Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【無人島に持っていく一枚シリーズ7】The Raconteurs 'Consolers Of The Lonely'【ディスクレビュー】

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無人島に持っていくならどのアルバム? 2019.04 リライト

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無人島に持っていくCDアルバムシリーズ7
新譜のレビューはやっていたけど、それ以外にも心に刺さったアルバムは山ほどあるのだ。
音楽友達と良く酒飲みながら話すネタ、無人島に持っていくならどのアルバムを持っていく?という話題。おもしろかったので記事にしました。のその7
 
今回は2000年代オルタナティヴ・ロック界最大最強で唯一無二のスーパーバンドThe Raconteursの2ndアルバム'Consolers Of The Lonely'をご紹介します。
何気ないミュージシャン同士の横の繋がりというモノは何ともロマンに溢れるもので、しばしばこういう絶妙な天才同士のコラボレーションが途方もないレベルのクオリティーで実現する事がある。
White Stripesジャック・ホワイト、シンガー/ソングライターのブレンダン・ベンソンという強力無比なオルタナティヴツインギター&ボーカルに、Greenhornsジャック・ローレンスパトリック・キーラーのブルージーなリズム隊。
お互いの引力に惹かれ普通じゃない奴らの音が弾けて混ぜ合わさったオルタナ&ガレージなロックは、難解さゼロのシンプルながら突き抜けた決定的な衝撃があって実に明快なオルタナティヴロックの完成形だと確信できた。
究極的であり実に合理的で、それはつまりごまかしのない凄さ。
本日はこの一枚をレビューします。
 

White Stripesについての記事はコチラ!

www.footballsoundtrack.com

ブレンダン・ベンソンについてはコチラ!

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ここまでの無人島シリーズ

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The Raconteurs 'Consolers Of The Lonely'

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Consolers of the Lonely

Consolers of the Lonely

  • The Raconteurs
  • オルタナティブ
  • ¥2200

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コンソーラーズ・オブ・ザ・ロンリー

コンソーラーズ・オブ・ザ・ロンリー

 

 

オルタナティヴでガレージなロックの達人同士が組んでラカンターズが生まれたのは2005年の事だった。

The Raconteursは直訳すれば話し上手な人という意味らしい。

1998年頃には全員知り合いで、お互いのバンドの活動が落ち着いたとこで'バンド組もっか'と同窓会的なノリで組まれた、知る人ぞ知る界隈では震えがるようなケミストリーを、間違いなく発揮しそうな最適で最強の組み合わせの4人だった。

 


The Raconteurs Salute Your Salution - Later with Jools Holland Live HD

 

ガレージロック旋風のど真ん中で世界を揺らしたバンド、ホワイト・ストライプスの

ボーカル/ギター、ジャック・ホワイト

美しいメロディーセンスとキレの穏やかな歌声で特別な存在のシンガーソングライターとして活動する、ブレンダン・ベンソン

リズム隊のモダン・ブルースロック・バンドGreenhornsのジャック・ローレンスパトリック・キーラーもきっての実力者だ。

 

フロントマンの2人、ジャックとブレンダンのツインボーカルの掛け合いがバンドサウンドの中心に据えられていて、どちらも並みのボーカリストからは遠く離れた位置にいる天性の自然驚異的な歌のインパクトがエゲツない。
ジャック・ホワイトの狂気的ながら高音でアイコニックな声、ブレンダンの吟遊詩人の口笛の様な自然で澄んだ声。
リードギターとリズムギターの関係そのままに、時にはお互いの声をぶつけ合う様にシャウトし、時には溶け合うようなハーモニーを奏でる。
そのボーカルが乗る、ラフなガレージ・ブルースロックサウンド。
無駄ゼロのシンプルで即効性のあるメロディーに、甘美でスモーキーなノイズ絡んだサウンドは、受け継がれてきたルーツを正しく継承し、今の時代に最上の形で鳴らしたハイパーオルタナティブロックとなった。
それは今聴いて今鳴っても、ロック不況だなんだを吹き飛ばすほどの影響力を恒久的に閉じ込められている、そんなパンドラの箱的アルバムが彼らのセカンド 'Consolers Of The Lonely'であるのだ。

 


Consolers Of The Lonely - The Raconteurs (Live From The Basement)

 

2006年には1stアルバムを発表し、ボブ・ディランとツアーを回るというスーパーバンドらしい圧倒的なスタートを切ったわけだが、その1stのツアーの時点でこの2枚目のアルバムの構想はあったようだ。

そもそもラカンターズがオルタナティヴ界隈の達人同士で組まれた背景は、スーパーバンドらしくその場のフィーリングというか即興的に結成した経緯があり、一旦各々の活動の足を止めたニュートラルな状態のフリーなテンションで音を作れる利点はあったはずだ。

客前の演奏であっても、言うなればそのインスタントなジャム感は常にあったんだと思うのだ。
それが彼らの礎であり、ひいてはロックの原初的なイマジネーションの引き出し方にも通ずる。
即興的で圧倒的なポテンシャルを閉じ込めたというかぶち込んだ音塊。
ベースのメロディーは口ずさめる程シンプルなのに、ある種の畏怖すら感じる音圧は常軌を逸した天才の所業による本物感が常に漂う強い音なのだ。
マニアックで奇抜にも感じるフリーキーなサウンドの色付けも、それが王道になり得るのがロックであり華々しい程に美しい。

 

スペシャルなメンバーによるバンドのナチュラルに天才な雰囲気、1stの衝動を噛み締めた上で湧き上がる音像を捉えたその2枚目。すなわち完成形なのだ。

このケース、このメンバーでしか実現し得ない稀有でオーセンティックな一品。
事実それ以降アルバムはないのも、痛烈なほどにこのアルバムでラカンターズとガレージロック自体を表現しきった事に起因するのかもしれない。
 

ソングレビュー

何曲か抜粋してソングレビュー。

硬軟織り交ぜ、深みもコクも、穏やかさも狂気も感じる、エゲツないキラートラックばかり。

どこかには必ず引っかかるはず。是非聞きながら読んで頂けると幸いです。

'Consolers Of The Lonely'


The Raconteurs - Consoler Of The Lonely

怪しげな風貌のサーカス的なジャケ写の世界観が眼に浮かぶオープニングトラック。
こんなに信じられない程にカッコよくギターを鳴らせるのか。
美学も攻撃性も情熱も凝縮した様な恐ろしく歪んで美しい、冒頭の10秒で心を抑えがたく震わせるリフは今後何百年も語り継がれるべきだ。
バンドサウンドと合流し小気味良いグルーヴを得て華々しく広がるロックの世界に、どこか常に感じる余裕・余韻は彼らならではのナチュラルな魅力。
ブレンダンの遥か遠方まで突き刺す様な澄んだ声、ジャックの狂気的で崩壊的で美しいハイトーンのボーカル、ロックの毒気と華々しさを彼らのアイデンティティーを爆発させて、未来的ではなく一種のロック完成形を作り上げた。
 
'Salute Your Solution'


The Raconteurs - Salute Your Solution (Official Video)

一転爽やかで突き抜ける様なギターリフの疾走ロックチューン。
歪みながら開放感あふれるギターサウンドの軽やかさに、ヘヴィーなベースに加速的なシャープなドラミングが絶妙に絡みバンド一体でカチッとハマった疾走感がある。
トリッキーなボーカルの掛け合いも圧巻だし、曲全体で見せ場は多く、全ての音が襲いかかってくるスリリングさは抗い難い高揚感を呼ぶ。
それに相応しい音圧と、その相乗的まとまりそして骨太な演奏力がそうさせるのだ。
駆け抜ける様に鮮やか、多彩さで攻めつつ、耳を掴んで離さない。
高揚感に満ちてカラフルなのに、作りはものすごくズシッと重厚の痛快な爆走。
エピックなリフに乗りやすいビートという根源的な快感も原初的で良い。
 
'You Don't Understand Me'


The Raconteurs - You Don't Understand Me (Live at Montreux 2008)

アシッドでしっとりとした最も美しいミドルチューン。
物悲しくも凛としたアシッドでジャジーなジャックのピアノが艷やかに緩やかな時間を創る。
マイナーなエモーショナルを閉じ込めた重くしなやかなグルーヴにパーフェクトに響くブレンダンのボーカルのお手の物感も流石だ。
濃密なセンチメントにナイーブな個性を散りばめて、けばけばとささくれ立った心を撫でていくような穏やかな一曲。
 
'Old Enough'


The Raconteurs Old enough

カントリーでサイケでポップなナンバー。
シンフォニックな音・キーボードの音の祝祭感ある明るいメロディーが青空に響くように広がる。
ビートルズ的なサウンドデザインに華麗に乗りこなすボーカル、その為のリズム隊の頼りになる存在感も耳触りがいい。
やはりあるギターの見せ場はブライトで眩しくキレが凄い。
 
'Top Yourself'

www.youtube.com

これぞなオーセンティックな香りのするナンバー。

アコースティックな旋律とヴィンテージな香りを漂わせるリズム。

それが徐々にグルーヴに纏われていく力強い和音のナチュラルな質感は、絶品の抱擁感を曲全体から醸すのだ。

怪しさも残すが、それも内包する様な綾のある声が映えるし、時折アコースティック一本になるスポットライトが当たる様な優しい風心地は素晴らしく良い。

 

'Many Shades Of Black'


The Raconteurs Many shades of black

ビッグなサウンドのクラシック・ロックチューン。

歪んだギターリフがうねりつつ、オーケストラ的なデコレーションが実にドラマチックに展開していく。
緩やかなジャジーなリズムではボーカルもぽつりぽつりと艶っぽい。
広大な空間で鳴る様なデカめの抱擁感と、パーソナルな優しい旋律で、緩急使い分け柔軟に響くのだ。
 
'Five On The Five'


The Raconteurs Five on the five

奇怪な高音から切れ味鋭い鋭角なギターリフで始まるハードなロックチューン。

グランジにも通ずる重く鈍く光る音の疾走、セクシャルにジャックのボーカルが泳ぐ。

どの曲とも違うスリルある高揚感を産むのも、奇抜でトリッキーな音に負けないほどにロック的なグルーヴが凶暴・強靭な強度を誇っているからで、このバランスを実現できる彼ららしい傑作。

 

'Rich Kid Blues'


The Raconteurs Rich kid blues

ブルース・ロックチューン。
ブレンダンのボーカルに始まる揺らめくようなメロディー。
徐々に火がつく様に脈打つビートで花開いたサウンドが入り乱れ、フリーキーでも調和の取れるサイケでカラフルな音空間。
歌うようなギターソロのメロディーが根源となり、終盤に顕在化するのも面白い。
そもそものメロディーの良さがあって、そこから画期性をもったバンドサウンドの妙を出す必殺の型なのかもしれない。
 

無人島に持っていく偉大なロックアルバム

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無人島に持っていくアルバムシリーズ第7弾はThe Raconteurs 'Consolers Of The Lonely'でした。

僕が生きるこの時代にこのアルバムがあって良かったが、仮に100年後にこのアルバムと出会っててもヘヴィに聞いてただろう金字塔だ。

まだまだ紹介したいアルバムは一杯。

荷物が音楽でいっぱいになってもいいじゃないか。

 

それではまた別の記事で。