Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

Mxpxの'Mxpx'で平成最後の年末は概ね良い感じだ【ディスクレビュー】

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平成最後の年末は、ポキナッチャ君と共に

このキャラクターを知っているだろうか?

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アメリカのストリートパンクバンドMXPXのキャラクターのポキナッチャ・パンクくんというイメージキャラクターで、僕のiPhoneのロック画面は2017年春のPUNKSPRINGで彼らを見て以降ずっとポキナッチャくんだ。

ガラケー時代から考えても異例の長さのワケは、MXPXのストリートでメロディックなパンクへの唯一無二なフェイバリット感から来ている。

www.footballsoundtrack.com

年末だからってもう遅いのにいきなり気を引き締めようと異様にピリつかせる奴ばっかに気を取られ、僕はこんなに毎日見てるポキナッチャくんとしっかり向き合っていなかった。

ちょっと遅れてから買った今年のMxpxのセルフタイトルによるNewアルバム'Mxpx'がそんな僕を今、極めてピースフルに前を向かせてくれている。

怒りに火を注ぐわけでも、現実逃避へ誘うわけでもない。

どこまでも爽やかに、俺は俺である、と高らかに宣言できる強さと真っ直ぐさ。

コレコレと必死で頭を振り、変わらぬ蒼さと優しい渋みに涙を堪える。

周りに変な目で見られようが、ピリついた奴が虚勢をはろうが、うるせぇ俺は今パンクロックアルバムを聴いてんだ、と投げつけてやれそうだ。

いまココに来て2018年最高のメロディックパンクアルバムになろうとしている'Mxpx'に想いを馳せる。

 

 

クラウドファンディングで作られた究極のファン向けの1枚

MxPx

MxPx

  • MXPX
  • パンク
  • ¥1500

2018年3月、MXPXがクラウドファンディングで新しい10枚目となるアルバムの制作費を集めるとリリースがあった。

なんかやり方を調べてる内に集まってしまってアルバム制作の1手は担えなかった。

ポキナッチャくんグッズが貰えたらしい。超欲しかった。

www.kickstarter.com

配信でリリースされたアルバムを買ってから色々調べた所、目標50,000ドルのところ270,000ドル集まっていた。ビビる。

大きな話題になっていたみたいだし、パンクロックアルバムがこういう形で時代のトレンドと結びついた上でまだまだ根強さを感じられたってのもとても嬉しいエピソード。

全収録曲のパフォーマンス映像も公開し、期待に応える気合は十分だと感じるプロモーションで盤石の体制で配信リリースを迎えた。

そして出来上がったこのアルバムは、自然と口角が緩む究極のファン向けの1枚だった。

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ポキナッチャくんがジャケットな時点で’もし彼ららしくなかったらどうしよう’という心配など微塵もない盤石感。

更には10枚目というバンドとしての強度を、ジャストなサイズ感でまとめるあざとさなしのストリートのカリスマっぷり。

ハーモニーとメロディーに重きを置いてパンクのロウなパワーを爽やかに炸裂させた信頼感の分厚いサウンドは何ら変わらずキレ味良く、既に何度聴いたって爽やかで仄かにアツく胸を締め付ける耐久性で抜群の聴き心地が持続しているのだ。

鮮やかにテンポを操り多彩なソングライティングで、メロディックなストリートパンクの中にも彩りを描ける彼らのバランス感覚が、全ての曲にキャッチーなハイライトを作り上げている。

そしてなんだろうこの優しさの正体は。

3人ならではのシンプルで鮮やかなハーモニクスと一つ一つの音の軽快さ、時にか細くなる瞬間にこそスッとナイーブな胸の奥の大切な部分に入ってきて、火を焼べるように暖かくなる。

きっと疲れも鬱な気分も、この曲達を味わうためのお膳立てだったんじゃないかと、みるみると穏やかに口角の上がる、メロディックパンクのバンドマジック。

クラウドファンディングと言うファンの想いが可視化された事に対して、真っ直ぐに向き合ったからこその結果の抱擁感かもしれないし、俺たちは君たちに支えられながら俺たちらしくいるよと、ちょっと大げさに言えばそれがMXPXはこうあるべきだという究極の核に、あまりにもさり気なく到達したような気がするのだ。

 

ソングレビュー

'Rolling Strong'


MxPx - "Rolling Strong"

アンプにギターを繋いだ時の高揚感をそのまま爽やかに爆風の舞うオープニングトラック。

ハードなフレーズのパンキーなベースから滑り出すメロコアサウンドは、スピード感抜群でじっくり聴かせるサビのメロディーの柔らかさも際立つ。
こういう丸っこい心地良さがハードでスピーディーなパンクサウンドと絶妙にブレンドしたのがMXPXのサウンドだと思えるジャストな開幕。
 
'All of It'


MxPx - "All Of It" (Lyric Video)

メランコリックなムードを纏った泣かせにくるメロディックパンクキラーチューン。

タイトなパンクサウンドも純度の高い透き通った空気感がもたらす包容感でメロディックパンクならではのキャッチーな聴き当たり。

'How Much Of Your Love'のキラーフレーズの独特のリズム感の歌い回しがフッキーで、実に心に残る鮮やかな一曲だ。

 

'Let's Ride'

シングル的なポジションにあるこのアルバムド真ん中の一曲。

速さに阿らずメロディーを流れるように操るMXPX節を端から端まで堪能できる。

ギターの和音の魅せ方コーラスの載せ方、どこまでも音色を豊かに聴かせるメロディックパンクの基礎がつまった信頼のおける彼らのスタンダード。

歌詞の中のブルースカイへ飛んでくような、ここではないどこかへ的ジャーニーサウンドとしてこっちの見通しまで良くなりそうな青い色彩の良曲。

 
'The Way We Do'
この曲好きだ!と胸を張って言いたい多分今年一番の曲。
取っ掛かりの強いリフのリズム。
キャッチーなボーカルとメロディー&ハーモニーの暖かみで、僕ら版のこれが私の生きる道を歌い爽やかに奮い立たせてくれる。
そのパーソナル感は他にない。
シンプル・プランとバッド・レリジョンが歌詞に出てきて嬉しい気持ちになるのもパンクファンあるある。
 
'Life Goals'


MxPx - "Life Goals" (Lyric Video)

ストーミーでソリッドなリフのタフなメロコアチューン。
抑揚あるメロディーの聞き心地に応えるボーカルのキレに耳を奪われ、ゴリゴリのパンクチューンでもメロディーとの融和性をみせるサウンドセンスにジワッと総毛立つ。
時に光の射す様なブライトネスな音の眩しさが、人生のゴールという大切なメッセージの前向きな重みを増してくれる彼ららしいメッセージ性。
 
 
'Moment Like This'
ラストトラックに相応しいテンダーな雰囲気のミドルパンクトラック。
10枚もアルバムを出し、1990年代を駆け抜けたパンクバンドが今、優しい言葉で人生を紡いだ彼らがファンへ向け共有したい想い。
僕らが死んでしまえば、子供達にキスをすることはもう出来ない。彼らは空を見上げ僕のことを思ってくれるのか?という胸を締め付けられるメッセージ。
そしてそれでも残った時間、こういう今、音を鳴らし歌を歌っている瞬間が恋しいんだ。と歌う彼らに、抑えがたく胸が締め付けられ暖かくなる。
 

もう少しだけ力が欲しい時

年末。

あと少しだけでいい。もうちょっとだけパワーがあれば。

そう言う時に、心の炎にちょっとだけ薪を焚べるような感触。

そんな優しいパンクアルバム。

ポキナッチャが僕の胸にいる限り、平成最後の年末は概ね良い感じで進んでいくのだ。