Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【今最もサッカーに合うRock】"Seven Nation Army"は永遠のサッカーアンセムになりつつある【The White Stripes】

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The White Stripesの名曲"Seven Nation Army"は今、永遠のサッカーアンセムになりつつある、というコラム

自分の好きなRock音楽と、自分の好きなフットボールを突き詰め橋渡したいこのブログFootball soundtrack

サッカーに合うオルタナティヴロックを探し想いを馳せているのである。

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ある程度の定義の中で、サッカーの為に作られてはいないが、実際にスタジアムで聴いたり、聴きながら蹴るのに最適なRock音楽を探し集めているのだ。

その原風景的な一曲がある。

The White Stripes"Seven Nation Army"である。


The White Stripes - 'Seven Nation Army'

ロックの毒気と華々しさを混ぜ合わせながら、無機質で孤高にアーティスティックに鳴らした猛烈なキレを放つロック史上にも残るギターリフ。

近年のヨーロッパサッカーのリーグ戦や代表戦に至るまで、ゴールが決まるとスタジアムはこの曲のギターリフを合唱する流れがあるのだ。

今ヨーロッパ中のサッカースタジアムで今この曲が鳴らされていると言っていい。

サッカーで火が点いて広まった、という曲では決して無い。

そもそもThe White Stripesは2000年代のオルタナロック界で最重要のバンドであり、その後10年のモダンロックの在り方を決定づける大きなうねりを巻き起こした、ロック史のマイルストーン的存在でもある。

どメジャーな評価を受けつつも、アート性を失わないスタイルを貫き続け、ダークなカオス性を持ちながら孤高の美意識を高め続けるというモダンロックの象徴として有り続けた。

2003年のこの曲が、10年ほど前からメジャーの数々のスタジアムで歌われるようになって、今やスペシャルな曲となり、その定着感はもう未来永劫この曲がフットボールスタジアムで流れるのではないか、という予感すらある。

その位、フットボールとの相性は抜群の至高のフットボールサウンドトラックなのだ。

今回はThe White Stripesの"Seven Nation Army"に想いを馳せる。

 

 

フットボールに合う音楽は、ファンとプレーヤーから自然に選ばれた

フットボール合うという音楽を定義する時、フットボールという紳士性を助長する様な広義のスタイリッシュさと、空間に音の乗せられるドライブ感覚と躍動感、そして口ずさめてしまう様な親しみやすさ・キャッチーさ、そして少しの毒が必要になると思う。

そう考えた時に"Seven Nation Army"は今挙げた項目に一片のスキもなく当てはまるし、何より強烈な感性を誇りに持ち美しさを尊重するフットボールに間違いなく合うのだ。

しかもそれが極めてナチュラルな形で広まったというストーリーが、更にその価値を上げている。

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2003年リリースのこの曲は、その特異性と鮮烈さで瞬く間にチャートを駆け上がりグラミー賞を取るまでのキラーチューンとして、世界に響くことになった。

自然と口ずさめるちょっとダークで格好いいキレのあるメロディー。

それとサッカーの結びつきはの始まりは、どこかのバーでサッカー見ていたファンが口ずさんで、そこから大合唱になったという逸話で、それもまた滅茶苦茶格好いいじゃないか。

OasisDon't Back In Angerが人々を癒やす聖歌として歌われた様に、ロックの音楽の力の具現化を感じる瞬間があるのだと感じさせるストーリーは、僕ら音楽ファンにとっても実に美しいものだ。

 

この世の全てのムーブメントは酒の席から始まり、次第にその波は波及してバーからバーへ、バーから街へ、そしてスタジアムへと広がっていく。

当時世界最高クラスのFWとして君臨していたオランダ人FWロビン・ファン・ペルシーのチャントにも使われ、サッカーファンの間でも一般化していく。

2006年のW杯を制したイタリア代表がトロフィーを掲げる瞬間にセブンネーションを歌い、歴史の瞬間としても刻まれる曲となった。

その後のローリングストーンズのミラノ公演でもデルピエロとマテラッツィが飛び入りして歌ったというエピソードもある。サッカーがどの瞬間にも根付いているイタリアらしいエピソードだ。

サッカー協会としてもこのムーブメントは無視できず、2008年のEURO2008では公式の入場曲として採用された。続く2012年・2016年のEUROでもゴール後のアンセムとして使用され、すっかりと定着したアンセムを公にしたのである。

2016年のフランスで開催されたEURO2016のオープニングセレモニーを見ていてもDJがセブンネーションを流した瞬間の盛り上がりは凄かったし、同時に馴染みのアンセムとしての親しみの含まれた”待ってました”感みたいなものもあり、この曲の現在地を大いに感じる瞬間だったのを記憶している。

勢い良くサッカーファンを呑み込み10年以上も親しまれ続けているアンセムの波及は、それ自体のロックのパワーを存分に感じさせつつ、粋なストーリーにも彩られ、普遍的にサッカー界に根付いた一曲になったのだ。

 

The White Stripesの名曲ということ その特異なアンセム


The White Stripes - 'Blue Orchid'

 

ストゥージズデスといった神格化されるパンクバンドやR&Bが根付いたロックで人気を博したMC5・ショックロックと言われた奇才アリス・クーパーなど様々なバンドを生み出したエキセントリックなロックの街、デトロイトで結成されたThe White Stripes

ボーカル・ギターのジャック・ホワイトと、ドラムのメグ・ホワイトの2人によるベースレスのロックバンドだ。

公には彼らは兄弟だと発表されていたが、後に婚姻関係があり離婚していた元夫婦ということが判明するとうエピソードも有名である。

1997年に結成し、1998年にはインディーズでアルバムを発表する。

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赤と白と黒の3色でバンド自体をコーディネートし、ライブのセットリストも用意せずステージ上で合わせる様に即興で決め、アナログな音作りを中心に、独特な世界観の芸術性と創造性に美学を持つ

音楽豊穣な土地デトロイトのルーツでもある、ブルースの艶やかさとカントリーの色合いを混ぜたような、そしてハードロックのエモーショナルを備えたスタイルを、ギターとドラムだけで考えらないほど強力に鳴らす。

その先頭を切って狂い咲くようなジャックのボーカルが加速度的に狂騒さを増して、身震いさせる様な衝動を起こすロックンロールをある種の畏怖とともに近代的なソリッドさで鳴らし、モダンロックにおける”ロックンロール・リバイバル”と呼ばれた大ムーブメントの中心となった。

2003年の4thアルバム”エレファント”は歴史に残るアルバムという賞賛を受け、シングルカットされた"Seven Nation Army"も史上に残る特異性と芸術性を持ったロックソングとしての世界に響いたのだ。


The White Stripes - Seven Nation Army (Live)

 

ぽつりぽつりと、しかし凛と、ベースレスとは思えないくらい重く底から響くリフ。これはエレアコギターでベースを使わずジャックが弾いているらしい。

無機質で粗暴さと正確さを兼ねたビートにジャックの声が重なり、暗闇がこっちを見ている様なダークで危うい重力に引き込まれる。

ナイーブで底知れない美しさを感じるボーカルが抑揚の山を超えた瞬間に、あのギターリフが電撃的に襲いかかる。

祝福でもアポカリプスでもない、ただただロックなエネルギーを開放する様な巨大な音像は、どんな多様性よりも美しいミニマルの極みを、極限までわかりやすく響かせて見せたのだ。

 

"Seven Nation Army"というのはThe Salvation Armyという日本で言う救世軍という言葉を子供の頃のジャック・ホワイトが勘違いして覚えていた言葉らしい。

詩の内容は自分たちに纏わるゴシップやバンドが大きくなる事についての変化がテーマになっていて、激情的なエモーションに彼らの胸の内が秘められていると思っていいだろう。

無理やり直訳すれば七カ国軍というタイトルになってしまった事も、何か言葉以上の物語を感じさせるような妙な創作性を持つのも、また面白い。

 

"Seven Nation Army"は彼らの代表曲となり、すぐさまチャートを席巻する。

アメリカ・イギリスの両ロック大国で上位を獲得。

更にはヨーロッパ各国でも続々とチャートに入り、イギリスでは10年近くたった2012年にも再びチャートインするなど、大きな反響を呼んだ。

もちろん、その波及の流れにフットボールとの結びつきが有ったことは、想像に容易いのだ。

 

究極のモダンフットボールサウンドトラック

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どこまでもシンプルな作りでも、拘り抜いた美しい衝動的なロック。

だからこそ美しいし、古く新しくも刹那的ではなく、ある意味時の流れから逸脱した悠久の影響力を手にしたのかもしれない。

背筋が凍る様で、それを自らあっという間に溶かす芸術的な炎は、時を越えた煌めきがあるのだ。

彼らは2011年に解散を発表し、その理由を”今まで築き上げてきた自分たちの音楽・アートを最高の形で残したい為”とした。

これを読んだ時、まさに、であると思った。

どこかのバーから始まった酔っぱらいの鼻歌にも、人を震わせ高揚させるエネルギーがあった。

そもそもに誰もが簡単に口ずさめてしまうキャッチーさがある事で、人々が紡いでいくからこそ成り立つ物語的な芸術性を実現した、と言い換えても良いかもしれない。

きっと今この曲は未来永劫残るアンセムとなっている途中の様を僕は目撃してるんだろう。

間違いなく言えるのは、今世界最強のモダンフットボールサウンドトラックは、The White StripesのSeven Nation Armyなのだと言うことだ。

 

それではまた別の記事で。

 

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