今、炎のパンクロックカーズ オフスプリングに想いを馳せる
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日常におけるオフスプリングの存在感
バンドに取っては下積みの時代で、デクスターは高校内でも指折りの秀才だったらしくパンクバンドを選んだ彼は後ろ指を刺される事も多かった。
実際にこの時の想いを込めた歌詞の曲も多く、実際上に載せたAll I Wantがまさにそういう曲だし、それが見事にカウンターでキマっているからオフスプリングのストーリーは痛快なのだ。
すでに1989年の1stアルバム'Offspring'のリリースの時点で彼らのパンクへの自信は確信に変わったという。
2曲目に入っている'Elders'のレコーディングを終えた瞬間にそう思ったようだ。
彼ら自身にも彼らを含んだシーンの爆発の予感を感じていたはずだし、その嵐の中でも堂々とド真ん中で振る舞える音のクオリティとカリスマ性が彼らにはあった。
事実1994年に3rdアルバムの'Smash'はパンク史上空前のヒットアルバムとなり、同年メジャーデビューしたGreen Dayの'Dookie'と共に、全世界で1000万枚を超える売上を叩き出し、メロディックパンク/メロコアムーブメントは世界のロックシーンを大きく動かしていった。
その後のアルバムでも幅広いサウンドに、自らのオフスプ節を波及させて数々のアンセムを産み出し、それが今でも世界各国あらゆる媒体で何の違和感もなく鳴らされているのだ。
今や活動30年の超がつくベテランでも全く勢いを失うこと無くリスペクトを集め続ける所以となる滲み出る’ホンモノ感’は彼らのアイデンティティーでもある。
Offspringは現実的で最強のパンクアイコン
社会的世相を切りながら’ニセモノになるな’’ワナビー(知ったかぶった奴)どもになるな’’ホンモノの悪ガキになるんだ’と繰り返し僕らに説く。
フラフラと流行りの匂いに連れられてイケてるフリは寒いぜ?
硬派とか軟派とかファッションの上っ面じゃなくて深層でどうなんだ?
俺たちがなっちゃいけない姿を気持ちいいまでにこき下ろすメッセージは、突き刺さる上に思い切り楽しい。
そう楽しいのだ。Give it to me babyでアハンアハンなのだ。
パンクという硬質な精神も持ち合わせながらジョークのセンスでストリートっぽさを内包しているのがメロディックパンクの真髄でもあるが、そのジョーキングセンスもぶっ飛んでいながらインテリジェンスで痛快かつ秀逸なのだ。
おそらくここまでぐうの音も出ない程ブチのめし、そして聞いてる人の共感を誘い面白く周りをこき下ろせるバンドは、パンク界でNo1で有り続けてるんじゃないか。
13てタトゥー入れたかったのに31って入れられたってプリティ・フライでダサい奴をからかい、バックストリート・ボーイズだ!と衣装を着せたダッチワイフをステージ上で破壊したり、急に無料ダウンロードで曲を配布し更に抽選で100万ドルプレゼントしたり。
アンチファッション的アンチポーザー的で彼らが彼らの誇りを守るために戦うべき所が何処までもブレず、そしてその言い回しとか目のつけどころ方法論が、聴くキッズ達を俺もこういうやり方で生きていきてぇ!と惹きつけて止まないのだ。
ただ怒りを撒き散らす自棄っぱちな一発屋パンクとは違い、一貫してそのスタイルを貫く事で長らく僕らのバイブルになり得た音の強靱さと楽しさと正しさ。
どのタイミングで聴いても正しいし、だからこそどこかで混ざって聴いてもエンジンがかかった様な喜びに包まれるのだ。
きっと僕自身が間違っちまった時に聴いたとすれば、ハッと気付かせてくれるし、聴いた時に自分がブレていた事に気づく。
彼らが絶対にブレないという信頼感が根底にあるから指標にすらなるのである。
永遠に正しいガイドスター
少し難しく言うならば議論の余地もない最強のシンボルとして君臨する風格だけではなく、そういうオーラみたいなものすら音一発で感じさせることの出来る楽曲の説得力も伴っていたからこそオフスプリングは唯一無二の兄貴感を手にした。
結局、硬派だろうが軟派だろうが勘違い野郎も心から躍らせるパンクサウンドのキレ味が何よりも必要。
汗だくで踊り終わった後、燻っていた理想とのギャップが炙り出された様で、それでも嬉しい他のどのバンドも到達してない領域の満足感がきっと彼らの曲には満ちてる
西海岸パンクのカラッとした風を感じさせるサウンドを基調にした明るくタフなパンクサウンドには、ポップだパンクだ、キャッチーだアングラだなどのチャチな二元論は少なからず付きまとってくる。
それをきっと彼らはオルタナティヴに解釈し、オフスプリング節と言えるパンクの形態を創り上げた。
ハードコアのストイック&タフで鋭利さ。
ニヒルなユーモアセンスを持ち前のポップセンスで練り上げた躍動感。
その2面性がどこまでも説得力のあるバランスで機能する圧倒的なウォール・オブ・パンクサウンドを創り上げたのだ。
小気味いいテンポから超高速のグルーヴまで自由自在にリズムが変化する中、アツさと華やかさを備えたデクスターのハイトーンボーカルが力強く鮮やかにリズムを先導して疾走る。
ユニークでフックのあるリフのセンス。
コミカルなときはちょっとニヒルさを香らせ、ストイックに疾走るときはビリビリ感じさせるパンクギターの表情もみたいなのも見事だし、コミカルでタフなサウンドセンスとキャッチーなメロディーセンスが完璧にアンビバレントに成立する。
単純に聞いていて気持ちの良い瞬間が続きまくるバウンシーな物だし、何より聞いてるだけでなくあらゆる箇所に用意されてるシンガロングのポイントが超アッパーなのだ。
来るぞ来るぞ...キター!!という鉄板の信頼感は決して予定調和的ではなく、何も考えずにめちゃくちゃなまま叫び踊るエモーショナルなものだ。
そういうご機嫌さをタフにハイクオリティーで、音楽的興奮と心のど真ん中を撃ち抜いてくれた感動はかつて無くこれからも唯一無二なものだ。
きっと1億回聞いたって初めてみたいに滅茶苦茶に踊れる。ちょっと上手くなってるかもしれないけど。
The Offspringに想いを馳せる
あの定食もオフスプリングも変わらない。
何か違うなと思ったら俺が変わっちまっただけだ。
Offspring アルバム!
- アーティスト: オフスプリング
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
- 発売日: 2005/06/29
- メディア: CD
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