Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

人生を決定付けた1曲 ELLEGARDEN'Alternative Plans'に想いを馳せる

ELLEGARDEN 'Alternative Plans'に想いを馳せるコラム

元号が変わるなんて思いもしてなかった。
平成とタメで歳を重ねる1987年生まれの僕にとって、実は平成は凄く馴染み深かったのかもしれなくて、今のところしっくり来ない感が僕を支配している。
これはターニングポイント的なタイミング。なんせ国ごと動いた。
自分の事を考える時間が中々無かったが、やっと落ち着いてきた今自分の事を考えてみる。
 
皆様にもあると思うが僕にも人生を決定付けた1曲がある。
ELLEGARDENの'Alternative Plans'
何処か普通ではない、そういう意味で少し違った何かにこだわって生きたい。
鮮やか過ぎるこのオルタナティブというワードに僕は心を奪われそう決めた。
でもいつしかそれを追ってるだけでカッコいいと思ってた。
’そんな風になるつもりはなかった’
この間ふと聞いた時に、ふとそんな歌詞が心に刺さって痛かった。
何千回と聴き重ねて、その度にわかった気でいたが、まだまだ僕は言葉を振りかざしてるだけだった。
 
大好きな言葉、大好きな曲だからこそ、自分の本質に共鳴させて譲れない物に練り上げていく。
新しい時代を生きる為、ここで大好きな一曲に想いを馳せるちっちゃいコラムだ。
素敵な暇つぶしになれば幸い。
 

ELLEGARDENの他記事

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ELLEGARDEN'Alternative Plans'

 

Alternative Plans

Alternative Plans

  • ELLEGARDEN
  • ロック
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2008年の活動休止前、最後のシングルとなったのが2006年の'Salamander'。そのカップリング曲に'Lately'とともに入っていたのがこの'Alternative Plans'だった。

Altenativeという言葉は訳すと凄く難しい。

「代わりとなる・(今までにない)新しい・慣習的方法を取らない。」というニュアンス。

Alternative Plansは「今と違う代わりの選択肢」という意味になる。

ロック・ミュージック的にもオルタナティブ・ロックという大きな括りでこの言葉は使われてて、もちろんエルレもオルタナロックバンドと言えるだろうし、このタイトルもそんな部分からインスパイアされたものもあるかもしれない。

少なくとも僕らロックリスナーにもピンときやすいワードだった。

 

その後、最後のオリジナルアルバムとなったのが2006年の'ELEVEN FIRE CRACKERS'にも再録して収録されたアルバムの曲ながら凄く大切な一曲。

このアルバムのツアーのライブDVDのエンドクレジットの曲にも使われていたり、今思えばどこか時計の針を止めかけていたバンド活動を照らし合わせて見ると、余計ドラマチックにオルタナティブという言葉が目を引く。

オルタナティブなプランが何を歌ったものなのか、には邪推も含め色んなことが想像できるし、それが聞き手のパーソナルな状況に重なり響くのも名曲の条件でもあるのだ。

実際のオリジナル・アルバムのエルレ最後の曲は'Marie'だったが、どこか彼らの時代のラストトラックの様なイメージも勝手にもってしまう憂いと切なさを孕んだ爽快さがあって、どこかELLEGARDENのサウンドが彼ららしく色濃く結実した感もあった。

 

'Salamander'のカップリングの初録版の方よりも、再録したアルバムVerの方が僕は好き。

イントロからカセットテープ聞いてるみたいなモノクロームな雰囲気の弾き語りから幕を開ける。
アコースティックで美しいギターの音に鮮やかに映えるクリアなイントネーションの細美のボーカル。
透き通った伸びやかな声はポジティブでありつつ、どこかセンチメンタルに尾を引くブルーな憂いを残す。
’夢に見る事がある。今と違う環境を手に入れる僕達を。’
’ごめんね、こんな風になるつもりじゃなかったんだ。’
割とヘヴィな閉塞感を穏やかに美しいメロディーラインに乗せて歌う。
このブルーであっても陰湿にはならずカラッとした感触こそエルレガーデンの音楽的な特徴の1つだった。
 
助走ゼロで瞬時にロックサウンドど合流しスピーディーに展開していく。
あっさりとロックさを帯びれる鮮やかなメロディーだからこその爽快さで、跳ね上がるドラム、振り下ろされるザラザラのギターでシンプルにエッジが効くいつまでも噛み締めていたいヴァースの部分。
’いくら正当化したって、結局うまくなんて行かないんだ’
自堕落な生活とそれを正当化する自分を蔑んで行くメッセージも、どこか無機質なほどニュートラルに淡々としたテンションで、どこか達観したようなクリアなボーカルが進む。
 
ロックな音像に慣れてもう一段階厚みがまして、もう既に聴き馴染みの良いサビに入る。
いつの間にか見渡せば星空の下にいたみたいな様な、キラキラとした世界が回っている燦めく高揚感。
WeezerNew Found GloryJimmy Eat World全部混ざってオルタナティブにキャッチーに弾けた音楽性こそ、最も歌って欲しい歌を歌っているというエルレの魅力そのものだし、瞬時にサビがメロディーが口ずさめる親しみのあるサウンド。
高速で僕らを巻き込みながら降り注いでいくドラマチックな盛り上がりでも、馬鹿みたいに明るくなく、どこまでも少し憂いがあるからこそパーソナルな心のどこかにすっと染み入るのだ。
どこか諦めた様にでも爽やかに終始するボーカル、胸の奥につっかえるモヤモヤがあっても爽快に見上げられる僕らの現実レベルでもリアルに重ねられる想いがあるはずだ。
 
'心が何かを求めても、いつもごまかしている'
こういう類のメッセージをあるゆる場面で細美武士は言ってきた。
感情に素直になる為には、ありとあらゆる障壁がある。
それは時に自分自身でもあったりして、その為の闘いをしなくてはならないのだ。
ドライに爽やかだけど、感情から生み出され終盤につれライトアップされる様な細美の声と、紡ぐ様に優しく鳴るギターメロディーに、ポップな美観を損なわず、爽快に憂鬱にロックサウンドを滑らせるサウンドデザイン。
聞き手として一方的に聞いていたはずが、いつしか同じ方向で音に乗り物思いにふけられる、Alternative Plansはパーソナルなアンセムになった。
 
何もかもが順風満帆で1つも問題が起こらない事などあり得ない。
その度にオルタナティブな事に想いを馳せているだけでは駄目なのだ。
現実逃避的なメッセージが続くこの曲で、これに気づかないといけない。
 
オルタナティブとは、凄く絶妙な言葉だ。
ポジティブでもあるしネガティブにも成り得る。
最初と違ってもいい。
でも違う事だけを誇るな。
それだけ厳しいことを自覚しろって事だと、今襟を正された気分だ。
こうやって名曲はよりパーソナルに深いものになっていくんだろう。
 
聴く度に何か答えを見つけなきゃいけないわけじゃない。
その時何か掴みかければいいのだ。
この曲で星を数える様に自分の失敗を数えればいい。
きっとそこに輝いているから。
そういう機会を与えてくれるのだこの曲は。
 
やんなきゃ行けないこと、やりたいこと、やった方がいいこと。
元号が変わろうがその全てが好きと嫌いでわかれてて、好きな奴嫌いな奴が絡んでくる。
ちょっと外れた位置にいる僕を格好いいなんて思わない。それは正当化だ。
こうあるべき、自分はこうあって欲しいと願ってやまない姿、そこに向かう決意を燃やせた良い時間だった。
こうやってまた歌と一緒に令和も過ごせたら、それは幸せなんだろう。
 
雑記にお付き合い頂きありがとうございました。
またこうして文章を書き続けていければ幸い。
それではまた別の記事で。

【無人島に持っていく一枚シリーズ7】The Raconteurs 'Consolers Of The Lonely'【ディスクレビュー】

無人島に持っていくならどのアルバム? 2019.04 リライト

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無人島に持っていくCDアルバムシリーズ7
新譜のレビューはやっていたけど、それ以外にも心に刺さったアルバムは山ほどあるのだ。
音楽友達と良く酒飲みながら話すネタ、無人島に持っていくならどのアルバムを持っていく?という話題。おもしろかったので記事にしました。のその7
 
今回は2000年代オルタナティヴ・ロック界最大最強で唯一無二のスーパーバンドThe Raconteursの2ndアルバム'Consolers Of The Lonely'をご紹介します。
何気ないミュージシャン同士の横の繋がりというモノは何ともロマンに溢れるもので、しばしばこういう絶妙な天才同士のコラボレーションが途方もないレベルのクオリティーで実現する事がある。
White Stripesジャック・ホワイト、シンガー/ソングライターのブレンダン・ベンソンという強力無比なオルタナティヴツインギター&ボーカルに、Greenhornsジャック・ローレンスパトリック・キーラーのブルージーなリズム隊。
お互いの引力に惹かれ普通じゃない奴らの音が弾けて混ぜ合わさったオルタナ&ガレージなロックは、難解さゼロのシンプルながら突き抜けた決定的な衝撃があって実に明快なオルタナティヴロックの完成形だと確信できた。
究極的であり実に合理的で、それはつまりごまかしのない凄さ。
本日はこの一枚をレビューします。
 

White Stripesについての記事はコチラ!

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ブレンダン・ベンソンについてはコチラ!

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ここまでの無人島シリーズ

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The Raconteurs 'Consolers Of The Lonely'

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Consolers of the Lonely

Consolers of the Lonely

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コンソーラーズ・オブ・ザ・ロンリー

コンソーラーズ・オブ・ザ・ロンリー

 

 

オルタナティヴでガレージなロックの達人同士が組んでラカンターズが生まれたのは2005年の事だった。

The Raconteursは直訳すれば話し上手な人という意味らしい。

1998年頃には全員知り合いで、お互いのバンドの活動が落ち着いたとこで'バンド組もっか'と同窓会的なノリで組まれた、知る人ぞ知る界隈では震えがるようなケミストリーを、間違いなく発揮しそうな最適で最強の組み合わせの4人だった。

 


The Raconteurs Salute Your Salution - Later with Jools Holland Live HD

 

ガレージロック旋風のど真ん中で世界を揺らしたバンド、ホワイト・ストライプスの

ボーカル/ギター、ジャック・ホワイト

美しいメロディーセンスとキレの穏やかな歌声で特別な存在のシンガーソングライターとして活動する、ブレンダン・ベンソン

リズム隊のモダン・ブルースロック・バンドGreenhornsのジャック・ローレンスパトリック・キーラーもきっての実力者だ。

 

フロントマンの2人、ジャックとブレンダンのツインボーカルの掛け合いがバンドサウンドの中心に据えられていて、どちらも並みのボーカリストからは遠く離れた位置にいる天性の自然驚異的な歌のインパクトがエゲツない。
ジャック・ホワイトの狂気的ながら高音でアイコニックな声、ブレンダンの吟遊詩人の口笛の様な自然で澄んだ声。
リードギターとリズムギターの関係そのままに、時にはお互いの声をぶつけ合う様にシャウトし、時には溶け合うようなハーモニーを奏でる。
そのボーカルが乗る、ラフなガレージ・ブルースロックサウンド。
無駄ゼロのシンプルで即効性のあるメロディーに、甘美でスモーキーなノイズ絡んだサウンドは、受け継がれてきたルーツを正しく継承し、今の時代に最上の形で鳴らしたハイパーオルタナティブロックとなった。
それは今聴いて今鳴っても、ロック不況だなんだを吹き飛ばすほどの影響力を恒久的に閉じ込められている、そんなパンドラの箱的アルバムが彼らのセカンド 'Consolers Of The Lonely'であるのだ。

 


Consolers Of The Lonely - The Raconteurs (Live From The Basement)

 

2006年には1stアルバムを発表し、ボブ・ディランとツアーを回るというスーパーバンドらしい圧倒的なスタートを切ったわけだが、その1stのツアーの時点でこの2枚目のアルバムの構想はあったようだ。

そもそもラカンターズがオルタナティヴ界隈の達人同士で組まれた背景は、スーパーバンドらしくその場のフィーリングというか即興的に結成した経緯があり、一旦各々の活動の足を止めたニュートラルな状態のフリーなテンションで音を作れる利点はあったはずだ。

客前の演奏であっても、言うなればそのインスタントなジャム感は常にあったんだと思うのだ。
それが彼らの礎であり、ひいてはロックの原初的なイマジネーションの引き出し方にも通ずる。
即興的で圧倒的なポテンシャルを閉じ込めたというかぶち込んだ音塊。
ベースのメロディーは口ずさめる程シンプルなのに、ある種の畏怖すら感じる音圧は常軌を逸した天才の所業による本物感が常に漂う強い音なのだ。
マニアックで奇抜にも感じるフリーキーなサウンドの色付けも、それが王道になり得るのがロックであり華々しい程に美しい。

 

スペシャルなメンバーによるバンドのナチュラルに天才な雰囲気、1stの衝動を噛み締めた上で湧き上がる音像を捉えたその2枚目。すなわち完成形なのだ。

このケース、このメンバーでしか実現し得ない稀有でオーセンティックな一品。
事実それ以降アルバムはないのも、痛烈なほどにこのアルバムでラカンターズとガレージロック自体を表現しきった事に起因するのかもしれない。
 

ソングレビュー

何曲か抜粋してソングレビュー。

硬軟織り交ぜ、深みもコクも、穏やかさも狂気も感じる、エゲツないキラートラックばかり。

どこかには必ず引っかかるはず。是非聞きながら読んで頂けると幸いです。

'Consolers Of The Lonely'


The Raconteurs - Consoler Of The Lonely

怪しげな風貌のサーカス的なジャケ写の世界観が眼に浮かぶオープニングトラック。
こんなに信じられない程にカッコよくギターを鳴らせるのか。
美学も攻撃性も情熱も凝縮した様な恐ろしく歪んで美しい、冒頭の10秒で心を抑えがたく震わせるリフは今後何百年も語り継がれるべきだ。
バンドサウンドと合流し小気味良いグルーヴを得て華々しく広がるロックの世界に、どこか常に感じる余裕・余韻は彼らならではのナチュラルな魅力。
ブレンダンの遥か遠方まで突き刺す様な澄んだ声、ジャックの狂気的で崩壊的で美しいハイトーンのボーカル、ロックの毒気と華々しさを彼らのアイデンティティーを爆発させて、未来的ではなく一種のロック完成形を作り上げた。
 
'Salute Your Solution'


The Raconteurs - Salute Your Solution (Official Video)

一転爽やかで突き抜ける様なギターリフの疾走ロックチューン。
歪みながら開放感あふれるギターサウンドの軽やかさに、ヘヴィーなベースに加速的なシャープなドラミングが絶妙に絡みバンド一体でカチッとハマった疾走感がある。
トリッキーなボーカルの掛け合いも圧巻だし、曲全体で見せ場は多く、全ての音が襲いかかってくるスリリングさは抗い難い高揚感を呼ぶ。
それに相応しい音圧と、その相乗的まとまりそして骨太な演奏力がそうさせるのだ。
駆け抜ける様に鮮やか、多彩さで攻めつつ、耳を掴んで離さない。
高揚感に満ちてカラフルなのに、作りはものすごくズシッと重厚の痛快な爆走。
エピックなリフに乗りやすいビートという根源的な快感も原初的で良い。
 
'You Don't Understand Me'


The Raconteurs - You Don't Understand Me (Live at Montreux 2008)

アシッドでしっとりとした最も美しいミドルチューン。
物悲しくも凛としたアシッドでジャジーなジャックのピアノが艷やかに緩やかな時間を創る。
マイナーなエモーショナルを閉じ込めた重くしなやかなグルーヴにパーフェクトに響くブレンダンのボーカルのお手の物感も流石だ。
濃密なセンチメントにナイーブな個性を散りばめて、けばけばとささくれ立った心を撫でていくような穏やかな一曲。
 
'Old Enough'


The Raconteurs Old enough

カントリーでサイケでポップなナンバー。
シンフォニックな音・キーボードの音の祝祭感ある明るいメロディーが青空に響くように広がる。
ビートルズ的なサウンドデザインに華麗に乗りこなすボーカル、その為のリズム隊の頼りになる存在感も耳触りがいい。
やはりあるギターの見せ場はブライトで眩しくキレが凄い。
 
'Top Yourself'

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これぞなオーセンティックな香りのするナンバー。

アコースティックな旋律とヴィンテージな香りを漂わせるリズム。

それが徐々にグルーヴに纏われていく力強い和音のナチュラルな質感は、絶品の抱擁感を曲全体から醸すのだ。

怪しさも残すが、それも内包する様な綾のある声が映えるし、時折アコースティック一本になるスポットライトが当たる様な優しい風心地は素晴らしく良い。

 

'Many Shades Of Black'


The Raconteurs Many shades of black

ビッグなサウンドのクラシック・ロックチューン。

歪んだギターリフがうねりつつ、オーケストラ的なデコレーションが実にドラマチックに展開していく。
緩やかなジャジーなリズムではボーカルもぽつりぽつりと艶っぽい。
広大な空間で鳴る様なデカめの抱擁感と、パーソナルな優しい旋律で、緩急使い分け柔軟に響くのだ。
 
'Five On The Five'


The Raconteurs Five on the five

奇怪な高音から切れ味鋭い鋭角なギターリフで始まるハードなロックチューン。

グランジにも通ずる重く鈍く光る音の疾走、セクシャルにジャックのボーカルが泳ぐ。

どの曲とも違うスリルある高揚感を産むのも、奇抜でトリッキーな音に負けないほどにロック的なグルーヴが凶暴・強靭な強度を誇っているからで、このバランスを実現できる彼ららしい傑作。

 

'Rich Kid Blues'


The Raconteurs Rich kid blues

ブルース・ロックチューン。
ブレンダンのボーカルに始まる揺らめくようなメロディー。
徐々に火がつく様に脈打つビートで花開いたサウンドが入り乱れ、フリーキーでも調和の取れるサイケでカラフルな音空間。
歌うようなギターソロのメロディーが根源となり、終盤に顕在化するのも面白い。
そもそものメロディーの良さがあって、そこから画期性をもったバンドサウンドの妙を出す必殺の型なのかもしれない。
 

無人島に持っていく偉大なロックアルバム

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無人島に持っていくアルバムシリーズ第7弾はThe Raconteurs 'Consolers Of The Lonely'でした。

僕が生きるこの時代にこのアルバムがあって良かったが、仮に100年後にこのアルバムと出会っててもヘヴィに聞いてただろう金字塔だ。

まだまだ紹介したいアルバムは一杯。

荷物が音楽でいっぱいになってもいいじゃないか。

 

それではまた別の記事で。

Weezer(Black Album)を聞いたレビュー【ウィーザー ブラックアルバム】

Weezerの12枚目のオリジナル・アルバムにして5作目のセルフタイトルアルバム’黒’を聞いた

前前作10th'Weezer(White Album)'はオルタナティブなウィーザーロックサウンドを前面に押し出し、ビーチをコンセプトにモダンなペット・サウンズとまで評価を受けたクラシックスタイルの頂点だった。

前作の11th'Pacific Daydream'では非現実的でドリーミーなサウンドを白く眩く展開する支配力すらある空想的なサウンドを練り上げた。

Weezerのそしてリバースのクリエイティビティはこの数年、ベテランバンドらしからぬ天井知らずの勢いでとんでもない境地に入ってきている。

2017年の'Pacific Daydream'のリリース時にはすでに新しいアルバムの曲は出揃いつつあり、そのアルバムが’黒’を冠する5枚目のセルフタイトルアルバムである事を明かし、僕らファンの心を揺さぶらせた。

ドリーミーな白昼夢感のその表裏。一緒に出てきたダークなアイディアが満載のアルバムになりそうでワクワクしていた1年半。

が、急にTOTOの名曲'Africa'のカバーを発表し、驚異的なヒットを飛ばしグラミーにまで呼ばれる騒ぎになった。

結局、そのままカバーソング集をWeezer(Teal Album)として発表する、トリッキーな展開は何ともウィーザーらしくファンを驚かせてくれた。


Weezer - Africa (starring Weird Al Yankovic)

Weezer(Black Album) ブラックアルバム

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Weezer (Black Album)

Weezer (Black Album)

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ウィーザー(ブラック・アルバム)

ウィーザー(ブラック・アルバム)

 

 

いよいよ満を持した形となって2019年3月1日にリリースされたブラックアルバム。

セルフタイトルシリーズお馴染みの4人が並んだジャケが今回は黒塗りになってる。

その時点でここまでの流れとかバンド史とかを上から塗りつぶす様な禁忌的な香りを感じる。

リバース自身が実験的な要素が多く含まれるとコメントしていた通り、白そして白昼夢でリラックスした姿を魅せてきたウィーザーの対比となる部分に注目が集まる。

そう思ってたら割と面食らう。
ソウル・ファンクなビート、ブラックなノリを混ぜた黒というオープニング。
まるでオルタナ王子BECKのアルバムを聞いてる様な新感触。
超面白いアルバムだ。Weezer史上最もケミカルで深度が深い。 
そうきたか、どころではなく一聴では掴みきれない。
それでも何度も聞けばいつものWeezerの高揚感もついてくる盤石のメロディーも確かにある。
マルチなサウンドメイクは華もあって暗さもあるが、実験的な中であってもリバースであり続けられるオルタナシンガーっぷりが実にWeezerサウンドらしさを芯に残している。 
その芯すら揺蕩うレベルのサウンドの妙技だが、緻密なトラックも鋭利なラップも届かないオルタナなロックのエネルギーが、一周した後には溢れていたのだ。
 

ソングレビュー

"Can't Knock the Hustle"


Weezer - Can't Knock The Hustle (starring Rivers Wentz)

Jay-Zの同名の曲にインスパイアを受けたオープナー。
ヒップなサウンドにラテンのリズム。
リバースの本質である雑食なオルタナティブセンスを発揮しそれを今回のカラーのマッドなロックテイストに仕上げた絶技。
トリッキーでヒップホップへの接触的にロックバンドらしからぬ禁忌的な感触、でも歌うなってのが無理。
’アスタラウェゴ’(また会おう)をこれだけキャッチーに連呼されると楽しいに決まってるのだ。
急にバチッと終わるラストも心動く瞬間だった。
 
'Zombie Bastards'
個人的にこのアルバムでの最大のキラーソング。
新しい発見と刺激に満ちた穏やかなキラーチューンは耳元で囁いていたと思ったら深い奥行きの音に距離感を乱される。
前作から通ずるドリーミーなくらい広がってく空間、はじく様なギターの心地良いビート。
ユルくも絶妙にビビットな語感に一瞬だけオレンジ色に光るギターの燦めき。
不可思議なポップさにシャープなサウンドにパワーポップビートという見たこともない世界でも、全く怖くねぇ。
リバースの声さえあれば踊れると再確認する喜びも胸にある黒のド真ん中で鳴るアンセム。
 
'High As A Kite'


Weezer - High As A Kite (Official Video)

これまた妙な芝居をしてるMVのシングル的なトラック。

フォーキーで穏やかに子守歌の様に優しく歌うポップソング。
凧がクルクルと落ちる様に優雅でちょっと儚い。
美しいメロディーの中にも、MVの中の暴れっぷりの様なエナジーをギリギリ表面張力で残し、チリチリとした焦燥感に焦がされる。
子供達のひいた顔にドヤ顔を決める背徳感。
 
Living In L.A.
ロサンゼルスという大きな言葉を使い、女の子に想いを馳せたウィーザー節の一つ形。
陶酔感はありながらシャープにスタイリッシュ。
ディスコチックなポップ感満載のビートにどこか女の子の影を感じる。
肩肘張らず華麗に歌い切るリバースのフロントマンっぷりが癖になる悪魔的な魅力がある。
 
 

カラフルな黒 こりゃ名盤

5枚目のセルフタイトルアルバム。12枚めのオリジナル・アルバム。
超ベテランにしてピンカートン的なデザインチェンジをかましてくるウィーザーのスタイルだからこそ、僕らの心のどの瞬間にも当てはまり、心の歌であり続ける。
青からは想像できないし、白と正反対ってわけでもない。
漆黒かと思えば実にカラフルでダークなパワーポップ。
そのカラフルさには青も緑も赤も白も浮世絵だって含まれてる。
それを黒で塗りつぶしたケミカルな空気がたまらなくいかがわしいのだ。
ネクストレヴェルとかの次元ではなくウィーザーのロックの革命的な1枚。
こりゃ名盤。
 
それではまた別の記事で。

【無人島に持っていく一枚シリーズ13】The Kooks 'Konk'に想いを馳せる【ディスクレビュー】

無人島に持っていくならどのアルバム?

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無人島に持っていくシリーズ13
新譜のレビューはやっていたけど、それ以外にも心に刺さったアルバムは山ほどあるのだ。
音楽友達と良く酒飲みながら話すネタ、無人島に持っていくならどのアルバムを持っていく?という話題。おもしろかったので記事にしました。のその13
 
 
今回はUKインディー・ロックバンドのThe Kooksの2008年発売の2ndアルバム'Konk'に想いを馳せる。
2000sロックのアクモン世代のフォロワーバンドとしてシーンに登場したThe Kooksは、その秘蔵っ子ぶりをジワジワと発揮させた1stでキラリと名を馳せ、この2ndでその才気を永劫の輝きにする事に成功した。
世界的なポップアーティストの新作を抑え、全英チャート1位に輝いたインディー・ロックビックバンの集大成的傑作。
美しく洗練されたオールディーズチックなモダンロックアルバム、コンクは聞いたその一瞬だけのみならず後味で人の心に残り続ける絵画の様なアルバムだった。
今回はThe Kooks'Konk'に想いを馳せる。
 
 

他の無人島シリーズはコチラ!

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The Kooks 'Konk'

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Konk

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  • ザ・クークス
  • インディー・ロック
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コンク

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スタイリッシュでインディーなストリートの華

イギリス・ブライトンで結成し2005年デビューしたThe Kooks(ザ・クークス)

イギリス政府直営のミュージシャン養成所的なカレッジで出会った4人組の2006年の1stアルバムが異例のロングランヒットを飛ばし、気づけばジワジワとアクモンを超える枚数を売っていたクークスは、英国ロック界の秘蔵っ子感満載でメインストリームに飛び出していった。

2ndアルバムの'Konk'はそんなスマッシュヒットの直後に制作された。

凄くモダンでスタイリッシュな風貌、でもどこか甘く擦れた空気が漂う、ストリートの華的な安酒の香りが漂うバンドイメージ。

自分たちに漂うそんな雰囲気が、アルバムのあちらこちらで花開くような燦めく良盤となったのだ。

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The Kooks - Shine On

巨匠レイ・ディヴィスのコンク・スタジオで制作された事から'Konk'と名付けられたアルバムは殺人的に甘く支配力すらあった。

真夜中のロンドン、石畳の路地裏の空気はきっとこんな感じだ。
普段立てないコートの襟をカッコつけて立てて歩きたくなる。
時間も空気も包み込む、スピリチュアルなレベルの包容力すらある隙間なしの名盤なのだ。
 
まず、なんだこのギターの音は
耳の奥の奥の心に近い所で振動まで分かる様な音色に、強烈なトリップ感も覚える。
濃密なヴィンテージな空気のフィルターがかかり、あっという間にロンドンのストリートの風景に包まれ、インスタかって程世界は映える。
眩いギターメロディーの流れは恐ろしく艷やかで甘い中にもキリッとしたクールさに微睡みながら目は冴える。
この凄みに恐れ入るタイプのギターは、英国ギターロックの宿命的なギターオリエンテッドの精神も感じ何とも心強い側面もあるのだ。
 
どこかアカデミックな雰囲気から感じるのは、間違いなく掛け算のサウンドデザインであるという事。
豊かな音は、潤いとツヤに満ち満ちていて、急に深度が高いドープにドリーミーな世界に引き込んでも鮮やかなまま。
ルークのソングライティングの幅の成せる魅せ方だし、アオハルな歌詞でもめちゃくちゃスタイリッシュでロマンチックで超良質な聴き触りを誇るのだ。
 
その声だけで芸術になる声質、そして確かな演奏力と歌唱力というレベルの高すぎるバンド。
簡単なものを難しく見せるんじゃない、芸術性を伴うから魅せられる。
天才的な才能をひけらかすのではなく、優しく柔らかい感触を残せるバランス感覚から聴きやすくもあって、わざとらしさナシの魅せる歌が自然に溢れているのだ。
 
1stよりもう少し夜が更けたような感触。夜に聴きたい。
それでいてメジャーでポップでどの曲も何度聴いても鮮やかにその時に映える普遍な芸術性を伴う。
何年も残る絵画芸術の世界の美しさそんな恒久的な響きを持っている。
陶酔し続けられる洗練されたオールディーズロック。
1st2nd論争も巻き起こるバンドではあるが普遍的なのはコンクだと僕は思うのだ。
 

ソングレビュー

'Always Where I Need To Be'


The Kooks - Always Where I Need to Be

最もアンセムらしい一曲。
優美さとラフさを半々で均衡を美しく保った聞かせるロックチューン。
美しすぎるファルセットと楽しげなギターのリズムに頬が上がる。
美的センスが目立つが、ドゥドゥドゥのコーラスが象徴的な眩しいポップネスこそ最大の煌めきの正体である芸術的なポップ・ロックソング。
 
'See The Sun'


The Kooks - See the Sun

このまま目を閉じて心地よい眠りにつけそうなジャジーなギター、一見幕開けには相応しくない様な独唱から始まるアルバムのオープナー。
選ばれた者しか出来ない歌い出しに歌声の中に閉じ込められる様に聴き入る。
その瞬間、爽やかに滑り出すインディーギターチューン。
オーガニックで優しいサウンド、ギュンギュンの華もキレもあるギター、ハンドクラップよろしくのポジティヴなグルーヴ、全てがバランスよく溶け合った鮮やかなオープナーだ。

 

'Do You Wanna'


The Kooks - Do You Wanna

アルバムのど真ん中でなるキラーチューン。

カクテル光線的なギターリフに目をくらまされつつ、次の瞬間には口ずさんでしまう超絶キラーなメロディー。

ダンサブルで、それだけでない重厚な美しい艶やかさ。

当時イギリスを席巻していた踊れるロック、それを自らのセクシーさと美しさで染め上げた代表的なナンバーだ。

 

'Mr.Maker'


The Kooks - Mr. Maker

こっちもアルバム屈指のポップチューン。

順風満帆のキャッチーなリズムは軽やかなステップを踏めそうなほど躍動感に溢れている。

グッドメロディーを軽快に爽やかに、それでも香るアーティフィカルな音の断片の組み合わせの火花が彼らの記名性になる。

ナイーブな聞き感触かと思えば強靭なギターグルーヴもお見事な一曲。

 

'Stormy Weather'


The Kooks - Stormy weather

重厚なベースリフから始まるロックナンバー。

チュンチュンのギターが花火の様に綺麗でアイコニックに浮かんでは余韻を残す。

軽快さはありつつもワイルドなドライヴ感は作品中唯一無二。

セクシャルなボーカルと暴力性の融和のバランスが完璧で、どこまでもエロい肌触りも彼らならでは。

 

'Sway'


The Kooks - Sway

こちらもシングルカットされてる代表的なロックバラッド。

メロディーをリードするアコギとドラマティックに鳴るエレキギターのサウンドは流麗で、合わさったサウンドの分厚さ、間違いなくガツンとくる獰猛な感触がある。

エモーショナルにうねる音の中で、ドラマティックに崩れ落ちそうでそのギリギリで輝き揺れ続けられる歌声が凄い。

 

'Love It All'


The Kooks - Love it all

超ドリーミーな一曲。

ザクザクのギターゆったりとしたグルーヴ、あまりにも優雅なギターの調べと特にボーカルがいい。
サビのLove It Allのリフレインは耳馴染みが抜群だしシンガーの本領を存分に発揮した強烈なパフォーマンス。
ウォーミングなサウンドの中に身を置き、類稀なる資質のその声を聞けば星空の下にいる様に綺麗な光景が浮かぶのだ。
 

無人島に持っていくイギリスの夜の空気

無人島に持っていくCDシリーズ第13弾はThe Kooksの'Konk'でした。

行ったことはない、けどきっとロンドンの夜はこんな感じなんだろう。

アカデミックで超絶的でもどこかストリートの匂いが馴染みやすい、普遍的なアルバムだった。

 

まだまだ紹介したいアルバムは一杯。

荷物が音楽でいっぱいになってもいいじゃないか。

 

それではまた別の記事で。

誰かに拡散したくなるロックな企画コラム記事5つのまとめ【ロゴ・ジャケ・タイトル】

読んでて誰かに言いたくなる。そんな素敵な暇つぶしの時間に

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いつもご覧頂いている方、たまたまたどり着いた方もありがとうございます!

ここまでロック好き的に自分の頭の中で思いついたアイディアで文章を書き、少しでも皆様の素敵な暇つぶしになれば幸いと思い記事を作成してきました。

今回はそんな中で企画系の記事をリライトしてまとめました。

どれも軽くバズったり、嬉しい評価を頂いた思い入れあるものばかり。

バンドのロゴ、ジャケ、タイトルなどなどについて自分のiPodとにらめっこして書きました。

是非素敵な暇つぶしになれば幸い。

 

 

1.ロックバンドのロゴ40枚に想いを馳せたコラム 前後編

ロックバンドのロゴは格好いい。

それぞれその字面やデザインにストーリーや音も思い起こさせるものがあって良い。

黒のTシャツにこのロゴさえ入ってりゃ最強のファッションになるのだ。

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2.面を切りたいアルバムジャケット30枚に想いを馳せる

最早、アート・カルチャー的に1つのジャンルとして確立された感もあるアルバムのジャケット写真。

アルバイトの経験から凄く思い入れもあるジャンル。

めっちゃ映える30枚とその意味も考えるのも音楽ファン冥利に尽きる瞬間だ。

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3.声に出して言いたいロックアルバムのタイトル20個に想いを馳せる

ロックファンはアルバムのタイトルを略さずに言いたくなるもんだ。

そのくらいビシっとハマったワードがそれぞれあるはず。

アルバムの内容だったりバンドのスタイルともリンクする20選。

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4.ロックバンド名の由来に想いを馳せる

ドラマティックなストーリーがあったり、呆気にとられるほど適当に付けていたりするバンド名。

どれもバンドのサウンドとどこかシンクロしていて、中にはとっても人に言いたくエピソードも満載だった。

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5.ロックアルバムの1曲目。至高のオープナー25曲に想いを馳せる

ドヤ顔とともに受け継がれたロックアルバムの基礎知識。

1曲目は強烈なキラーチューンが多い。

考えてみれば当たり前だが、そう身構えた上でも上回る衝動を起こさせる強烈な25曲。

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素敵な暇つぶしになれば幸い

以上5つの企画をリライトしたものをまとめてみました。

まだまだこのテーマで増えていくものがあれば追加するし、他になにか思いついたら新しい企画記事を書いていこうと思っています。

大好きなロックを色んな角度から集めるのは凄く楽しいし、やってる時にも新しい発見があって実に面白いのです。

おつきあい程度に素敵な暇つぶしになって頂ければ幸いです。

 

それではまた別の記事で。

Hi-STANDARDメンバーによるロックカバーソング10【NAMBA69,Ken Yokoyama】

Hi-STANDARD必殺のポップ/ロック・名クラシックスカバー、まとまめたサウンドトラックを作ってみた番外編!難波・横山両名のソロバンドでのカバーソング集!

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ハイスタが時計が止めている間も、3人はバンド活動を続けてきた。

特に難波と横山はそれぞれフロントマンとしてバンドのプロダクションを1から行うソロプロジェクトを本格化させ、ハイスタ復活以後もアルバムを続けて作りガンガンツアーに回る精力的な活動を続け両者のスプリットCDも発売されるなどファニーな試みも健在。

 

ハイスタの必殺技であった、どこかで聴いたことのある名曲のカバーはこの2人のアルバムでも健在なのだ。
むしろどこかで聴いた事があるのは彼らのおかげかもしれない位の貢献具合。
そんなカバーを並べ見て聴いてると彼らの親しみやすさの肝にたどり着くのだ。
元々のメロディーセンスに原曲の語感の良さも相まり、パンクカバーも決して掟破りでなく、リスペクトが根底から滲む茶目っ気に包まれていて、悪ふざけのノリよりも、もっとピュアな好奇心が滲むキッズ的な発想でスタートするカバーソング
キャッチーなパンクサウンドに生まれ変わらせる職人となった彼らが、蘇らせるというか、どっちも好きになるカバーを数々の名曲の中に散りばめたのだ
 
シンプルなフレーズのリフレインだから僕らも歌いやすい、至高のハイスタカバーソング集の番外編。
難波・横山のソロバンドによるロックカバーソングをちょっとまとめてレビューしてみました!
是非聴きながら読んで頂けると幸いです。
 

本編!ハイスタによるロックカバーソング10はこちら

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ハイスタンダードに想いを馳せる

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その他洋楽ロックバンドによるロックカバーソングトラックはこちら!

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1.NAMBA69 'Song2'(Blur cover)


NAMBA69「SONG 2」 Official Music Video

ブリットポップを飛び超えオルタナティヴロックとしてUKロックに計り知れない影響を与えたブラーの必殺の超アンセム。

時代を越えても初撃の衝動は内包されたままの名曲は実にパンク的な構造の曲で、クラシックな曲を選ぶことが多いカバーソングの中で意外なチョイスながら何回もリピートするどハマり具合が圧巻。

大胆に高速なテンポでメロディーを刻み、あのリフとウーフーが凝縮されつつ存分に跳ね回り、難波のキャラクターが出るフリーキーなボーカルも良い。

メロコアとブラーのこの邂逅は嬉しいものだし、なんかそんな評論めいた期待すらワクワク的衝動が上回るパンクパワーが詰まった痛烈なカバーだ。

原曲はこちら。


Blur - Song 2

 

2.KEN YOKOYAMA 'Daydream Beliver(The Monkees cover)'


Ken Yokoyama-Daydream Believer

セブンイレブンで死ぬほど繰り返される忌野清志郎らしき人の日本語カバーでも広く知られるモンキーズによるポップロックの金字塔。

何となく腑に落ちるというか、ケンがこの曲をカバーする事になんの違和感もないジャストなカバー。

性急になりすぎる事なくツボを抑えた聴かせるロックサウンドで、陽性な肌触りのままキレ良く振りかざすギターサウンドは爽快で朗らか。

ロック愛パンクメソッドに溢れたケンのポップセンスが光るナイスアンサーで、所々に魅せるパンクシンガーらしいザラつきも流石。

原曲はこちら。


The Monkees - Daydream Believer (Official Music Video)

 

3.NAMBA69 'Take Me Home, Country Roads' (Jhon Denver &本名陽子 cover)

TAKE ME HOME, COUNTRY ROADS

TAKE ME HOME, COUNTRY ROADS

  • 難波章浩-AKIHIRO NAMBA-
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes
教科書にも載る言わずと知れたカントリーの名曲で、ジブリ映画「耳をすませば」で本名陽子が日本語カバーして以降さらに日本人からの愛着は倍増した一曲。
颯爽としたファストなパンクカバーに朗らかで太陽のような難波の声は相性バツグンで、気付けば珍しい日本語歌詞も凄く耳馴染みが良い。
年月が経って真っ直ぐにこの郷愁的な故郷への道との別れを口にする、その寂しさみたいなものが’行かなければいけない時があるんだ、もう戻らない’と言ったGrowing Upとのリンクで余計重く感傷的に響く。
どこか沖縄的なサウンドも難波らしい、彼のスペシャルさが花開いた名カバーになっている。
原曲はこちら。


Whisper of the Heart - Mimi wo Sumaseba - Country Roads - Yoko Honna - Japanese

4.KEN YOKOYAMA 'Can't Take My Eyes Of You' (Frankie Valli cover)


Ken Yokoyama - Can't take my eyes off you

邦題’君の瞳に恋してる’は数々のカバーで彩りを与えられた歴史上屈指のポピュラーソング。
メロコアビート&パンクギターの炸裂度とキャッチーさで史上最も美しいメロディーをダイナミックに蘇らせた。
誰もが歌えるこの歌を、誰よりもカッコよく歌いてぇ。
そんな矜持溢れるサウンドプロダクションは身震いするほど格好いい。
あのリフをパンキッシュなギターで刻む背徳感にも通ずる劇的な高揚感は彼らのカバーの中でも屈指。
原曲はこちら。
 

 

5.KEN YOKOYAMA 'Soulmate' (No Use For A Name cover)


Tony Sly tribute by Ken Yokoyama「Soulmate/No Use For A Name」8/28/2012

ハイスタを横山健を好きな人に、ノーユースフォーアネームが好きじゃない人は絶対に存在しない。というかパンクミュージックを少しでも愛する人ならノーユースを好きにならずにいられない。そんな伝説的なストリートパンクバンド。

2012年に亡くなったボーカル盟友トニー・スライに捧げた絆のカバー。

曲の解釈は変えず、ストレートにカバー。

涙が止まらなくなる心が締め付けられる様な芸術的なメロディーへのリスペクト、なんて良い曲を書くんだって演奏してる本人が演りながら感じてるのがわかる。

トニーはデカく眩しい存在過ぎる、それでも横山健がまっすぐにカバーしてくれたからきっとこの歌はもっと心に刻まれたはずだ。

原曲はこちら。


No Use For a Name - Soulmate (Official Video)

 

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6.NAMBA AKIHIRO 'One More Time'(Daftpunk)

ONE MORE TIME

ONE MORE TIME

  • 難波章浩-AKIHIRO NAMBA-
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

世界の音楽シーンがどう変わろうとオルタナティヴに切り離された異端のエレクトロパンクデュオ、ダフトパンクの大名曲のカバー。

もともと横山よりはポストパンク寄りの音楽も趣向気味の難波らしいレンジの広さを感じられるトリッキーな爆音カバーだ。

荒れ狂ったようなパンクサウンドの中にプリズムの様な煌めきのディスコティックな瞬間があるし、飾る必要もない太陽の声で曲を照らすボーカルは鮮やかだ。

原曲はこちら。


Daft Punk - One More Time [HQ]

 

7.KEN YOKOYAMA 'Pressure Drop' (Toots & The Maytals cover)

Pressure Drop

Pressure Drop

  • Ken Yokoyama
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

クラッシュもカバーし歴史に残るロックソング500とかに常連的に顔を出す60年代から語り継がれる名曲。

肩くんだ輪ができそうなスカパンクカバー。

伸びやかなモードのケンの歌声は眩しく無邪気で、多幸感に満ちたシンガロングはちょっと子供っぽいくらいシンプルだからこそ誰も彼も楽しい。

カバーで思いっきり楽しさに振り切ってくるし、そもそもロック音楽的な楽しい衝動みたいなものが前面に出てくる。

原曲はこちら。

 


Toots & The Maytals - Pressure Drop

 

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8.KEN YOKOYAMA 'If You Love Me (Really Love Me)' (Edith Piaf cover)


Ken Yokoyama-If You Love Me (Really Love Me)

フランスのシャンソン界の英雄エディット・ピアフの稀代の名曲’愛の賛歌’。

スタイルを変えてこの歌も時代を癒やし続けてきた。

愛と慈しみに溢れたメロディーを丁寧に大胆にパンクギターでカバー。

エモーショナルなギターサウンドが凛として清涼感ともなう爆風なのは原曲とのケミストリーの醍醐味的な部分だ。

エッジ立った声と音も、それ以上にエモーショナルでソウルフルなメロディーで包まれる感動的なカバー。

原曲はこちら。


愛の讃歌 エディット・ピアフ

 

9.NAMBA69 'Baby I Love Your Way' (Peter Frampton cover)


難波章浩-AKIHIRO NAMBA- / BABY, I LOVE YOUR WAY

元々はピーター・フランプトンの曲でビッグ・マウンテンを筆頭に数々のカバーで後世に継がれていった名曲。

空高く舞う号砲的なギターで幕開けるアグレッシブなカバー。

スカビート、メロコアビートを行き来し、緩急と変調で加速度的にうねるビートが心地いい。

ヴァイヴするギターサウンドのエッジの立ち方と響きのレンジの広さ、絶景的な完成度の祝福の歌になっている。

原曲はこちら。


Peter Frampton- Baby I Love Your Way

 

 10.KEN YOKOYAMA 'Somewhere Over The Rainbow' (Harold Arlen cover)

Somewhere Over The Rainbow

Somewhere Over The Rainbow

  • Ken Yokoyama
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

いつ見ても何か忘れかけていた物を思い出させてくれる名作ミュージカル映画’オズの魔法使い’。その挿入歌であるこの曲は映画の象徴であり映画音楽というジャンルのきっかけにもなった超名曲だ。

暖かいギターのみのインストのカバーで目を閉じて聴きたくなる味わい深さ。

ギタリスト横山健の莫大な経験値が、柔らかく紐解いて行かれてく様な音像は甘美なものですらある。

ぐっと噛み締めたくなる、パンクアルバムのエアーポケット的な瞬間に、この穏やかさはニクい。

原曲はこちら。


Somewhere Over the Rainbow - The Wizard of Oz (1/8) Movie CLIP (1939) HD

 

ロックへの憧憬

以上いかがでしたでしょうか?

ハイスタが時間を止めている時、その時も彼らがロックミュージシャンで有り続けた理由の1つに、ロックへの憧憬が原風景にあるからなのかもしれない。

色んなしがらみとか一回置いて、音楽を始めた時のようにナチュラルに音を鳴らせるのはこういうカバーなのだ。

 

それではまた別の記事で。

【Hi-STANDARDの20曲】1987年生まれによるハイスタ回顧録2【恋に落ちずにはいられない重要な20の名曲】

今聴かずにいられない時代に残って来た重要なハイスタ20の名曲

前編の前書きはこちら!

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人気記事!ハイスタカバーソング集はこちら!

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  • 今聴かずにいられない時代に残って来た重要なハイスタ20の名曲
    • 前編の前書きはこちら!
    • 人気記事!ハイスタカバーソング集はこちら!
    • 1."Stay Gold"-1999年
    • 2."Can't Help Falling In Love"-2000年
    • 3."New Life"-1995年
    • 4."Dear My Friend"-1999年−
    • 5."Glory"-1999年−
    • 6.'My First Kiss'-2000年-
    • 7."Maximum Overdrive"-1995年-
    • 8.’Growing Up’-1995年-
    • 9.’My Heart Feels So Free’-1997年-
    • 10.'Brand New Sunset’-1999年-
    • 11.'Please Please Please’-1999年-
    • 12.’Fighting Fists, Angry Soul’ -1997年-
    • 13.’My Sweet Dog’-1997年-
    • 14.'Another Starting Line'-2016年-
    • 15.'Summer  Of Love'-1995年-
    • 16.’Endless Trip’-1997年-
    • 17. ’California Dreamin'’-1995年-
    • 18. 'Teenagers Are All Assholes'-1999年-
    • 19.’Have You Ever Seen The Rain’-1997年-
    • 20.'Mosh Under The Rainbow’-1999年-
    • 永遠のパンクアイコン ハイスタンダード

1."Stay Gold"-1999年


Hi-STANDARD - Stay Gold [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

彼らの中で最も愛されて、その名の通り最も輝き続けながらにして不朽の記念碑的な位置にもつける名曲中の名曲。
日本のロック史に残るとかよりも、おそらく一人一人のファンが人生最後の瞬間まで心のすぐ取り出せる所に置いておくだろう、って事が凄い一曲。
明快かつ攻撃的なギターリフと完全無欠のパンクメロディー、そしてその眩しさにギリギリ耐えられる2分のショートな躍動。
メロディックなパンクの3コードを抑えた最高峰のアンセムとしてのまとまり。
発表当時は別れの歌にも聞こえたのかもしれないメッセージ。
時代を超えてジャンルを超えた稀少な名曲は、僕らの心にも一握りの誇りを宿し、それを胸に生きてきたファンも多いはずなのだ。
僕も他にないくらい圧倒的なペースで聞いていて、色んなバンドが演奏して、色んな所で耳にして、2011年復活のエアジャムの一曲目がこの曲で、僕の中でも完全にハイスタは生で動き出した。
 

2."Can't Help Falling In Love"-2000年

CAN'T HELP FALLING IN LOVE

CAN'T HELP FALLING IN LOVE

  • HI-STANDARD
  • オルタナティブ
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

物怖じしないクラシックチューンのパンクカバーは彼らの代名詞。

僕らでも口ずさめる歌詞、この間ある場所で割りと大きめに流してたら近くにいた外国人の子供5.6人が一緒に歌ってくれた。

ロックへの愛とパンクでの挑戦心に満ちてハッピーな音に仕上げる。

壮大なストリングスとギターの重なりを美しく感じている間も、怒涛のようなパンクハーモニクスを待ってしまう抜群のハイスタ感。
シンプルな歌詞のメッセージがハイスタサウンドと、そのイメージと見事に合致。
そうだ僕らもロックにハイスタに恋に落ちずにはいられなかった。
最強の武器を手にした様な名カバーだ。
 

3."New Life"-1995年


Hi-STANDARD - New Life [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

名盤Glowing Upのリードナンバー。愛しき平成感のあるPVはいまやちょっとレトロ。

野心と言うよりも前を向き続けたDIYの果てに、全力で走って来て訪れた新しい時代、そこに常に隣り合っていて存在していた楽しさのポジティビティが滲み溢れているトラック。

ビビットな縦ノリのベースリフとドラム始まり、シャープに鳴るギターが合流するファニーでラウドで陽気さが突き抜けたサウンドの記名性は彼らの楽曲の中でも随一。

相変わらず眩しい太陽の様な難波の声と、健のキレのあるパンクコーラスの掛け合いは、イヤホン越しで街中だろうが口ずさんでしまう、とてもインスタントで最高の瞬間。

新しい生活にはこういう心持ちが何よりも大切だと、スケーボーのスタートを切る様な爽快な瞬間を詰め込んだ、楽しさの中枢を着く屈指の名曲。

 

4."Dear My Friend"-1999年−

DEAR MY FRIEND

DEAR MY FRIEND

  • HI-STANDARD
  • オルタナティブ
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

ハイスタがシーンに戻ってきた今こそ、一際キャッチーに響くキラートラック。

メイキングザロードのジャケはこの曲をイメージしたんではないだろうか、という雨上がりの爽快感。

潤ったグッドメロディーで極上のポップネスを展開し、大胆な程にキャッチー。

キラキラしたメロディーは虹の様に輝いていて、それでいてハイスタらしいパンキッシュなフレーズが雨上がりギラついた陽光の様で、何度聴いてもポップとパンクを同じ温度で感じさせてくれる音作りはイントロの時点で絶対の確信を持てる信頼感へと変わる。

クリアでピュアなハイファイな音も活きる作りなのも、今尚響きやすい理由かもしれない。

絆とか、時を経た重みが詰まって、なお一層輝く、彼らの中でのロックソングのポップ的な一面を一手に引き受ける最強のメロディー。

 

5."Glory"-1999年−

GLORY

GLORY

  • HI-STANDARD
  • オルタナティブ
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes
When You're driving for your treasure,You have found the glory.
僕はこの歌詞を何年か前に座右の銘にした。
リズムも語感もメッセージも完璧、ストンと胸にオチた抜群の完成度の高い、ハイスタの中でも最もビッグなフレーズだった。
流星の様な弾丸サウンドのショートトラックで、清々しいほど決まるパンクフレーズ満載のビッグトラックでもある。
ピュアで全力に走るメロコアの感触も、どこまでも蒼くてシンプルに立ち返るべき原点的なメッセージを思い出させる大切な一曲で、ピリピリとしたストイック過ぎる挑戦心ではなく心の底の衝動を前向きなベクトルで解き放てる彼ららしい挑戦心の象徴的なナンバー。
きっと簡単なことではない、それでも困った見上げるガイドになるのは彼らのパンクロックという事が嬉しい。
 

6.'My First Kiss'-2000年-

MY FIRST KISS

MY FIRST KISS

  • HI-STANDARD
  • オルタナティブ
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

キテレツ大百科を再放送で見ていた世代としては、とてつもなくキャッチーで胸を締め付ける甘さだったこのカバー。

当時はまさかだったキテレツ大百科「はじめてのチュウ」のパンク&英詞カバートラックが休止前最後の楽曲になった。

世代的若い人は、元の曲すらわからん人もいるかもしれないけど、それでも心を掴まれるだろうというキャッチーさ。
元々キュートでスウィートな曲を、茶目っ気たっぷりにパンクサウンドのラブソングに変えられる。
ファニーでカッコ良く不偏的なキャッチーさをパンクサウンドで昇華させた画期的なアイディアと、抜群のメロディーアレンジで、してやったりの勝利感。
こういう痛快な感じも彼ららしいのだ。
 

7."Maximum Overdrive"-1995年-


Hi-STANDARD - Maximum Overdrive [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

剥き出しのメロコアのイントロアンセム。

速くて音デカくて短い。コードブロークンで3段飛ばしくらいでテンションの駆け上がる飛躍的なほどの高揚感。

本当に一瞬でハイスタを感じたければ間違いなく、この曲を奨めるだろうきっと。

3ピースパンクの極致の瞬間着火的爆発力。
それぞれの音が縦横無尽に自由に跳ねつつも、塊になってうねる爆音はハイスタの呼び水にもなるアグレッシブ&コミカルで、ど派手なパンクアンセムである。
意外とライブ中盤に演奏されて、スイッチを入れなおす事が多いのも、彼ら自身でも抜群の信頼を置いている証だ。
 

8.’Growing Up’-1995年-


Hi-STANDARD - Growing Up [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

ハイスタの中でもマイルストーン的に超重要な一曲。

2分と少しに凝縮された大切なメロディーと大事な言葉の応酬。

セリフじみたメッセージから笑顔必須のサビのパンクメロディー、ケンのハイトーンのコーラスと共に胸の締め付けられる瞬間から、何度でも繰り返したい’Its Growing Up’のポジティブでセンシティブな響き。

短編映画のロードムービーのように僕の記憶すら呼び起こし、あっという間にその感情を飲み込んで弾けさせてくれる、そのメロディーもビートも、間違いなく自分たちにとって最高の正解だと手放しで思える、一体感を持ったキャッチーさ。

それこそ僕らとハイスタの出発点でもある大事な一曲なのだ。

 

9.’My Heart Feels So Free’-1997年-

My Heart Feels So Free

My Heart Feels So Free

  • HI-STANDARD
  • オルタナティブ
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

自由な風の疾走感、ハイスタらしさを抽出したアングリーフィストからの名曲。

限りなく透明なブルーのクリアな音から気合い一発でパンクに舵を切るその瞬間の尊さ。
クリアなベースと歪んだギターと疾風のドラミングの三種の絡み合いはバンドの根底にある強みだ。
衝動的なロックでありながら、投影しやすい自由をテーマに、あまりにシンプルなメッセージも人気を呼ぶキラーチューンでもある。
 

10.'Brand New Sunset’-1999年-


Hi-STANDARD - BRAND NEW SUNSET

泣かずに待ってた甲斐があった。

解散前最後のアルバム、メイキングザロードのラストナンバー。

大きい包容感の、でっかい夕日の様なメロディーに染められる、ノスタルジックな想い、それでも泣くな強くいろって力強く暖かくメッセージを心に残す。

まるでルビーの様に、優しく強く輝く、とてつもなく懐の深い名曲。

 

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【待てないからサマソニを振り返る】SUMMER SONIC2019に向けて直近のサマソニレポートを振り返るまとめ【2016‐2018】

SUMMER SONIC 2019 出演アーティスト続々決定!過去3年分のサマソニを振り返るまとめ記事

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Red Hot Chili PeppersB'zThe Chain Smokersのヘッドライナー3組の発表を皮切りに、RancidThe 1975Two Door Cinema ClubThe StrutsBring Me The HorizonZebraheadThe Interpretersなどの楽しみな洋楽ロック勢。

更にはラッドにアレクサンドロスにベビメタ、マンウィズのチケットの売上的に強力な援護をしそうな邦楽勢も明らかになり、20週年の3DAYSの全景が何となく見えてきたSUMMER SONIC2019

個人的にはレッチリの日に行くのがほぼ決まっているが、ここからのライナップ発表にも注目してる所である。

またアツい太陽とロックの季節が来るのだ。

まだまだ先は長いが、きっと待てない。

そこで直近3回のサマソニの想い出を振り返るまとめを作ってみました。

未だに昨日の様に思い出せるアツく刺さった光景を思い浮かべ、今年の夏の期待を膨らませて待とうと思いました。

行った方行ってない方どちらも素敵な暇つぶしになって頂ければ幸いです。

 

 

SUMMER SONIC 2018

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どストレートなギターロックが清々しい若手ブリティッシュロックバンド・The Sherlocksから始まり現代のシンディーローパー・Pale Wavesに度肝を抜かれ、あいみょんの若者人気に驚愕し麻雀を打ち、マシュメロの世界観に飲み込まれ、最後はノエルと共に歌った1年前の夏。

やっぱりハイライトはNoel Gallagher's High Flying Birds。

超越的なカリスマ性は一部のスキもなくロックンロールスターのモノで、大いなるロックの未来を感じるハイフライングバーズの前衛的なトラック、’ほぼオアシス’のメンバーから繰り出されたオアシスナンバーの対比は彼にしかできないステージ。

ドント・ルック・バック~を一緒に歌えたのは一生の宝物だし珍しい’Little by little’を聞けたのも嬉しい。

今年また来るっていうのもここで言っていたが、単なるリップ・サービスでは無かった様だ。

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SUMMER SONIC 2017

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Foo Fightersが初めてサマソニにやってきた夏はロックなエネルギーに溢れていた。

スイマーズはめちゃめちゃモダンなパンクバンドだった。

サーカ・ウェイヴスはクールでこちらもモダンなサマーステージで新感覚を呼び起こしてくれた。

イナバサラスのレジェンド稲葉浩志を人生で初めて生で見た衝撃は忘れ難い。

大好きなオール・タイム・ローはスタジアムを揺らす程進化した姿を見せてくれた。

今日が2000回目だったいってたニュー・ファウンド・グローリーはポップパンクバンドのベテランぶり感じさせてくれた。

ベイビーメタルに日本文化の狂気と可能性を感じ、フーファイは無敵のロックアイコンだった。

スタジアムレベルの箱で、あそこまでエネルギーを感じたライブはこの時のフーファイ以外ないかもしれない。

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SUMMER SONIC 2016

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ストラッツもラットボーイもモノアイズもずっと見たかったサード・アイ・ブラインドも、そしていつも通りのオフスプも凄かった。

けどなによりこの年の大切な想い出はWeezerだった。

傑作ホワイトアルバムを引っさげた久々の来日。

何度も何度も涙を流し、きっと一生忘れることの無い聖域のような位置に置いておきたい大切な想い出のステージ。

一生追い続けると心から決めたバンドで、胸がいっぱいになっていく。

こんなに幸せな時間は人生できっとあんまりないはずだ。

 

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SUMMER SONICにいこう

Weezerのステージを見て、おじいさんになってもサマソニを見に来たいと思った。

そう思えば人生も中々悪くない。

今年もこの季節がやってきた。

行ったことない人も、少しでも上のレポートで心が動いてくれれば嬉しい。

 

それではまた別の記事で。

【オフスプリングの名曲19選】1987年生まれによるThe Offspring Songs 19

今1987生まれロック好き的に振り返るオフスプリングの名曲 19選


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抜群にキャッチーなイントロが鳴ったと思えば、身も心もその炎に燃やされながら踊り尽くし、気がつけばフリークアウトしていた自分に興奮を覚えている。
30年間のキャリアの中、パンクの鋭利さ躍動感も内包した強靭なバンドサウンドで常に永遠に正しかったパンクアイコン、僕らのパンク兄貴的存在のオフスプリング
パンクを極限までタフにそれでいてキャッチーに、チャチな二元論を吹き飛ばした1つのムーブメント/カルチャーの完成形のアンセム達はきっとこれからも永遠に正しいのだ。
この曲を聴かずには帰れないアンセムだらけの19曲。
 
出来るだけの幅を持って、彼らを少しでも捉えられるようにちょっと大きめな表現で紹介して行きます。
聴いた事が無い人はパンクはちょっと、という概念を吹っ飛ばされる正当性を感じれる様に。
聴いた事がある人は彼等の彩りで生活に広がる様に。
凄く聴いてる人は、良い酒をいっしょに飲める様な。
そんなソングトラックになれば幸いです。
 

Spotify Playlist

バンドレビューはこちら!

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1.All I Want 1997年'Ixnay on the Hombre'

 
ライブハウスからスタジアム、さらにはショッピングモールからゲームの中・プロレス会場まで、数々の場所で鳴らされ市民権すら獲得した彼ら至高のパンクアンセム。

日本のファンからすればタモリ倶楽部/空耳アワーの殿堂入りという意識も強いだろう。

それでも聞いてみればドラえもーん!より、ヤーヤーヤーヤーヤー!のシャウトにこそ彼らの象徴性が詰まっている。

恐らくは彼らが音楽の道に進んだ事にとやかく言う人間に、干渉するな。ただそれだけだ。とダイレクトにシャープに言い放つ姿。

それをやり続けたからこそ帯びたカリスマ性と、彼らの原点的な思いがただただシンプルにそれでも劇的に情熱的に詰まったシンボリックな一曲。

 

2.Prett Fry(For A White Guy)  1998年'Americana'

 

オフスプリング最大のヒット曲にして、現代パンク史上最高にユニークで楽しさ溢れるアンセム。

キャッチーさコミカルさともに抜群、ビーチでも、クラブでも、ライブハウスでも、スタジアムでも、どこでも鳴らせる超越感すらある強靭なメロディー。

改めてこの曲の魅力を考えると、1000万枚売ったアルバムの中核だという事実だったり、コミカルなリフだったり、アンセム的な親しみやすさだったり、アハンアハンだったりと枚挙に暇がない。

それでも悪ノリキャッチーなジョーキングセンスと1億回聞いたって初めてみたいに滅茶苦茶に踊れる痛快さがこの曲、オフスプリングの根底にあるのだ。

そして彼らが言う’ワナビー’になるなってメッセージ。

13て入れたかったタトゥーが31だったってエピソード、流石にその間違いは無いよ、とも思いながら日常生活で実は危ねぇギリギリだったって事もある。

聞いて踊る度にちょっとだけそう戒める瞬間があるのも何処か面白い。

 

3.Why Don't You Get A Job? 1998年'Americana'

パンクロック界のオブラ・ディ・オ・ブラダ。
タイドでポップ・ロックなサウンドは、ライブでもヒートアップし火照りまくった会場の空気をピースフルに暖かいモノにしてくれる。
牧歌的でシンガロングも多いハッピーな曲の中にもオフスプ節は健在。
いいねこの曲!って言ってたポップしか聞かないOLの友達に、事細かに和訳を教えた時の変な顔は痛快だった。
構成を含めたユーモアセンス、さらにはどんだけフザけた歌でも圧巻の歌唱力で構築できるセンスこそ、彼ら最大の強みでニセモノとの違いなのだ。
 

4.Come Out And Play (Keep 'Em Separated)  1994年'Smash'

You gotta keep 'em separated!

オフスプリング節の真髄に触れるリフとリズムで刻まれる代表的なナンバー。

コミカルで挑発的、リフもグルーヴもトリッキーにエッジ立たせて組み合わせ、聴いたことないタイプの無縫のパンクスタイルを作り上げた、彼ららしい醍醐味溢れたキラートラックだ。
冒頭のYou gotta keep 'em separatedは、’あいつらに近づくんじゃねぇよ’というスラングでギャングカルチャーをモチーフにした歌だ。
キンキンした音にセリフ、聞き手のイマジネーションを刺激する呪文の様なリフ、デンジャラスなベースライン、デクスターのタイドなボーカル。
もう全てが気になる悪ノリ的な発想のミクスチャーパンク。
それがオフスプ節のど真ん中を行くだけの耳を掴んで離さないのだ。
激しいエネルギーとタフな言葉が渦巻く中でも、決して深刻なモノにならない明るい炎の様なサウンドがこの曲にはある。
 

5.Want You Bad  2000年'Conspiracy of One'

彼らのルーツと歩みを感じさせる、これぞってほどド直球の西海岸アンセミック陽性ポップパンクチューン。

一音目から曲の終わりまで1ミリの隙も無くキャッチーに輝くメロディーワークは、間違いなく彼らの本気だと思える圧巻のクオリティー。

彼女にセクシーにちょっと悪く危険なカンジになってほしい、男心の結晶とも言えるメッセージも、例え西海岸からでも届きそうな空続きの伸びやかなパンクサウンドに乗って朗らかに鳴る。

抜群のハイトーンボーカルだからこそ何倍も眩しく輝く、彼らの中でもパンク史の中でも最大のポップパンクアンセム。

 

6.Original Prankster  2000年'Conspiracy of One'

発売当時、メジャーシーンを騒がせていたヒップホップミュージックをパンクなりに解釈した、コミカルなアイディアの痛快キラーチューン。

パンクギターとヒップホップ的なグルーヴが融合し、強靭なグルーヴに昇華した有無を言わせぬ圧倒的なアンサー感、そしてヒラリと交わす圧倒的なパンクバンドの余裕。

ラッパーにオリジナルプランクスターと言わせるだけ、のコラボは当時話題になったらしい。痛快。

硬派なヤツも躍らせる本能的にファニーなサウンドは押しも押されぬトップアンセムになった上で、異質な存在感を放ち続ける。

オリジナルギャングスタというアイスキューブをちょっと文字ってジョークにしていたり、この曲の時に無料ダウンロード&100万ドルプレゼントを行ったことから、ミュージックシーンでも大きな反響を残した一曲になった。 

 

7.The Kids Aren't Alright  1998年'Americana'

世界で最も美しいパンクリフの導火線から、ダークにタフに疾走る問答無用のパンクアンセムは内容もヘヴィなもの。
ワッタヘルイズゴーイングオンが突き刺さる。
辛く嘆きたい事ばかり重なる現実が最も残酷な夢だと吐露しつつ、それでもどうなってやがんだって闘い行動する活力を産むパンクとしてのやり方。
現実の暴力性と問題提起的な握力、それを相乗する根底にある炎の様な焦燥感を煽るサウンド。
リフからメロディーまで軽快さすら感じるシンプルでソリッドものだからこそ色濃く心を染めるし、抜群のユーモアセンスを持つ彼らだからこそストイックな語彙力も光るのだ。
真っ直ぐなタイトルがAren'tな事も強烈、そりゃareの方がいいに決まってる。
でもそんな唯一の価値があるからこの曲はパンクアンセムで有り続ける。
 

8. Self Esteem  1994年'Smash'

このくらいのバンドで世界を回るってなると各国でウケる曲に差があるらしい。

日本で言えばダントツにゴキゲンなスカパンクナンバー'One Fine Day'がめちゃめちゃリアクションがいい様だ。

逆にアメリカではど定番で日本であんまりやらない曲がこれだ。

小気味良い鋭さよりもズシッと芯に残るヘヴィーロック。

グランジ的なダークな熱、フックのあるギターとリズムに歓声が挙がる光景が目に浮かぶ。

1ミリもガキっぽさのない陰りのある魅力。

これぞアメリカンな漢だ。ぜひ日本でもやってほしい。

 

9.Have You Ever  1998年'Americana'

冷静と情熱をどちらも備えたセンスの光るロックチューン。

淡々としていながら重みも疾走感も圧巻の前半から、強靭なロックグルーヴが漂う濃いロックサウンドへ転調する後半。
アルバムの流れではこの曲のフェードアウトから次の曲のフェードインが、垂涎モノの展開。
極自然と曲のダイナミズムに身体を掴まれながら、徐々にドライヴを増して心に浸透させていくようなエネルギーをもったグルーヴ。
無縫なスタイルの中にもこういう分厚さがあるから、より厚い信頼に繋がる貫禄のナンバー。
 

10.Staring At The Sun  1998年'Americana'

 

お前の目の中の太陽に、俺は焼かれない。

生き方の違いを、ここまで誇りをもって結晶化した曲を僕は他に知らない。

こうありたい、こうぶっ飛ばして生きたい。

お前が見てるものは大きく正しいもんだ、でも俺はそれに焦がれる事はないのだ。

哲学的で男の矜持の詰まった表現を、畳み掛け加速し続けるサウンドで熱狂的に昇華しきる展開も見事。

まだこれ以上速くなるのって度肝抜かれるデクスターの歌い回しは音速になろうがメロディックさもタフさも失われない、オフスプの中でも圧倒的なパフォーマンス。

ぜひアルバム同様、Have You Everから流れでStaring At The Sunを聴いてほしい。

フェードアウトからチリチリと始まるイントロの感覚は何回聴いても初めてこの流れを食らった時を思い出し総毛立ってしまう。

 

11.One Fine Day  2000年'Conspiracy of One'

HEY!(Hey!)HEY!(Hey!)One!Two!Three!

オーオー、オーオーオー、オーオーオオー、オーオー、オーオーオー、オーオーオオー….。

流れてくるだけで所構わず声を上げたくなる無敵のシンガロング。

聞いて彼らに向かって声を上げてるだけで、何もかも凌駕する様な快楽的瞬間があるのだ。

ゴキゲンなリズムに本気を出した彼らの楽曲のクオリティーに、脱帽しながら踊り歌い狂うのが只々楽しい究極のファンナンバー。

 

12.What Happened to You?  1994年'Smash'

One Fine Dayとセットになることが多い享楽的なスカパンクナンバー。
一瞬で空気を変えられるブライトネスな存在感。
この小気味良さと歌い回しのスピード感のクオリティ、伸び伸びと爽やかに、多幸感溢れるファニーで楽しい聴いてるだけで丸儲けな晴れやかさ。
こういう湿り気ゼロの圧倒的陽性な音が彼らの源泉にある。

どんなに闇を抱えてても、それを抱えながらまずは踊らせて、その後に残るもので考えるのだ。

 

13.Kristy, Are You Doing Okay?  2008年'Rise and Fall, Rage and Grace'

パンクサウンドだけなくスカパンクやポップ・ロックまで元々幅広い曲調苦にしないサウンドメーカーでもあるオフスプ至高のロックバラード。
パンクのセットリストで火照った身体が柔らかい風に包まれ優しく身体を潤してくれる。この曲がセットリストにある時の、フロア全員の柔らかな笑顔は忘れ難い。
ドラマチックなサウンドデザインに照らされるデクスターのボーカルはしなやかで美しく、強く心に降り注ぐ。
スマートなロックバラードとしての完成度、それに阿らない真っ直ぐ見据えられる柔らかい眩しさがデクスターの声から滲み出るナンバー。
 

14.You're Gonna Go Far, Kid  2008年'Rise and Fall, Rage and Grace'

こういうキャリアの長く深く広い活動をしてきたバンドは、スイッチを入れたい/切り替えたい場面で披露するシリアスなリードトラックを必ずもっている。
この曲も近年、ライブのオープナーで使われることが多い。
硝煙漂うようなスモーキーな冒頭から、ライトアップされるようなデクスターのボーカル、シリアスさを纏いつつボルテージが上がるオフスプらしいシュアでストイックなパンクサウンド。
そしてDonce fucker danceなのだ。
何も考えてないバカどもが踊らされる。そのまんまでいいのか?
反全体主義のキーワードになり得る強烈なキーワード、ハードな内容をより尖らせるダークでストイックなパンクの色合いは、内容を理解すればすればするほど濃くなっていく。
ドラマチックに折り重なり集約していくサウンドデザインも秀逸で、割と最近の曲らしくロックバンドとして骨太な彼らの根底を成す高いソングライティング力の一端も見えるのだ。
 

15.Hammerhead  2008年'Rise and Fall, Rage and Grace'

年をとるにつれて曲調は穏やかになり幅が広がるのがロックバンドの常だが、彼らの中でも必殺強力無比のこのメロコアチューンは割と最近になってから生まれた。
オルタナティヴなギターのイントロから、疾走感溢れるビートとリフが重なって火花散るリフ、モッシュピット必須の狂熱的に盛り上がる冒頭から中盤、ベースソロ以降の後半のグルーヴィーなフック溢れる展開と、メロコアサウンドの完成度は劇的に高い。

特に後半のデクスターの畳み掛けるボーカルは必聴のかっこよさである。

 

16.Coming For You  2015年'Coming For You'

チャカチャカなギターリフとタフなベースラインがリズム良く馴染むアッパーでコミカルなナンバー。
この記事を書いてる時点で最新のナンバーだが、怒号の様なシンガロング満載ですでにライブに欠かせないキラーチューンだ。
コミカルでキャッチーでズシッと野太い、エンターテイメント的かつ情熱的なバランスが彼ららしさの最前線であることに、誇りすら持てる。

 

17.Hit That  2003年'Splinter'

ヘビーなリフとトリッキーなサウンドのロックチューン。
バラエティーに富んだ音が使われていて中毒性の高い曲かもしれない。
ヒッタヒッタの意味は性交する事らしい。
乱れた性をこれでもかって程こきおろし、でもそんなもんだよな、と達観する面白い立ち位置。
ちょっとラフで独特な雰囲気はライブのセットリストの中でも際立つオリジナルなナンバーだ。
Oi!Oi!Oi!
 

18.Walla Walla  1998年'Americana'

これもオフスプリングを代表するファストでファニーな一曲。
これぞ西海岸パンクカーニバル的なリフに、ユニークでフックが効いたメロディーが畳み掛ける陽性のパンクス。
ワラワラは決して笑ってるんではなくてアメリカの地名らしい。
刑務所がある場所で、ムショ送りになった仲間を見送るという、ストリートな内容の一曲。
何か彼ら自身に思い入れのありそうな、そんな雰囲気も感じる一曲。
 

19.Americana  1998年'Americana'

ライブの演出的にも大好きな一曲。ライブのアンコールの一曲目でこの曲だった時に僕は衝撃を受けた。

みんなの拍手に笑顔で答えながらドラムが1人入ってきてライトが当たりドラム先行で楽しげにヘヴィーなグルーヴを作り、サポートギターがリフを弾き出す。

音が重なる辺りからステージ上のヌードルズにライトが辺り、タバコくわえながらリフを鳴らす。

もう一生ついていこうと思う格好いい男の姿。

デクスターの叫び一発でモッシュになだれ込みながら、この光景を忘れることは無いと心から思ったのを鮮明に覚えている。

 

何度見ても聞いても、これでいいというかこれしかない

僕らパンクファンのど定番オフスプリング。

ストイックと悪ノリのバランス、ストリート性とそれを支える確かな知性をもって30年以上パンクシーンを最前線で引っ張ってきた。

感じるのは大御所感よりホンモノ感。

いいか?頭悪くちゃどこでも死んじまう。

ルールに従う必要はない、でもそうすると責任が伴う。それでも彼らはやってきたのだ。

その姿と音は確かに、これしかないと思わせる誇りに満ちたものだから、僕らを何度でも魅了するのだ。

 

それではまた別の記事で。

The Offspringに想いを馳せて【バンドレビュー/オフスプリング】

今、炎のパンクロックカーズ オフスプリングに想いを馳せる

例えば、行きつけのお店が出来ると、僕は同じ定食を頼み続ける。
『あいつ、あれしか頼まねーな』って店員さんに思われようがお構いなし。
冒険心がないわけではなく俺にはこれがいいのだ、という思いが強いのだ
 
もう何度もライブで見ていても、ラインナップに名前があればやっぱり俺はコレだ、と見に行く。
オフスプリングのライブを見に行った時、会場でそんな定食への思いとリンクした。
1990年代、アメリカの西海岸を飛び出し全世界を席巻したメロコアパンクブームを牽引し、今や現代パンクスの象徴となったオフスプリングの例えが定食では些かチープすぎるかもしれない。
が、僕らにとって敷居が高いわけではなく、最大最高のクオリティを味わえるのはオフスプリングなだけという話なわけだ。
 
 
キャッチーでパンク、タフでストイック、そして悪ノリと知性。
現役で先頭に立っていながら、突き抜けた様な存在感すら感じる超越的なパンクレジェンド。
色濃いストリートの誇りと尊厳を持ち続ける事、そのために彼らが確立した正論は世界のパンクファンのバイブルであり、オフスプリングはきっと永遠に正しいパンクアイコンなのだ。
そんな僕らパンクファンのど定番、本日はそんなオフスプリングに今想いを馳せるバンドレビューをお届けします。
素敵な暇つぶしになれば幸い。

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ソングレビュー19曲はこちら!

www.footballsoundtrack.com

日常におけるオフスプリングの存在感

街に出てたって、家に居たって本当にさりげなくあらゆるシーンでオフスプリングが流れてる。実は。
TVのCMやバラエティー、少しパンチの効いた若者向けファッションのセレクトショップ、スポーツの会場やプロレスの入場曲でも、ゲームの挿入歌でも使われてたりする。
大体プリティーフライオールアイウォントだ。「アハン!アハン!」「ヤーヤーヤーヤーヤー!」だ。
 
オッと音の流れる方向を耳でキャッチして探してしまう、ファンとしてはちょっと聞こえてくる事がうれしい瞬間。町中でも誰も見てなけりゃ頭振って踊ってみたりも出来るだろう。
遥か遠くで聞こえていようが速攻で身体に染み入るリズムとメロディー
コマーシャルに溶け込めるだけキャッチーでありつつも、誇り高きパンク・マインドに溢れ心に絶妙なザワつきを残す。これがオフスプリング節の極意であり醍醐味なのだ。
 
オフスプリングの結成は1984年まで遡る。
オレンジカウンティでボーカル/ギターのデクスター・ホーランドとベースのグレック・K、そして彼らの高校の用務員だったギター兼酒の調達係(デクスターとグレックはもちろん未成年だった)のヌードルズが中心となって結成された。
Ramonesなどクラシカルな初期衝動のNYパンク・更にはBad ReligionやSuicidal Tendenciesなどのハードコア/メロディックハードコアの影響を受けたバンド結成で地元オレンジカウンティを始めとする西海岸エリアのパンクシーンで活動を始める。
 

www.footballsoundtrack.com

バンドに取っては下積みの時代で、デクスターは高校内でも指折りの秀才だったらしくパンクバンドを選んだ彼は後ろ指を刺される事も多かった。

実際にこの時の想いを込めた歌詞の曲も多く、実際上に載せたAll I Wantがまさにそういう曲だし、それが見事にカウンターでキマっているからオフスプリングのストーリーは痛快なのだ。

すでに1989年の1stアルバム'Offspring'のリリースの時点で彼らのパンクへの自信は確信に変わったという。

2曲目に入っている'Elders'のレコーディングを終えた瞬間にそう思ったようだ。

 

 

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彼ら自身にも彼らを含んだシーンの爆発の予感を感じていたはずだし、その嵐の中でも堂々とド真ん中で振る舞える音のクオリティとカリスマ性が彼らにはあった。

事実1994年に3rdアルバムの'Smash'はパンク史上空前のヒットアルバムとなり、同年メジャーデビューしたGreen Dayの'Dookie'と共に、全世界で1000万枚を超える売上を叩き出し、メロディックパンク/メロコアムーブメントは世界のロックシーンを大きく動かしていった。

その後のアルバムでも幅広いサウンドに、自らのオフスプ節を波及させて数々のアンセムを産み出し、それが今でも世界各国あらゆる媒体で何の違和感もなく鳴らされているのだ。

今や活動30年の超がつくベテランでも全く勢いを失うこと無くリスペクトを集め続ける所以となる滲み出る’ホンモノ感’は彼らのアイデンティティーでもある。

 

Offspringは現実的で最強のパンクアイコン

社会的世相を切りながら’ニセモノになるな’’ワナビー(知ったかぶった奴)どもになるな’’ホンモノの悪ガキになるんだ’と繰り返し僕らに説く。

フラフラと流行りの匂いに連れられてイケてるフリは寒いぜ?

硬派とか軟派とかファッションの上っ面じゃなくて深層でどうなんだ?

俺たちがなっちゃいけない姿を気持ちいいまでにこき下ろすメッセージは、突き刺さる上に思い切り楽しい。

 

そう楽しいのだ。Give it to me babyアハンアハンなのだ。

パンクという硬質な精神も持ち合わせながらジョークのセンスでストリートっぽさを内包しているのがメロディックパンクの真髄でもあるが、そのジョーキングセンスもぶっ飛んでいながらインテリジェンスで痛快かつ秀逸なのだ。

おそらくここまでぐうの音も出ない程ブチのめし、そして聞いてる人の共感を誘い面白く周りをこき下ろせるバンドは、パンク界でNo1で有り続けてるんじゃないか。

13てタトゥー入れたかったのに31って入れられたってプリティ・フライでダサい奴をからかい、バックストリート・ボーイズだ!と衣装を着せたダッチワイフをステージ上で破壊したり、急に無料ダウンロードで曲を配布し更に抽選で100万ドルプレゼントしたり。

アンチファッション的アンチポーザー的で彼らが彼らの誇りを守るために戦うべき所が何処までもブレず、そしてその言い回しとか目のつけどころ方法論が、聴くキッズ達を俺もこういうやり方で生きていきてぇ!と惹きつけて止まないのだ。

 

 

ただ怒りを撒き散らす自棄っぱちな一発屋パンクとは違い、一貫してそのスタイルを貫く事で長らく僕らのバイブルになり得た音の強靱さと楽しさと正しさ。

どのタイミングで聴いても正しいし、だからこそどこかで混ざって聴いてもエンジンがかかった様な喜びに包まれるのだ。

きっと僕自身が間違っちまった時に聴いたとすれば、ハッと気付かせてくれるし、聴いた時に自分がブレていた事に気づく。

彼らが絶対にブレないという信頼感が根底にあるから指標にすらなるのである。

 

永遠に正しいガイドスター

少し難しく言うならば議論の余地もない最強のシンボルとして君臨する風格だけではなく、そういうオーラみたいなものすら音一発で感じさせることの出来る楽曲の説得力も伴っていたからこそオフスプリングは唯一無二の兄貴感を手にした。

 


結局、硬派だろうが軟派だろうが勘違い野郎も心から躍らせるパンクサウンドのキレ味が何よりも必要。

汗だくで踊り終わった後、燻っていた理想とのギャップが炙り出された様で、それでも嬉しい他のどのバンドも到達してない領域の満足感がきっと彼らの曲には満ちてる

西海岸パンクのカラッとした風を感じさせるサウンドを基調にした明るくタフなパンクサウンドには、ポップだパンクだ、キャッチーだアングラだなどのチャチな二元論は少なからず付きまとってくる。

それをきっと彼らはオルタナティヴに解釈し、オフスプリング節と言えるパンクの形態を創り上げた。

ハードコアのストイック&タフで鋭利さ。

ニヒルなユーモアセンスを持ち前のポップセンスで練り上げた躍動感。

 

 

その2面性がどこまでも説得力のあるバランスで機能する圧倒的なウォール・オブ・パンクサウンドを創り上げたのだ。

キッズ達の不満を発散させ得る爆発的なエネルギーに直結しながら、'お前は誇りを持って生きていけるのか?'と燃えるようなメッセージも残せる。
パンクアンセムにはわかりやすさと親しみやすさの上に、情熱とまっすぐな正しさも欠かせない。
 
コアなマインドで幅広い視野をもったメッセージ性があるからこそその表現方法も実にパンク的ロック的な中で多彩なのだ。

小気味いいテンポから超高速のグルーヴまで自由自在にリズムが変化する中、アツさと華やかさを備えたデクスターのハイトーンボーカルが力強く鮮やかにリズムを先導して疾走る。

ユニークでフックのあるリフのセンス。

コミカルなときはちょっとニヒルさを香らせ、ストイックに疾走るときはビリビリ感じさせるパンクギターの表情もみたいなのも見事だし、コミカルでタフなサウンドセンスとキャッチーなメロディーセンスが完璧にアンビバレントに成立する。

単純に聞いていて気持ちの良い瞬間が続きまくるバウンシーな物だし、何より聞いてるだけでなくあらゆる箇所に用意されてるシンガロングのポイントが超アッパーなのだ。

来るぞ来るぞ...キター!!という鉄板の信頼感は決して予定調和的ではなく、何も考えずにめちゃくちゃなまま叫び踊るエモーショナルなものだ。

そういうご機嫌さをタフにハイクオリティーで、音楽的興奮と心のど真ん中を撃ち抜いてくれた感動はかつて無くこれからも唯一無二なものだ。

きっと1億回聞いたって初めてみたいに滅茶苦茶に踊れる。ちょっと上手くなってるかもしれないけど。 

The Offspringに想いを馳せる

人生とはつまりって事を言い出せば、自分のスタイルとか尊厳を如何に構築し、如何にそれを守るために戦うか、という事になるのかなと思って生きてきた。
やりたい事をやっていながらそれが空回りや過剰になっていない事が誇りを保つコツでもある。
人を惹き付けるような信念を持って闘い続けなきゃきっとつまらねぇ人生になるのだ。
 
オフスプリングは30年間、俺たちはこうだ。お前らはどうなんだと僕らの心に問いかけてくる。
 
ポップパンクのアイコンみたいなバンドはグリーンデイだと思うけど、
オフスプリングは一目置かれる先輩みたいな存在感はある。
ききそうで絶対に替えの効かない魅力がラインナップのロゴの時点でばしばし伝わってくる。

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キッズ達のガイドになりつづけてきた彼ら。
ガシガシと心臓を掴まれるような身体の芯に響く声と音は痛快
イメージ的には炎だ
飛んで火に入る夏の虫とばかり寄ってきた者を情熱の炎で焼き尽くす
それは恐ろしい程の陽性のパワーで、耐えられるのはパンクキッズのみなのである。
物凄い憧れ。一生ついていきたいバンド。
またオフスプ見るの?と言われても、僕にはOffspringがあればいいのだ、とお気に入りの定食の様に、胸に秘めて生きていきたいのだ。

あの定食もオフスプリングも変わらない。

何か違うなと思ったら俺が変わっちまっただけだ。

Offspring アルバム!

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