2019年最初のライブはパンクレジェンド、オフスプリングを見る
ギンギンに寒い2019年1月10日。
何かと話題でホットな地域の豊洲は、体感で僕の家の近所の2倍は寒い。
厚手のパーカーの下、この日の僕の胸にはスカルマークが燃え盛っている。
何度も何度も見たこのバンド。
何度も見ようが寒かろうが暑かろうが風が吹こうが見に行くバンド。
きっと‐10℃~38℃くらいまでなら全然出かけるだろう。
やるべき曲をやってくれるという絶対的な信頼感、トップランナー且つレジェンドして懐メロショー的な雰囲気を微塵も感じさせない今強靭なパワー。
この曲を聞かずして帰れないというアンセムだらけのジェットコースター的な超ホットなライブ。
外の寒さも、返してないメールも、ムカつく人間関係も、一切この中では歯が立たないのだ。
The Offspringのライブはそういう場所だ。
今回も最高でした。
The Offspring Japan Tour@豊洲PITに想いを馳せる。
東京出身のオープニングアクト COUNTRY YARD
18:00の開場から既に割りかしパンパンに人が入る豊洲PIT。
初めて来た豊洲PIT。新して凄く見やすい作りの何かと居心地の良さそうなライブハウスだ。
Sum41が流れるフロアは既に熱が入っている人もいる。
19:00ぴったりくらいに暗転しいつの間にかステージにいたオープニングアクトCOUNTRY YARDのライブが始まる。
東京都町田市で結成した1987年生まれ的に超同世代メロコアバンド、カントリーヤード。
初めて見る機会だったが、アツくアグレッシブなライブを見せてくれた。
オフスプのオープニングらしくメロコアチューンのパンチ力もあり、それに留まらない幅広いロックサウンドで結成十周年の厚みも魅せる。
何かこう魂を自分に入れ込んである意味ナルシスティックにパフォーマンスする姿も、アツいものが迸っていて全然嫌な気にならない。
アツい言葉をどストレートに残す事が、何よりこの場所でも響き、開場の雰囲気は明らかにトーンが一段階上がったオープニングだった。
COUNTRY YARD / Starry Night (Official Live Video)
議論の余地もなく最強のパンクアイコン The Offspring
良い感触のオープニングを終えて、更にフロアは超満員になってくる。
The Offspringのロゴがステージに出てきただけで怒号のような歓声が上がり、流石にまだ始まらないだろうって時間でもテンションを留めきれていない、そういうエネルギーを各所から感じる熱気溢れる空間がもう出来上がっていた。
2018年中には新しいアルバムを、とアナウンスがありながら結局リリースはなく現在はレコーディング中だそうだが、決してこっちも焦ってはいない。
オフスプなら出来栄えのクオリティーは間違いないし、なんならガッツリと練り上げてくれた時の方がきっと半端ないものになる確信すらある。
そういう圧倒的な信頼感は決して盲目的なわけでない。
90年代ロックシーンを制し僕らが物心ついた時から現代のパンクレジェンドであったオフスプリング。
何度も音源をそしてライブを通してその巨大な貫禄を目の当たりにしつつも、僕らの生活のサバイバルの中においてもとても重要に鳴り響く身近さに気づかせてくれ、ブレてはいけないホンモノの尊厳に気づかせてくれる。
パンクの鋭利さと躍動感を内包し、キャッチーに届きやすくも鋭く魂を掴む様な、そういう音楽体験を何度も繰り返し、実体験を通して心と身体に刻まれた事が、永遠に正しい事を思える信頼感の根拠になっている。
オフスプリングとは?みたいな事を考えていたら20:00に暗転を迎え、いよいよライブが始まった。
想いを馳せるのは後だ、今は踊って狂いたいのだ。
ドラムのピートからフレンドリーにステージに上り、サポートのギターと今回初めてみたレッチリのフリーみたいなノー・ダウトのベースのトニーが徐々にステージに上がる。
この流れはもしや...という粟立つ空気の中、ドラムのプレイから'Americana'でスタートする。
走ってステージに上がったヌードルズとデクスターの姿に一気に沸騰するフロア。
ヌードルズのギターを弾く姿とそのエッジーなフレーズに拳を突き上げ、デクスターの叫び声でめちゃくちゃになるのっけから快楽指数MAXのパンクロックライブっぷり。
1曲目終わりから肩で息をする僕らを満足そうに見据えるデクスター、そのままフリーハンドでの'Ya Ya Ya Ya Ya Ya !'の声に、嘘だろと思いつつ、さっきまで肩で息してたことも忘れ更に爆発するフロントエリア。
この声を聞きに来たのだ。
2曲目からの'All I Want'飛ぶやつ踊るやつ走るやつ歌うやつ入り乱れるめちゃくちゃな空間、それでも拳だけはステージに向けるベクトルだけバチッと合った心地良いカオスが一瞬で出来上がった。
'It Won't Better'をはさみ、MCで'昨日も凄かったけど今日もアメイジングだな!'とマシンガンのように喋るヌードルズと笑顔で僕らを称える様なデクスター。
2人とも2年前見た時よりお腹も出ていたが、1ミリもカッコ良さは損なわれず、変わらぬギターと変わらぬ声はどこまでもオリジナルのままで、そこは毎回驚くポイントであり何処か同じスタイルの飄々とした空気があるからこそ力強いのだ。
ここからもう怒涛の展開。
悪ふざけ入ったタフなオフスプ節満載の'Come Out And Play'、最速メロコアナンバー'Hammerhead'、そのメロコアを越えた位置でグルーヴを手に入れた名曲'Hit That'、もう一度ギアを上げアッパーに切り刻まれるキラーチューン'Staring At The Sun'と畳み掛ける。
1秒足りとも見逃せないエゲツないアンセムのラッシュ。
彼らのキャリアの厚みだからこその超絶怒涛感であり、パンクのみならずオルタナティヴに幅広いロックサウンドありのレンジの広さも、彼らのキャッチーさ/ユーモアに繋がり、変幻自在にグルーヴィーに踊らせてくれるのだ。
気づけばデクスターも肩で息をしていたが、間髪入れず'One Fine Day''What Happened To You?'のエネルギッシュで超陽性のスカパンクナンバーを重ねてくる。
もう今日、倒れるかもしんないと腹を括り、こっちも全力でコール&レスポンスを叩き込み、自分も周りのやつもネジが外れてきている様なイカれたエネルギーを感じ何か大きな塊になった感も感じる。
The Offspring What Happened To You
ライブの折り返しに入り、このツアーで披露し続けてきているAC/DCのカバー'Whole Lotta Roise'も素晴らしかった。
The Offspring - Whole Lotta Rosie; Michigan Lottery Amphitheatre; Sterling Hts, MI; 8-14-2018
過去最高音のデクスターのボーカルに楽しそうにセクシーなフレーズを弾きまくるヌードルズ。
ハーフタイムショー的なエンターテイメント感に歓声を上げつつ、ここから後半戦に入る。
燃えるメロコア'Bad Habit'の'goddamn motherfucker!'でこの日一番の声が揃い、'Original Prankster'に踊り狂う異常なテンション。
もう無理これ以上踊れないとか、これ以上はしゃぐのは恥ずいとか、そう言うタガを外し外の世界で心の奥の奥に閉じ込めていた本能・感情を引きずり出すトリッピーな高揚感を味わったのは、きっと前回のオフスプリング以来なのかもしれない。
ちょっと攻撃性が溢れて止まらなくなりそうな狂気に包まれつつあったフロントエリアに、アコギに持ち替えたデクスターから'Why Don't You Get A Job?'が降り注ぎ一気にハッピーに朗らかな空気に変える。
至福のハンドクラップの重なり、50人くらいの肩組んだサークルが出来たり、全員が全員今日一番の笑顔で歌う多幸に満ちた瞬間。
そういう幸せな空気を壊さずに空間を震わせるハイトーンシャウトを決めるデクスターに惚れ惚れしつつ終盤へと入る。
今日のライブを象徴するようなジェットコースター・アンセム'Walla Walla'、ディープでヘヴィなロックチューン'(Can't Get My) Head Around You'でもう一度炎を注ぎこむ。
最高の夜だったよ!と肩で息するデクスター。
久しぶりにこんなに近くで見て、そういうリアルな彼らの姿を見れた事が今回はすごく良かったし、同じくらい燃えるように汗かいてる僕らと一緒に作り上げてきた感が嬉しくてしょうがない。
'Gunter glieben glauten globen'のSEに瞬間着火し'Give it to me,Baby'の声に'アハンアハン'をデクスターと一緒に返す。
いよいよの'Pretty Fly'に飛んで跳ねて最高潮のテンションを各々が表現しつつフロントエリアに雪崩込む。
聞かずには帰れない必殺曲、何度聴いても聞く度にその強靭さ楽しさに驚き気持ちよく踊れる。
何も考えずただただ彼らの音に合わせて歌い踊る、顔を上げれば眩しいライトの中でデクスターが歌ってるのだ。
空っぽギリギリの体力で感じる幸せな光景に、全員が全員拳をもう1段階強く握り突き上げるのだ。
そのままあっという間に'Want You Bad'になだれ込み、西海岸の空から届いたようなどこまでも伸びやかなサウンドを全身で受ける。
色んな感情を吹き飛ばし何かアツいものだけ残す様な完璧なポップパンク旋風の感触は、締めるには相応しいこの曲しか無いと思える大満足の本編ラストソングとなった。
The Offspring - Want You Bad (Official Music Video)
間髪入れずに現れたアンコール。
実は一番聴きたかった'You're Gonna Go Far,Kid'をシリアスにクールにキメ、ラストは'The Kids Aren't Alright'をいつも通り劇的にキメる。
数えてみたら全19曲。70分一切無駄なしの一本勝負。
少し短いかなと想いつつ、身体の疲れ充足感は半端ない。
それは彼らもきっと全く同じのはず、僕らの全く同じ顔でステージを少しだけ名残惜しそうにそれでも颯爽と後にしていった。
この後姿もまた見たかったのだ。
ジェットコースターの様なライブ また会う日まで
ホントあっという間だった。
アレもコレも聞けたし、アレやコレも聴きたいけど、でも十分だ。
きっとまた見た時にやってくれるだろう。そんな確信すら間違ってないと思える相変わらずの最高の光景だった。
1月の豊洲は寒い。
それでも必要なのはスタバもコーヒーなんかじゃなくて、胸に秘めた燃え盛るスカルマークだ。
Set list
1.Americana
2.All I Want
3.It Won't Get Better
4.Come Out And Play(Keep 'Em Separated)
5.Hammerhead
6.Hit That
7.Staring At The Sun
8.One Fine Day
9.What Happened To You?
10.Whole Lotta Roise(AC/DC cover)
11.Bad Habit
12.Original Prankster
13.Why Don't You Get A Job?
14.Walla Walla
15.(Can't Get My) Head Around You
16.Pretty Fly
17.Want You Bad
Encore
18.You're Gonna Go Far,Kid
19.The Kids Aren't Alright