな背景で詰め込まれた15曲、これがまた毒々しい
ライブでも演奏される人気曲もあるし、1st、2ndどちらのアルバムのエッセンスも感じ、Sonic YouthとかLed ZeppelinとかAerosmithとかカートが影響を受けたバンドも散りばめられた、Bサイドならではの多彩なベスト感は十二分にある。
誕生の経緯からしたら皮肉な事にむしろ飾り気なしに放り込まれてくる分、濃密な部分は従来よりも濃いし、ニルヴァーナの音から離れている部分ではより彼等のバックボーンが透けて見える様な、図らずしもファンにはたまらない魅力ある作品になっている。
それでもやはりNirvanaのディスコグラフィーで考えた時、最も異常な時期からこぼれたアルバムという事を、存分に意識させるアルバムでもある。
  
Hairspray Queenという曲がある。
 
 
クレイジーな程ユニークなベースラインから、一見メチャクチャでもカオティックに飛び散るギターが絡まり合って奇妙に映えるグランジサウンドになる。
そこに、カートの歌声?が重なる。
初めて聞いた時は、当然なんだこりゃってなるんだが、それと同時に少し怖くすら思う狂い方。
本当に狂っているのか、それともその振りなのか。
どちらとも考えられるし、どちらも正解なのかもしれないと、考え出すとグルグルこんがらがってくる。それすらもカートの思惑通りの様に。
このアルバムの為に作られた曲かどうかは諸説あるし、もしこれをデビュー前に作ってればそれはそれでもっとヤバい。
これは好きだとか嫌いだとか、理解の範疇を超えている曲だと思った。
ただカートらしいな、と素通りするには奇怪過ぎるし、じっくりこの曲の背景を考えても、せいぜいリリースを迫るレコード会社への腹いせか、身勝手な事を言う人々への想いが爆発したか位にしかならない。
 
ふと、自分が見えている色とその名前は、他人が見ている色とその名前と違うかもしれないっていう心理学の話を思い出した。
クオリアというらしいけど、自分が暖かい赤だと思ってる色が、他の人には青だと認識されているかもしれない。その人にとっては青は暖かい色になる。
全くの正反対だけど、この時カートの見えている世界もそうだったのかもしれないと考えてしまう。
この曲がNirvanaそのものではないが、その深層の一端が滲み出た音楽なのではないかというのは間違いはないと思う。
ひょっとしたらただふざけて作っただけなのかもしれないが、カートが見ていた世界を想像する。
それだけでまた彼らの魅力が深まっていくのが、すごくいいのだ。
 

Incesticide トラックレビュー

それでは気になるトラックレビューに入ります。
アングラ感はやはり強めで、パンク色の濃い曲が多い。
カートの敬愛するバンドのカヴァーやロックへの憧れが滲むトラックもあり、少しパーソナルな感触もあるアルバムだ。
 
 
トラックリスト
1.Dive
2.Silver
3.Stain
4.Been A Son
5.Turnaround(Devo cover)
6.Molly's Lips(The Vaselines cover)
7.Son Of A Gun(The Vaselines cover)
8.(New Wave) Polly
9.Beeswax
10.Downer
11.Mexican Seafood
12.Hairspray Queen
13.Aero Zeppelin
14.Big Long Now
15.Aneurysm
 

1.Dive


Nirvana ~ Dive (Lyrics)

 

気怠く重いグランジーなベースから、ノイズが漏れ広がる様な重いアンダーグラウンドなサウンドが、この妖しいアルバムの冒頭を飾るにはぴったり。

ライブでも度々演奏される準オリジナルなナンバーで、一曲目に持ってきたことからも彼らの記名性が高い事が伺える。

重く鈍い音に絡みつかれながら露悪的に叫ぶ重苦しい高揚感はNirvanaならではだ。

 

2.Been A Son

 


Nirvana - Been A Son (Live at Reading 1992)

爽やかですらあるアッパーなグランジロックナンバー。

一転して重みを取っ払って、ナチュラルにキャッチーに膨らむバンドサウンドは心地よく穏やか。

でもどこか空虚で、ライトな感触が逆にシニカルに響くNirvanaの切り口は重く画期的。

 

 

3.Turnaround(Devo cover)


Nirvana - Turnaround

アメリカのニューウェーヴバンド、デーヴォのカバーソング。

ニューウェーヴパンクっぽい混じりけのあるシンプルなラインの音に、ざらついたカートの声がアイコニックに映される。

どこかオートマティックな打ち込みの様な虚無性が中毒的な名カバー。

原曲はコチラ。


Devo - Turn Around

 

4.Son Of A Gun(The Vaselines cover)


Nirvana - Son Of A Gun

スコットランドのオルタナティブロックバンド、彼らが心から敬愛するヴァセリンズのカバー。

このカバーによりヴァセリンズの評価が高まるきっかけともなったらしい。

穏やかながら濃密な原曲の良さを、パンク的なアプローチで昇華した見事なカバー。

童謡の様にキャッチーで晴れやかなポップさが、広範囲に広がるグライムなサウンドに乗っかる、見通しのイイ良曲。

原曲はコチラ。


The Vaselines-Son Of a Gun

 

5.(New Wave) Polly


Nirvana - Polly (New Wave)

2nd'Nevermind'の傑作ミドルナンバー、Pollyのセルカバーバージョン。

より鮮明になった音の彩度は正にニューウェーヴの妙技。

もちろん名曲の良曲度はずば抜けているが奇妙な相性の良さを感じさせどこか心に残り続ける良い変換。

 

6.Aero Zeppelin


Nirvana - Aero Zeppelin

エアロスミスとレッドツェッペリンをもじった、不穏で粗暴な一曲。

妖しく暗闇を滑空するようなサウンドと、破壊的なドラミングにバラバラにされた様なギターメロディー、どこを切り取ってもダークな攻撃性に満ちてるエゲツなさ。

カートのボーカルの熱量も凄まじく、毒々しさの中に爽快さすらある。

ヘヴィなスモッグの様な重いサウンドの奥に、憧れのバンドへの羨望や疑問、自己嫌悪とか怒りが渦巻いている激しいエモーショナルの濃縮された一曲。

 

7.Aneurysm


Nirvana - Aneurysm (Live at Reading 1992)

スメルズのシングルのB面曲だった隠れた名曲。

ライブでもよく演奏する変幻自在のグランジナンバー。

轟くような音から、アクセルを加減しながら緩急をつけて襲ってくる、ささくれ立ったギザギザの音の塊に圧倒される快感。

コーラスの不穏さも、暗く重いメロディーも、轟音のサウンドも、カートの雄叫びも、最後の曲にしてニルヴァーナらしい一曲。

Beat Me Outta Meの連発はバカ格好いい。

 

 

ニルヴァーナらしいBサイド集

以上いかがでしたでしょうか?

好きだけど簡単には理解出来ない、究極的に厄介な魅力をもつニルヴァーナを、さらにごった煮にして詰め合わせにしたインセスティサイド。

辻褄を合わせる様に有るものを詰め込んで作られたこのアルバムは、だからこそナチュラルにルーツを感じられたり、ロックへの憧憬を感じられたり、異端な狂気を感じられたりする、逆にニルヴァーナらしいものになった。

是非知らない方・敬遠していた人も聞いてみて欲しい。

 

本日はここまで。

それではまた別の記事で。

 

Incesticide

Incesticide

  • ニルヴァーナ
  • ロック
  • ¥1700

もう見れないバンド達に、想いを馳せて

もう見る事の出来ないバンド達の音楽を聴いた時に思う事

f:id:idwcufds:20160716000932j:plain

 
もうこの目で見ることが出来ないバンド達にふと思いを馳せる瞬間がある。
 
定義は曖昧だが1980年代後半生まれでオルタナロック好きの僕にとってはNirvanaだったりOasisだったりNo Use For A Nameだったり。
ビートルズやエルビスだってジミヘンもそれはそうなんだが、少しでも同じ時代を過ごしてきた彼らの曲を聴いてこれをもう目の前で見れる事は難しい・又は絶対に不可能と急に感傷のエアポケットに入ることがあって、聴いていて不意に色が消えたモノクロ映画を見ている様な感覚が沸き上がってくるのがわかる。
まるで30年後の世界で同じ曲を聴いているかの様に感じるのだ。
 
自分でも思うのだが、音楽ファンというものは凄いもので、自ら自分たちの信じるモノを探し、その自分達が信じた音楽に情熱を持ち心底愛して、自分の足で見に行ってそれを信じ続けることができる。
それ故に、その信じるモノがもう傍にいないとわかった時、決して簡単には処理できない哀情がそこに浮かぶのだ。
 
だからって聞かなくなるわけではないし、そうなんだですますこともできない。
 
割り切ることが出来ない、少しだけ究極に厄介なその感情についてふと考えた時に、ふわふわとした気持ちの中に何かしらの答えを探す事も一つの意義と感じた。
そんな文章。素敵な暇つぶしになれば幸いです。
 

時が止まったバンド達

歩みを止めたバンド達にも様々な理由があるし、それによってはこのモノクロームな感情にも差がある。

本人達にとってはベストなタイミングで歩みを止める決断をする、或いは不幸で悲劇的な事故によって前へ進む事が出来なくなる事もある。
影響力のあるメンバーの脱退によってオリジナルなメンバーでなくなる事も一つのケースかもしれない。
いずれにせよ解散のタイミング、理由、復活の可能性、それら全てがファンの心情にダイレクトに影響するのだと思う。
 
僕にとってその感情の始まりはNirvanaだった。

f:id:idwcufds:20160716000605j:plain

1990年代に少年時代を過ごした僕にとっ て、心底好きになって良さを理解した頃にはカート・コバーンはこの世にいなかった。
逆にNirvanaの良さを知ったからこそカートの死が持つ意味に気付いたとも言える。
その事実に直面し意味を理解した時が、この想いの始まりだった。
その頃は追い求める様にNirvanaばっかり聴いていたし、多少この感情が紐解かれた今でも'Polly'なんかを聴くと、しっとりと自分のぽっかりとした感情の隙間にカートの声が溶け合う様で少し悲しいのだ。

 


Nirvana - Polly (Live at Reading 1992)

 

ニルヴァーナで言えば、僕がリスナーとして彼らを認識・理解できる頃にはもうカートはいなくて、時代が近かった・その音楽性の温度故にその熱量を感じられるからこその寂しさという思いでもあった。

ただ世代的にもタイムリーにそのバンドを聴いていて急にそのバンドを失った時の喪失感はまた、途方も無いものだった。

特に最も悲劇的な死という別れはどうしてもロックバンドから無くなる事はなく、そして喪失感とともに’完全にバンドが終わる’という絶望感もついて回る。

2009年に志村正彦を失ったフジファブリックやチェスターを失ったLinkin Parkは僕らの時代の音と言っても過言では無かったし、クリス・コーネルは僕にとって最も偉大なシンガーの1人だった。

www.footballsoundtrack.com

僕にとって、このケースで最も象徴的だったのはボーカル、トニー・スライの逝去によって時を止めたNo Use For A Nameだった。

 

www.footballsoundtrack.com


No Use For A Name - Dumb Reminders (Official Video)

パンクバンドのフロントマンそしてソングライターとして、その繊細なポップセンスと心を掴むことの出来る美声は、稀有でありながらストリートパンクのド真ん中で鳴り得た奇蹟のバンド。

本当に文字通りパンクファンの誰からも愛された男の死は、大きな大きな出来事だった。

ついぞ僕は一回もライブを見ることは出来なかったし、もともと稀有で特別だった彼の声は更に特別で尊いものとして聞こえる様になった。

それでも彼を慕うパンクバンド達からトニーへ贈る大きな大きな献杯の輪は、もう見ることが出来ないバンドへの想いの馳せ方として1つの形として心に残った。

 

I'm so Sorry Tony

I'm so Sorry Tony

  • NOFX
  • パンク
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes
数多くのカバー、そしてトニーへ捧げるソングライティング。彼の人間性が世界に花開いていく様だった。
ノーユースも所属していたレコード会社FAT WRECKの2015年に行ったのフェスでは、ハイスタやラグワゴン、NoFXなど名だたるパンクバンドがフェスの最後、ステージ上に集合しバンドもバラバラに組直し彼らの楽曲をカバーした。
会場もステージ上も哀しさや寂しさもひっくるめて、爆音でファストに音を鳴らす。
抜群の曲の良さを再確認すると共に、このステージ上の様な光景を繋いでいく事こそが大切で、残されたリスナーとしての使命なのかもしれないとすら思った強烈な熱量だったのだ。
 

もう見れない、という思い

見る事が出来ないという事は、細分化すれば色んなケースが考えられる。

バンドメンバーの死では無くとも、活動休止や解散は付き物だし、もっともっと細かく言えばメジャー的な言葉で言う全盛期を過ぎたとか、拘った人ならばこの瞬間のこの曲の彼らこそ彼らで、音楽性を変えてしまってはもう見る事が出来ないと言っても良いのかもしれない。

 

例えば2008年Oasisの解散はロックシーンで事件になるような事だったし、近年の日本のロックシーンで言えばHi-STANDARDやELLEGARDENもシーンを揺るがすものだった。

結果的に、だがハイスタもエルレもシーンに戻ってきてくれた。

Hi-STANDARDに関してはNirvanaと同じく世代はズレていたが、1987年生まれの僕らの青春時代でも絶対的な教科書として存在していたし、逆にその復活の2011年のライブに居合わせたことは、僕もハイスタ世代だ!と声を挙げられる喜びとその権利を手にしたような熱を感じることの出来る人生でも最高の瞬間だった。

www.footballsoundtrack.com

復活時の熱量は途轍もなく大きいもの、それをライブの場で感じられた事は僕にとっても幸運だった。

たしかにサマソニで少しだけ見たピストルズはおじいちゃんがパジャマ着てる踊ってるみたいだったし(それはそれでパンク!)、後ろ指を刺される様な再結成も少なくはない。

それでも僕らリスナーが待ってしまうのは、これだよこれこれ!と膝頭を打ち、当時のエネルギーを瞬間着火し爆発させる事が出来るのは、彼らだけかもしれないという想いで彼らを聞き繋いでいるからかもしれない。

 

www.footballsoundtrack.com

 

Oasisであれば兄弟仲は冷え切る一方でも、ノエル・リアムともにそれぞれのバンドのライブで頻繁にOasisの楽曲を披露。

その魅力は確実に永劫性を持ち出しているし、永遠に聞かれるだろうロックの名曲を目の当たりにした事の凄みは途方もなくロマンチックだった。

絶対に再結成を望む、という機運ではない。

それでも彼らが再び同じステージに立った絵を想像するだけで身震いは止まらない。

そうやって静かに想いを馳せる事がリスナーの流儀的にも良い気がしているのだ。

 

Oasisほどの世界を制したバンドでなくとも、今となっては聴くことが出来ないバンド、というくくりであれば沢山のバンドが僕の心の中では鳴っている。

あの時、あの頃、現役バリバリで鳴っていたバンド。

それを自分だけの秘密めいたものにしたいという気持ち、それと同じくらいこんだけ格好いいんだぜと分かってもらいたい気持ちもある。

寂しい気持ちもあるが、どこかここまで聴き続けた事に対する愛着は計り知れない。

 

人は30歳を超えると新しい音楽を探さなくなるという。

全くまるでそんな事もないけど、もし僕らの心に絶対量があるのなら、忘れられないバンドはたくさんあるって事なのだ。

もう聞けないって事も、何処かノスタルジックなエッセンスにして聴き続ける事も1つの想いでもあるのだ。

 

感情の置き所

もう見ることが出来ず、時が止まったバンドは悲しい。

だがそれでも尊いものに出来るだけのカルチャー性もあるのがロックだ。

一番悲しむべきことは忘れられてしまう事だ。

ここまで僕は聴き続けてるんだぜ。

時間が止まった事で、まだ聞いた事のない人達の中で忘れ去られるのではないし、それこそファンとしては悲しい。 
 
そもそも音楽というものへの評価だったり愛だったりというものは、全ての人にとって普遍ではない。ある人には宝物である人にはゴミ。それでいいのだ。
一つのバンドの停止による、その心情も人によって、或いはそのファンの中でもバラバラであると思う。しかし大小あっても、僕が冒頭で触れたモノクロームな心情は音楽を愛する人の共通の心情なのだと感じるのだ。
 
だからこそ、このモノクロームな感情ごと繋げていってもいいのだと思う。
その音楽について考えて、結局やっぱりいいなに戻ってくる再解釈を経て、噛み砕いて語り継ぐ事で自分の中で揺るぎないものになる。
時には、寂しさにホロリと涙してもいいと思う、そのバンドが大好きなら必ずその後に笑えるはず。
そんな瞬間こそ、音楽ファン冥利につきる時だと思うのだ。
 
それではまた別の記事で。
 
 

Weezerと真っ青なスタンスミス【1987年生まれロック好きがウィーザーに想いを馳せるコラム】

心のフェイバリットバンドWeezerに想いを馳せる長編コラム

お気に入りの’何か’が出来ると、しばらくそれだけしかいらなくて、それが手元にあるってだけで身体も心も軽くなる事ってありませんか?

その’何か’が、ちょっと世間の流行りとかメインストリームからズレていても、めちゃめちゃ好きなら気にしない方だ僕は。

'I Don't Care 'bout That'なのだ。

 

f:id:idwcufds:20190401225048j:plain

 
2年くらい前、Weezerのブルーアルバムに似た真っ青のスタンスミスを一目惚れで買った。
もう凄く青。超かっこいい。過去も未来も引っくるめて人生ベスト10に入るお買い物。
嬉しすぎて手に入れて以降、雨にも風にもマケズ毎日履き続けた。
白と緑のいわゆるザ・スタンスミスを街で目にする度、俺のスニーカーの方が100倍かっけぇ、と思いながら歩けてたほど凄く馴染んだお気に入り。
きっと読んで頂いている皆様にもあるだろう’僕の私の好きなモノ’をバキッと具現化していた、王道とはちょっと変わった青いスタンスミス。
リバース・クォモの学生時代の韓国人の彼女と、僕のスタンスミス、どこまでシンクロしてるもんかはわからないが、この青色がラッキーな感じに映えたのも、Weezerのおかげなのだ

f:id:idwcufds:20190401225503p:plain

 

ずっとWeezerを胸に生きたいと、そう決めた。

たとえばフェイバリットバンドを10個言えって言われれば、その時々でいくつかは変わるだろう。
でもこのバンドの名前だけは必ず言うはず。ずっときっと1番に。

スタンスミスと同じ青色のアルバムを手に入れて以降、浮世絵、緑、スケバン、赤、海外ドラマ、白を経て白昼夢、黒と僕のCDラックには彼らのWが常に上に並んでいる。
数あるフェイバリットなバンドの中でも、Weezerは僕の音楽生活の中心に常にいて、それにはそれだけのたくさんの理由があるのだ。
 
ジョナスっていうの、この人?
から始まった僕の中でのWeezerストーリーは、カッコいいけどちょっと頼りなく、逆に堰を切ったように感情豊かになるロックサウンドは聞いた事ありそうで無かったし、それまで届かなかった心の本当の弱い所ににいつしか届いてた気がした。
Weezerと青いスタンスミス。
俺こそファッションスターだと言うつもりはないんだ、けどどちらも少し違った何かを持ちたいという僕の心を掴んで絶対に離さなかったのだ。
ずっと好きだったんだぜ。
今、満を持してWeezerに想いを馳せるコラム。素敵な暇つぶしになれば幸いです。
 
 

フェイバリットバンド Weezerの立ち位置

そこはかとなくナードで、僕らの心の近くで鳴るバンド

f:id:idwcufds:20190309012556p:plain

Weezerとは1992年にアメリカ・ロサンゼルスで結成されたオルタナティヴ・ロックバンドである。
ガンズ・アンド・ローゼズに憧れてロスに出てきた田舎のロック青年リバース・クォモから始まったストーリーである。
ポップな歌声とロックギターを愛す控えめな音楽オタク気質の男の子、その性格もあってクラスの人気者にも誰も近寄らないアウトローにもならなかった、誤解を恐れずに言うならば”普通”の音楽好きなちょっとナードな少年。
グラミー賞も受賞しアーティスト的な実績は十分で90sレジェンドバンドの中でもヘッドライナークラスの超人気バンドだが、彼のガレージに貼られてたKISSの様なロックスターになれたのかと言われると、そういう存在で僕らファンの中にはいないと言えるかもしれない。
そのストーリーはフラフラでも真っ直ぐな感性に導かれたものだったからこそ、憧れのバンド達と同じ様にWeezerの歌が聞かれるようになった。
彼らが音楽的な天才だった事に異論はないが、それ以上にそういう見た目とか性格とか普通で身近というインパクトも凄く、普段通りのオルタナティブなというどこかユニークな立ち位置のバンドとして存在していると言っても良いのだと思う。
 
1994年、スタンスミスと同色のセルフタイトルアルバム'Weezer (Blue Album)'でデビューすると、いきなりのスマッシュヒットをかっ飛ばした。
彼がガレージで鳴らした音は、全米から全世界に広がり90年代のオルタナティブロックムーブメントの一角を担い、パワーポップバンドのパイオニアとして名を馳せる。
アジア人の彼女を馬鹿にされた事に弱気にも高らかに’なんて言われても気にしないのさ’とギターと踊り歌う、彼らの中で普遍的なアンセムとなった'Buddy Holly'はあのMicrosoft95の付録にPVの入ったCDが付けられたという。
 
”エモーショナルなグッドメロディーとハードなサウンドで晴れやかに憂鬱を歌い上げる。”
何ともエモい方法論で、そのポップ/ロックセンスを花開かせたWeezerだが、どうにも気弱且つ変人なイメージが若干先行している感じもある。
 
1stの’ブルーアルバム’に'No One Alse'という歌。
’僕以外に笑いかけない女の子が欲しい’そう気弱なリビドーを、晴れやかにグッドメロディー&ヘヴィーなサウンドに乗せ呟いた大好きな一曲。
そうかと思えば2ndアルバム’ピンカートン’の最初の一曲のガレージでフリーキーな'Tired Of Sex'’もうSEXには疲れたよ’と成功後のモテっぷりを実名出してひけらかす赤裸々っぷりを見せる。
 
 
モテんだかモテないんだかの振れ幅への戸惑いに目を奪われるかもしれないが、きっとどっちも本質は変わらない。
そこはかとなくナードで言い方はちょっぴり変だがすげぇ分かる。
僕らが隠していた、出さないほうが格好いいと思っていた事を出しちまう。
その音はあっさりと琴線まで達して、死ぬほど格好いい。
これがWeezerがどのバンドよりもオルタナティブでキャッチーな理由なのだ。
 
奇作とまでは行かないが時にナイーブになり過ぎてトリッキーが過ぎる作品や行動にハラハラしたり、メンバー脱退などによる停滞期・リバース大学行くってよの小休止があったり、まるでそうやって注目を集めているかの様に、いつのまにか気づけばマイペースに進んできた。
色々あって忘れた頃に、やあ、ともじもじ輪に加わろうとするそんなイメージは、中期の彼らがアルバムを出す度に浮かんできたし、そのフラフラさもどうやら僕らに最も共鳴する部分だったのだ。
筋骨隆々のゴリゴリのハードロッカー、今にもキレそうな目をしたパンクロッカー、歌って踊れるエンターテイナー、その誰もが持っていなかった凄くチャーミングな部分
アーティストの行動パターンを読もうにも読めないオルタナティブな存在も含め、それが彼らの本質的な部分として、ずっと彼らの歌の中やバンドのハンドリングに宿っていたからこそ、心のバンドと成り得たのだと今思う。
 
 

ELLEGARDEN 'Cuomo' 負け犬じゃない 全ての弱虫の為のバラッド

Cuomo

Cuomo

  • ELLEGARDEN
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes
電撃ロック感を纏いながらもナイーブでセンチメンタルなムードたっぷりで、時に泣き虫ロックと冠されてきた彼らのロックサウンドは、弱虫で変な奴が書いたロックと評される表裏もあった。
個人的には泣き虫ロックという言葉は言い得て妙だと思うが、それはポジティブな意味で捉えた時であって、悪質な感触もあるのも事実だ。
そこで僕のWeezer好きを加速させた大きな要因の1つに、これまた心のバンドELLEGARDENの'Cuomo'って曲があった。
ボーカルでありソングライターの細美武士が自らの敬愛するリバース・クォモへ贈ったショートトラックだ。
 
’弱虫なんかじゃない。負け犬の音楽じゃない。ステキな願いさ、王道なんかないって事をあなたは教えてくれた’
Weezerを心のフェイバリットバンドとし、マニアの域まで好きだってラジオやライブで散々言ってた細美が語り歌う一曲は、他の誰に言われるよりもWeezerの魅力とは、を端的に表していたし説得力が段違いだった。
彼らが弱い部分をロックに乗せて歌ったことが、全ての弱虫達の心を動かし共感と勇気をくれたからこその涙なのだ。
 
 
劣情もリビドーも陰も憂鬱も惜しみなくさらけ出す、その赤裸々さは心がざわめく程にエモーショナル。
等身大というかありのままに心底のナイーブな部分を作品にしたからこそ、一端だけ切り取って弱虫だと言えないある種の勇気がそこにはあるのだと思う。
普通なら隠し持つ、なかなか打ち明けられない所を’言う’という勇気は、ロックの本質に触れる大切な部分。
だからこそそれにさえ気付けば、心の凄く近くで鳴るのだ。
 
どこか泣き虫ロックという言葉にフィルターがかかってちゃ見えない部分で、リリックにもサウンドにもリバースらしい捉え方と表現の感性が、ヘンテコではなく洒落たユーモアとなって滲み出てフリーキーなオルタナ感に繋がっているセンスが素晴らしい。
決してナードなのがマイナスではない、違うだけでむしろイケてんじゃん。
それを最初に肯定してくれたのがリバースだったのは、僕らの中での第一人者・細美武士が言うんだから間違いないのである。
弱い自分の生き様を全て呑み込んだ表現者として、今やWeezerは凄みある存在にすらなったのだ。

Heart Songs ちょっと頼りない、僕らの聖書

だいぶ前になるけど、Red Albumが出たくらいの頃。
胸の辺りにWeezerとだけ書いてある、バンドTシャツを着て街を歩いていたら、同い年くらいの外国の男の人に「oh! Weezer?」とすれ違い様に声を掛けられた。
「yes!yes!」みたいになって、そのままバンドの話に。
Weezerの話はもちろん、Oasisは好きか?とかNew Found Gloryもいいよね。とか、お互い拙い日本語と英語で数分喋っていたんだが、段々と相手の背景が見えてきた。
どうやら日本に布教活動に来た宗教関係の方みたいだ。
友達がいるからって言って、日本人の関係者ぽい方が2人くらい増えて、聖書みたいなのを出して、これを買うといいみたいな話が出だした。
ので、もう行かなきゃみたいな雰囲気を出しつつ、
「Sorry. My bible is Weezer.」
と言って別れてきた。
外国人の方は笑って「俺もそうさ」みたいなジェスチャーをして僕を送り出してくれた。
日本人関係者はポカン顔だったが、 アメリカ人の彼とは友達になれた気がした一幕だった。
そういや、なんかあいつも気弱そうだったな。
 
 
この渾身の一言から思ったがそうなのだ聖書なのだ。ふと彼らに寄り添いたくなる回数が実に多いことに気付く。
その時は履いてなかったけど、くじけそうな時、下を向いた時に目に鮮やかな青色のスタンスミスがあった様に、胸のWeezerのロゴがあるだけで心強いのだ。
あらゆる場面で聞いてきた。雨にも風にも負けないタメに。
 
聖書はどんな時でも誰にも開けないといけないのだ。そして素敵な物語な必要がある。
だからこそ、Weezerは彼らに似た人種の人々だけでなく、幅広い人々の心を壁を溶かし一体にすることが出来るのだ。
 
Red Albumに'Heart Songs'という曲がある。
穏やかなメロディーにぽつりぽつりと語りかけるようなボーカルで、彼に心の歌として残る影響を受けたバンドやアーティストを振り返っていくストーリーテリング的な名曲。
フォークシンガー、ゴードン・ライトフットから始まり、アバスプリングスティーン
アイアン・メイデンスレイヤープリンスマイケル・ジャクソン
そしてWeezer結成の大きな引き金となったニルヴァーナまで。
心の奥底にある彼のCDラックを眺めながら、本当に飾り気なしに’あぁ、これもね!’って話しかけてくるようで大好きな一曲。
 
このハートソング的な暖かさと慈しみこそWeezerが素敵である理由になるのだ。
まずフラフラでも真っ直ぐに鳴るパワーポップサウンドの中に、そんな音楽的な断片を合わせ混ぜて、ちょっと変わった見方で捉えるセンスが音楽的芳醇さに繋がっている。
ロックバンドでありながら、誰の心にも響く恒久的な慈しみ、それを持てるバンドは少ない。
だからこそきっと、あらゆる場面で寄り添いやすい幅広さにもなる。
本当に彼らのライブはあらゆるジャンルの人が来る。
国も違えば年も全然バラバラにWeezerロックを聞きに来る。
サマソニのWeezerのステージでビジョンに映し出されはにかむ初老の夫婦の姿は、僕らリスナーのありたい姿として一生忘れない素敵な光景だった。
 
オルタナティブでポップでありながら音の中に自身の姿を重ねて心の歌になり得るというビートルズ的な道に彼らの歌もあるんだろう。
僕が歌い続ける歌はこれなんだ、そして今ボクの歌が誰かの心の歌になった。
そんな喜びを誰でも共有可能なポップセンスを通し歌声とメロディーと共に感じられる。
そういうピュアでキュートな純真さが、ナイーブでねじれてるオルタナ性の前提・根本に見え隠れしているのが絶対的唯一な信頼感にすら繋がるのだ。
 

Weezerサウンドのマジック

パイオニアにはマジックがあるものだ。
本質の部分から溢れ出す赤裸々で開放的なWeezerらしさを象徴とし、この音楽的魔法によってロックのツボを掌握し感動の電流を流すことが出来る。
 
パワーポップの基礎はヘヴィーなハードロック的な音で、ポップのように穏やかに美しいメロディーラインで演奏するということ。
Weezerが創り上げたのは壊れやすい程美しいメロディー、それをハードな音で守ったパワーポップサウンドだ。
キャッチーで聴きやすく穏やかな程にポップでも、マニアックなロックンロール感はどの場面でもザラつき気味に感触を残す。
その感触がメッセージの中の赤裸々でナイーブな部分と共鳴してより妖しく秘密めいた僕らだけのバンドな感じにも繋がる。
 
Drパトリック・ウィルソンの味わい深く優しいリズム作り、Weezerきっての肉体派スコット・シュライナーのツボを抑えたベース。
気づけば世界に取り込まれている様なベースライン、そして穏やかな音の要であるギター(時にピアノ)のブライアン・ベルの存在も欠かせない。
そして自らギターソロを弾き、曲を書き歌うキュートに捻れたオルタナティブフロントマン、リバース・クォモ。
彼らが織りなす分厚く幅広い演奏でパワーでポップという安定感があるからこそ、それとは裏腹に時折急に泣き出すようなエモいカケラに溢れるサウンドデザインが変則的に自由を得るのだ。
逆にエモーショナルに委ねてフラつきながら、グッドメロディーとハードなサウンドでド正面から跳ね上がれる瞬間が散りばめられている。
この切なさと心強さこそWeezerのマジックなのだ。
 
1stのブルーアルバムで一発でWeezerアンセムとわかるそういう必殺技を確立させたからこそ、数々の幅広いサウンドデザインに変化・発展しても様々な感想を回収しつつ彼らならではの魅力をどこまでも深掘り出来る様な曲ばかり。
それこそジョナスから想像出来ないものまで発展したし、トリッキーで大胆に切り口を変えつつも、しっかりWeezerの世界観の中で着地できる完成度を誇るのは、きっと彼らの音楽的な豊潤さにもつながってくるんだろう。
ふっきれた様なポップ性に狂った様に踊りたくなり、稲妻のようなギターに快楽を求め、浮遊感漂うドリーミーな世界に没頭できて、ふとした文学性から驚くほど劣情的な歌詞に共感し、抗い難い程の優しさと憂いに満ちたメロディーに涙する。
捻れた想いがユニークで美しい音と誰にもできないバランスで一体になって素敵なものになっていくのだ。
普遍的でユニークなロックサウンドはどこまでも豊かで深い。
永遠にWeezerを聴くって僕が方方に言い放っているのは決して冗談なだけではなく、そこに圧倒的な自信を持っているからなのだ。

世界は僕を残して回っても 僕はWeezerを聴く

また細美武士の話になるけど、彼が全てが嫌になって逃げ出して釣りばっか行ってた時、車の後部座席に乗ってたのはThrid Eye Blindの1stとWeezerのブルーアルバムだけだったらしい。
もし世界が明日滅びるなら、何を聴くかって言われればWeezerなのかもしれない。
それが決して大それた決断じゃなく、とてもナチュラルにオルタナティヴに僕らの心のそばにあるって事。
そういうプレゼンスこそWeezerの本質であり、フェイバリットな理由なのかもしれない。
もう履きつぶしてしまった青いスタンスミス。なんか捨てられないよねこういうの。
もし明日世界が終わるなら、これを履いてWeezerを聞いて外に出れば、意外と悪くない。
そう思いさえする。
きっと大げさな勘違いじゃない。
僕にとってWeezerはそんなバンドなのだ。
 

ELLEGARDEN 'Don't Trust Anyone But Us'に想いを馳せる【無人島に持っていくならこのCDアルバム-その4】

無人島に持っていくならどのアルバム?第4弾!

2019.11.19 リライト

f:id:idwcufds:20170514233824j:plain

 

無人島に持っていくアルバムシリーズ4

音楽友達と良く酒飲みながら話すネタ、無人島に持っていくならどのアルバムを持っていく?という話題。

例えばそこにはサブスクリプションも存在しないとしたら。

誰もが認める歴史的名盤を持っていくのも正解だけど、何か人に言って「おっ」と思わせるアルバムが良い。

無人島でもそういうヤツで居たいのだ。

おもしろかったので記事にしました。のその4

 

www.youtube.com

今回はELLEGARDENの1stフルアルバム'Don't Trust Anyone But Us'をレビューします。

身近なラフさを思い切り感じられる爽快感、陽性で乾いた良質オルタナティヴロックが、ハイセンスでハイエナジーで叩きつけられた最初の1枚。

初期のエルレのイノセントな正義感は、どの1枚も上回れないと今でも思う。

あの時のあふれるエヴァーグリーンの魅力がつまった「俺はこういう音楽を聞きたくてここまで生きてきた」な稲妻は、生涯忘れることは出来ない。

無人島に行く時に、いつまでもこの1枚を最初にバッグに入れたい。

本日はELLEGARDEN 'Don't Trust Anyone But Us'に想いを馳せる。

素敵な暇つぶしになれば幸い。

以前まとめたELLEの曲30曲を振り返った記事はコチラ! !

www.footballsoundtrack.com

www.footballsoundtrack.com

前回までのシリーズはコチラ!!

www.footballsoundtrack.com

www.footballsoundtrack.com

www.footballsoundtrack.com

 

突如耳に蘇る色褪せない悠久の音楽

f:id:idwcufds:20170516163430j:plain

一年に何回か急にELLEGARDENを聴き込みたくなる。

the Hiatusでも、MONOEYESでもなく、WeezerでもGreen DayでもYellowcardでもNew Found Gloryでもなくエルレを聴きたい、そんな衝動があって、それは僕の中で地球上の僕の知っているどのバンドよりも大きいものだ。

自分の世代の中心で鳴り、当時からきっと一生このバンドは心の真ん中にいるんだろうって確信。

1987年生まれの僕にとってそれはELLEGARDENというバンドだったし、四季折々とかメンタルのコンディションとかで色々聴きたい曲も変わってくるが、そういう時に急に耳に蘇るメロディーは、概ねこのアルバムの音だった

 

2002年4月発売されたインディーレーベルからの彼ら最初のフルアルバム。

1999年に結成されたエルレガーデンは、自主製作のアルバムと、ミニアルバム・シングルを経て2002年このアルバムを発表した。

その後も行き急ぐかのように曲を作り続け、ライブバンドとして強靭なプライドを行動に移し、時代のロックヒーローとなった彼らの最初のアルバム

耳の早いわけではなかった僕は発売当初から聴いていたわけではなかった。

それでも今耳に残るこの一枚は、レトロ感を吹き飛ばし、全く色褪せずにタイムレスに輝く類の1枚だった。

1stらしいラフさとクリアなサウンドがせめぎ合うエルレらしさが濃縮された今やヴィンテージな魅力。

もちろん少し復活してくれた2019年の今、ライブでも主力の曲も多い彼らの中でも定番のアルバムではある。

ただ大きく主張したいのは、初期衝動でありつつも、アルバム通して持っているオルタナティヴな雰囲気は確実に新しい景色を運んできたアルバムで、その時点でエルレの原点としての音楽性が確立されている完成度という事を言いたいのである。

その音楽 凄まじく細美の声が映えるオルタナギターサウンド

Spotify

 

f:id:idwcufds:20170516164214j:plain

後にも先にも彼らくらいだった。

今まで聞いたことが無くて、ここまで今でも自分の中で聴ける音の輝きを保ち続けている。

きっと僕が喉から手が出るほど憧れて欲しかったものがこの1stアルバムに詰まっていたのだ。

ポップに染まり切らずロックという表現行為の一端を成し、尚且つ永遠の青さを持ったオルタナティブなメロディー

アルバムの随所に感じるどれを取ってもストレートでキャッチーながら、ロック的に心臓を掴まれる貫通力を持った衝動的なメロディックサウンド。

カリフォルニアの風通しの良さ、日本詩の素朴さ、ミドルチューンの艶やかさ、その全て断トツの聴きやすさでも、仰け反る様なエネルギッシュさを持っていた。

 

中性的で流麗な発音を持ち且つパワフルでもあるアイコニックな細美の声はバンドサウンドの中央に位置して、自然に共振しオルタナティヴに変化して聞こえてくる。

断トツにクリアで聞きやすい英詞、暖かい日本詞どちらにおいても甘美さと力強さをもった声は、いつの間にか心を囚われる魅力に溢れているし彼のカリスマ性の一端を担っているのはこの頃から明らかだった。

歌以外の部分では言いたい事を言ってくれるパンクなスタンス、それと上手くコントラストとなる部分絶妙なナイーブ感も親近感をより身近で感じさせてくれる。

ギターロックとパワーポップ、そしてパンク的な要素が混在したサウンドもストレートな造りながらただ疾走するだけでない高次なロック性もあった

メロコア的なビートもあれば、それだけで価値のあるギター中心のバンドの音色みたいなものが、エルレガーデンの中心であったことはその後から見ても明らかだった。

 

その後、バンドが大きくなっても、その核になる部分には、ラフで青いこの頃の想いを添えていた、そう思わせる初期衝動的なルーツであり、ある部分では完成されていた彼らのサウンドのスタイリッシュなパワーを感じる一枚が、このアルバムなのだ。

 

全曲ソングレビュー

DON’T TRUST ANYONE BUT US

DON’T TRUST ANYONE BUT US

 
1.My Favorite Song
My Favorite Song

My Favorite Song

  • ELLEGARDEN
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

少しくもり空のオルタナティブなグルーヴ感と跳ね回るザラついたギターサウンド融合は明快なエルレのサウンドプロダクト。

そのセピア色の最中でも吹き抜けるような爽快感、この絶妙なバランスの風合いがこのアルバムを彩る。

クールかつ痛快な細美の声の後ろで自由に駆け回るギターサウンドが、ぶつかり合わず一体感を持って包むような感触こそ、完成度を物語る心に残るオープナー。

自分の好きな事、という彼らがどこまでも追い求めるテーマはエルレ版サウンド・オブ・ミュージックの始まりに相応しかった。

2.サンタクロース
サンタクロース

サンタクロース

  • ELLEGARDEN
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

今や幻の初期の名ラブソング。

雪の夜の光景が目に浮かぶような、美しい寓話的なロマンチックさとエモーショナルに満ちた手一杯の歌詞。

ちょっと照れくさい様が、彼らを紐解く上で重要な一曲だし、ここまで甘いストレートなメッセージは超貴重な一面でもある。

 

3.Can You Feel Like I Do
Can You Feel Like I Do

Can You Feel Like I Do

  • ELLEGARDEN
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

必殺のミドルチューンの中でも彼ら屈指の一曲。後期までライブで良く歌われた。

暗い空高く舞い上がる憂いのギターが美しく荘厳で、シンボリックな優しい音は大きな時計塔の鐘みたいに耳を惹く。

切ない郷愁が滲み出るギターロックバラードはシンプルな構成ながら没入感が凄い。

この洋楽的な魅力も初期の彼らの良さでもある。

 

4.Bare Foot
Bare Foot

Bare Foot

  • ELLEGARDEN
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

彼らの1stシングル。

カリフォルニアにでもいるかの様な、陽性の柔らかい風合い。

キャッチーな音の裏に、確実に型破りな個性をはらんでいる事を伺わせる、ダイナミックなスケール。

こんな曲有ればいいなと、自分が描いていた世界が鮮やかに描き出される、衝撃的な一曲だった。

 

5.指輪
指輪

指輪

  • ELLEGARDEN
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

実は2ndシングル。

日本詞の美しいバラード。ここまでの直球のバラードはサンタクロースと並び今となっては珍しい。

とてもパーソナルな歌詞の描く光景に胸が暖かくなる。

’包み紙がちょっとちゃっちいんだよね’は好き。

6.月
月

  • ELLEGARDEN
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

オルタナティブなムードの日本詞のパワーポップ。

独特な言い回しが次第にバンドサウンドに押されていく、モノアイズやハイエイタスにも通ずる展開。

オーソドックスながらなんの変哲もない曲にならない、少しひねくれたオルタナティヴな魅力。
それはこの頃から変わらない。

 

7.45


Ellegarden - 45 (with lyrics)

45

45

  • ELLEGARDEN
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

個人的にこのアルバムではこの曲を思い出すキラーチューン。

鳴り響く場所を全て高原の様な爽快さで満たせる半面、早回しのアメリカの街角の映像を見ている様な詩世界。

学校のチャイムの様なギターリフから走り出して、コンパクトにライトに歌心が冴えるキャッチーな聴き心地。

クリーンなトーンとエッジーなグッドメロディーのコントラストは、ストレートながら最上級のニュートラルさ。

 

8.風の日
風の日

風の日

  • ELLEGARDEN
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

彼らの代表曲にも数えられる日本語詞の名曲。

リフもサウンドもメロディーも総力戦のこれぞというエルレのギターロック。

渦巻く旋風が晴れやかに霧散するような展開、少しゴリゴリ進む力強さと本来のメロディーの良さが眩しく広がるのだ。

後味の笑顔は保証されてる揺るがない彼らのキラーチューンである。

 

9.Middle Of Nowhere
Middle of Nowhere

Middle of Nowhere

  • ELLEGARDEN
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

メロウでダークなロックバラードの鉄板曲。これもいつまでもライブの定番だった。

曲も声も、暗闇でもがくような、光を渇望するシナリオが容易に浮かぶ、陶酔感のあるトリッピーなサウンド。

どこまでも陰に入るからこそエモーショナルになる叫びがノイジーで美しく広がる。

 

10.Lonesome
Lonesome

Lonesome

  • ELLEGARDEN
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

アコースティックが煌めくセンチメンタルなキラーチューン。

グルーヴィーなリフレインに、サビで訪れる跳ね上がるアンセム的瞬間がスムーズに入れ替わる。

ギター一本だとしてもエモーショナルで美しいメロディーを、何倍も表情豊かにするバンド・サウンドが眩しい。

 

11.Sliding Door
Sliding Door

Sliding Door

  • ELLEGARDEN
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

本編ラストトラック。

心を打ち砕かれ突き刺さる様に痛い崩壊感のある音。

突如として燃え上がった感情も、改めて魅せつけられるような声と音の衝突に何度目かのスリリングさを覚える。

これで本編終わりの扱いなのでブランク含め25分くらいあるのも良い想い出。

 

12.The End Of The World
The End of the World-Album Mix-

The End of the World-Album Mix-

  • ELLEGARDEN
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

太くしなるギターリフが特徴的なシークレットナンバー。

この曲はギターの生形が作った。

歌うように響くギター音色が染み渡る、ラストに最適な一曲。

 

いつか戻ってくるその日まで

f:id:idwcufds:20170516190734j:plain

僕がわき目も振らず熱中時代を過ごしたELLEGARDENの曲はきっと永遠に聴くんだと思う。

一年に何回か聴きたくなると言ったが、聴いている時の感情を円グラフにすると、年毎に懐かしい気持ちってのは微増してくる。

音はタイムレスに変わらないが、僕が歳とっていくのが、なんとなくわかる。

それも乙でいいんだが、やっぱり寂しさってのは出てくるんだ。

きっと戻ってくる、彼らは。

彼らの本質に近いと感じるこのアルバムの曲を聞くと、その想いを大切にしたくなる。

色褪せず今でもオルタナティヴに響く反面、これがそのまま更新されると、更に見たこともない光景が広がっているんじゃないか。

そういう思いが毎年めぐりながら、変わらない彼らの風を感じながら、想いを馳せるのもいいんじゃないかと思うのだ。

 

それではまた別の記事で。

人生を決定付けた1曲 ELLEGARDEN'Alternative Plans'に想いを馳せる

ELLEGARDEN 'Alternative Plans'に想いを馳せるコラム

元号が変わるなんて思いもしてなかった。
平成とタメで歳を重ねる1987年生まれの僕にとって、実は平成は凄く馴染み深かったのかもしれなくて、今のところしっくり来ない感が僕を支配している。
これはターニングポイント的なタイミング。なんせ国ごと動いた。
自分の事を考える時間が中々無かったが、やっと落ち着いてきた今自分の事を考えてみる。
 
皆様にもあると思うが僕にも人生を決定付けた1曲がある。
ELLEGARDENの'Alternative Plans'
何処か普通ではない、そういう意味で少し違った何かにこだわって生きたい。
鮮やか過ぎるこのオルタナティブというワードに僕は心を奪われそう決めた。
でもいつしかそれを追ってるだけでカッコいいと思ってた。
’そんな風になるつもりはなかった’
この間ふと聞いた時に、ふとそんな歌詞が心に刺さって痛かった。
何千回と聴き重ねて、その度にわかった気でいたが、まだまだ僕は言葉を振りかざしてるだけだった。
 
大好きな言葉、大好きな曲だからこそ、自分の本質に共鳴させて譲れない物に練り上げていく。
新しい時代を生きる為、ここで大好きな一曲に想いを馳せるちっちゃいコラムだ。
素敵な暇つぶしになれば幸い。
 

ELLEGARDENの他記事

www.footballsoundtrack.com

www.footballsoundtrack.com

ELLEGARDEN'Alternative Plans'

 

Alternative Plans

Alternative Plans

  • ELLEGARDEN
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

 

2008年の活動休止前、最後のシングルとなったのが2006年の'Salamander'。そのカップリング曲に'Lately'とともに入っていたのがこの'Alternative Plans'だった。

Altenativeという言葉は訳すと凄く難しい。

「代わりとなる・(今までにない)新しい・慣習的方法を取らない。」というニュアンス。

Alternative Plansは「今と違う代わりの選択肢」という意味になる。

ロック・ミュージック的にもオルタナティブ・ロックという大きな括りでこの言葉は使われてて、もちろんエルレもオルタナロックバンドと言えるだろうし、このタイトルもそんな部分からインスパイアされたものもあるかもしれない。

少なくとも僕らロックリスナーにもピンときやすいワードだった。

 

その後、最後のオリジナルアルバムとなったのが2006年の'ELEVEN FIRE CRACKERS'にも再録して収録されたアルバムの曲ながら凄く大切な一曲。

このアルバムのツアーのライブDVDのエンドクレジットの曲にも使われていたり、今思えばどこか時計の針を止めかけていたバンド活動を照らし合わせて見ると、余計ドラマチックにオルタナティブという言葉が目を引く。

オルタナティブなプランが何を歌ったものなのか、には邪推も含め色んなことが想像できるし、それが聞き手のパーソナルな状況に重なり響くのも名曲の条件でもあるのだ。

実際のオリジナル・アルバムのエルレ最後の曲は'Marie'だったが、どこか彼らの時代のラストトラックの様なイメージも勝手にもってしまう憂いと切なさを孕んだ爽快さがあって、どこかELLEGARDENのサウンドが彼ららしく色濃く結実した感もあった。

 

'Salamander'のカップリングの初録版の方よりも、再録したアルバムVerの方が僕は好き。

イントロからカセットテープ聞いてるみたいなモノクロームな雰囲気の弾き語りから幕を開ける。
アコースティックで美しいギターの音に鮮やかに映えるクリアなイントネーションの細美のボーカル。
透き通った伸びやかな声はポジティブでありつつ、どこかセンチメンタルに尾を引くブルーな憂いを残す。
’夢に見る事がある。今と違う環境を手に入れる僕達を。’
’ごめんね、こんな風になるつもりじゃなかったんだ。’
割とヘヴィな閉塞感を穏やかに美しいメロディーラインに乗せて歌う。
このブルーであっても陰湿にはならずカラッとした感触こそエルレガーデンの音楽的な特徴の1つだった。
 
助走ゼロで瞬時にロックサウンドど合流しスピーディーに展開していく。
あっさりとロックさを帯びれる鮮やかなメロディーだからこその爽快さで、跳ね上がるドラム、振り下ろされるザラザラのギターでシンプルにエッジが効くいつまでも噛み締めていたいヴァースの部分。
’いくら正当化したって、結局うまくなんて行かないんだ’
自堕落な生活とそれを正当化する自分を蔑んで行くメッセージも、どこか無機質なほどニュートラルに淡々としたテンションで、どこか達観したようなクリアなボーカルが進む。
 
ロックな音像に慣れてもう一段階厚みがまして、もう既に聴き馴染みの良いサビに入る。
いつの間にか見渡せば星空の下にいたみたいな様な、キラキラとした世界が回っている燦めく高揚感。
WeezerNew Found GloryJimmy Eat World全部混ざってオルタナティブにキャッチーに弾けた音楽性こそ、最も歌って欲しい歌を歌っているというエルレの魅力そのものだし、瞬時にサビがメロディーが口ずさめる親しみのあるサウンド。
高速で僕らを巻き込みながら降り注いでいくドラマチックな盛り上がりでも、馬鹿みたいに明るくなく、どこまでも少し憂いがあるからこそパーソナルな心のどこかにすっと染み入るのだ。
どこか諦めた様にでも爽やかに終始するボーカル、胸の奥につっかえるモヤモヤがあっても爽快に見上げられる僕らの現実レベルでもリアルに重ねられる想いがあるはずだ。
 
'心が何かを求めても、いつもごまかしている'
こういう類のメッセージをあるゆる場面で細美武士は言ってきた。
感情に素直になる為には、ありとあらゆる障壁がある。
それは時に自分自身でもあったりして、その為の闘いをしなくてはならないのだ。
ドライに爽やかだけど、感情から生み出され終盤につれライトアップされる様な細美の声と、紡ぐ様に優しく鳴るギターメロディーに、ポップな美観を損なわず、爽快に憂鬱にロックサウンドを滑らせるサウンドデザイン。
聞き手として一方的に聞いていたはずが、いつしか同じ方向で音に乗り物思いにふけられる、Alternative Plansはパーソナルなアンセムになった。
 
何もかもが順風満帆で1つも問題が起こらない事などあり得ない。
その度にオルタナティブな事に想いを馳せているだけでは駄目なのだ。
現実逃避的なメッセージが続くこの曲で、これに気づかないといけない。
 
オルタナティブとは、凄く絶妙な言葉だ。
ポジティブでもあるしネガティブにも成り得る。
最初と違ってもいい。
でも違う事だけを誇るな。
それだけ厳しいことを自覚しろって事だと、今襟を正された気分だ。
こうやって名曲はよりパーソナルに深いものになっていくんだろう。
 
聴く度に何か答えを見つけなきゃいけないわけじゃない。
その時何か掴みかければいいのだ。
この曲で星を数える様に自分の失敗を数えればいい。
きっとそこに輝いているから。
そういう機会を与えてくれるのだこの曲は。
 
やんなきゃ行けないこと、やりたいこと、やった方がいいこと。
元号が変わろうがその全てが好きと嫌いでわかれてて、好きな奴嫌いな奴が絡んでくる。
ちょっと外れた位置にいる僕を格好いいなんて思わない。それは正当化だ。
こうあるべき、自分はこうあって欲しいと願ってやまない姿、そこに向かう決意を燃やせた良い時間だった。
こうやってまた歌と一緒に令和も過ごせたら、それは幸せなんだろう。
 
雑記にお付き合い頂きありがとうございました。
またこうして文章を書き続けていければ幸い。
それではまた別の記事で。

【無人島に持っていく一枚シリーズ7】The Raconteurs 'Consolers Of The Lonely'【ディスクレビュー】

無人島に持っていくならどのアルバム? 2019.04 リライト

f:id:idwcufds:20180322232434j:plain

無人島に持っていくCDアルバムシリーズ7
新譜のレビューはやっていたけど、それ以外にも心に刺さったアルバムは山ほどあるのだ。
音楽友達と良く酒飲みながら話すネタ、無人島に持っていくならどのアルバムを持っていく?という話題。おもしろかったので記事にしました。のその7
 
今回は2000年代オルタナティヴ・ロック界最大最強で唯一無二のスーパーバンドThe Raconteursの2ndアルバム'Consolers Of The Lonely'をご紹介します。
何気ないミュージシャン同士の横の繋がりというモノは何ともロマンに溢れるもので、しばしばこういう絶妙な天才同士のコラボレーションが途方もないレベルのクオリティーで実現する事がある。
White Stripesジャック・ホワイト、シンガー/ソングライターのブレンダン・ベンソンという強力無比なオルタナティヴツインギター&ボーカルに、Greenhornsジャック・ローレンスパトリック・キーラーのブルージーなリズム隊。
お互いの引力に惹かれ普通じゃない奴らの音が弾けて混ぜ合わさったオルタナ&ガレージなロックは、難解さゼロのシンプルながら突き抜けた決定的な衝撃があって実に明快なオルタナティヴロックの完成形だと確信できた。
究極的であり実に合理的で、それはつまりごまかしのない凄さ。
本日はこの一枚をレビューします。
 

White Stripesについての記事はコチラ!

www.footballsoundtrack.com

ブレンダン・ベンソンについてはコチラ!

www.footballsoundtrack.com

ここまでの無人島シリーズ

www.footballsoundtrack.com

The Raconteurs 'Consolers Of The Lonely'

f:id:idwcufds:20180323002138j:plain

iTunesダウンロード

Consolers of the Lonely

Consolers of the Lonely

  • The Raconteurs
  • オルタナティブ
  • ¥2200

Amazon購入

コンソーラーズ・オブ・ザ・ロンリー

コンソーラーズ・オブ・ザ・ロンリー

 

 

オルタナティヴでガレージなロックの達人同士が組んでラカンターズが生まれたのは2005年の事だった。

The Raconteursは直訳すれば話し上手な人という意味らしい。

1998年頃には全員知り合いで、お互いのバンドの活動が落ち着いたとこで'バンド組もっか'と同窓会的なノリで組まれた、知る人ぞ知る界隈では震えがるようなケミストリーを、間違いなく発揮しそうな最適で最強の組み合わせの4人だった。

 


The Raconteurs Salute Your Salution - Later with Jools Holland Live HD

 

ガレージロック旋風のど真ん中で世界を揺らしたバンド、ホワイト・ストライプスの

ボーカル/ギター、ジャック・ホワイト

美しいメロディーセンスとキレの穏やかな歌声で特別な存在のシンガーソングライターとして活動する、ブレンダン・ベンソン

リズム隊のモダン・ブルースロック・バンドGreenhornsのジャック・ローレンスパトリック・キーラーもきっての実力者だ。

 

フロントマンの2人、ジャックとブレンダンのツインボーカルの掛け合いがバンドサウンドの中心に据えられていて、どちらも並みのボーカリストからは遠く離れた位置にいる天性の自然驚異的な歌のインパクトがエゲツない。
ジャック・ホワイトの狂気的ながら高音でアイコニックな声、ブレンダンの吟遊詩人の口笛の様な自然で澄んだ声。
リードギターとリズムギターの関係そのままに、時にはお互いの声をぶつけ合う様にシャウトし、時には溶け合うようなハーモニーを奏でる。
そのボーカルが乗る、ラフなガレージ・ブルースロックサウンド。
無駄ゼロのシンプルで即効性のあるメロディーに、甘美でスモーキーなノイズ絡んだサウンドは、受け継がれてきたルーツを正しく継承し、今の時代に最上の形で鳴らしたハイパーオルタナティブロックとなった。
それは今聴いて今鳴っても、ロック不況だなんだを吹き飛ばすほどの影響力を恒久的に閉じ込められている、そんなパンドラの箱的アルバムが彼らのセカンド 'Consolers Of The Lonely'であるのだ。

 


Consolers Of The Lonely - The Raconteurs (Live From The Basement)

 

2006年には1stアルバムを発表し、ボブ・ディランとツアーを回るというスーパーバンドらしい圧倒的なスタートを切ったわけだが、その1stのツアーの時点でこの2枚目のアルバムの構想はあったようだ。

そもそもラカンターズがオルタナティヴ界隈の達人同士で組まれた背景は、スーパーバンドらしくその場のフィーリングというか即興的に結成した経緯があり、一旦各々の活動の足を止めたニュートラルな状態のフリーなテンションで音を作れる利点はあったはずだ。

客前の演奏であっても、言うなればそのインスタントなジャム感は常にあったんだと思うのだ。
それが彼らの礎であり、ひいてはロックの原初的なイマジネーションの引き出し方にも通ずる。
即興的で圧倒的なポテンシャルを閉じ込めたというかぶち込んだ音塊。
ベースのメロディーは口ずさめる程シンプルなのに、ある種の畏怖すら感じる音圧は常軌を逸した天才の所業による本物感が常に漂う強い音なのだ。
マニアックで奇抜にも感じるフリーキーなサウンドの色付けも、それが王道になり得るのがロックであり華々しい程に美しい。

 

スペシャルなメンバーによるバンドのナチュラルに天才な雰囲気、1stの衝動を噛み締めた上で湧き上がる音像を捉えたその2枚目。すなわち完成形なのだ。

このケース、このメンバーでしか実現し得ない稀有でオーセンティックな一品。
事実それ以降アルバムはないのも、痛烈なほどにこのアルバムでラカンターズとガレージロック自体を表現しきった事に起因するのかもしれない。
 

ソングレビュー

何曲か抜粋してソングレビュー。

硬軟織り交ぜ、深みもコクも、穏やかさも狂気も感じる、エゲツないキラートラックばかり。

どこかには必ず引っかかるはず。是非聞きながら読んで頂けると幸いです。

'Consolers Of The Lonely'


The Raconteurs - Consoler Of The Lonely

怪しげな風貌のサーカス的なジャケ写の世界観が眼に浮かぶオープニングトラック。
こんなに信じられない程にカッコよくギターを鳴らせるのか。
美学も攻撃性も情熱も凝縮した様な恐ろしく歪んで美しい、冒頭の10秒で心を抑えがたく震わせるリフは今後何百年も語り継がれるべきだ。
バンドサウンドと合流し小気味良いグルーヴを得て華々しく広がるロックの世界に、どこか常に感じる余裕・余韻は彼らならではのナチュラルな魅力。
ブレンダンの遥か遠方まで突き刺す様な澄んだ声、ジャックの狂気的で崩壊的で美しいハイトーンのボーカル、ロックの毒気と華々しさを彼らのアイデンティティーを爆発させて、未来的ではなく一種のロック完成形を作り上げた。
 
'Salute Your Solution'


The Raconteurs - Salute Your Solution (Official Video)

一転爽やかで突き抜ける様なギターリフの疾走ロックチューン。
歪みながら開放感あふれるギターサウンドの軽やかさに、ヘヴィーなベースに加速的なシャープなドラミングが絶妙に絡みバンド一体でカチッとハマった疾走感がある。
トリッキーなボーカルの掛け合いも圧巻だし、曲全体で見せ場は多く、全ての音が襲いかかってくるスリリングさは抗い難い高揚感を呼ぶ。
それに相応しい音圧と、その相乗的まとまりそして骨太な演奏力がそうさせるのだ。
駆け抜ける様に鮮やか、多彩さで攻めつつ、耳を掴んで離さない。
高揚感に満ちてカラフルなのに、作りはものすごくズシッと重厚の痛快な爆走。
エピックなリフに乗りやすいビートという根源的な快感も原初的で良い。
 
'You Don't Understand Me'


The Raconteurs - You Don't Understand Me (Live at Montreux 2008)

アシッドでしっとりとした最も美しいミドルチューン。
物悲しくも凛としたアシッドでジャジーなジャックのピアノが艷やかに緩やかな時間を創る。
マイナーなエモーショナルを閉じ込めた重くしなやかなグルーヴにパーフェクトに響くブレンダンのボーカルのお手の物感も流石だ。
濃密なセンチメントにナイーブな個性を散りばめて、けばけばとささくれ立った心を撫でていくような穏やかな一曲。
 
'Old Enough'


The Raconteurs Old enough

カントリーでサイケでポップなナンバー。
シンフォニックな音・キーボードの音の祝祭感ある明るいメロディーが青空に響くように広がる。
ビートルズ的なサウンドデザインに華麗に乗りこなすボーカル、その為のリズム隊の頼りになる存在感も耳触りがいい。
やはりあるギターの見せ場はブライトで眩しくキレが凄い。
 
'Top Yourself'

www.youtube.com

これぞなオーセンティックな香りのするナンバー。

アコースティックな旋律とヴィンテージな香りを漂わせるリズム。

それが徐々にグルーヴに纏われていく力強い和音のナチュラルな質感は、絶品の抱擁感を曲全体から醸すのだ。

怪しさも残すが、それも内包する様な綾のある声が映えるし、時折アコースティック一本になるスポットライトが当たる様な優しい風心地は素晴らしく良い。

 

'Many Shades Of Black'


The Raconteurs Many shades of black

ビッグなサウンドのクラシック・ロックチューン。

歪んだギターリフがうねりつつ、オーケストラ的なデコレーションが実にドラマチックに展開していく。
緩やかなジャジーなリズムではボーカルもぽつりぽつりと艶っぽい。
広大な空間で鳴る様なデカめの抱擁感と、パーソナルな優しい旋律で、緩急使い分け柔軟に響くのだ。
 
'Five On The Five'


The Raconteurs Five on the five

奇怪な高音から切れ味鋭い鋭角なギターリフで始まるハードなロックチューン。

グランジにも通ずる重く鈍く光る音の疾走、セクシャルにジャックのボーカルが泳ぐ。

どの曲とも違うスリルある高揚感を産むのも、奇抜でトリッキーな音に負けないほどにロック的なグルーヴが凶暴・強靭な強度を誇っているからで、このバランスを実現できる彼ららしい傑作。

 

'Rich Kid Blues'


The Raconteurs Rich kid blues

ブルース・ロックチューン。
ブレンダンのボーカルに始まる揺らめくようなメロディー。
徐々に火がつく様に脈打つビートで花開いたサウンドが入り乱れ、フリーキーでも調和の取れるサイケでカラフルな音空間。
歌うようなギターソロのメロディーが根源となり、終盤に顕在化するのも面白い。
そもそものメロディーの良さがあって、そこから画期性をもったバンドサウンドの妙を出す必殺の型なのかもしれない。
 

無人島に持っていく偉大なロックアルバム

f:id:idwcufds:20180323002138j:plain

無人島に持っていくアルバムシリーズ第7弾はThe Raconteurs 'Consolers Of The Lonely'でした。

僕が生きるこの時代にこのアルバムがあって良かったが、仮に100年後にこのアルバムと出会っててもヘヴィに聞いてただろう金字塔だ。

まだまだ紹介したいアルバムは一杯。

荷物が音楽でいっぱいになってもいいじゃないか。

 

それではまた別の記事で。

Weezer(Black Album)を聞いたレビュー【ウィーザー ブラックアルバム】

Weezerの12枚目のオリジナル・アルバムにして5作目のセルフタイトルアルバム’黒’を聞いた

前前作10th'Weezer(White Album)'はオルタナティブなウィーザーロックサウンドを前面に押し出し、ビーチをコンセプトにモダンなペット・サウンズとまで評価を受けたクラシックスタイルの頂点だった。

前作の11th'Pacific Daydream'では非現実的でドリーミーなサウンドを白く眩く展開する支配力すらある空想的なサウンドを練り上げた。

Weezerのそしてリバースのクリエイティビティはこの数年、ベテランバンドらしからぬ天井知らずの勢いでとんでもない境地に入ってきている。

2017年の'Pacific Daydream'のリリース時にはすでに新しいアルバムの曲は出揃いつつあり、そのアルバムが’黒’を冠する5枚目のセルフタイトルアルバムである事を明かし、僕らファンの心を揺さぶらせた。

ドリーミーな白昼夢感のその表裏。一緒に出てきたダークなアイディアが満載のアルバムになりそうでワクワクしていた1年半。

が、急にTOTOの名曲'Africa'のカバーを発表し、驚異的なヒットを飛ばしグラミーにまで呼ばれる騒ぎになった。

結局、そのままカバーソング集をWeezer(Teal Album)として発表する、トリッキーな展開は何ともウィーザーらしくファンを驚かせてくれた。


Weezer - Africa (starring Weird Al Yankovic)

Weezer(Black Album) ブラックアルバム

f:id:idwcufds:20190303214317p:plain

iTunesダウンロード
Weezer (Black Album)

Weezer (Black Album)

  • ウィーザー
  • オルタナティブ
  • ¥1600
amazon 購入
ウィーザー(ブラック・アルバム)

ウィーザー(ブラック・アルバム)

 

 

いよいよ満を持した形となって2019年3月1日にリリースされたブラックアルバム。

セルフタイトルシリーズお馴染みの4人が並んだジャケが今回は黒塗りになってる。

その時点でここまでの流れとかバンド史とかを上から塗りつぶす様な禁忌的な香りを感じる。

リバース自身が実験的な要素が多く含まれるとコメントしていた通り、白そして白昼夢でリラックスした姿を魅せてきたウィーザーの対比となる部分に注目が集まる。

そう思ってたら割と面食らう。
ソウル・ファンクなビート、ブラックなノリを混ぜた黒というオープニング。
まるでオルタナ王子BECKのアルバムを聞いてる様な新感触。
超面白いアルバムだ。Weezer史上最もケミカルで深度が深い。 
そうきたか、どころではなく一聴では掴みきれない。
それでも何度も聞けばいつものWeezerの高揚感もついてくる盤石のメロディーも確かにある。
マルチなサウンドメイクは華もあって暗さもあるが、実験的な中であってもリバースであり続けられるオルタナシンガーっぷりが実にWeezerサウンドらしさを芯に残している。 
その芯すら揺蕩うレベルのサウンドの妙技だが、緻密なトラックも鋭利なラップも届かないオルタナなロックのエネルギーが、一周した後には溢れていたのだ。
 

ソングレビュー

"Can't Knock the Hustle"


Weezer - Can't Knock The Hustle (starring Rivers Wentz)

Jay-Zの同名の曲にインスパイアを受けたオープナー。
ヒップなサウンドにラテンのリズム。
リバースの本質である雑食なオルタナティブセンスを発揮しそれを今回のカラーのマッドなロックテイストに仕上げた絶技。
トリッキーでヒップホップへの接触的にロックバンドらしからぬ禁忌的な感触、でも歌うなってのが無理。
’アスタラウェゴ’(また会おう)をこれだけキャッチーに連呼されると楽しいに決まってるのだ。
急にバチッと終わるラストも心動く瞬間だった。
 
'Zombie Bastards'
個人的にこのアルバムでの最大のキラーソング。
新しい発見と刺激に満ちた穏やかなキラーチューンは耳元で囁いていたと思ったら深い奥行きの音に距離感を乱される。
前作から通ずるドリーミーなくらい広がってく空間、はじく様なギターの心地良いビート。
ユルくも絶妙にビビットな語感に一瞬だけオレンジ色に光るギターの燦めき。
不可思議なポップさにシャープなサウンドにパワーポップビートという見たこともない世界でも、全く怖くねぇ。
リバースの声さえあれば踊れると再確認する喜びも胸にある黒のド真ん中で鳴るアンセム。
 
'High As A Kite'


Weezer - High As A Kite (Official Video)

これまた妙な芝居をしてるMVのシングル的なトラック。

フォーキーで穏やかに子守歌の様に優しく歌うポップソング。
凧がクルクルと落ちる様に優雅でちょっと儚い。
美しいメロディーの中にも、MVの中の暴れっぷりの様なエナジーをギリギリ表面張力で残し、チリチリとした焦燥感に焦がされる。
子供達のひいた顔にドヤ顔を決める背徳感。
 
Living In L.A.
ロサンゼルスという大きな言葉を使い、女の子に想いを馳せたウィーザー節の一つ形。
陶酔感はありながらシャープにスタイリッシュ。
ディスコチックなポップ感満載のビートにどこか女の子の影を感じる。
肩肘張らず華麗に歌い切るリバースのフロントマンっぷりが癖になる悪魔的な魅力がある。
 
 

カラフルな黒 こりゃ名盤

5枚目のセルフタイトルアルバム。12枚めのオリジナル・アルバム。
超ベテランにしてピンカートン的なデザインチェンジをかましてくるウィーザーのスタイルだからこそ、僕らの心のどの瞬間にも当てはまり、心の歌であり続ける。
青からは想像できないし、白と正反対ってわけでもない。
漆黒かと思えば実にカラフルでダークなパワーポップ。
そのカラフルさには青も緑も赤も白も浮世絵だって含まれてる。
それを黒で塗りつぶしたケミカルな空気がたまらなくいかがわしいのだ。
ネクストレヴェルとかの次元ではなくウィーザーのロックの革命的な1枚。
こりゃ名盤。
 
それではまた別の記事で。

【無人島に持っていく一枚シリーズ13】The Kooks 'Konk'に想いを馳せる【ディスクレビュー】

無人島に持っていくならどのアルバム?

f:id:idwcufds:20181208003139p:plain

無人島に持っていくシリーズ13
新譜のレビューはやっていたけど、それ以外にも心に刺さったアルバムは山ほどあるのだ。
音楽友達と良く酒飲みながら話すネタ、無人島に持っていくならどのアルバムを持っていく?という話題。おもしろかったので記事にしました。のその13
 
 
今回はUKインディー・ロックバンドのThe Kooksの2008年発売の2ndアルバム'Konk'に想いを馳せる。
2000sロックのアクモン世代のフォロワーバンドとしてシーンに登場したThe Kooksは、その秘蔵っ子ぶりをジワジワと発揮させた1stでキラリと名を馳せ、この2ndでその才気を永劫の輝きにする事に成功した。
世界的なポップアーティストの新作を抑え、全英チャート1位に輝いたインディー・ロックビックバンの集大成的傑作。
美しく洗練されたオールディーズチックなモダンロックアルバム、コンクは聞いたその一瞬だけのみならず後味で人の心に残り続ける絵画の様なアルバムだった。
今回はThe Kooks'Konk'に想いを馳せる。
 
 

他の無人島シリーズはコチラ!

www.footballsoundtrack.com

www.footballsoundtrack.com

The Kooks 'Konk'

f:id:idwcufds:20190224232549p:plain

iTunesダウンロード
Konk

Konk

  • ザ・クークス
  • インディー・ロック
  • ¥1900
Amazon購入
コンク

コンク

 

 

スタイリッシュでインディーなストリートの華

イギリス・ブライトンで結成し2005年デビューしたThe Kooks(ザ・クークス)

イギリス政府直営のミュージシャン養成所的なカレッジで出会った4人組の2006年の1stアルバムが異例のロングランヒットを飛ばし、気づけばジワジワとアクモンを超える枚数を売っていたクークスは、英国ロック界の秘蔵っ子感満載でメインストリームに飛び出していった。

2ndアルバムの'Konk'はそんなスマッシュヒットの直後に制作された。

凄くモダンでスタイリッシュな風貌、でもどこか甘く擦れた空気が漂う、ストリートの華的な安酒の香りが漂うバンドイメージ。

自分たちに漂うそんな雰囲気が、アルバムのあちらこちらで花開くような燦めく良盤となったのだ。

f:id:idwcufds:20190226235022p:plain


The Kooks - Shine On

巨匠レイ・ディヴィスのコンク・スタジオで制作された事から'Konk'と名付けられたアルバムは殺人的に甘く支配力すらあった。

真夜中のロンドン、石畳の路地裏の空気はきっとこんな感じだ。
普段立てないコートの襟をカッコつけて立てて歩きたくなる。
時間も空気も包み込む、スピリチュアルなレベルの包容力すらある隙間なしの名盤なのだ。
 
まず、なんだこのギターの音は
耳の奥の奥の心に近い所で振動まで分かる様な音色に、強烈なトリップ感も覚える。
濃密なヴィンテージな空気のフィルターがかかり、あっという間にロンドンのストリートの風景に包まれ、インスタかって程世界は映える。
眩いギターメロディーの流れは恐ろしく艷やかで甘い中にもキリッとしたクールさに微睡みながら目は冴える。
この凄みに恐れ入るタイプのギターは、英国ギターロックの宿命的なギターオリエンテッドの精神も感じ何とも心強い側面もあるのだ。
 
どこかアカデミックな雰囲気から感じるのは、間違いなく掛け算のサウンドデザインであるという事。
豊かな音は、潤いとツヤに満ち満ちていて、急に深度が高いドープにドリーミーな世界に引き込んでも鮮やかなまま。
ルークのソングライティングの幅の成せる魅せ方だし、アオハルな歌詞でもめちゃくちゃスタイリッシュでロマンチックで超良質な聴き触りを誇るのだ。
 
その声だけで芸術になる声質、そして確かな演奏力と歌唱力というレベルの高すぎるバンド。
簡単なものを難しく見せるんじゃない、芸術性を伴うから魅せられる。
天才的な才能をひけらかすのではなく、優しく柔らかい感触を残せるバランス感覚から聴きやすくもあって、わざとらしさナシの魅せる歌が自然に溢れているのだ。
 
1stよりもう少し夜が更けたような感触。夜に聴きたい。
それでいてメジャーでポップでどの曲も何度聴いても鮮やかにその時に映える普遍な芸術性を伴う。
何年も残る絵画芸術の世界の美しさそんな恒久的な響きを持っている。
陶酔し続けられる洗練されたオールディーズロック。
1st2nd論争も巻き起こるバンドではあるが普遍的なのはコンクだと僕は思うのだ。
 

ソングレビュー

'Always Where I Need To Be'


The Kooks - Always Where I Need to Be

最もアンセムらしい一曲。
優美さとラフさを半々で均衡を美しく保った聞かせるロックチューン。
美しすぎるファルセットと楽しげなギターのリズムに頬が上がる。
美的センスが目立つが、ドゥドゥドゥのコーラスが象徴的な眩しいポップネスこそ最大の煌めきの正体である芸術的なポップ・ロックソング。
 
'See The Sun'


The Kooks - See the Sun

このまま目を閉じて心地よい眠りにつけそうなジャジーなギター、一見幕開けには相応しくない様な独唱から始まるアルバムのオープナー。
選ばれた者しか出来ない歌い出しに歌声の中に閉じ込められる様に聴き入る。
その瞬間、爽やかに滑り出すインディーギターチューン。
オーガニックで優しいサウンド、ギュンギュンの華もキレもあるギター、ハンドクラップよろしくのポジティヴなグルーヴ、全てがバランスよく溶け合った鮮やかなオープナーだ。

 

'Do You Wanna'


The Kooks - Do You Wanna

アルバムのど真ん中でなるキラーチューン。

カクテル光線的なギターリフに目をくらまされつつ、次の瞬間には口ずさんでしまう超絶キラーなメロディー。

ダンサブルで、それだけでない重厚な美しい艶やかさ。

当時イギリスを席巻していた踊れるロック、それを自らのセクシーさと美しさで染め上げた代表的なナンバーだ。

 

'Mr.Maker'


The Kooks - Mr. Maker

こっちもアルバム屈指のポップチューン。

順風満帆のキャッチーなリズムは軽やかなステップを踏めそうなほど躍動感に溢れている。

グッドメロディーを軽快に爽やかに、それでも香るアーティフィカルな音の断片の組み合わせの火花が彼らの記名性になる。

ナイーブな聞き感触かと思えば強靭なギターグルーヴもお見事な一曲。

 

'Stormy Weather'


The Kooks - Stormy weather

重厚なベースリフから始まるロックナンバー。

チュンチュンのギターが花火の様に綺麗でアイコニックに浮かんでは余韻を残す。

軽快さはありつつもワイルドなドライヴ感は作品中唯一無二。

セクシャルなボーカルと暴力性の融和のバランスが完璧で、どこまでもエロい肌触りも彼らならでは。

 

'Sway'


The Kooks - Sway

こちらもシングルカットされてる代表的なロックバラッド。

メロディーをリードするアコギとドラマティックに鳴るエレキギターのサウンドは流麗で、合わさったサウンドの分厚さ、間違いなくガツンとくる獰猛な感触がある。

エモーショナルにうねる音の中で、ドラマティックに崩れ落ちそうでそのギリギリで輝き揺れ続けられる歌声が凄い。

 

'Love It All'


The Kooks - Love it all

超ドリーミーな一曲。

ザクザクのギターゆったりとしたグルーヴ、あまりにも優雅なギターの調べと特にボーカルがいい。
サビのLove It Allのリフレインは耳馴染みが抜群だしシンガーの本領を存分に発揮した強烈なパフォーマンス。
ウォーミングなサウンドの中に身を置き、類稀なる資質のその声を聞けば星空の下にいる様に綺麗な光景が浮かぶのだ。
 

無人島に持っていくイギリスの夜の空気

無人島に持っていくCDシリーズ第13弾はThe Kooksの'Konk'でした。

行ったことはない、けどきっとロンドンの夜はこんな感じなんだろう。

アカデミックで超絶的でもどこかストリートの匂いが馴染みやすい、普遍的なアルバムだった。

 

まだまだ紹介したいアルバムは一杯。

荷物が音楽でいっぱいになってもいいじゃないか。

 

それではまた別の記事で。

誰かに拡散したくなるロックな企画コラム記事5つのまとめ【ロゴ・ジャケ・タイトル】

読んでて誰かに言いたくなる。そんな素敵な暇つぶしの時間に

f:id:idwcufds:20190222232448j:plain

いつもご覧頂いている方、たまたまたどり着いた方もありがとうございます!

ここまでロック好き的に自分の頭の中で思いついたアイディアで文章を書き、少しでも皆様の素敵な暇つぶしになれば幸いと思い記事を作成してきました。

今回はそんな中で企画系の記事をリライトしてまとめました。

どれも軽くバズったり、嬉しい評価を頂いた思い入れあるものばかり。

バンドのロゴ、ジャケ、タイトルなどなどについて自分のiPodとにらめっこして書きました。

是非素敵な暇つぶしになれば幸い。

 

 

1.ロックバンドのロゴ40枚に想いを馳せたコラム 前後編

ロックバンドのロゴは格好いい。

それぞれその字面やデザインにストーリーや音も思い起こさせるものがあって良い。

黒のTシャツにこのロゴさえ入ってりゃ最強のファッションになるのだ。

www.footballsoundtrack.com

www.footballsoundtrack.com

2.面を切りたいアルバムジャケット30枚に想いを馳せる

最早、アート・カルチャー的に1つのジャンルとして確立された感もあるアルバムのジャケット写真。

アルバイトの経験から凄く思い入れもあるジャンル。

めっちゃ映える30枚とその意味も考えるのも音楽ファン冥利に尽きる瞬間だ。

www.footballsoundtrack.com

www.footballsoundtrack.com

3.声に出して言いたいロックアルバムのタイトル20個に想いを馳せる

ロックファンはアルバムのタイトルを略さずに言いたくなるもんだ。

そのくらいビシっとハマったワードがそれぞれあるはず。

アルバムの内容だったりバンドのスタイルともリンクする20選。

www.footballsoundtrack.com

4.ロックバンド名の由来に想いを馳せる

ドラマティックなストーリーがあったり、呆気にとられるほど適当に付けていたりするバンド名。

どれもバンドのサウンドとどこかシンクロしていて、中にはとっても人に言いたくエピソードも満載だった。

www.footballsoundtrack.com

www.footballsoundtrack.com

5.ロックアルバムの1曲目。至高のオープナー25曲に想いを馳せる

ドヤ顔とともに受け継がれたロックアルバムの基礎知識。

1曲目は強烈なキラーチューンが多い。

考えてみれば当たり前だが、そう身構えた上でも上回る衝動を起こさせる強烈な25曲。

www.footballsoundtrack.com

www.footballsoundtrack.com

素敵な暇つぶしになれば幸い

以上5つの企画をリライトしたものをまとめてみました。

まだまだこのテーマで増えていくものがあれば追加するし、他になにか思いついたら新しい企画記事を書いていこうと思っています。

大好きなロックを色んな角度から集めるのは凄く楽しいし、やってる時にも新しい発見があって実に面白いのです。

おつきあい程度に素敵な暇つぶしになって頂ければ幸いです。

 

それではまた別の記事で。

Hi-STANDARDメンバーによるロックカバーソング10【NAMBA69,Ken Yokoyama】

Hi-STANDARD必殺のポップ/ロック・名クラシックスカバー、まとまめたサウンドトラックを作ってみた番外編!難波・横山両名のソロバンドでのカバーソング集!

f:id:idwcufds:20190220001315p:plain

 

f:id:idwcufds:20190220001831p:plain

 

ハイスタが時計が止めている間も、3人はバンド活動を続けてきた。

特に難波と横山はそれぞれフロントマンとしてバンドのプロダクションを1から行うソロプロジェクトを本格化させ、ハイスタ復活以後もアルバムを続けて作りガンガンツアーに回る精力的な活動を続け両者のスプリットCDも発売されるなどファニーな試みも健在。

 

ハイスタの必殺技であった、どこかで聴いたことのある名曲のカバーはこの2人のアルバムでも健在なのだ。
むしろどこかで聴いた事があるのは彼らのおかげかもしれない位の貢献具合。
そんなカバーを並べ見て聴いてると彼らの親しみやすさの肝にたどり着くのだ。
元々のメロディーセンスに原曲の語感の良さも相まり、パンクカバーも決して掟破りでなく、リスペクトが根底から滲む茶目っ気に包まれていて、悪ふざけのノリよりも、もっとピュアな好奇心が滲むキッズ的な発想でスタートするカバーソング
キャッチーなパンクサウンドに生まれ変わらせる職人となった彼らが、蘇らせるというか、どっちも好きになるカバーを数々の名曲の中に散りばめたのだ
 
シンプルなフレーズのリフレインだから僕らも歌いやすい、至高のハイスタカバーソング集の番外編。
難波・横山のソロバンドによるロックカバーソングをちょっとまとめてレビューしてみました!
是非聴きながら読んで頂けると幸いです。
 

本編!ハイスタによるロックカバーソング10はこちら

www.footballsoundtrack.com

ハイスタンダードに想いを馳せる

www.footballsoundtrack.com

 

その他洋楽ロックバンドによるロックカバーソングトラックはこちら!

www.footballsoundtrack.com

 

1.NAMBA69 'Song2'(Blur cover)


NAMBA69「SONG 2」 Official Music Video

ブリットポップを飛び超えオルタナティヴロックとしてUKロックに計り知れない影響を与えたブラーの必殺の超アンセム。

時代を越えても初撃の衝動は内包されたままの名曲は実にパンク的な構造の曲で、クラシックな曲を選ぶことが多いカバーソングの中で意外なチョイスながら何回もリピートするどハマり具合が圧巻。

大胆に高速なテンポでメロディーを刻み、あのリフとウーフーが凝縮されつつ存分に跳ね回り、難波のキャラクターが出るフリーキーなボーカルも良い。

メロコアとブラーのこの邂逅は嬉しいものだし、なんかそんな評論めいた期待すらワクワク的衝動が上回るパンクパワーが詰まった痛烈なカバーだ。

原曲はこちら。


Blur - Song 2

 

2.KEN YOKOYAMA 'Daydream Beliver(The Monkees cover)'


Ken Yokoyama-Daydream Believer

セブンイレブンで死ぬほど繰り返される忌野清志郎らしき人の日本語カバーでも広く知られるモンキーズによるポップロックの金字塔。

何となく腑に落ちるというか、ケンがこの曲をカバーする事になんの違和感もないジャストなカバー。

性急になりすぎる事なくツボを抑えた聴かせるロックサウンドで、陽性な肌触りのままキレ良く振りかざすギターサウンドは爽快で朗らか。

ロック愛パンクメソッドに溢れたケンのポップセンスが光るナイスアンサーで、所々に魅せるパンクシンガーらしいザラつきも流石。

原曲はこちら。


The Monkees - Daydream Believer (Official Music Video)

 

3.NAMBA69 'Take Me Home, Country Roads' (Jhon Denver &本名陽子 cover)

TAKE ME HOME, COUNTRY ROADS

TAKE ME HOME, COUNTRY ROADS

  • 難波章浩-AKIHIRO NAMBA-
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes
教科書にも載る言わずと知れたカントリーの名曲で、ジブリ映画「耳をすませば」で本名陽子が日本語カバーして以降さらに日本人からの愛着は倍増した一曲。
颯爽としたファストなパンクカバーに朗らかで太陽のような難波の声は相性バツグンで、気付けば珍しい日本語歌詞も凄く耳馴染みが良い。
年月が経って真っ直ぐにこの郷愁的な故郷への道との別れを口にする、その寂しさみたいなものが’行かなければいけない時があるんだ、もう戻らない’と言ったGrowing Upとのリンクで余計重く感傷的に響く。
どこか沖縄的なサウンドも難波らしい、彼のスペシャルさが花開いた名カバーになっている。
原曲はこちら。


Whisper of the Heart - Mimi wo Sumaseba - Country Roads - Yoko Honna - Japanese

4.KEN YOKOYAMA 'Can't Take My Eyes Of You' (Frankie Valli cover)


Ken Yokoyama - Can't take my eyes off you

邦題’君の瞳に恋してる’は数々のカバーで彩りを与えられた歴史上屈指のポピュラーソング。
メロコアビート&パンクギターの炸裂度とキャッチーさで史上最も美しいメロディーをダイナミックに蘇らせた。
誰もが歌えるこの歌を、誰よりもカッコよく歌いてぇ。
そんな矜持溢れるサウンドプロダクションは身震いするほど格好いい。
あのリフをパンキッシュなギターで刻む背徳感にも通ずる劇的な高揚感は彼らのカバーの中でも屈指。
原曲はこちら。
 

 

5.KEN YOKOYAMA 'Soulmate' (No Use For A Name cover)


Tony Sly tribute by Ken Yokoyama「Soulmate/No Use For A Name」8/28/2012

ハイスタを横山健を好きな人に、ノーユースフォーアネームが好きじゃない人は絶対に存在しない。というかパンクミュージックを少しでも愛する人ならノーユースを好きにならずにいられない。そんな伝説的なストリートパンクバンド。

2012年に亡くなったボーカル盟友トニー・スライに捧げた絆のカバー。

曲の解釈は変えず、ストレートにカバー。

涙が止まらなくなる心が締め付けられる様な芸術的なメロディーへのリスペクト、なんて良い曲を書くんだって演奏してる本人が演りながら感じてるのがわかる。

トニーはデカく眩しい存在過ぎる、それでも横山健がまっすぐにカバーしてくれたからきっとこの歌はもっと心に刻まれたはずだ。

原曲はこちら。


No Use For a Name - Soulmate (Official Video)

 

www.footballsoundtrack.com

6.NAMBA AKIHIRO 'One More Time'(Daftpunk)

ONE MORE TIME

ONE MORE TIME

  • 難波章浩-AKIHIRO NAMBA-
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

世界の音楽シーンがどう変わろうとオルタナティヴに切り離された異端のエレクトロパンクデュオ、ダフトパンクの大名曲のカバー。

もともと横山よりはポストパンク寄りの音楽も趣向気味の難波らしいレンジの広さを感じられるトリッキーな爆音カバーだ。

荒れ狂ったようなパンクサウンドの中にプリズムの様な煌めきのディスコティックな瞬間があるし、飾る必要もない太陽の声で曲を照らすボーカルは鮮やかだ。

原曲はこちら。


Daft Punk - One More Time [HQ]

 

7.KEN YOKOYAMA 'Pressure Drop' (Toots & The Maytals cover)

Pressure Drop

Pressure Drop

  • Ken Yokoyama
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

クラッシュもカバーし歴史に残るロックソング500とかに常連的に顔を出す60年代から語り継がれる名曲。

肩くんだ輪ができそうなスカパンクカバー。

伸びやかなモードのケンの歌声は眩しく無邪気で、多幸感に満ちたシンガロングはちょっと子供っぽいくらいシンプルだからこそ誰も彼も楽しい。

カバーで思いっきり楽しさに振り切ってくるし、そもそもロック音楽的な楽しい衝動みたいなものが前面に出てくる。

原曲はこちら。

 


Toots & The Maytals - Pressure Drop

 

www.footballsoundtrack.com

8.KEN YOKOYAMA 'If You Love Me (Really Love Me)' (Edith Piaf cover)


Ken Yokoyama-If You Love Me (Really Love Me)

フランスのシャンソン界の英雄エディット・ピアフの稀代の名曲’愛の賛歌’。

スタイルを変えてこの歌も時代を癒やし続けてきた。

愛と慈しみに溢れたメロディーを丁寧に大胆にパンクギターでカバー。

エモーショナルなギターサウンドが凛として清涼感ともなう爆風なのは原曲とのケミストリーの醍醐味的な部分だ。

エッジ立った声と音も、それ以上にエモーショナルでソウルフルなメロディーで包まれる感動的なカバー。

原曲はこちら。


愛の讃歌 エディット・ピアフ

 

9.NAMBA69 'Baby I Love Your Way' (Peter Frampton cover)


難波章浩-AKIHIRO NAMBA- / BABY, I LOVE YOUR WAY

元々はピーター・フランプトンの曲でビッグ・マウンテンを筆頭に数々のカバーで後世に継がれていった名曲。

空高く舞う号砲的なギターで幕開けるアグレッシブなカバー。

スカビート、メロコアビートを行き来し、緩急と変調で加速度的にうねるビートが心地いい。

ヴァイヴするギターサウンドのエッジの立ち方と響きのレンジの広さ、絶景的な完成度の祝福の歌になっている。

原曲はこちら。


Peter Frampton- Baby I Love Your Way

 

 10.KEN YOKOYAMA 'Somewhere Over The Rainbow' (Harold Arlen cover)

Somewhere Over The Rainbow

Somewhere Over The Rainbow

  • Ken Yokoyama
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

いつ見ても何か忘れかけていた物を思い出させてくれる名作ミュージカル映画’オズの魔法使い’。その挿入歌であるこの曲は映画の象徴であり映画音楽というジャンルのきっかけにもなった超名曲だ。

暖かいギターのみのインストのカバーで目を閉じて聴きたくなる味わい深さ。

ギタリスト横山健の莫大な経験値が、柔らかく紐解いて行かれてく様な音像は甘美なものですらある。

ぐっと噛み締めたくなる、パンクアルバムのエアーポケット的な瞬間に、この穏やかさはニクい。

原曲はこちら。


Somewhere Over the Rainbow - The Wizard of Oz (1/8) Movie CLIP (1939) HD

 

ロックへの憧憬

以上いかがでしたでしょうか?

ハイスタが時間を止めている時、その時も彼らがロックミュージシャンで有り続けた理由の1つに、ロックへの憧憬が原風景にあるからなのかもしれない。

色んなしがらみとか一回置いて、音楽を始めた時のようにナチュラルに音を鳴らせるのはこういうカバーなのだ。

 

それではまた別の記事で。