Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【Hi-STANDARDの20曲】1987年生まれによるハイスタ回顧録2【恋に落ちずにはいられない重要な20の名曲】

今聴かずにいられない時代に残って来た重要なハイスタ20の名曲

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  • 今聴かずにいられない時代に残って来た重要なハイスタ20の名曲
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    • 1."Stay Gold"-1999年
    • 2."Can't Help Falling In Love"-2000年
    • 3."New Life"-1995年
    • 4."Dear My Friend"-1999年−
    • 5."Glory"-1999年−
    • 6.'My First Kiss'-2000年-
    • 7."Maximum Overdrive"-1995年-
    • 8.’Growing Up’-1995年-
    • 9.’My Heart Feels So Free’-1997年-
    • 10.'Brand New Sunset’-1999年-
    • 11.'Please Please Please’-1999年-
    • 12.’Fighting Fists, Angry Soul’ -1997年-
    • 13.’My Sweet Dog’-1997年-
    • 14.'Another Starting Line'-2016年-
    • 15.'Summer  Of Love'-1995年-
    • 16.’Endless Trip’-1997年-
    • 17. ’California Dreamin'’-1995年-
    • 18. 'Teenagers Are All Assholes'-1999年-
    • 19.’Have You Ever Seen The Rain’-1997年-
    • 20.'Mosh Under The Rainbow’-1999年-
    • 永遠のパンクアイコン ハイスタンダード

1."Stay Gold"-1999年


Hi-STANDARD - Stay Gold [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

彼らの中で最も愛されて、その名の通り最も輝き続けながらにして不朽の記念碑的な位置にもつける名曲中の名曲。
日本のロック史に残るとかよりも、おそらく一人一人のファンが人生最後の瞬間まで心のすぐ取り出せる所に置いておくだろう、って事が凄い一曲。
明快かつ攻撃的なギターリフと完全無欠のパンクメロディー、そしてその眩しさにギリギリ耐えられる2分のショートな躍動。
メロディックなパンクの3コードを抑えた最高峰のアンセムとしてのまとまり。
発表当時は別れの歌にも聞こえたのかもしれないメッセージ。
時代を超えてジャンルを超えた稀少な名曲は、僕らの心にも一握りの誇りを宿し、それを胸に生きてきたファンも多いはずなのだ。
僕も他にないくらい圧倒的なペースで聞いていて、色んなバンドが演奏して、色んな所で耳にして、2011年復活のエアジャムの一曲目がこの曲で、僕の中でも完全にハイスタは生で動き出した。
 

2."Can't Help Falling In Love"-2000年

CAN'T HELP FALLING IN LOVE

CAN'T HELP FALLING IN LOVE

  • HI-STANDARD
  • オルタナティブ
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

物怖じしないクラシックチューンのパンクカバーは彼らの代名詞。

僕らでも口ずさめる歌詞、この間ある場所で割りと大きめに流してたら近くにいた外国人の子供5.6人が一緒に歌ってくれた。

ロックへの愛とパンクでの挑戦心に満ちてハッピーな音に仕上げる。

壮大なストリングスとギターの重なりを美しく感じている間も、怒涛のようなパンクハーモニクスを待ってしまう抜群のハイスタ感。
シンプルな歌詞のメッセージがハイスタサウンドと、そのイメージと見事に合致。
そうだ僕らもロックにハイスタに恋に落ちずにはいられなかった。
最強の武器を手にした様な名カバーだ。
 

3."New Life"-1995年


Hi-STANDARD - New Life [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

名盤Glowing Upのリードナンバー。愛しき平成感のあるPVはいまやちょっとレトロ。

野心と言うよりも前を向き続けたDIYの果てに、全力で走って来て訪れた新しい時代、そこに常に隣り合っていて存在していた楽しさのポジティビティが滲み溢れているトラック。

ビビットな縦ノリのベースリフとドラム始まり、シャープに鳴るギターが合流するファニーでラウドで陽気さが突き抜けたサウンドの記名性は彼らの楽曲の中でも随一。

相変わらず眩しい太陽の様な難波の声と、健のキレのあるパンクコーラスの掛け合いは、イヤホン越しで街中だろうが口ずさんでしまう、とてもインスタントで最高の瞬間。

新しい生活にはこういう心持ちが何よりも大切だと、スケーボーのスタートを切る様な爽快な瞬間を詰め込んだ、楽しさの中枢を着く屈指の名曲。

 

4."Dear My Friend"-1999年−

DEAR MY FRIEND

DEAR MY FRIEND

  • HI-STANDARD
  • オルタナティブ
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

ハイスタがシーンに戻ってきた今こそ、一際キャッチーに響くキラートラック。

メイキングザロードのジャケはこの曲をイメージしたんではないだろうか、という雨上がりの爽快感。

潤ったグッドメロディーで極上のポップネスを展開し、大胆な程にキャッチー。

キラキラしたメロディーは虹の様に輝いていて、それでいてハイスタらしいパンキッシュなフレーズが雨上がりギラついた陽光の様で、何度聴いてもポップとパンクを同じ温度で感じさせてくれる音作りはイントロの時点で絶対の確信を持てる信頼感へと変わる。

クリアでピュアなハイファイな音も活きる作りなのも、今尚響きやすい理由かもしれない。

絆とか、時を経た重みが詰まって、なお一層輝く、彼らの中でのロックソングのポップ的な一面を一手に引き受ける最強のメロディー。

 

5."Glory"-1999年−

GLORY

GLORY

  • HI-STANDARD
  • オルタナティブ
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes
When You're driving for your treasure,You have found the glory.
僕はこの歌詞を何年か前に座右の銘にした。
リズムも語感もメッセージも完璧、ストンと胸にオチた抜群の完成度の高い、ハイスタの中でも最もビッグなフレーズだった。
流星の様な弾丸サウンドのショートトラックで、清々しいほど決まるパンクフレーズ満載のビッグトラックでもある。
ピュアで全力に走るメロコアの感触も、どこまでも蒼くてシンプルに立ち返るべき原点的なメッセージを思い出させる大切な一曲で、ピリピリとしたストイック過ぎる挑戦心ではなく心の底の衝動を前向きなベクトルで解き放てる彼ららしい挑戦心の象徴的なナンバー。
きっと簡単なことではない、それでも困った見上げるガイドになるのは彼らのパンクロックという事が嬉しい。
 

6.'My First Kiss'-2000年-

MY FIRST KISS

MY FIRST KISS

  • HI-STANDARD
  • オルタナティブ
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

キテレツ大百科を再放送で見ていた世代としては、とてつもなくキャッチーで胸を締め付ける甘さだったこのカバー。

当時はまさかだったキテレツ大百科「はじめてのチュウ」のパンク&英詞カバートラックが休止前最後の楽曲になった。

世代的若い人は、元の曲すらわからん人もいるかもしれないけど、それでも心を掴まれるだろうというキャッチーさ。
元々キュートでスウィートな曲を、茶目っ気たっぷりにパンクサウンドのラブソングに変えられる。
ファニーでカッコ良く不偏的なキャッチーさをパンクサウンドで昇華させた画期的なアイディアと、抜群のメロディーアレンジで、してやったりの勝利感。
こういう痛快な感じも彼ららしいのだ。
 

7."Maximum Overdrive"-1995年-


Hi-STANDARD - Maximum Overdrive [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

剥き出しのメロコアのイントロアンセム。

速くて音デカくて短い。コードブロークンで3段飛ばしくらいでテンションの駆け上がる飛躍的なほどの高揚感。

本当に一瞬でハイスタを感じたければ間違いなく、この曲を奨めるだろうきっと。

3ピースパンクの極致の瞬間着火的爆発力。
それぞれの音が縦横無尽に自由に跳ねつつも、塊になってうねる爆音はハイスタの呼び水にもなるアグレッシブ&コミカルで、ど派手なパンクアンセムである。
意外とライブ中盤に演奏されて、スイッチを入れなおす事が多いのも、彼ら自身でも抜群の信頼を置いている証だ。
 

8.’Growing Up’-1995年-


Hi-STANDARD - Growing Up [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

ハイスタの中でもマイルストーン的に超重要な一曲。

2分と少しに凝縮された大切なメロディーと大事な言葉の応酬。

セリフじみたメッセージから笑顔必須のサビのパンクメロディー、ケンのハイトーンのコーラスと共に胸の締め付けられる瞬間から、何度でも繰り返したい’Its Growing Up’のポジティブでセンシティブな響き。

短編映画のロードムービーのように僕の記憶すら呼び起こし、あっという間にその感情を飲み込んで弾けさせてくれる、そのメロディーもビートも、間違いなく自分たちにとって最高の正解だと手放しで思える、一体感を持ったキャッチーさ。

それこそ僕らとハイスタの出発点でもある大事な一曲なのだ。

 

9.’My Heart Feels So Free’-1997年-

My Heart Feels So Free

My Heart Feels So Free

  • HI-STANDARD
  • オルタナティブ
  • ¥200
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自由な風の疾走感、ハイスタらしさを抽出したアングリーフィストからの名曲。

限りなく透明なブルーのクリアな音から気合い一発でパンクに舵を切るその瞬間の尊さ。
クリアなベースと歪んだギターと疾風のドラミングの三種の絡み合いはバンドの根底にある強みだ。
衝動的なロックでありながら、投影しやすい自由をテーマに、あまりにシンプルなメッセージも人気を呼ぶキラーチューンでもある。
 

10.'Brand New Sunset’-1999年-


Hi-STANDARD - BRAND NEW SUNSET

泣かずに待ってた甲斐があった。

解散前最後のアルバム、メイキングザロードのラストナンバー。

大きい包容感の、でっかい夕日の様なメロディーに染められる、ノスタルジックな想い、それでも泣くな強くいろって力強く暖かくメッセージを心に残す。

まるでルビーの様に、優しく強く輝く、とてつもなく懐の深い名曲。

 

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【待てないからサマソニを振り返る】SUMMER SONIC2019に向けて直近のサマソニレポートを振り返るまとめ【2016‐2018】

SUMMER SONIC 2019 出演アーティスト続々決定!過去3年分のサマソニを振り返るまとめ記事

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Red Hot Chili PeppersB'zThe Chain Smokersのヘッドライナー3組の発表を皮切りに、RancidThe 1975Two Door Cinema ClubThe StrutsBring Me The HorizonZebraheadThe Interpretersなどの楽しみな洋楽ロック勢。

更にはラッドにアレクサンドロスにベビメタ、マンウィズのチケットの売上的に強力な援護をしそうな邦楽勢も明らかになり、20週年の3DAYSの全景が何となく見えてきたSUMMER SONIC2019

個人的にはレッチリの日に行くのがほぼ決まっているが、ここからのライナップ発表にも注目してる所である。

またアツい太陽とロックの季節が来るのだ。

まだまだ先は長いが、きっと待てない。

そこで直近3回のサマソニの想い出を振り返るまとめを作ってみました。

未だに昨日の様に思い出せるアツく刺さった光景を思い浮かべ、今年の夏の期待を膨らませて待とうと思いました。

行った方行ってない方どちらも素敵な暇つぶしになって頂ければ幸いです。

 

 

SUMMER SONIC 2018

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どストレートなギターロックが清々しい若手ブリティッシュロックバンド・The Sherlocksから始まり現代のシンディーローパー・Pale Wavesに度肝を抜かれ、あいみょんの若者人気に驚愕し麻雀を打ち、マシュメロの世界観に飲み込まれ、最後はノエルと共に歌った1年前の夏。

やっぱりハイライトはNoel Gallagher's High Flying Birds。

超越的なカリスマ性は一部のスキもなくロックンロールスターのモノで、大いなるロックの未来を感じるハイフライングバーズの前衛的なトラック、’ほぼオアシス’のメンバーから繰り出されたオアシスナンバーの対比は彼にしかできないステージ。

ドント・ルック・バック~を一緒に歌えたのは一生の宝物だし珍しい’Little by little’を聞けたのも嬉しい。

今年また来るっていうのもここで言っていたが、単なるリップ・サービスでは無かった様だ。

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SUMMER SONIC 2017

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Foo Fightersが初めてサマソニにやってきた夏はロックなエネルギーに溢れていた。

スイマーズはめちゃめちゃモダンなパンクバンドだった。

サーカ・ウェイヴスはクールでこちらもモダンなサマーステージで新感覚を呼び起こしてくれた。

イナバサラスのレジェンド稲葉浩志を人生で初めて生で見た衝撃は忘れ難い。

大好きなオール・タイム・ローはスタジアムを揺らす程進化した姿を見せてくれた。

今日が2000回目だったいってたニュー・ファウンド・グローリーはポップパンクバンドのベテランぶり感じさせてくれた。

ベイビーメタルに日本文化の狂気と可能性を感じ、フーファイは無敵のロックアイコンだった。

スタジアムレベルの箱で、あそこまでエネルギーを感じたライブはこの時のフーファイ以外ないかもしれない。

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SUMMER SONIC 2016

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ストラッツもラットボーイもモノアイズもずっと見たかったサード・アイ・ブラインドも、そしていつも通りのオフスプも凄かった。

けどなによりこの年の大切な想い出はWeezerだった。

傑作ホワイトアルバムを引っさげた久々の来日。

何度も何度も涙を流し、きっと一生忘れることの無い聖域のような位置に置いておきたい大切な想い出のステージ。

一生追い続けると心から決めたバンドで、胸がいっぱいになっていく。

こんなに幸せな時間は人生できっとあんまりないはずだ。

 

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SUMMER SONICにいこう

Weezerのステージを見て、おじいさんになってもサマソニを見に来たいと思った。

そう思えば人生も中々悪くない。

今年もこの季節がやってきた。

行ったことない人も、少しでも上のレポートで心が動いてくれれば嬉しい。

 

それではまた別の記事で。

【オフスプリングの名曲19選】1987年生まれによるThe Offspring Songs 19

今1987生まれロック好き的に振り返るオフスプリングの名曲 19選


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抜群にキャッチーなイントロが鳴ったと思えば、身も心もその炎に燃やされながら踊り尽くし、気がつけばフリークアウトしていた自分に興奮を覚えている。
30年間のキャリアの中、パンクの鋭利さ躍動感も内包した強靭なバンドサウンドで常に永遠に正しかったパンクアイコン、僕らのパンク兄貴的存在のオフスプリング
パンクを極限までタフにそれでいてキャッチーに、チャチな二元論を吹き飛ばした1つのムーブメント/カルチャーの完成形のアンセム達はきっとこれからも永遠に正しいのだ。
この曲を聴かずには帰れないアンセムだらけの19曲。
 
出来るだけの幅を持って、彼らを少しでも捉えられるようにちょっと大きめな表現で紹介して行きます。
聴いた事が無い人はパンクはちょっと、という概念を吹っ飛ばされる正当性を感じれる様に。
聴いた事がある人は彼等の彩りで生活に広がる様に。
凄く聴いてる人は、良い酒をいっしょに飲める様な。
そんなソングトラックになれば幸いです。
 

Spotify Playlist

バンドレビューはこちら!

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1.All I Want 1997年'Ixnay on the Hombre'

 
ライブハウスからスタジアム、さらにはショッピングモールからゲームの中・プロレス会場まで、数々の場所で鳴らされ市民権すら獲得した彼ら至高のパンクアンセム。

日本のファンからすればタモリ倶楽部/空耳アワーの殿堂入りという意識も強いだろう。

それでも聞いてみればドラえもーん!より、ヤーヤーヤーヤーヤー!のシャウトにこそ彼らの象徴性が詰まっている。

恐らくは彼らが音楽の道に進んだ事にとやかく言う人間に、干渉するな。ただそれだけだ。とダイレクトにシャープに言い放つ姿。

それをやり続けたからこそ帯びたカリスマ性と、彼らの原点的な思いがただただシンプルにそれでも劇的に情熱的に詰まったシンボリックな一曲。

 

2.Prett Fry(For A White Guy)  1998年'Americana'

 

オフスプリング最大のヒット曲にして、現代パンク史上最高にユニークで楽しさ溢れるアンセム。

キャッチーさコミカルさともに抜群、ビーチでも、クラブでも、ライブハウスでも、スタジアムでも、どこでも鳴らせる超越感すらある強靭なメロディー。

改めてこの曲の魅力を考えると、1000万枚売ったアルバムの中核だという事実だったり、コミカルなリフだったり、アンセム的な親しみやすさだったり、アハンアハンだったりと枚挙に暇がない。

それでも悪ノリキャッチーなジョーキングセンスと1億回聞いたって初めてみたいに滅茶苦茶に踊れる痛快さがこの曲、オフスプリングの根底にあるのだ。

そして彼らが言う’ワナビー’になるなってメッセージ。

13て入れたかったタトゥーが31だったってエピソード、流石にその間違いは無いよ、とも思いながら日常生活で実は危ねぇギリギリだったって事もある。

聞いて踊る度にちょっとだけそう戒める瞬間があるのも何処か面白い。

 

3.Why Don't You Get A Job? 1998年'Americana'

パンクロック界のオブラ・ディ・オ・ブラダ。
タイドでポップ・ロックなサウンドは、ライブでもヒートアップし火照りまくった会場の空気をピースフルに暖かいモノにしてくれる。
牧歌的でシンガロングも多いハッピーな曲の中にもオフスプ節は健在。
いいねこの曲!って言ってたポップしか聞かないOLの友達に、事細かに和訳を教えた時の変な顔は痛快だった。
構成を含めたユーモアセンス、さらにはどんだけフザけた歌でも圧巻の歌唱力で構築できるセンスこそ、彼ら最大の強みでニセモノとの違いなのだ。
 

4.Come Out And Play (Keep 'Em Separated)  1994年'Smash'

You gotta keep 'em separated!

オフスプリング節の真髄に触れるリフとリズムで刻まれる代表的なナンバー。

コミカルで挑発的、リフもグルーヴもトリッキーにエッジ立たせて組み合わせ、聴いたことないタイプの無縫のパンクスタイルを作り上げた、彼ららしい醍醐味溢れたキラートラックだ。
冒頭のYou gotta keep 'em separatedは、’あいつらに近づくんじゃねぇよ’というスラングでギャングカルチャーをモチーフにした歌だ。
キンキンした音にセリフ、聞き手のイマジネーションを刺激する呪文の様なリフ、デンジャラスなベースライン、デクスターのタイドなボーカル。
もう全てが気になる悪ノリ的な発想のミクスチャーパンク。
それがオフスプ節のど真ん中を行くだけの耳を掴んで離さないのだ。
激しいエネルギーとタフな言葉が渦巻く中でも、決して深刻なモノにならない明るい炎の様なサウンドがこの曲にはある。
 

5.Want You Bad  2000年'Conspiracy of One'

彼らのルーツと歩みを感じさせる、これぞってほどド直球の西海岸アンセミック陽性ポップパンクチューン。

一音目から曲の終わりまで1ミリの隙も無くキャッチーに輝くメロディーワークは、間違いなく彼らの本気だと思える圧巻のクオリティー。

彼女にセクシーにちょっと悪く危険なカンジになってほしい、男心の結晶とも言えるメッセージも、例え西海岸からでも届きそうな空続きの伸びやかなパンクサウンドに乗って朗らかに鳴る。

抜群のハイトーンボーカルだからこそ何倍も眩しく輝く、彼らの中でもパンク史の中でも最大のポップパンクアンセム。

 

6.Original Prankster  2000年'Conspiracy of One'

発売当時、メジャーシーンを騒がせていたヒップホップミュージックをパンクなりに解釈した、コミカルなアイディアの痛快キラーチューン。

パンクギターとヒップホップ的なグルーヴが融合し、強靭なグルーヴに昇華した有無を言わせぬ圧倒的なアンサー感、そしてヒラリと交わす圧倒的なパンクバンドの余裕。

ラッパーにオリジナルプランクスターと言わせるだけ、のコラボは当時話題になったらしい。痛快。

硬派なヤツも躍らせる本能的にファニーなサウンドは押しも押されぬトップアンセムになった上で、異質な存在感を放ち続ける。

オリジナルギャングスタというアイスキューブをちょっと文字ってジョークにしていたり、この曲の時に無料ダウンロード&100万ドルプレゼントを行ったことから、ミュージックシーンでも大きな反響を残した一曲になった。 

 

7.The Kids Aren't Alright  1998年'Americana'

世界で最も美しいパンクリフの導火線から、ダークにタフに疾走る問答無用のパンクアンセムは内容もヘヴィなもの。
ワッタヘルイズゴーイングオンが突き刺さる。
辛く嘆きたい事ばかり重なる現実が最も残酷な夢だと吐露しつつ、それでもどうなってやがんだって闘い行動する活力を産むパンクとしてのやり方。
現実の暴力性と問題提起的な握力、それを相乗する根底にある炎の様な焦燥感を煽るサウンド。
リフからメロディーまで軽快さすら感じるシンプルでソリッドものだからこそ色濃く心を染めるし、抜群のユーモアセンスを持つ彼らだからこそストイックな語彙力も光るのだ。
真っ直ぐなタイトルがAren'tな事も強烈、そりゃareの方がいいに決まってる。
でもそんな唯一の価値があるからこの曲はパンクアンセムで有り続ける。
 

8. Self Esteem  1994年'Smash'

このくらいのバンドで世界を回るってなると各国でウケる曲に差があるらしい。

日本で言えばダントツにゴキゲンなスカパンクナンバー'One Fine Day'がめちゃめちゃリアクションがいい様だ。

逆にアメリカではど定番で日本であんまりやらない曲がこれだ。

小気味良い鋭さよりもズシッと芯に残るヘヴィーロック。

グランジ的なダークな熱、フックのあるギターとリズムに歓声が挙がる光景が目に浮かぶ。

1ミリもガキっぽさのない陰りのある魅力。

これぞアメリカンな漢だ。ぜひ日本でもやってほしい。

 

9.Have You Ever  1998年'Americana'

冷静と情熱をどちらも備えたセンスの光るロックチューン。

淡々としていながら重みも疾走感も圧巻の前半から、強靭なロックグルーヴが漂う濃いロックサウンドへ転調する後半。
アルバムの流れではこの曲のフェードアウトから次の曲のフェードインが、垂涎モノの展開。
極自然と曲のダイナミズムに身体を掴まれながら、徐々にドライヴを増して心に浸透させていくようなエネルギーをもったグルーヴ。
無縫なスタイルの中にもこういう分厚さがあるから、より厚い信頼に繋がる貫禄のナンバー。
 

10.Staring At The Sun  1998年'Americana'

 

お前の目の中の太陽に、俺は焼かれない。

生き方の違いを、ここまで誇りをもって結晶化した曲を僕は他に知らない。

こうありたい、こうぶっ飛ばして生きたい。

お前が見てるものは大きく正しいもんだ、でも俺はそれに焦がれる事はないのだ。

哲学的で男の矜持の詰まった表現を、畳み掛け加速し続けるサウンドで熱狂的に昇華しきる展開も見事。

まだこれ以上速くなるのって度肝抜かれるデクスターの歌い回しは音速になろうがメロディックさもタフさも失われない、オフスプの中でも圧倒的なパフォーマンス。

ぜひアルバム同様、Have You Everから流れでStaring At The Sunを聴いてほしい。

フェードアウトからチリチリと始まるイントロの感覚は何回聴いても初めてこの流れを食らった時を思い出し総毛立ってしまう。

 

11.One Fine Day  2000年'Conspiracy of One'

HEY!(Hey!)HEY!(Hey!)One!Two!Three!

オーオー、オーオーオー、オーオーオオー、オーオー、オーオーオー、オーオーオオー….。

流れてくるだけで所構わず声を上げたくなる無敵のシンガロング。

聞いて彼らに向かって声を上げてるだけで、何もかも凌駕する様な快楽的瞬間があるのだ。

ゴキゲンなリズムに本気を出した彼らの楽曲のクオリティーに、脱帽しながら踊り歌い狂うのが只々楽しい究極のファンナンバー。

 

12.What Happened to You?  1994年'Smash'

One Fine Dayとセットになることが多い享楽的なスカパンクナンバー。
一瞬で空気を変えられるブライトネスな存在感。
この小気味良さと歌い回しのスピード感のクオリティ、伸び伸びと爽やかに、多幸感溢れるファニーで楽しい聴いてるだけで丸儲けな晴れやかさ。
こういう湿り気ゼロの圧倒的陽性な音が彼らの源泉にある。

どんなに闇を抱えてても、それを抱えながらまずは踊らせて、その後に残るもので考えるのだ。

 

13.Kristy, Are You Doing Okay?  2008年'Rise and Fall, Rage and Grace'

パンクサウンドだけなくスカパンクやポップ・ロックまで元々幅広い曲調苦にしないサウンドメーカーでもあるオフスプ至高のロックバラード。
パンクのセットリストで火照った身体が柔らかい風に包まれ優しく身体を潤してくれる。この曲がセットリストにある時の、フロア全員の柔らかな笑顔は忘れ難い。
ドラマチックなサウンドデザインに照らされるデクスターのボーカルはしなやかで美しく、強く心に降り注ぐ。
スマートなロックバラードとしての完成度、それに阿らない真っ直ぐ見据えられる柔らかい眩しさがデクスターの声から滲み出るナンバー。
 

14.You're Gonna Go Far, Kid  2008年'Rise and Fall, Rage and Grace'

こういうキャリアの長く深く広い活動をしてきたバンドは、スイッチを入れたい/切り替えたい場面で披露するシリアスなリードトラックを必ずもっている。
この曲も近年、ライブのオープナーで使われることが多い。
硝煙漂うようなスモーキーな冒頭から、ライトアップされるようなデクスターのボーカル、シリアスさを纏いつつボルテージが上がるオフスプらしいシュアでストイックなパンクサウンド。
そしてDonce fucker danceなのだ。
何も考えてないバカどもが踊らされる。そのまんまでいいのか?
反全体主義のキーワードになり得る強烈なキーワード、ハードな内容をより尖らせるダークでストイックなパンクの色合いは、内容を理解すればすればするほど濃くなっていく。
ドラマチックに折り重なり集約していくサウンドデザインも秀逸で、割と最近の曲らしくロックバンドとして骨太な彼らの根底を成す高いソングライティング力の一端も見えるのだ。
 

15.Hammerhead  2008年'Rise and Fall, Rage and Grace'

年をとるにつれて曲調は穏やかになり幅が広がるのがロックバンドの常だが、彼らの中でも必殺強力無比のこのメロコアチューンは割と最近になってから生まれた。
オルタナティヴなギターのイントロから、疾走感溢れるビートとリフが重なって火花散るリフ、モッシュピット必須の狂熱的に盛り上がる冒頭から中盤、ベースソロ以降の後半のグルーヴィーなフック溢れる展開と、メロコアサウンドの完成度は劇的に高い。

特に後半のデクスターの畳み掛けるボーカルは必聴のかっこよさである。

 

16.Coming For You  2015年'Coming For You'

チャカチャカなギターリフとタフなベースラインがリズム良く馴染むアッパーでコミカルなナンバー。
この記事を書いてる時点で最新のナンバーだが、怒号の様なシンガロング満載ですでにライブに欠かせないキラーチューンだ。
コミカルでキャッチーでズシッと野太い、エンターテイメント的かつ情熱的なバランスが彼ららしさの最前線であることに、誇りすら持てる。

 

17.Hit That  2003年'Splinter'

ヘビーなリフとトリッキーなサウンドのロックチューン。
バラエティーに富んだ音が使われていて中毒性の高い曲かもしれない。
ヒッタヒッタの意味は性交する事らしい。
乱れた性をこれでもかって程こきおろし、でもそんなもんだよな、と達観する面白い立ち位置。
ちょっとラフで独特な雰囲気はライブのセットリストの中でも際立つオリジナルなナンバーだ。
Oi!Oi!Oi!
 

18.Walla Walla  1998年'Americana'

これもオフスプリングを代表するファストでファニーな一曲。
これぞ西海岸パンクカーニバル的なリフに、ユニークでフックが効いたメロディーが畳み掛ける陽性のパンクス。
ワラワラは決して笑ってるんではなくてアメリカの地名らしい。
刑務所がある場所で、ムショ送りになった仲間を見送るという、ストリートな内容の一曲。
何か彼ら自身に思い入れのありそうな、そんな雰囲気も感じる一曲。
 

19.Americana  1998年'Americana'

ライブの演出的にも大好きな一曲。ライブのアンコールの一曲目でこの曲だった時に僕は衝撃を受けた。

みんなの拍手に笑顔で答えながらドラムが1人入ってきてライトが当たりドラム先行で楽しげにヘヴィーなグルーヴを作り、サポートギターがリフを弾き出す。

音が重なる辺りからステージ上のヌードルズにライトが辺り、タバコくわえながらリフを鳴らす。

もう一生ついていこうと思う格好いい男の姿。

デクスターの叫び一発でモッシュになだれ込みながら、この光景を忘れることは無いと心から思ったのを鮮明に覚えている。

 

何度見ても聞いても、これでいいというかこれしかない

僕らパンクファンのど定番オフスプリング。

ストイックと悪ノリのバランス、ストリート性とそれを支える確かな知性をもって30年以上パンクシーンを最前線で引っ張ってきた。

感じるのは大御所感よりホンモノ感。

いいか?頭悪くちゃどこでも死んじまう。

ルールに従う必要はない、でもそうすると責任が伴う。それでも彼らはやってきたのだ。

その姿と音は確かに、これしかないと思わせる誇りに満ちたものだから、僕らを何度でも魅了するのだ。

 

それではまた別の記事で。

The Offspringに想いを馳せて【バンドレビュー/オフスプリング】

今、炎のパンクロックカーズ オフスプリングに想いを馳せる

例えば、行きつけのお店が出来ると、僕は同じ定食を頼み続ける。
『あいつ、あれしか頼まねーな』って店員さんに思われようがお構いなし。
冒険心がないわけではなく俺にはこれがいいのだ、という思いが強いのだ
 
もう何度もライブで見ていても、ラインナップに名前があればやっぱり俺はコレだ、と見に行く。
オフスプリングのライブを見に行った時、会場でそんな定食への思いとリンクした。
1990年代、アメリカの西海岸を飛び出し全世界を席巻したメロコアパンクブームを牽引し、今や現代パンクスの象徴となったオフスプリングの例えが定食では些かチープすぎるかもしれない。
が、僕らにとって敷居が高いわけではなく、最大最高のクオリティを味わえるのはオフスプリングなだけという話なわけだ。
 
 
キャッチーでパンク、タフでストイック、そして悪ノリと知性。
現役で先頭に立っていながら、突き抜けた様な存在感すら感じる超越的なパンクレジェンド。
色濃いストリートの誇りと尊厳を持ち続ける事、そのために彼らが確立した正論は世界のパンクファンのバイブルであり、オフスプリングはきっと永遠に正しいパンクアイコンなのだ。
そんな僕らパンクファンのど定番、本日はそんなオフスプリングに今想いを馳せるバンドレビューをお届けします。
素敵な暇つぶしになれば幸い。

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ソングレビュー19曲はこちら!

www.footballsoundtrack.com

日常におけるオフスプリングの存在感

街に出てたって、家に居たって本当にさりげなくあらゆるシーンでオフスプリングが流れてる。実は。
TVのCMやバラエティー、少しパンチの効いた若者向けファッションのセレクトショップ、スポーツの会場やプロレスの入場曲でも、ゲームの挿入歌でも使われてたりする。
大体プリティーフライオールアイウォントだ。「アハン!アハン!」「ヤーヤーヤーヤーヤー!」だ。
 
オッと音の流れる方向を耳でキャッチして探してしまう、ファンとしてはちょっと聞こえてくる事がうれしい瞬間。町中でも誰も見てなけりゃ頭振って踊ってみたりも出来るだろう。
遥か遠くで聞こえていようが速攻で身体に染み入るリズムとメロディー
コマーシャルに溶け込めるだけキャッチーでありつつも、誇り高きパンク・マインドに溢れ心に絶妙なザワつきを残す。これがオフスプリング節の極意であり醍醐味なのだ。
 
オフスプリングの結成は1984年まで遡る。
オレンジカウンティでボーカル/ギターのデクスター・ホーランドとベースのグレック・K、そして彼らの高校の用務員だったギター兼酒の調達係(デクスターとグレックはもちろん未成年だった)のヌードルズが中心となって結成された。
Ramonesなどクラシカルな初期衝動のNYパンク・更にはBad ReligionやSuicidal Tendenciesなどのハードコア/メロディックハードコアの影響を受けたバンド結成で地元オレンジカウンティを始めとする西海岸エリアのパンクシーンで活動を始める。
 

www.footballsoundtrack.com

バンドに取っては下積みの時代で、デクスターは高校内でも指折りの秀才だったらしくパンクバンドを選んだ彼は後ろ指を刺される事も多かった。

実際にこの時の想いを込めた歌詞の曲も多く、実際上に載せたAll I Wantがまさにそういう曲だし、それが見事にカウンターでキマっているからオフスプリングのストーリーは痛快なのだ。

すでに1989年の1stアルバム'Offspring'のリリースの時点で彼らのパンクへの自信は確信に変わったという。

2曲目に入っている'Elders'のレコーディングを終えた瞬間にそう思ったようだ。

 

 

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彼ら自身にも彼らを含んだシーンの爆発の予感を感じていたはずだし、その嵐の中でも堂々とド真ん中で振る舞える音のクオリティとカリスマ性が彼らにはあった。

事実1994年に3rdアルバムの'Smash'はパンク史上空前のヒットアルバムとなり、同年メジャーデビューしたGreen Dayの'Dookie'と共に、全世界で1000万枚を超える売上を叩き出し、メロディックパンク/メロコアムーブメントは世界のロックシーンを大きく動かしていった。

その後のアルバムでも幅広いサウンドに、自らのオフスプ節を波及させて数々のアンセムを産み出し、それが今でも世界各国あらゆる媒体で何の違和感もなく鳴らされているのだ。

今や活動30年の超がつくベテランでも全く勢いを失うこと無くリスペクトを集め続ける所以となる滲み出る’ホンモノ感’は彼らのアイデンティティーでもある。

 

Offspringは現実的で最強のパンクアイコン

社会的世相を切りながら’ニセモノになるな’’ワナビー(知ったかぶった奴)どもになるな’’ホンモノの悪ガキになるんだ’と繰り返し僕らに説く。

フラフラと流行りの匂いに連れられてイケてるフリは寒いぜ?

硬派とか軟派とかファッションの上っ面じゃなくて深層でどうなんだ?

俺たちがなっちゃいけない姿を気持ちいいまでにこき下ろすメッセージは、突き刺さる上に思い切り楽しい。

 

そう楽しいのだ。Give it to me babyアハンアハンなのだ。

パンクという硬質な精神も持ち合わせながらジョークのセンスでストリートっぽさを内包しているのがメロディックパンクの真髄でもあるが、そのジョーキングセンスもぶっ飛んでいながらインテリジェンスで痛快かつ秀逸なのだ。

おそらくここまでぐうの音も出ない程ブチのめし、そして聞いてる人の共感を誘い面白く周りをこき下ろせるバンドは、パンク界でNo1で有り続けてるんじゃないか。

13てタトゥー入れたかったのに31って入れられたってプリティ・フライでダサい奴をからかい、バックストリート・ボーイズだ!と衣装を着せたダッチワイフをステージ上で破壊したり、急に無料ダウンロードで曲を配布し更に抽選で100万ドルプレゼントしたり。

アンチファッション的アンチポーザー的で彼らが彼らの誇りを守るために戦うべき所が何処までもブレず、そしてその言い回しとか目のつけどころ方法論が、聴くキッズ達を俺もこういうやり方で生きていきてぇ!と惹きつけて止まないのだ。

 

 

ただ怒りを撒き散らす自棄っぱちな一発屋パンクとは違い、一貫してそのスタイルを貫く事で長らく僕らのバイブルになり得た音の強靱さと楽しさと正しさ。

どのタイミングで聴いても正しいし、だからこそどこかで混ざって聴いてもエンジンがかかった様な喜びに包まれるのだ。

きっと僕自身が間違っちまった時に聴いたとすれば、ハッと気付かせてくれるし、聴いた時に自分がブレていた事に気づく。

彼らが絶対にブレないという信頼感が根底にあるから指標にすらなるのである。

 

永遠に正しいガイドスター

少し難しく言うならば議論の余地もない最強のシンボルとして君臨する風格だけではなく、そういうオーラみたいなものすら音一発で感じさせることの出来る楽曲の説得力も伴っていたからこそオフスプリングは唯一無二の兄貴感を手にした。

 


結局、硬派だろうが軟派だろうが勘違い野郎も心から躍らせるパンクサウンドのキレ味が何よりも必要。

汗だくで踊り終わった後、燻っていた理想とのギャップが炙り出された様で、それでも嬉しい他のどのバンドも到達してない領域の満足感がきっと彼らの曲には満ちてる

西海岸パンクのカラッとした風を感じさせるサウンドを基調にした明るくタフなパンクサウンドには、ポップだパンクだ、キャッチーだアングラだなどのチャチな二元論は少なからず付きまとってくる。

それをきっと彼らはオルタナティヴに解釈し、オフスプリング節と言えるパンクの形態を創り上げた。

ハードコアのストイック&タフで鋭利さ。

ニヒルなユーモアセンスを持ち前のポップセンスで練り上げた躍動感。

 

 

その2面性がどこまでも説得力のあるバランスで機能する圧倒的なウォール・オブ・パンクサウンドを創り上げたのだ。

キッズ達の不満を発散させ得る爆発的なエネルギーに直結しながら、'お前は誇りを持って生きていけるのか?'と燃えるようなメッセージも残せる。
パンクアンセムにはわかりやすさと親しみやすさの上に、情熱とまっすぐな正しさも欠かせない。
 
コアなマインドで幅広い視野をもったメッセージ性があるからこそその表現方法も実にパンク的ロック的な中で多彩なのだ。

小気味いいテンポから超高速のグルーヴまで自由自在にリズムが変化する中、アツさと華やかさを備えたデクスターのハイトーンボーカルが力強く鮮やかにリズムを先導して疾走る。

ユニークでフックのあるリフのセンス。

コミカルなときはちょっとニヒルさを香らせ、ストイックに疾走るときはビリビリ感じさせるパンクギターの表情もみたいなのも見事だし、コミカルでタフなサウンドセンスとキャッチーなメロディーセンスが完璧にアンビバレントに成立する。

単純に聞いていて気持ちの良い瞬間が続きまくるバウンシーな物だし、何より聞いてるだけでなくあらゆる箇所に用意されてるシンガロングのポイントが超アッパーなのだ。

来るぞ来るぞ...キター!!という鉄板の信頼感は決して予定調和的ではなく、何も考えずにめちゃくちゃなまま叫び踊るエモーショナルなものだ。

そういうご機嫌さをタフにハイクオリティーで、音楽的興奮と心のど真ん中を撃ち抜いてくれた感動はかつて無くこれからも唯一無二なものだ。

きっと1億回聞いたって初めてみたいに滅茶苦茶に踊れる。ちょっと上手くなってるかもしれないけど。 

The Offspringに想いを馳せる

人生とはつまりって事を言い出せば、自分のスタイルとか尊厳を如何に構築し、如何にそれを守るために戦うか、という事になるのかなと思って生きてきた。
やりたい事をやっていながらそれが空回りや過剰になっていない事が誇りを保つコツでもある。
人を惹き付けるような信念を持って闘い続けなきゃきっとつまらねぇ人生になるのだ。
 
オフスプリングは30年間、俺たちはこうだ。お前らはどうなんだと僕らの心に問いかけてくる。
 
ポップパンクのアイコンみたいなバンドはグリーンデイだと思うけど、
オフスプリングは一目置かれる先輩みたいな存在感はある。
ききそうで絶対に替えの効かない魅力がラインナップのロゴの時点でばしばし伝わってくる。

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キッズ達のガイドになりつづけてきた彼ら。
ガシガシと心臓を掴まれるような身体の芯に響く声と音は痛快
イメージ的には炎だ
飛んで火に入る夏の虫とばかり寄ってきた者を情熱の炎で焼き尽くす
それは恐ろしい程の陽性のパワーで、耐えられるのはパンクキッズのみなのである。
物凄い憧れ。一生ついていきたいバンド。
またオフスプ見るの?と言われても、僕にはOffspringがあればいいのだ、とお気に入りの定食の様に、胸に秘めて生きていきたいのだ。

あの定食もオフスプリングも変わらない。

何か違うなと思ったら俺が変わっちまっただけだ。

Offspring アルバム!

グレイテスト・ヒッツ

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  • アーティスト: オフスプリング
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2005/06/29
  • メディア: CD
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Conspiracy of One

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Americana [ENHANCED CD]

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アリスターみたいな音楽が流れる場所が好き-ALLiSTER 20年ベスト盤に想いを馳せる-【Somewhere On Fullerton】

2000年代USポップ/メロディックパンクを代表するバンド、ALLiSTERの20週年ベスト盤が出た

2000年になった位から2007年くらいまでのポップ/メロディックパンクの黄金期。

1999年にシカゴからデビューしたALLiSTERもこの時代を駆け抜けたバンドで、日本のパンクファンに取っては物凄く特別な位置づけのバンドだ。

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デビュー20周年のセルフカバーベストを2019年1月の終わりにリリースし3月にはジャパンツアーが決定している。
1999年からデビューし2007年に一度休止しているが、2012年に再始動し20週年をめでたく迎えたセレブレーションな年なのだ。これは祝いたい。
2006年くらいに日本で人気に火が点いた時はベース/ボーカルのご存知スコット・マーフィーによる日本のポップスの日本語カバーが前面に押し出されていた。
それも間口としてもちろん良かったけど'Flypaper''Scratch''Overrated''D2''Radio Player'あたりの爆風ポップパンクアンセムのクオリティーに心掴まれた。
カバーも良いけど、それ以外がホントの良さだぜみたいなキャッチーなモノと逆を行きたい18歳、そんな捻れた想いもあったが、それ以上に自然と引き込まれる俺たちのバンド感。
あっという間に彼らは僕らのフェイバリットバンドになったのだ。
そこにはポップパンクセンスのクオリティと共に、日本の只ならぬバンドとの関係性もあった。
 

アリスターと言えばエルレ

アリスターと言えばELLEGARDENと予測変換が来るくらい結び付きが強い。
元々デビュー時のワールドツアーで日本にアリスターが来た時、スコットが日本のカルチャーに打たれ日本語を学びだした事から始まり、エルレがUSツアーをやったときに出会ったアリスターとかなり親交を深めた。
その後ELLEGARDENの日本40箇所の大規模ツアーに対バンとしてアリスターも回り続け、最終的には3万人の幕張メッセの前でライブをやっている。
日本のファンベースを他のメロディックパンクバンドとは違う独自の流れで構築していった事も、特別なバンド感に繋がっているのだと思うし、何より彼らのキャラクターが僕らのパンクシンボルELLEGARDENと一緒の親近感があって凄く馴染んだ。


僕らはエルレにUSロックの風を感じ、実際に彼らと一緒にその空気を持ってきてくれたのはアリスターだった。

特に'Somewhere On Fullerton'は死ぬほど聞いたポップパンクアンセムだ。

もちろんこのセルフカバーベストにも入っている。


Allister - Somewhere On Fullerton

 

シンプルなフレーズ/メッセージの繰り返しだからこそ、強く強く当時も心に残ったし今の残ってきている。

’僕らみたいな奴に必要な場所があるんだ’’僕らが好きな場所があるんだ’

その僕らはどんな奴らなんだろう?彼らが好きな場所はどんなとこなんだろう?フォールトンでどこだ?とこっちの僕らはずっと思っていたのだ。

渇いて電撃的なギターリフにジャンプの瞬間まで浮かぶ超一体的なパンクグルーヴ。

ティムの男らしさ滲むボーカルとスコットの美しいエモいハモり。

何回もここで一緒に口ずさみ、その度に心にシカゴの風が吹き抜ける。

そういうパワーは10年以上色褪せなかった信頼できるアンセムだ。

 


Scott & Rivers - 「HOMELY GIRL」リリック・ビデオ

アリスターが休んでもスコット・マーフィーは日本に残りソロ活動を根強く続け、細美武士とMONOEYESを組み、ついにはWeezerのリバース/クオモの相棒になった。

MONOEYESでこの曲のカバーをスコットが歌う度にポップパンク特有の瞬間着火の電撃的衝動に包まれるのだ。

USパンクと僕らの繋がりの場所を守り続けたのは、エルレ/細美という日本のロックファンにおけるキーパソンの存在もあって実はこの曲だったのかもしれない。


ALLiSTER「Somewhere On Fullerton」

20周年の撮り下ろしバージョンは昔入り浸っていたボウリング場でMVを撮ったらしい。
20年前のこっちの僕らの場所はあるのかな?

なんかエンドルフィンが出てパンクサウンドに身体を揺らしながら高速でそんな事が巡る凄く幸福な何でも無い時間。

変わってない姿に、良い感じで歳をとった音。

そういうのも含めてバンドとして理想の道筋なのかもしれないとまで思う。

僕らのお守りだったメロディーはそのままに今ロックとして再び鳴る事が嬉しいのだ。

きっとそんな曲、人生で何曲かしか無い。

 

新曲もいいよベストアルバム ステイ・ウィズ・ミー・フォーエヴァー

今回のベストアルバムも20曲入りで彼らのディスコグラフィーの5枚のアルバムからチョイスされたアンセム達16曲と4曲の新曲で構成されている。

どうしても当時の名盤の畳み掛けられる様な怒涛のメロディックパンクに気を取られてるが幅広い曲調も目立つ中々しなりのあるアルバム。

彼らの王道にくる爽やかに響かせつつドライヴできるクラスピーなフックをさり気なく覗かせられる彼らのポップパンクセンスはアリスター節と言って良いかもしれない。

'A Study in Economics''Jacob'とかのパンクチューンも顕在だし、'A Lotta Nerve'なんかもう半泣きで聞いてた。


Allister - "A Lotta Nerve"

 

'Stuck Powered On''Blackout'あたりのミッドでアシッド、更には深く壮大なバラードも彼らの色をより濃くセルフカバーしていて途轍もなく重厚だ。

もちろん新曲も彼らのエッセンスをそのままアップデートしたラインナップ。

①の'Stay With Me'はエバーグリーンに爽やかなポップパンクチューン。

アリスターらしいギターカット、ずっとバンド活動を続け強靭に映えるスコットのボーカルは、変わらず伸びやかで穏やかさを増してる。
'Peremptory Challenge'はブーミーなエフェクトとストレートなギターが特徴的、ポップパンクの2019年版、音楽世界が大きく変わった今でも勢い良く飛び出せる爽快感は真ん中にある。
'Back To Brookline'はいよいよティムボーカルで、ティム節炸裂の男らしくもどこまでも蒼い声の特別感は変わらないし、コレコレと膝を打ちたくなるコーラスも見事だ。
'Carousel'ではアメリカンロックのレンジの広さに軸足をおいて、馴染みやすいリズムに彩りとしての彼ら本来のエッジを加えメロディーを跳ねさせる幅広いロックを演出している。
これぞベストの真骨頂!
あの時の風とともに、オルタナティヴに新しい彼らも覗かせてくれるたまんないアルバムとなって20年を祝う事ができた。

 

僕は今もアリスターみたいな音楽が流れる場所が好きなのだ。

絶対に居なくならないでくれよ。

ぜひ聞いてみて下さい。

 

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ALLiSTER 20th ANNIVERSARY BEST ALBUM 「BEST OF・・・ 20 YEARS & COUNTING」

ALLiSTER 20th ANNIVERSARY BEST ALBUM 「BEST OF・・・ 20 YEARS & COUNTING」

 

トラックリスト

01.Stay With Me

02.Radio Player

03.Runaway

04.Somewhere on Fullerton

05.D2

06.Moper

07.Haley 
08.Scratch
09.Peremptory Challenge
10.Stuck Powered On
11.A Study in Economics
12.Flypaper
13.Back To Brookline 
14.All We Needed
15.5 Years 
16.Jacob
17.A Lotta Nerve
18. Carousel 
19. Overrated
20. Blackout
 

【ライブレポ】The Offspring Japan Tour@豊洲PITに行って来た!

2019年最初のライブはパンクレジェンド、オフスプリングを見る

ギンギンに寒い2019年1月10日。

何かと話題でホットな地域の豊洲は、体感で僕の家の近所の2倍は寒い。

厚手のパーカーの下、この日の僕の胸にはスカルマークが燃え盛っている。

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何度も何度も見たこのバンド。

何度も見ようが寒かろうが暑かろうが風が吹こうが見に行くバンド。

きっと‐10℃~38℃くらいまでなら全然出かけるだろう。

やるべき曲をやってくれるという絶対的な信頼感、トップランナー且つレジェンドして懐メロショー的な雰囲気を微塵も感じさせない今強靭なパワー。

この曲を聞かずして帰れないというアンセムだらけのジェットコースター的な超ホットなライブ。

外の寒さも、返してないメールも、ムカつく人間関係も、一切この中では歯が立たないのだ。

The Offspringのライブはそういう場所だ。

今回も最高でした。

The Offspring Japan Tour@豊洲PITに想いを馳せる。

 

 

東京出身のオープニングアクト COUNTRY YARD

18:00の開場から既に割りかしパンパンに人が入る豊洲PIT。

初めて来た豊洲PIT。新して凄く見やすい作りの何かと居心地の良さそうなライブハウスだ。

Sum41が流れるフロアは既に熱が入っている人もいる。

19:00ぴったりくらいに暗転しいつの間にかステージにいたオープニングアクトCOUNTRY YARDのライブが始まる。

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東京都町田市で結成した1987年生まれ的に超同世代メロコアバンド、カントリーヤード。

初めて見る機会だったが、アツくアグレッシブなライブを見せてくれた。

オフスプのオープニングらしくメロコアチューンのパンチ力もあり、それに留まらない幅広いロックサウンドで結成十周年の厚みも魅せる。

何かこう魂を自分に入れ込んである意味ナルシスティックにパフォーマンスする姿も、アツいものが迸っていて全然嫌な気にならない。

アツい言葉をどストレートに残す事が、何よりこの場所でも響き、開場の雰囲気は明らかにトーンが一段階上がったオープニングだった。


COUNTRY YARD / Starry Night (Official Live Video)

 

議論の余地もなく最強のパンクアイコン The Offspring

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良い感触のオープニングを終えて、更にフロアは超満員になってくる。

The Offspringのロゴがステージに出てきただけで怒号のような歓声が上がり、流石にまだ始まらないだろうって時間でもテンションを留めきれていない、そういうエネルギーを各所から感じる熱気溢れる空間がもう出来上がっていた。

2018年中には新しいアルバムを、とアナウンスがありながら結局リリースはなく現在はレコーディング中だそうだが、決してこっちも焦ってはいない。

オフスプなら出来栄えのクオリティーは間違いないし、なんならガッツリと練り上げてくれた時の方がきっと半端ないものになる確信すらある。

そういう圧倒的な信頼感は決して盲目的なわけでない。

90年代ロックシーンを制し僕らが物心ついた時から現代のパンクレジェンドであったオフスプリング。

何度も音源をそしてライブを通してその巨大な貫禄を目の当たりにしつつも、僕らの生活のサバイバルの中においてもとても重要に鳴り響く身近さに気づかせてくれ、ブレてはいけないホンモノの尊厳に気づかせてくれる。

パンクの鋭利さと躍動感を内包し、キャッチーに届きやすくも鋭く魂を掴む様な、そういう音楽体験を何度も繰り返し、実体験を通して心と身体に刻まれた事が、永遠に正しい事を思える信頼感の根拠になっている。

オフスプリングとは?みたいな事を考えていたら20:00に暗転を迎え、いよいよライブが始まった。

想いを馳せるのは後だ、今は踊って狂いたいのだ。

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ドラムのピートからフレンドリーにステージに上り、サポートのギターと今回初めてみたレッチリのフリーみたいなノー・ダウトのベースのトニーが徐々にステージに上がる。

この流れはもしや...という粟立つ空気の中、ドラムのプレイから'Americana'でスタートする。


The Offspring - Americana HD

走ってステージに上がったヌードルズとデクスターの姿に一気に沸騰するフロア。

ヌードルズのギターを弾く姿とそのエッジーなフレーズに拳を突き上げ、デクスターの叫び声でめちゃくちゃになるのっけから快楽指数MAXのパンクロックライブっぷり。

1曲目終わりから肩で息をする僕らを満足そうに見据えるデクスター、そのままフリーハンドでの'Ya Ya Ya Ya Ya Ya !'の声に、嘘だろと思いつつ、さっきまで肩で息してたことも忘れ更に爆発するフロントエリア。

この声を聞きに来たのだ。

2曲目からの'All I Want'飛ぶやつ踊るやつ走るやつ歌うやつ入り乱れるめちゃくちゃな空間、それでも拳だけはステージに向けるベクトルだけバチッと合った心地良いカオスが一瞬で出来上がった。


The Offspring - All I Want

'It Won't Better'をはさみ、MCで'昨日も凄かったけど今日もアメイジングだな!'とマシンガンのように喋るヌードルズと笑顔で僕らを称える様なデクスター。

2人とも2年前見た時よりお腹も出ていたが、1ミリもカッコ良さは損なわれず、変わらぬギターと変わらぬ声はどこまでもオリジナルのままで、そこは毎回驚くポイントであり何処か同じスタイルの飄々とした空気があるからこそ力強いのだ。

ここからもう怒涛の展開。

悪ふざけ入ったタフなオフスプ節満載の'Come Out And Play'、最速メロコアナンバー'Hammerhead'、そのメロコアを越えた位置でグルーヴを手に入れた名曲'Hit That'、もう一度ギアを上げアッパーに切り刻まれるキラーチューン'Staring At The Sun'と畳み掛ける。

1秒足りとも見逃せないエゲツないアンセムのラッシュ。

彼らのキャリアの厚みだからこその超絶怒涛感であり、パンクのみならずオルタナティヴに幅広いロックサウンドありのレンジの広さも、彼らのキャッチーさ/ユーモアに繋がり、変幻自在にグルーヴィーに踊らせてくれるのだ。


The Offspring - Hit That

 

気づけばデクスターも肩で息をしていたが、間髪入れず'One Fine Day''What Happened To You?'のエネルギッシュで超陽性のスカパンクナンバーを重ねてくる。

もう今日、倒れるかもしんないと腹を括り、こっちも全力でコール&レスポンスを叩き込み、自分も周りのやつもネジが外れてきている様なイカれたエネルギーを感じ何か大きな塊になった感も感じる。


The Offspring What Happened To You

 

ライブの折り返しに入り、このツアーで披露し続けてきているAC/DCのカバー'Whole Lotta Roise'も素晴らしかった。

 


The Offspring - Whole Lotta Rosie; Michigan Lottery Amphitheatre; Sterling Hts, MI; 8-14-2018

 

過去最高音のデクスターのボーカルに楽しそうにセクシーなフレーズを弾きまくるヌードルズ。

ハーフタイムショー的なエンターテイメント感に歓声を上げつつ、ここから後半戦に入る。

燃えるメロコア'Bad Habit'の'goddamn motherfucker!'でこの日一番の声が揃い、'Original Prankster'に踊り狂う異常なテンション。

もう無理これ以上踊れないとか、これ以上はしゃぐのは恥ずいとか、そう言うタガを外し外の世界で心の奥の奥に閉じ込めていた本能・感情を引きずり出すトリッピーな高揚感を味わったのは、きっと前回のオフスプリング以来なのかもしれない。

ちょっと攻撃性が溢れて止まらなくなりそうな狂気に包まれつつあったフロントエリアに、アコギに持ち替えたデクスターから'Why Don't You Get A Job?'が降り注ぎ一気にハッピーに朗らかな空気に変える。

至福のハンドクラップの重なり、50人くらいの肩組んだサークルが出来たり、全員が全員今日一番の笑顔で歌う多幸に満ちた瞬間。

そういう幸せな空気を壊さずに空間を震わせるハイトーンシャウトを決めるデクスターに惚れ惚れしつつ終盤へと入る。

 

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今日のライブを象徴するようなジェットコースター・アンセム'Walla Walla'、ディープでヘヴィなロックチューン'(Can't Get My) Head Around You'でもう一度炎を注ぎこむ。

最高の夜だったよ!と肩で息するデクスター。

久しぶりにこんなに近くで見て、そういうリアルな彼らの姿を見れた事が今回はすごく良かったし、同じくらい燃えるように汗かいてる僕らと一緒に作り上げてきた感が嬉しくてしょうがない。

'Gunter glieben glauten globen'のSEに瞬間着火し'Give it to me,Baby'の声に'アハンアハン'をデクスターと一緒に返す。

いよいよの'Pretty Fly'に飛んで跳ねて最高潮のテンションを各々が表現しつつフロントエリアに雪崩込む。

聞かずには帰れない必殺曲、何度聴いても聞く度にその強靭さ楽しさに驚き気持ちよく踊れる。

何も考えずただただ彼らの音に合わせて歌い踊る、顔を上げれば眩しいライトの中でデクスターが歌ってるのだ。

空っぽギリギリの体力で感じる幸せな光景に、全員が全員拳をもう1段階強く握り突き上げるのだ。

そのままあっという間に'Want You Bad'になだれ込み、西海岸の空から届いたようなどこまでも伸びやかなサウンドを全身で受ける。

色んな感情を吹き飛ばし何かアツいものだけ残す様な完璧なポップパンク旋風の感触は、締めるには相応しいこの曲しか無いと思える大満足の本編ラストソングとなった。


The Offspring - Want You Bad (Official Music Video)

間髪入れずに現れたアンコール。

実は一番聴きたかった'You're Gonna Go Far,Kid'をシリアスにクールにキメ、ラストは'The Kids Aren't Alright'をいつも通り劇的にキメる。

数えてみたら全19曲。70分一切無駄なしの一本勝負。

少し短いかなと想いつつ、身体の疲れ充足感は半端ない。

それは彼らもきっと全く同じのはず、僕らの全く同じ顔でステージを少しだけ名残惜しそうにそれでも颯爽と後にしていった。

この後姿もまた見たかったのだ。

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ジェットコースターの様なライブ また会う日まで

ホントあっという間だった。

アレもコレも聞けたし、アレやコレも聴きたいけど、でも十分だ。

きっとまた見た時にやってくれるだろう。そんな確信すら間違ってないと思える相変わらずの最高の光景だった。

1月の豊洲は寒い。

それでも必要なのはスタバもコーヒーなんかじゃなくて、胸に秘めた燃え盛るスカルマークだ。

 

Set list

1.Americana

2.All I Want

3.It Won't Get Better

4.Come Out And Play(Keep 'Em Separated)

5.Hammerhead

6.Hit That

7.Staring At The Sun

8.One Fine Day

9.What Happened To You?

10.Whole Lotta Roise(AC/DC cover)

11.Bad Habit

12.Original Prankster

13.Why Don't You Get A Job?

14.Walla Walla

15.(Can't Get My) Head Around You

16.Pretty Fly

17.Want You Bad

Encore

18.You're Gonna Go Far,Kid

19.The Kids Aren't Alright

 

【音楽雑記】ちょっと普通じゃなかった平成30年 太陽に何を思う

普通じゃなかった2018年

今年って平成何年だっけ?
西暦と元号を2つ使う国だからこそ、誰もが30年で1度は言ったであろうワードを僕言ったことがない。
1987年生まれで昭和62年の僕は、自分の年齢がいつも平成と一緒だった。
僕は10月生まれなので誕生日から年末の2ヶ月位だけ僕の方が年上で、その度に師走を意識したものだ。
今年って平成何年だっけ?というワードを口にしない事が僕の自慢でもあり、僕の普通だった。
 
 
西暦2018年平成30年。
12月も末になってようやく本気を出した冬、こんなに寒かったっけ?と毎年の如く浮かんでる想いごと、足元から氷漬けにする。
実に忙しい年末年始、なんだ暖けぇじゃん、と衣替えを放ったらかしていたそのツケがくる。
 

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『災』の字で締めくくられた昨年。
こんな重要な年に、そんなネガティブな1文字はいかがなもんかとケチも付いたが、個人的な1年としてもネガティブなのかもしれない混乱したまま終わるちょっと普通じゃない1年だった。
平成が最後で、W杯が凄くて、エルレが戻ってきて、Oasisの両名が来日し、夏は超ド級に暑かった。
尋常じゃない太陽にどこか甘えて、体と一緒に自分のマインドもフラついてしまった気がする。
人生の中でもトップクラスに楽しい事がおきて、それを上回る様に怒りが通り過ぎても消化できないくらいムカつく事が起きる。
そんな乱高下の1年で何度めかの頭痛の中、自分の世界を大きく変えてみようと思うと、不思議と脳内はクリアになる今日このごろ。
きっと頃合いだ。
音楽はきっと、自分が聴くタイミングや環境で心身への染み込み方が変わる。
こういう普通じゃないコンディションの時こそ、心を大きく揺さぶったり、深く深く奥まで染み落ちていくのだ。
 
平成とほぼ同い年の僕もいつかこの世を去る事になる。
その時に思い出したくなるように生きよう。
きっとそういう節目みたいな年になるんだと思った。
 
普通だった平成が終わる事は全然なんて事ないと思ってた。
それでも人生のタイミング的・節目的な事もあり全然普通じゃない年だった。
身体はまだ全然動く、でも頭が老いて来てる。そんなノエルの言葉が刺さる。
 
普通な人間になるのは別に構わない。
でも偽物のワナビーどもにはなりたくない。
デクスターのニヒルでタフなメッセージで燃料を注いで自分を変えるのだ。
 
多分世の中は好きな人嫌いな人同じ人数で出来てんだろう。
嫌いな人を排除しても別の誰かが現れたりするんだ。
どうしようもないし、どうにかする気も起きない冷え切った人間関係に疲弊してしまう。
つまらない人間に時間を割くのを一回止めるか、はっきりとぶっ飛ばしてやる他ないのだ。
 
 
 
怒りを置いて1年振り返ってみれば変わらず素晴らしい年だったじゃないか。
Oasis両名のステージを1ヶ月間の間に両方目撃し、行けてはないがエルレ復活に沸き、ロシアW杯は上手に批判する言葉を探していた頭でっかちになり忘れかけていたサッカーファンのとしての心を揺さぶってくれた。
すべての音楽を呑み込む最強のギターアルバムでロックを再び静かに爆発させたジャック・ホワイトは'お前らの思い通りの俺には絶対ならない'と宣言した。
その言葉を胸に秘め、少しでもその領域に近づいた生き方をしたい。
きっとこうやって僕は、音楽に背を押されていき続ける。
それはきっと幸せな僕の普通だ。
 
皆様明けましておめでとうございます。
今年も当ブログを宜しくお願い致します。
 
 

多忙につきブログ休止中につきよく読まれる記事のまとめ【1987年生まれ的音楽記事まとめ】

只今多忙につきブログ更新出来ません…その代わりのよく読まれるまとめ記事音楽編

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多忙なのです。

新しい記事の思いつきを記事にまとめる時間が中々無いので、ご縁有りここまで辿り着いて頂いた方のために、少しでも素敵な暇つぶしになればとまとめ記事を作成してみました!

まずは音楽系の記事で良く読まれた記事のまとめを是非ご覧頂ければと思います。

 

 

人気のバンド&ソングレビュー記事

↓まずは心から愛するもう聴く事が出来ないバンド、No Use For A Nameの記事。↓

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↓伝説のバンドを自分なりに想いを馳せる、Nirvanaの記事。↓

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↓コチラはOasisに想いを馳せた記事。記事内にソングレビューのリンクもあります↓

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Green DayのBサイド的な入魂のサウンドトラック記事↓

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↓今年何故か凄く聞いたThe Vinesの記事↓

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↓エルレ復活に沸いた2018年。細美武士に想いを馳せた記事↓

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死ぬほど疲れた時に聞くロック16曲。まさに今聴きたい↓

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↓穏やかに眠りについてしまうタイドなオルタナロック20曲

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強烈な怒りに任せて書き上げた10曲のパンクサウンドトラック

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ロックアルバムの1曲目オープニングトラックのみを集めたサウンドトラック↓

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ロックによるクラシックスの名カバーを集めたサウンドトラック24曲↓

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↓ロックバンドのロゴに想いを馳せて40枚集めてみました。↓

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↓ロックファンこだわりのジャケットを集めてみました↓

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↓ロックバンドの由来をまとめたコラム↓

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もうすぐ復活予定

まとめた記事で少しでもお楽しみ頂ければ幸いです。

もうすぐ落ち着くのを目標に諸々精進していますので、新しい記事もお待ち頂ければもっと幸い。

それでは皆様、良い年末を。

1987年生まれによるハイスタ回顧録2

1987年生まれによるHi-STANDARD回顧録2!ソングリストの前に前書き

想いを馳せたい前書き

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1987年生まれの僕はいわゆる’ハイスタ世代’と呼ばれる世代ではない。
前にも書いたが生まれながらのパンクスではなかった僕のAirJam2000とかハイスタ絶頂期の頃のヒーローは、サッカー日本代表FWの城彰二だった。
それでもいつしか当たり前のようにロックを聞くようになって、当たり前の様に僕の前にも現れたハイスタは、今まで聞いたそしてそこから聞く事になるどんなバンドよりもデタラメにカッコよかった。
そんなわけで、何でも大げさに言う僕に言わせてもらえば、ハイスタ復活以降のニュースは初めて当事者となれて、まるで新しい人生が始まったかの様なハッピーな感触だったのだ。
 
バンドの歴史とか改めて書く必要がないくらいのレジェンドバンド。
当時を知るファンからしたら今で言えば、って例えて言い替える事すら、少し寂しい様で。
あんなバンド他にないよ、今あるどんなバンドよりも凄かったんだって、そんな想いをおじさん達は目をキラキラさせながら僕らに言ってくる。
ハイスタをこの目で見るまでは、それが心底羨ましく実は若いことを経験ないみたいにディスられてる気がしてちょっとムカついたりもしていた。
お前が思ってる以上にハイスタ聴いてるってば。
そうムカついてはいながら語るおじさん達の熱量は何かホンモノだとわかるモノで、今僕らの時代で鳴っているどんな音よりも鮮烈なものだったのかもしれないと実は気付いていた。
 
それでも実際に彼らの復活を目撃し、ライブで見てCDショップに彼らの新譜が並ぶ光景を見て、どこか当事者になれた気がしたのは嬉しかったし、ハイスタってワードが世間を自分の周りを飛び交うここ何年かは、今まで経験したこと無いワクワクに囲まれて生活してるみたいで物凄く楽しかった。
 
 
 
例えばテレビから数秒ステイゴールドが流れたとか、ショッピングモールのバンズの店でディアマイフレンドが流れてたとか、それだけで幸せで胸がいっぱいになり嬉しくなる。
思えばハイスタのトラック達には昔からそんな事が多かったけど、それがより身近になったという事なのかもしれない。
もっともっと僕の周りで鳴れ、と思うようになったのだ。
 
メロディアックに明るくファニーに、反骨精神溢れた等身大のタフネスとキッズの生きる術を示す。
決して現実は変わらないけど、ユーモアと夢に溢れた彼らのパンクサウンドは、時代を動かした事実とともにオーセンティックな香りすら漂う作品だった。
ただそういう解釈も間違ってはいないが、年齢を重ねキャリアを積んでも、絶対にその表現や円熟や枯れた味わいなんて所にはいかない。
その姿こそが逆に年齢やキャリアを考えると凄みとなって、過去も現在もイコールでよりシンボリックなものになっている気がするのであるのだ。
 

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ハイスタの曲には、彼らの瞬間・予感がある事だ。
例えば、'STAY GOLD'のイントロのリフが今まさに流れる、その刹那の瞬間。
'New Life'のコーラスの重なる瞬間、'My Herat Feel So Free'が走り出す瞬間、'Maximum Overdrive'のソロからギターサウンドが跳ね上がる瞬間。
 
 
そういう僅かな瞬間。
単なる曲の山場とか見せ場とかみたいな表現では済まない、超強力なロック的なシーンの少し前。
来るぞ来るぞ、とヒリヒリ心を焦がし、爆発と共に身体が音に引っ張られたり、笑顔だけど涙がこぼれそうになる、本当に深く心が揺れる瞬間。
見えない手でつながっているんだと確信できる親密な暖かさ、誰にもに届きやすくありながら、実はパンクスだけに共鳴する秘密めいたアツい響き
上手く言えないけど、それが数瞬に凝縮されて香る’ハイスタらしい’瞬間・フレーズの数々。
どのバンドにもあるだろう瞬間だけど、凄く自然で深く振動が来て、どのバンドより尊い。

時代を動かした熱量とか、そもそもの音圧とか、全てが結晶になってキラリと輝いて、今僕らを動かす燃料になる。
メロディックでパンクな音楽の瞬間着火的な魅力が、そのソングライティング&演奏の才能により最もナチュラルな形で、それが常にオリジナルであり続けられるクラシックな魅力的に優位を保ちつつ永劫残る。

『永遠の若さを手にした音楽』なのだ。

ハイスタの名曲たちには、そういうものが凝縮されてあるんだと思う。

だから僕みたいなやつが聞いても問答無用のアンセムになり得るのだ。

 
こんだけ時が経てば、ハイスタのハの字すら全然知らない人から、ドの字の先の先まで知り尽くした人まで幅広く、そして大多数のその中間の人が溢れまくっているだろうと思う。
これだけのバンドであれば、各々、数々のサウンドトラックが存在するはず。
 
僕なんかきっとまだまだだ。
それでも今、書かずには、想いを馳せずにはいられない。
エルビス・プレスリーから続くロックンロールへの恋は、彼らが引き継いた。
ハイスタに世代なんてないのだ。彼らもそう言っている。

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1987年生まれによるハイスタ回顧録2、今聞かずにはいられないハイスタの名曲20曲。
もう上から行く、重要過ぎる曲からどんどん書いていきます。
是非読んで聞いて頂き、素敵な暇つぶしになってくれれば幸いです。
 

後編ソングレビューはコチラ!

Mxpxの'Mxpx'で平成最後の年末は概ね良い感じだ【ディスクレビュー】

平成最後の年末は、ポキナッチャ君と共に

このキャラクターを知っているだろうか?

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アメリカのストリートパンクバンドMXPXのキャラクターのポキナッチャ・パンクくんというイメージキャラクターで、僕のiPhoneのロック画面は2017年春のPUNKSPRINGで彼らを見て以降ずっとポキナッチャくんだ。

ガラケー時代から考えても異例の長さのワケは、MXPXのストリートでメロディックなパンクへの唯一無二なフェイバリット感から来ている。

www.footballsoundtrack.com

年末だからってもう遅いのにいきなり気を引き締めようと異様にピリつかせる奴ばっかに気を取られ、僕はこんなに毎日見てるポキナッチャくんとしっかり向き合っていなかった。

ちょっと遅れてから買った今年のMxpxのセルフタイトルによるNewアルバム'Mxpx'がそんな僕を今、極めてピースフルに前を向かせてくれている。

怒りに火を注ぐわけでも、現実逃避へ誘うわけでもない。

どこまでも爽やかに、俺は俺である、と高らかに宣言できる強さと真っ直ぐさ。

コレコレと必死で頭を振り、変わらぬ蒼さと優しい渋みに涙を堪える。

周りに変な目で見られようが、ピリついた奴が虚勢をはろうが、うるせぇ俺は今パンクロックアルバムを聴いてんだ、と投げつけてやれそうだ。

いまココに来て2018年最高のメロディックパンクアルバムになろうとしている'Mxpx'に想いを馳せる。

 

 

クラウドファンディングで作られた究極のファン向けの1枚

MxPx

MxPx

  • MXPX
  • パンク
  • ¥1500

2018年3月、MXPXがクラウドファンディングで新しい10枚目となるアルバムの制作費を集めるとリリースがあった。

なんかやり方を調べてる内に集まってしまってアルバム制作の1手は担えなかった。

ポキナッチャくんグッズが貰えたらしい。超欲しかった。

www.kickstarter.com

配信でリリースされたアルバムを買ってから色々調べた所、目標50,000ドルのところ270,000ドル集まっていた。ビビる。

大きな話題になっていたみたいだし、パンクロックアルバムがこういう形で時代のトレンドと結びついた上でまだまだ根強さを感じられたってのもとても嬉しいエピソード。

全収録曲のパフォーマンス映像も公開し、期待に応える気合は十分だと感じるプロモーションで盤石の体制で配信リリースを迎えた。

そして出来上がったこのアルバムは、自然と口角が緩む究極のファン向けの1枚だった。

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ポキナッチャくんがジャケットな時点で’もし彼ららしくなかったらどうしよう’という心配など微塵もない盤石感。

更には10枚目というバンドとしての強度を、ジャストなサイズ感でまとめるあざとさなしのストリートのカリスマっぷり。

ハーモニーとメロディーに重きを置いてパンクのロウなパワーを爽やかに炸裂させた信頼感の分厚いサウンドは何ら変わらずキレ味良く、既に何度聴いたって爽やかで仄かにアツく胸を締め付ける耐久性で抜群の聴き心地が持続しているのだ。

鮮やかにテンポを操り多彩なソングライティングで、メロディックなストリートパンクの中にも彩りを描ける彼らのバランス感覚が、全ての曲にキャッチーなハイライトを作り上げている。

そしてなんだろうこの優しさの正体は。

3人ならではのシンプルで鮮やかなハーモニクスと一つ一つの音の軽快さ、時にか細くなる瞬間にこそスッとナイーブな胸の奥の大切な部分に入ってきて、火を焼べるように暖かくなる。

きっと疲れも鬱な気分も、この曲達を味わうためのお膳立てだったんじゃないかと、みるみると穏やかに口角の上がる、メロディックパンクのバンドマジック。

クラウドファンディングと言うファンの想いが可視化された事に対して、真っ直ぐに向き合ったからこその結果の抱擁感かもしれないし、俺たちは君たちに支えられながら俺たちらしくいるよと、ちょっと大げさに言えばそれがMXPXはこうあるべきだという究極の核に、あまりにもさり気なく到達したような気がするのだ。

 

ソングレビュー

'Rolling Strong'


MxPx - "Rolling Strong"

アンプにギターを繋いだ時の高揚感をそのまま爽やかに爆風の舞うオープニングトラック。

ハードなフレーズのパンキーなベースから滑り出すメロコアサウンドは、スピード感抜群でじっくり聴かせるサビのメロディーの柔らかさも際立つ。
こういう丸っこい心地良さがハードでスピーディーなパンクサウンドと絶妙にブレンドしたのがMXPXのサウンドだと思えるジャストな開幕。
 
'All of It'


MxPx - "All Of It" (Lyric Video)

メランコリックなムードを纏った泣かせにくるメロディックパンクキラーチューン。

タイトなパンクサウンドも純度の高い透き通った空気感がもたらす包容感でメロディックパンクならではのキャッチーな聴き当たり。

'How Much Of Your Love'のキラーフレーズの独特のリズム感の歌い回しがフッキーで、実に心に残る鮮やかな一曲だ。

 

'Let's Ride'

シングル的なポジションにあるこのアルバムド真ん中の一曲。

速さに阿らずメロディーを流れるように操るMXPX節を端から端まで堪能できる。

ギターの和音の魅せ方コーラスの載せ方、どこまでも音色を豊かに聴かせるメロディックパンクの基礎がつまった信頼のおける彼らのスタンダード。

歌詞の中のブルースカイへ飛んでくような、ここではないどこかへ的ジャーニーサウンドとしてこっちの見通しまで良くなりそうな青い色彩の良曲。

 
'The Way We Do'
この曲好きだ!と胸を張って言いたい多分今年一番の曲。
取っ掛かりの強いリフのリズム。
キャッチーなボーカルとメロディー&ハーモニーの暖かみで、僕ら版のこれが私の生きる道を歌い爽やかに奮い立たせてくれる。
そのパーソナル感は他にない。
シンプル・プランとバッド・レリジョンが歌詞に出てきて嬉しい気持ちになるのもパンクファンあるある。
 
'Life Goals'


MxPx - "Life Goals" (Lyric Video)

ストーミーでソリッドなリフのタフなメロコアチューン。
抑揚あるメロディーの聞き心地に応えるボーカルのキレに耳を奪われ、ゴリゴリのパンクチューンでもメロディーとの融和性をみせるサウンドセンスにジワッと総毛立つ。
時に光の射す様なブライトネスな音の眩しさが、人生のゴールという大切なメッセージの前向きな重みを増してくれる彼ららしいメッセージ性。
 
 
'Moment Like This'
ラストトラックに相応しいテンダーな雰囲気のミドルパンクトラック。
10枚もアルバムを出し、1990年代を駆け抜けたパンクバンドが今、優しい言葉で人生を紡いだ彼らがファンへ向け共有したい想い。
僕らが死んでしまえば、子供達にキスをすることはもう出来ない。彼らは空を見上げ僕のことを思ってくれるのか?という胸を締め付けられるメッセージ。
そしてそれでも残った時間、こういう今、音を鳴らし歌を歌っている瞬間が恋しいんだ。と歌う彼らに、抑えがたく胸が締め付けられ暖かくなる。
 

もう少しだけ力が欲しい時

年末。

あと少しだけでいい。もうちょっとだけパワーがあれば。

そう言う時に、心の炎にちょっとだけ薪を焚べるような感触。

そんな優しいパンクアルバム。

ポキナッチャが僕の胸にいる限り、平成最後の年末は概ね良い感じで進んでいくのだ。