Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

ぐちゃぐちゃになるほど疲れた時に聞くRock Song16【捻くれ者のバラッド】

ぐちゃぐちゃになる程疲れた時の突発的なサウンドトラック集 

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ドン底の限界まで疲れた時。

カラッカラになるまで体力は尽き、楽しいことも喜ばしいことも何も考えられないほど心荒むどん底の景色。

一滴のエネルギーすら無くて乾ききった体の底には、何か納得いかない気持ちが凝縮された黒いモノすら渦巻いていてる気がする。

こういう気持ちも忘れちゃいけないと思った。

そう言う時に聞く音楽は爽やかさなんていらねぇ、かと言って陰に入るとホントに死にそうだ。

ロウでドープで、時に狂ったようにアグレッシブ

ぐちゃぐちゃになる程疲れた時の景色を覚えておくため、最悪のコンディションの心身に響いたロックサウンドトラックを、黒い欲望の赴くままにまとめてみました。

今、私は疲れているのだ。疲れたロックファンによる捻くれ者のバラッド達。

素敵な暇つぶしになれば幸い。

 

  • ぐちゃぐちゃになる程疲れた時の突発的なサウンドトラック集 
    • Spotify Playlist
    • 1.The Vines 'Outtathaway'
    • 2.Cage The Elephant 'Ain't No Rest For The Wicked'
    • 3.The Cribs 'One Bovine Public'
    • 4.Beck 'Where It's At'
    • 5.Red Hot Chili Peppers 'Naked In The Rain'
    • 6.The Offspring 'Self Esteem'
    • 7.Royal Blood 'Out Of The Black'
    • 8.Nirvana 'School'
    • 9.Baby Shambles 'Delivery'
    • 10.Blur'Country Sad Ballad Man'
    • 11.Soundgarden 'Burden In My Hand'
    • 12.Alice In Chains ' Heaven Beside You'
    • 13.Nine Inch Nails 'The Collector'
    • 14.Black Rebel Motorcycle Club 'White Palms'
    • 15.Foo Fighters ' Something From Nothing'
    • 16.Kula Shaker 'Start All Over'
    • 空っぽの心に、擦れたロックを

 

Spotify Playlist

 

1.The Vines 'Outtathaway'

ノイズにまみれ無理矢理捻り出したような歪みから、気怠くロウでも自然と超セクシーなタイド感を産むギターリフが漂えば、身体の底のフラストレーションを掬い上げる様なシャウトがつんざく。

クレイグのボーカルの逸脱感は唯一無二のヴァインズのキラーチューン。

なんでなんだ、と疲れた体に渦巻くドス黒い怒りを曝け出させる、ロックンロールのシンプルで凶暴で利己的なドライヴ感は、どこまでもぐっちゃぐちゃでそれでもどん底な気持ちには心地いいのだ。

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2.Cage The Elephant 'Ain't No Rest For The Wicked'

音に当てられるだけで何だかわからない類の麻薬的なトリップ感にまみれる、ミステリアスでタイトな音とグルーヴ。

ファンキーなベースライン&ギターサウンドとチャカチャカした音がサイケなリズム感を産む高揚感のまとわりつくスティッキーなロック。

突き抜けないグルーヴだからこそ、彼らが僕の周りを回転しつつヴァイヴを叩きつけるように感じる空間の共有感は凄い。

ごちゃごちゃときらびやかな中、空っぽな空虚さがいつのまにか支配する音の歪みみたいなものは、空っぽな身体に効く。

 

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3.The Cribs 'One Bovine Public'

クルクルと回るローファイで軽快なガレージ・ロックサウンド。

頭で考える必要なく身体を直接踊らせる純粋な衝動・無防備な開放感はクリブスならでは。

ペンキをぶちまけるような狂った爽快さに、ぐちゃぐちゃに踊ってみるのも悪くなくて、傍から見て多少痛かろうがかまわないのだと思わせてくれる。

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4.Beck 'Where It's At'

ジャジーでメロウなBECKのスタイリッシュ・オルタナティヴナンバー。

今の僕の頭の中よりももっとぐちゃぐちゃになりながらキマってる、メロウなものが混雑していきいつしか魔法の様に鮮やかに解ける超快感。

肉体疲労と脳内アドレナリンがせめぎ合い、荒も憂もどちらもの思いが浮かんでは消える心象風景にぴったりだ。

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5.Red Hot Chili Peppers 'Naked In The Rain'

ファッキンファンキーに。

そういう言葉すら出て来てしまう。

それを地で吐き出してくれて、その上超かっこいいレッチリは疲れたコンディションの時こそ頼りになる。

トリッキーにのたうつようでもビシビシキマるビートに雨の中、半裸のアンソニーが奇怪に踊る光景がドロドロに爽やかだ。

6.The Offspring 'Self Esteem'

即効的でドラッギーなヘヴィパンクチューン。

開幕シャウトは体力ない時こそ爆音で聴くべき。

大振りなビートの中、雷鳴のように降るノイジーなディストーションギター、それを切り裂くデクスターの高音ボーカル、そのタフさ男らしさは、きっと疲れ切ってる今の僕の先の先まで闘えるんだろうと思わせる。

汲めども汲めども尽きないマイナスなもんを、もうほっぽり出して拳をぶん回せる無敵のパッションがオフスプにはある。

 

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7.Royal Blood 'Out Of The Black'

近代ロックを象徴するミニマルなロックデュオ、ロイヤルブラッドの代表的ナンバー。

ドロドロのまま深く眠りに落ちれる様で、黒く渦巻くメロディーラインは不穏で粗暴ながら深い余韻があるのだ。

一発が重い強烈なスネアも痛快に身体を突き抜けて、空っぽな身体にこそよく響く。

 

8.Nirvana 'School'

こういう時しか見えない黒いモノを心に刻みつける為にニルヴァーナは最適だ。

消えない傷痕になって、きっと魂が消えそうな最後の所で失ってはいけない狂気になる。

どこまでもどす黒いリフを振り回す破壊的なサウンド。

暴走的なギターソロからカートのボーカルの爆発は世界で最も荒々しくも美しくて、いつもは沸かない得体の知れない感情が火を点けるのだ。

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あのバンドの秀逸なサイドプロジェクト15選【サイドバンド・ソロ・プロジェクト・スーパーグループ】

本来のバンドから離れた秀逸なサイドプロジェクト、そこでしか見られない違った影を楽しみたい

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自分なりのスタイルルールこだわりでも何でもいいが、周りの人からお前はこーゆー奴だと固定的に思われる軸みたいなモノがある人は多い。

なかなかそう周りから求められているモノは変えづらいし、押し付けでなく自発的なものだと本人も自然とそうなっている事が多いし、しっくりきている事が多いだろうから貫く事にストレスはあまりないだろう。
ただ、ふとそうじゃなかった時の自分はどうなんだろう?
と、それを知りたい欲求が湧いてきたりする。
自分の中の小さな自分はきっと何人かいて、その内の少数の何人かは今自分が向いてる方向にちょっと燻りながら、前ならえしてるのだ。
たまにはそいつをフォーカスしてやると、結局みんなにとって良かったりして、全てが上手く回り出したりする。
人には言わない自分との対話をして、ガス抜きしたり、ちょっとキャラ変えしたり、普段やらない事をやる欲求。
その姿は、割と人から見ても美しいもんだ。
今回はロックなバンド/アーティスト達のそういう話。

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本来のバンド、アーティスト活動とは離れたロックバンド/アーティストのサイドプロジェクトを今回は集めてみました。
本来のバンドでは出来ないこと、メンバーのソロだったり、別のメンツで集まった新バンドだったり。
真逆を行くもの、或いは延長戦発展系、デモ集的な役割。
始まりのアイデンティティーはきっちり存在しつつ、振り返って聴いてみると、そのオルタナ性が良く気づけば本家より耳に心にひっかかる、なんて事も多々ある。
肩の力を抜いたり、ギアを入れ替えた別の表情は、ロックは多彩である様に対比的に見ても面白く聴ける。
そんな秀逸なサイドプロジェクト集
知ってるもの、そうでないものどっちも、聴きながら読んで頂けると幸いです。
 
 

Spotify Playlist

 

1.Foxboro Hot Tubs

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Green Dayによるサイドプロジェクト。

2007年、突如としてWEBサイトが立ち上がり、覆面バンドながらバレバレのほぼグリーンデイのメンバーで行われる苛烈でナチュラルなガレージロックバンド。

60sのパブで飲んだくれながらバンドを組んでギターをかき鳴らし歌い散らす、ドランキーなロックンロールを爆笑しながら大量の酒を投げつけてくる様なハチャメチャな快感。

グリーンデイのキャッチーなロックンロールを爆音で、という演奏/ボーカルスタイルはそのままでも、よりルーツミュージックに近いストッパーの外し方で、奔放さが強めなのが大きな特徴だ。

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ビリー・ジョー・アームストロングは2018年、The Longshotというサイドプロジェクトもスタート。こちらもストレートに爽やかなロックが聞けて新鮮。

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2.The Last Shadow Puppets

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アークティック・モンキーズのフロントマン、アレックス・ターナーと、UKインディーロックバンド、ラスカルズのマイルズ・ケインによるデュオバンド。

ロックのモダニズムの体現者であるアレックスのボーカルで演じる、古き良きブリッティシュロックの香りを再現する様なスタイリッシュで古風なサウンド。

モダンなスピード感と格式高いサウンドをミックスし、アレックスのボーカルとケインのコーラスのハーモニーと共に、艷やかでアイロニーな世界観はどこか神聖。

見た目も凄いキリッとしつつアートで何だか根源的にカッコイイ2人が映える音楽性だ。

 

3.Me First and the Gimme Gimmes

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NOFXのファットマイクが発起人のファットレックコーズ近辺のパンクバンドが集まったパンクスーパーグループ。
ロック・ポップス・カントリーあるいはJ-Popのパンクカバーをファニーに行うアツい男たち。

男気あふれるコアなパンクとは離れ自然体にカッコイイ姿で、耳馴染みの良い名曲のカバーを音楽を楽しむかのように歌うのだ。

メンバーは時折入れ替わるがラグワゴンノーユースまでストリート界隈のパンクレジェンドばかり名を連ねる。

Swingin' Uttersのスパイクのボーカルが何ともハスキーで超絶セクシーで、馬鹿らしく突っ走るパンクなアイディアバンドを鮮やかに彩る。

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4.Atoms For Peace

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Radioheadのフロントマン、トム・ヨークRed Hot Chili Peppersのベーシスト、フリーがタッグを組んで発足したスーパーグループ。
そもそもこの2人が音楽界でも至宝の2人なのに、BECKやREMのプロジェクトに参加するジョーイ・ワロンカー、ブラジル人のパーカッション、マウロ・レフォスコ、そしてレディオヘッドのプロデューサー、ナイジェル・ゴドリッチという大物が脇を固める世界最強のポストロックバンドになった。
トムの音楽観が淡く揺らめく様に、それでもフリーのベースでエネルギッシュに。
ロックではない何かを鳴らす、何もかもから逸脱したドープな音楽。
理解の範疇を超えた怖さと畏敬、圧倒的な迫力に上下左右もわからずただ深く呑まれるタイプの音楽だ。
 
 

5.The Raconteurs

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ジャック・ホワイトブレンダン・ベンソンのツインボーカル/ギターとグリーンホーンズのリズム隊が結集したオルタナロックシーンが震え上がるメンバーの揃ったデトロイト発のスーパーバンド。

奇才の集まったスーパー・グループは、独特のリフを振り上げつつどストレートなガレージロックを鳴らす、漲るホンモノ感。

ジャックやブレンダンらしリフワークやボーカルが中心に存在しつつも、同窓会的なノリで集まりそれぞれがやりたい事が手に取るようにわかる類の抜群の信頼感が産むバンドのグルーヴもまた粋な部分。

6.Chickenfoot

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ハードロック界の頂きを極めたヴァン・ヘイレンの元メンバーとレッチリのドラマーのチャドが偶然どこかのパブでセッションし、そこから生まれた漫画みたいな出会いの漫画みたいなバンド。

ギタリストとして招聘されたジョー・サトリアーニのギターが歌うように鳴り、チャドとマイケル・アンソニーのパワフルなグルーヴに、サミー・ヘイガーのハードロック界の国宝級のボーカル。

数々のニセモノの王道を脇道に蹴っ飛ばし、自分たちだけの王道を闊歩する超かっこいいオジサン達の超絶ハードロック。

 

7.Rivers Cuomo

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大好きWeezerのフロントマン、リヴァース・クオモもソロで3枚アルバムを出している。

曲作りの中で生まれたデモ集を1人でレコーディングした文系の彼らしいソロ活動。

ウィーザーらしいパワーポップでエモーショナルな瞬間もありつつ、ナチュラルでもっと心の穏やかで暖かい部分に触れたような心地。

同時にソングライター、リバースの底の深さと音楽性の純度に恐れ入る瞬間も多々ある。

剥いて剥いても結局はリバースの良さが胸に染みるし、ウィーザーより再生回数が多い名曲もちらほらある実に名盤なのだ。

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8.Box Car Racer

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Blink182の絶頂期、ボーカルのトムとドラムのトラヴィスが始めたサイドプロジェクト。

ポップ・パンクムーブメントの過渡期、自らの音楽の進化を求め、トム自身のヘルニアというブリンクの活動休止時期を活かして作ったバンドで、ベースのマークも何曲か参加していたりする。

ストリートなムードを残しながらオルタナティヴに練られたこの時期の彼らにしか見いだせないバランス感覚のサウンドデザインは見事。

ブリンクがその後辿るポップ・パンクの進化の最初の一歩は、このバンドなのかもしれない。

 

9.Them Crooked Vultures

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クイーンズ・オブ・ストーンエイジのジョシュ・オム、フーファイターズのデイヴ・グロール、なんとレッドツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズ
仲良しのジョシュ・オムに加え、スーパー大先輩のジョン・ポール・ジョーンズを引き入れてしまう発案者デイヴの人柄が目立つ、史上でもネームバリュー的には屈指のロックスーパーグループ。
それぞれの妙技が色濃く鮮やかに反映されたロックサウンドは、高揚感に満ちてカラフルなのにズシッと重厚。
名前負けしないというか、聞いて初めてわかるこのバンドの凄さもあるのだ。

 

10.Tinted Windows

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時を超えロック界のポップ職人たちが集まったスーパーグループ。

グランジをオルタナティヴにわたりきったスマッシング・パンプキンズのギター、ジェイムズ・イハ、3兄弟ポップ・ロックバンドのハンソンのメンバー、テイラー・ハンソンがボーカルを取り、パワーポップ職人ファウンテンズ・オブ・ウェインのベースのアダム、さらには大御所チープ・トリックのドラマー、バン・E・カルロスで組んだ泣く子も笑うポップネス最強連合。

1ミリでもズレればダサいと切られかねないポップロックを極限まで突き詰め、ずば抜けた瑞々しさは甘くて物凄いキレのある音を響かせ続けるまさに職人技なんだろう。

 

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11.Baby Shambles

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世界を制したガレージロックバンド、リバティーンズの酩酊詩人こそピート・ドハティーによるバンド。

ピートはドラッグの常習問題によりライブパフォーマンスを出来る状態ではなく、実質クビの様な扱いでリバティーンズも活動休止に入る。

その中メンバーを集めサイドプロジェクトとして始めたのがベイビー・シャンブルズだった。

最盛期にパンクだったピートは、バンドの初ギグの日にリバのカールの家に泥棒に入ったり、オアシスのサポートの日に結婚式に行ってたりとやりたい放題のニュースが目立つ活動だった。

それでも上手さとはかけ離れた何かは失っていない、ギザギザなギターとあと少しで壊れそうなボロボロな歌声はガラスのように美しくアイコニックな魅力に溢れていた。

 

12.Beady Eye

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オアシスは兄であるリーダーのノエルの脱退によって終焉を迎え、残されたメンバーはリアムを中心としてビーディー・アイを立ち上げた。

ノエルがいないだけで、その他のメンバーは楽器を持ち替えたりしているが全くのオアシスメンバー。

単なる引き算ではなく、いなくなったからこその空間を(本人たちが望まなくとも)しっかりと感じつつ、ある種ミニマムにストレートなロックメロディーを奏でた。

ちょっとこのスモーキーな空気感は、時の経った今いっそう輝いている気がしてならないのだ。

13.The Voidz

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彗星のような登場以降、ロックンロールという人体の心臓部を担い再びロックの血流を熱くたぎらせたストロークスのカリスマ的フロントマン、ジュリアン・カサブランカスのソロプロジェクト。

当初はジュリアン+ヴォイズという名前だったが2018年のアルバムではヴォイズの名義になりよりバンドとしてのメッセージが濃くなった。

全員パンチのあるファッションと髪型とヒゲ。凄く奇天烈な見た目通りの強烈にアンタッチャブルな音楽。

難解というよりは痛快にぶっ飛んだ劇薬的なロックは、込み入った感じはなくナチュラルにサイケに楽しめるのだ。

 

14.BNQT

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インディーロックバンド、ミッドレイクのメンバーを中心にフランツ・フェルディナンド、トラヴィス、バンド・オブ・ホーセズ、グランダディという極上のバンドから世にも美しいメンバーの揃ったスーパーグループ。

ロックの響き方みたいなモノを熟知した文句なく鮮やかなサウンドは、眩くて厚みあるパワフルさ。

奥ゆかしくも強靭なハーモニーは、神聖な雰囲気までする極上の一品的な高貴さすらあるのだ。

 

15.Gorillaz

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ブラーデーモン・アルバーンが立ち上げた本家も凌駕しそうな超有名バーチャルバンド。

世界で最も売れたバーチャルバンドとして名を残し、その世界観とキャラクター達の個性はすっごい魅力的。

最早ベテランのバンドになった彼らに何の違和感もなく、ミステリアスさよりもその楽曲のクオリティー+世界観のパーフェクトな景観が彼らが世界一になった要因でもあるのだ。

 

少しだけ違う秘密めいた響き

以上いかがでしたでしょうか?

こういうバンド、知らなかった!って言われた時の快感が半端なくデカイ。

秘密めいていながら、そう留めておきたくはないし、なんとも絶妙でオルタナティヴなサイドプロジェクト達。

本家があってこそ、というのは重々理解しつつも、何年か経てばかなり聴き込んでいるなんて事もある。

果敢でナチュラルで美学的で、一発でソレとわかる必殺技だったり、粋なバンド達なのである。

 

それではまた別の記事で。

夏に合うオルタナロック涼の22選【Best Summer Cool Rock Song of 1987 Born】

1987年生まれが選ぶ夏に合うサマーロックソングサウンドトラック!涼の22曲!2019年8月リライト

  • 1987年生まれが選ぶ夏に合うサマーロックソングサウンドトラック!涼の22曲!2019年8月リライト
    • 前回はコチラ!
    • Spotify Playlist
    • 1.Jack Johnson 'Monsoon' 
    • 2.Jason Mraz 'I'm Yours'
    • 3.Tahiti 80 'Heartbeat'
    • 4.Circa Waves 'T-Shirt Weather'
    • 5.Blur 'Parklife'
    • 6.Third Eye Blind ’Wake For Young Souls’
    • 7.Brendan Benson ’What I'm Looking For (Ad Version)’
    • 8.Nada Surf 'Mustang'
    • 9.The John Butler Trio 'I'd Do Anything'
    • 10.Simple Plan 'Summer Paradaice'
    • 11.Sublime 'Santeria'
    • 12.Oasis ’Champagne Supernova’
    • 13.the HIATUS ’Catch You Later’
    • 14.Catfish And the Bottlemen 'Cocoon'
    • 15Weezer ’Island In The Sun’
    • 16.難波章浩 -AKIHIRO NAMBA- ’LOVIN' YOU’
    • 17.NICOTINE 'SUNRISE BEACH'
    • 18.東京事変 ’雨天決行’
    • 19.Sugar Ray 'Every Morning'
    • 20.Incubus ’Summer Romance (Anti-Gravity Love Song)’
    • 21.Red Hot Chili Peppers 'Scar Tissue'
    • 22.Green Day 'Wake Me Up When September Ends'
    • 涼の22曲 もうすぐ夏が終わる

 

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もう一生分暑いって言った今年の夏。いくら暑さを憎んでも僕らを幸せにはしない。

そろそろ慣れてきたし、永遠に続くかと思われた纏わり付く暑さも8月という事は折り返しなのだ。

皆様はどうお過ごしだろうか?

前回の陽の30曲に続き、今回は涼の曲、という事でまとめてみました。

 

前回はコチラ!

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引き続き暑い夏も折り返しを終え、徐々に慣れてくるのもあり、次第にその姿を変えてくる。

焦がす様な太陽、揺らめく熱気の裏には、実に美しい涼感に溢れる瞬間があるのだ。

ビジーな音を一端置いて、オーガニックでアコースティックでダヴな音楽に身を任せたい。

涼しさを感じる良曲達。

Jack Johnson、Jason MrazにTahiti 80もThird Eye BlindもWeezerもOasisも。

1987年生まれの僕的に集めたベストサマーソング今回は涼の22選。

こちらも是非、聴きながら読んで頂き、素敵な暇つぶしになれば幸いです。

 

Spotify Playlist

 

1.Jack Johnson 'Monsoon' 

サーフ音楽の第一人者的レジェンドで現代最高峰のサーフロックシンガーソングライター、ジャックジョンソン

頬を撫でるような優しい声と王道のオーガニックなサウンド。月・海・潮の歌詞が言霊みたいに漂う。

跳ねるようなピアノにショウアップされて、ドライヴィンなビートに落ちて行き、穏やかさを心に宿し、一曲聞いたら前を向いて歩き出せそうな涼の名曲だ。

 

2.Jason Mraz 'I'm Yours'

多彩なメロディーを操るシンガーソングライター、ジェイソンムラーズ

警戒で超涼的な質感、このダヴさに加えて心に電流を起こせる群を抜いた美しい、まるで小鳥の囀りの様な歌声。

ミニマムでアコースティックな音が歌い手の感情まで巻き込み、歌とともに鮮やかに流れ込んでくるダイレクトさがある。

 

3.Tahiti 80 'Heartbeat'

フランスの誇る最高のサマーグループ、Tahiti 80

爽やかに潤う芸術性高めのサウンドは一味も一癖も違うアーティスティックな清涼感。

シンプルにしっとりと涼感漂うが、どこかグラマラスな美しさすら持ったクールな曲だ。

 

4.Circa Waves 'T-Shirt Weather'

今最もモダンで涼しいロックバンド、サーカ・ウェイブスのキラーチューン。

太陽に溶けてしまいそうな繊細なギターメロディーが涼しい風を巻き起こし、体感温度は5度ぐらい下がる。

Tシャツを着ようが暑いもんは暑いが、少しでも気分を上げられそうな何処までも繊細で爽やかなエモーショナルは夏には欠かせない。

 

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5.Blur 'Parklife'

オルタナティヴなポップセンスが炸裂したブラーのキラーソング。

噴水のありそうな公園をマイペースに歩けそうな、極めて陽気ながらオルタナティヴなサウンドデザインはどこか涼的。

不可思議さが大輪の華を咲かせたブラーポップネスのカラフルさは、クールに夏を染め上げるセンスがあるのだ。

 

6.Third Eye Blind ’Wake For Young Souls’

オルタナティブなギターグルーヴを奏でるサードアイブラインドのミディアムなギターロック。

澄みきったグルーヴと甘いロマンシチズムに溢れたナンバー。

波の様なギターメロディーが弾けそうで弾けずキラキラとバンドサウンドに溶けて輝く。
メロディーが眩く跳ね上がるシーンが波しぶきの様に鮮やかに光って、穏やかなメロウは抜群の安定感を感じゆったりと身体を預けられる。

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7.Brendan Benson ’What I'm Looking For (Ad Version)’

超実力派パワーポップシンガーソングライター、ブレンダン・ベンソンの涼の名曲。

海ってよりは木の香りがしそうな暖かく優しい声。

優しく賑やかに広がるオーガニックな音の輪が清涼的な空間を作り出してくれるのだ。

割と季節は選ばないかもしれないが、繊細なギターの高鳴りは木陰の涼風を感じさせるので選んだ 。

 

8.Nada Surf 'Mustang'

NY出身の文学系ロックバンド、ナダ・サーフによるアジカンのカバー。

親交のあるアジカンやスピッツのカバーも同じアルバムでやってるんだが、どちらも超優しいテンダーロックカバーに様変わりしている。

どこまでも繊細な音で、サラリとした抜群の耳触り。

音楽以外では得難い浮遊感を存分に味あわせてくれるのだ。

 

9.The John Butler Trio 'I'd Do Anything'

ギターレジェンド、ジョン・バトラー率いるジョン・バトラー・トリオのメロウでクールなギターナンバー。

サーフでダブなグルーヴを漂うようなギターから畳み掛ける分厚いサウンドは力強く涼しくもエネルギッシュ。

焼け焦げてしまった心も身体も癒やすようなオーガニックさを保ったまま力を溜めて走り出せそうな強靭さもある。

 

10.Simple Plan 'Summer Paradaice'

僕らが誇るポップパンクバンド、シンプルプランのヒットサマーナンバー。

オーガニックなサウンドに乗せた極上のキャッチーさ、ピエールのサラッとした抜群の美声が映える。

儚げな歌に反してとてつもなく分厚い音楽的要素に彼らのセンスを感じる。

艶やかに爽やかに、夢心地に浸れるある意味ベタと言っても良い、魔法のポップセンスを前面に出せるアイコニックさこそ彼らの真骨頂だ。

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11.Sublime 'Santeria'

数々のフォロワーを持つ殿堂入りのレジェンド、サブライムの名曲。

最強のサマーバンドでサブライム節と呼ばれる後世に続くスタイル。

甘くメロウなサウンドに乗るエキセントリックな魂に響く声。

降り注ぐメロディーの質は夏そのもの。

泣かせるギターソロを跳ね上げるビートに更に上から落ちてくるような声は唯一無二だ。

 

12.Oasis ’Champagne Supernova’

オアシスのスタジアムアンセムから。

スタジアムロックアンセムでありグッドバラード。これを両立できるのが彼らの凄さ。

無数の泡に包まれる様な幻想のギターメロディーが浮遊する、その曖昧な輪郭を壊すことなくノイジーなパワーに満ちたリアムの信じられないくらい美しい声をその中心に据える。
ドリーミーな超清涼的空間で包む、彼ら屈指の涼の名曲。

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13.the HIATUS ’Catch You Later’

Catch You Later

Catch You Later

  • the HIATUS
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

ハイエイタスのスタイリッシュロックバラード。

森の中で木漏れ日が差している様なシンセに、堂々としたギターリフ、鮮やかなのピアノとハイセンスなドラミング。

それらを様々な音を、鮮やかな色彩で花開かせるロックバラッド。

常に清涼な風を感じるのは、どんな空間でも中心的存在になれる細美の声が大きい。

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14.Catfish And the Bottlemen 'Cocoon'

モダンオルタナティヴロックバンド筆頭のキャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメンのキラーチューン。

サマーチューンというわけではないが、身を焦がすようで逆にクールにクールに覚ましていく類の深く淡いメロディーは実に涼しく聴ける。

 

 

15Weezer ’Island In The Sun’

ウィーザー最高のサマーチューン。

ミディアムなテンポに、幻想的で穏やかな夏の霧雨の様なギター。

リズムをつけるベースの歪みに、ヘッヘッ の特徴的なコーラス。

霧雨をまとい浮遊する様なリバースの声は夏、僕らの目にも彼等の目にも映った奇跡の光景を作った。

ローリングストーン誌の選ぶオールタイムサマーソング50にも選ばれていた名曲。

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MONOEYES'Two Little Fishes'は僕らの'Don't Look Back Angar'だ-僕らのロックに想いを馳せる-

僕らが再び集まる為のパワーアンセム 2019年8月リライト

2017年7月発表のMONOEYESの2ndアルバム'Dim The Light'に入った'Two Little Fishes'は、冒頭のリフを聴いた瞬間から鳥肌ものの名曲だった。

2年以上経った今、時間が経ってもまるで色褪せず、むしろ回数聴く度に日常とリンクさせられる部分が増えて鮮やかに世界を染め上げてくれるこの曲は、単なる一過性の良曲という域を完全に超えた感覚があるのだ。

歴史的な状況に直面している時って、意外と当事者はピンときていない事が多いが、ロックの長い歴史の中で、数多くの名曲を超えたアンセムと呼ばれる存在の曲が世に出た時もこんな感覚で広まっていったのかもしれない。

 

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どこかの機関の研究結果の記事を読んだが、音楽を聴いてその音に反応し、鳥肌が立ったり泣けるというのはある種の才能らしい。

ホントかよ割と泣きまくりだぞ、と思ったが偉い人に言われると、泣ける自分が何か誇らしいのでそう思う事にした。

有り難い事にそういう才能を持てた僕は、小さい世界でも自分の音楽世界をそういう曲が溢れる人生にしたいなと思って、ここまで来た。

最初は小さかった世界も、自分なりに大きくなってきて偏って薄っぺらくとも僕のRockな世界が出来上がってきたと、少しずつ思う。

 

'Two Little Fishes'はそういう世界の幅を少し押し広げる類の名曲だった。

美しいとか、かっこいいとか、その前に嬉しい気持ちが胸を締め付ける圧倒的な一曲だ。

リリース後数年経っても、まるで色褪せずにツアーを経て完全にアンセム化したこの曲は、まだ今後何十年経っても意味を持つ様な予感すら有る。

彼らと僕らが完璧にシンクロするアンサーソング的で真骨頂かつ集大成的な曲。

そういう要素の全てが、僕らのロックという少し小っ恥ずかしい言葉すら誇らしげに使える原動力になるのだ。

今、その必要性を考える。名曲に想いを馳せて。

 

'Two Little Fishes'


MONOEYES - Two Little Fishes(Music Video)

名曲の条件は人それぞれ指標が有ると思う。

ただアンセム化するためには、わかりやすさと親しみやすさとメッセージが不可欠だ。

インスタントに口ずさめて、でも丹念に紡がれた事がわかるとてもロマンチックな'Two Little Fishes'のメロディーは、一生聞き続けられるであろう確信と手放しの喜びに満ちていた。

一音目から祝福に満ちた様な旋律を繰り返すアンセミックなギターリフは、ここから放課後の俺たちの時間が始まる終業のチャイムを思わせ、曲の幕を開けと共に世界観へと飛び込んでいける引力がある。
電撃的だけど優しいギターが鳴った瞬間から聴き進めて行けば行くほど、心が潤い満たされていく類のキラキラしたメロディーが何度も折々に繰り返され、そういう音像を噛みしめる様なハードなリズムギターがジワジワと温度を上げ、瑞々しく跳ね上げるリズム隊が更に高揚感を煽る。
キラキラした水の中に飛び込む様な爽快なサビになれば、一度潜って水面に顔を出した瞬間に眩しいメロディーに再度迎え入れられる様で、何重にも鮮やかな光の音が折り重なり、それぞれリスナーがパーソナルに輝いている光景を思い馳せられる様な空間的なものになっていくのだ。
メロディーの重なりだけでこの域まで達するロックソングの中心には、世界一のボーカルだと、僕の世界が小さかった頃から思わせる細美の声がある。

その声を中心に広がる純粋でクリーンでも、全てを甘い感傷で浸り切らず大切な事を歌に乗せていると直感できる確かなアツさ。

細美武士のアンセムがまた出来た。
彼の存在の大きさを年々ひしひしと感じるエルレ世代の1人からしてみれば、そんな喜びを筆頭に色んな思いが溢れるし、多分目を瞑れば、リスナー各々が思い浮かべる光景に音が映える、曲が持つ透明感と浸透性がパーソナルに燦めく要因になっているのだ。
 
年月が経ってもいなくなるわけない、と変わらずに有り続ける事に声を上げつつも、歌に込められたメッセージはそれでも終わりがある事がわかっている
楽しかった後の時間を眩しいほどに描写しながら、そこに物悲しさを覚えるのと同時に、次の約束をすればいいというシンプルな生き方を提示する。
破れかぶれな理想論ではなく、終わりがある今この瞬間を、立ち止まって共に声を上げる。
難しい構成はまるでなく、バンドの織りなすハーモニーと僕らのとのシンガロングだけの美しさで構築されたインスタントな輝きだからこそ、絶対に違えない約束を絆として持ち続けられるのだ。
 

長くバンドで走り続け追い続けた人達の帰る場所

日本最高レベルのロックバンドながら予定調和を嫌悪し、インディー的な活動に終止するMONOEYES。

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長くバンド活動をやってる人物こそファンも幅広くなるし、カルト的な人気すら出てくる。
細美武士に限った話で言えば、ELLEGARDENThe HiatusMONOEYESという3つのバンドで、それぞれにリスナーがいて全てを横断するファンもいる半面、どうしても昔或いは今がいいって人もいるはずだ。
そういうモノすら一旦フラットにしてしまうナチュラルなアンセムとして'Two Little Fishes'は響くのかもしれない。

これの元に再び集まろう。時代を射抜くよりは幅広く僕らを射抜いた曲。
目下キッズな連中も昔キッズだった大人も、同じ目線で同じ感覚で浸透しやすいビッグメロディーの眩さに飲み込まれ、SNSなんか無くとも言いたい事がわかる理想的な状態を創れる聖歌の性質を持っている。
誰もが口ずさめて音楽そのものの力で穏やかに心を満たす。
その曲が瞬間切り取った光景が鮮やかであるほど曲自体は残っていく。
ツアーを経て、そういう光景は幾つも幾つも作ってきたはず。
しきりに、細美はライブハウスの扉から一歩出ればまた闘いの日々だ。
でもまた帰ってこよう。
そういう話を繰り返し、何回も約束する。
 
僕らの'Don't Look Back Angar'の様な歌かもしれない。
世界中の誰もが口ずさみ、時には世界を癒す事になったロックの魔法が詰まった時代のアンセムは、その偉大さに畏怖して広まったわけではない。
そのメロディーの掴みやすさとそれに反比例していく様に、掴みやすければ掴みやすいほど深まっていく美しさ。
そのバンド、この曲で言えばオアシスのノエルらしい音の紡ぎ方と彼らのキャラクターとの対比や反映などを通し、彼らの歌として強固なものとなる事で絶対的なものになっていく。
だからこそ、みんなふと'Don't Look Back Angar'を聴きたくなり、歌いたくなり、世界中みんなの歌として広まっていった。
 
'Don't Look Back Angar'はテーマも、歌うバンドも、その関係性も、メロディーもアンセムとして万全に機能してここまできた。
'Two Little Fishes'がそれを超える名曲という事が言いたいのではない。
ただそのメロディーの美しさによる癒やしの風と、パーソナルに一人ひとりの胸の奥にに灯されるロックな灯の感覚は、僕らの'Don't Look Back Angar'だと言えるのかもしれない。
 
才能なんか無くても何度聴いたって涙は出るさそりゃ。こんなにいい曲なんだ。
僕らのロックは、'Don't Look Back Angar'が癒やしてくれるように、いつだって僕らを動かす原動力だし、再び集まる為の約束なのだ。
こういう曲が溢れる人生は、他の何よりかけがえのないもので、その中でもあまりにも重要な存在として'Two Little Fishes'は僕の中で流れ続けるんだろうと、そう強く思ったのだ。
 
是非聴いてみて下さい。
それではまた別の記事で。

アルバムの1曲目特集!至極のオープニングトラック25選【洋楽ロック 音楽コラム】

ROCKアルバムのオープニングを飾る1曲目の名曲を集めたコラム!

日本と洋楽のアルバムの違いを知ってるか、と先輩からドヤ顔で受け継がれてた豆知識がある。

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世界のROCKアルバムは1,2曲目にキラーチューンを持ってくるのだ。

必ず地元か学校の音楽に詳しい先輩がドヤ顔で教えてくれて、それをすぐ下の奴にひけらかす。

だからロックは洋楽は凄えんだ、と何も根拠も考えずに言いふらしていた。

ホントは色んな理由がある。

アルバムの出し方やシングルの出し方が日本とは違ったり、星の数ほどのアルバムがある中、実に合理的なトラックリストになっていったというわけだ。

確かにだ、余程知ってる曲が無けりゃトラック1から聞くだろう。

 

そのアルバムのオープナーに相応しい印象的な1曲目に過去沢山出会ってきたのだ。

そのままタイトルトラック、又はそれに準ずるキラーチューンだったり。

コンセプチャルな作品の場合、ストーリーテリングな一曲だったり。

まさしくそのアルバムのバンドの名刺がわりの一発

今回はそんなアルバムの強烈な一曲目、リフの1音目から世界感たっぷりのスーパーなオープナー達を集めてみました。

デジタルにどっからでも聞く事が出来て、CDショップでアルバムを買う事が無くなってきた昨今、今こそ想いを馳せたいオープニングトラックの重要性。

CDショップの店頭の試聴機を聞いてる心持ちで聞いて頂けると幸い。

それでは行きます。

 

その他の音楽ネタ記事はコチラ!

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1.Cage The Elephant 'In One Ear' アルバム Cage The Elephant

まずはヒップでオルタナティブな唯一無二のロックスタイルで、モダンロックに風穴空けたケイジ・ザ・エレファントの傑作1stアルバムのオープナーから。

ロックファンであればあるほど期待をそそられる、激烈な高揚感が必ず待ち構えてると思えるリフ。

限界まで引き付けられた後、スタイリッシュに弾けるエキセントリックなギターの応酬と、ヒップでファンキーかつガレージなボーカルのラッシュに心を奪われる。

唯一のロックスタイルの幕開けに相応しい起爆的な要素と、それがモダンでポップだというアイコニックさで、見事に彼らのベクトルを決定付けていた。

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2.Get Up Kids 'Coming Clean' アルバム Four Minute Mile

エモいって言葉がロックを知らない若者に定着した昨今、これがエモじゃと投げつけたいゲット・アップ・キッズの一曲。

洪水のようなギターメロディーの音塊に捉えきれない量の感情を込めてラフに叩きつけられる。

目まぐるしい程のパンキッシュなスピード感で鋭くチクチクと刺さる。

この心を掻き回されるほどの圧倒的な量の哀愁こそ、エモなのだ。

 

3.The Strokes 'Machu Picchu' アルバム Angles

天才バンドのネクストステージはいつも予測できない。
継続か破壊か、只ならぬ期待を寄せられつつ、華麗に予測を上回ってきたストロークスのオープナー。
マチュピチュというタイトル通り空中都市にいるような浮遊感と不可思議さ、そこに宇宙的な近未来感もミックスした次元の違うサウンド。
別世界のトリップ感をものの数秒で味あわせてくれるコンセプチャルな世界観。
それでいてざらつくギターのガレージ感とボーカルの揺らぎから感じるセクシーさ、ストロークスならではのエッセンスも感じる驚異的な一曲。
 

4.Hi-STANDARD 'Maximum Overdrive' アルバム Growing Up

ハイスタのパンクアンセムも名盤’グローイングアップ’の1曲目だった。

これぞパンクのオープナーというマキシマムな高揚感。

キッズがワクワクしながら買って、1曲目その最大の期待を軽々凌駕する爆発するようなパンクサウンド。

このやんちゃなギフト感はこの頃から卓越していて、だから僕らの世界で一番のロックバンドになったのだ。

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5.The Kooks 'See The Sun' アルバム Konk

シュッとしたバンドの多いモダンUKロックの中でも、特にシュッとしていて更に玄人もうならせるサウンドクオリティーを誇っていたザ・クークスの1曲。

まるでラストトラックの様なしっとりと聴かせる感触は見事に心を掴ませる魅惑的なもので、そのタイドな感触を残したまま燦めくように輝き出すメロディーも実に美しい。

卓越した技術からくる艶やかな音色とハスキーなボーカル、一際目を惹く、眩く暖かい輝き方をした彼ららしい優しい手触りの職人芸、穏やかに燦めくオープナー。

 

6.New Found Glory 'Understatement' アルバム Stick And Stones

ニュー・ファウンド・グローリーの大名盤にしてポップパンクシーンのド真ん中にあった最大のアルバムのオープナー。

ELLEGARDENの細美武士がDJを務めていたのインターネットラジオ番組’ライオットオンザレディオ’のオープナーにも途中まで使われていた良い想い出。

しがらみも余計な思いも全部すっ飛ばして、キッズの心にダイレクトに刺さるパワフルなパンクビート。

ラフな感触で投げつけられる様なパワーとクリアでハイトーンなボーカル&グッドメロディーの浸透性で、目が覚めたような開放感に包まれる屈指のオープナー。

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7.The All-American Rejects 'My Paper Heart' アルバム The All-American Rejects

ポップパンク旋風の中、オシャレにエモいスタイリッシュなバンドの走りだったオール・アメリカン・リジェクツのセルフタイトルアルバムの1曲目。
しかもこれでデビューという中々の重要度の1曲。
どんな奴らだ?を閉じ込めた軽快なワンダーサウンドを爽やかに披露。
ドリーミーなサウンドエフェクトと爽快なアコースティックメロディーの相性は抜群で、スタイリッシュに刻まれるビートと少しこじれたボーカルのセクシーさもあって弾けるようなクールな魅力になっている。
 

8.Sugarcult 'You're The One' アルバム Start Static

世界で一番エロくスモーキーなポップパンクバンド、シュガーカルトの1stの1曲目。

アンプにコードを繋いだような音から先行するドラムのパワフルでキャッチーなビート。

程よく歪んだメロディアスなギターがメランコリック気味に滑空して、ティムのエロい声を聞いた僕は10秒とたたずにこのバンドと一生を添い遂げようと決めた。

ロックンロール的なスピード感にメランコリーな質感もシャウトもあり、ショートトラックながら見せ場も一杯。

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9.Good Charlotte 'Little Things' アルバム Good Charlotte

精力的な活動を再開した重鎮ポップパンクバンド、グッド・シャーロット

’ディスイズグッドシャーロット’のMCで始まるデビューアルバムのオープナー

ポップでパンクなグルーヴに乗せるラップは、陽気でちょっとワルそうで若いエナジーに満ち溢れていた。

ベンジー兄弟の掛け合いが不敵でカッコイイ、強烈なアイコニックさを持つバンドとしての名刺代わりとして存分に機能した一曲だ。

 

10.Sum41 'Underclass Hero' アルバム Underclass Hero

いつまでもソリッドで危ない雰囲気を持ったポップパンクバンド、サム41の重要な一曲。
実は自らの楽曲’Subject To Change’の焼き直しの曲であり、メタリックな原曲からポップパンクリメイクを施した。
ギターのデイブの脱退(現在は復帰)と共に、ポップパンクムードを引き戻すキャリアでも重要なナンバーだ。
もっと尖ったままでいてほしい、という声も決して100%裏切ってはいない重厚さも持った濃厚なメロディアスさは、単純な原点回帰を超える姿だった。

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11.All Time Low 'This Is How We Do' アルバム  So Wrong, It's Right 

モダンロックの中において、どこまでもわかりやすくポップパンクシーンの旗手となったオール・タイム・ローがブレイクした2ndのオープナー。

出て来てはいなくなるのはポップパンクの新星の常、それでもそうとはならないパンチ力と只事じゃないアイドル性を持っていた。

チリチリしたリフから溌剌でエッジーで超楽しいパンキッシュな時間の幕開け、高速回転のビートから滑り出すドラマチックなポップパンクのエンターテイメント性。

彼等が本当の超新星だった事に間違いなかった、そんな今聞くとそのパワーをひしひしと感じるグッドトラックだ。

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12.Foo Fighters 'All My Life' アルバム One By One

世界最強でありながら世界最高のパフォーマンスを続けられるカリスマ、フー・ファイターズの最強ロックオープナー。

2017年サマソニで初めて観て、この曲で始まった瞬間は僕の人生で最もロックな時だった。

暗がりからジリジリと導火線に火が点いていくような引きつけで星5つのロック的な期待度の中、一瞬にして引き込まれる超引力のデイヴのロックボーカル。

全くもって期待を裏切らないパワフルな彼らの姿のオリジナルな部分が尖りまくった強度も鋭さの満点の爆発。

まさにハードにソリッドにグランジーなアンセムは一挙手一投足、細部の細部までカッコイイ脅威の頼もしさだ。

 

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13.Green Day 'Nice Guys Finish Last' アルバム Nimrod

僕らがグリーンデイだからこそアルバムへの期待度は計り知れなくて、彼らもそれに抜群のオープナーで応えてきた。

玄人好みの名盤ニムロッドのオープナーのこの曲もライブのハイライトになる存在感を放っていた。

トレのドラムを皮切りに弾ける強力なパンキッシュバンドサウンドは、やっぱコレだと本能を掴まれる。

ガツンと来るベースがうねりを作り、骨太に疾走る最も愛着を持ちやすい形で途轍もない爆発力を産む。

ややニッチなアルバムを越えてファンに愛されるキラーナンバーだ。

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14.Travis 'Writing To Reach You' アルバム The Man Who

スコットランド発UKロックの良心の粋を極めた、トラヴィスの一曲。
彼らのキャリアの分岐点となった超重要なアルバムのオープナー。
社会批判的なロックのハードな部分は他のバンドに任せ、超自然的で穏やかで雄大なメロディーをオーロラの様に輝かせた。
麗らかで少しだけ鬱な絶妙に優しいサウンドで、彼らの唯一無二のバンドになった輝かしい一曲。
 

15.Beck 'Elevator Music' アルバム The Information

自らを掴ませない様に音楽性を行き来させるベックのオープナーはとても重要。
今回のアルバムはどっちだ?その代わり一発目でわかる様になってる、というアルバムというアート作品を司る根源的なオープニングトラック。
無機質で近未来的な奥行きのサウンドエフェクトにバキバキのブレイクビーツ。
ベック流のパッチワークを施したミクスチャーがベックらしい気怠げなヒップホップグルーヴのライムに独創的に集約される究極のストリートアート的オープナーだ。

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16.Arctic Monkeys 'Brianstorm' アルバム Favourite Worst Nightmare

ロック界に燦然と輝く脅威のデビューを果たした後のアークティック・モンキーズの2作目のオープナー。

恐るべき1stからの2ndで更にノリノリの彼ら。

彼ら史上最高のリフをここで持ってくるクリエイティビティ、今やライブでも大合唱のリフでモダンロック界のアンセムになっている。

刺激的で魅力的なロックの甘美な嵐でどこまでも記憶に残るオープナーだった。

 

17.Kula Shaker 'Hey Dude' アルバム K

インディーでオルタナでサイケに世界を染めたキラーバンド、クーラ・シェイカーの衝撃のオープナー。

変化球でありながら豪速球という異常な完成度。

シャープなロックサウンドと広がっていくサイケな空間とクールでソリッドな質感が同居するサイケデリック・ロックの一種の最高峰をここに持ってきた。

唯一無二のフリーキーなロックの嵐の気配はギンギンで、彼らはこのアルバムのみで世界を倒してみせたのだ。

 

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ポップパンク/ストリートシーンの中心に居て素っ裸でBMX乗ってた頃と明らかに変わったブリンク182の新境地セルフタイトルアルバムのオープナー。

パンクをベースにストリートカルチャーを反映したミクスチャーで、この曲は音の眩しさはそのままにオルタナティブなニューウェーブポップパンクになっている。

曲の終わり際の音の重なりが良い味。

大好きな一曲で、パンク/ストリートバンドとして突っ走り、この瞬間ゴールラインすら付け抜けきった革新的な一曲だった。

 

19.Lagwagon 'After You My Friend' アルバム Let's Talk About Feelings

超ベテランストリートパンクバンド、ラグワゴンの名オープナー。

ライブと一緒のテンポで振りかざされる。 

個人的に、このバンドを知るのが遅過ぎたのだ、パンクスプリングかなんかのライブで知って格好良くて初めて買ったアルバムだった。

パンクのアグレッシブな男らしさ、だからこその哀愁と味わいあるメロディー、それを変幻自在に躍動させるビートと、このレジェンダリーなパンクバンドを知るにはうってつけの一曲。

 

20.Nirvana 'Blew' アルバム Bleach

ニルヴァーナの1stのオープナー。

世間的に2ndネヴァーマインドが先に出るからこそ、きっと誰もが通る道の一本隣の道の暗がりで輝くインディーなパワーと美しい衝動が際立つ。

ダークでヘヴィーなグランジサウンドの異常な切迫性、荒廃的なだけでないスリルと高揚が鈍く光り容赦なく刺さる。

重く沈んだ境地でのアングラでパンク的な熱はラフであるからこそ、暴力性も垣間見えて1stらしい抑えきれない勢いも感じて素晴らしいのだ。

 

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21.Radiohead '15 Step' アルバム In Rainbows

レディオヘッドはロックとは、を粉々にし続けてきて、全く何をするかわからない。

インターバルを空けた事が更に謎で不安感が一杯で聞いたアルバムでの衝撃。

ただただ漂流するサウンドに異様にテンション高いトムのファルセット。

ロックでもポップでもなく、明るくも暗くもない超越的芸術のサウンド。

遥か未来、それこそ1000年単位で未来でも聞かれてそうな無機質なアート感とドライヴ。

値段をリスナーが決めるというどエライ方法で売られたこのアルバムの手法も凄かったが、このオープナーの世界観は驚異的だった。

 

22.Jimmy Eat World 'Bleed American' アルバム Bleed American

世界一美しいエモーショナルロックバンド、ジミー・イート・ワールドの名盤のオープナー。

美しいメロディーを激情的に迸るように歌う彼らの真骨頂で、ギターサウンドが渦巻きながら次々に炎に感情を入れ込み燃え盛る大火にしていく。

アルバムの名前は9.11以降、ジミー・イート・ワールドに変更したが、アルバムタイトル通り痛みすら感じるエモーショナルに響いたキラーチューンだ。

スリリングな音圧、炎が燃え盛るようでも、全て真っ白に染める様な美しい音影は後世にも残る。

 

23.The Beatles 'Taxman' アルバム Revoler

ビートルズのサイケな名盤7thアルバム・リボルバーのオープニングトラック。

きっとオルタナティブロックの始まりはここなのだ。

不可思議なリズムを作るベースラインとリフ、美しくソリッドに泳ぎ雑多なサウンドは混雑せず音色の綾がある。

今聴いても全然こんな歌あるし、ビートルズの偉大さとかは時が経つほど・僕が年を取れば取るほどわかる。

 

24.Weezer 'My Name Is Jonas' アルバム Weezer(Blue Album)

心のバンド、ウィーザーの1stのオープニングトラック。

個人的には世界一のオープナーで大切にしたい一曲。

このボーカル、ジョナスって言うんだ。としばらく思っていた。

キラキラと眩しく反射するギターメロディーから、ヘヴィな属性のパワーポップメロディーが振り下ろされる経験したことない類の快感。

このアルバムと出会ったからこそ僕があると、ファンはみんなそう思える彼らとの大切な絆となっているグッドメロディー&グルーヴの来世でも出会いたい屈指のオープナー。

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25.Oasis 'Rock 'N' Roll Star' アルバム Definitely maybe

世界一のオアシスの世界一のオープナーで締める。

デビューアルバムの1曲目で俺はロックンロールスターだ、と言って様になるという奇跡の貫禄。

ソングライター・ノエルが’全てを込めた’と言うメッセージ性、大らかで不遜でふてぶてしいまでに爽快で何処までもついていきたくなるビッグな引力を持ったド王道でスペシャルな歌。

名刺代わりというか名刺に書いて有りそうな、俺達こそロックンロールスターという事実を、後は僕らが受け入れるだけだった最強のオープナーだ。

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アルバムの一音目を聞き逃すな

以上個人的に心に刺さった25曲のアルバムのオープナーをセレクトしました。

お楽しみいただければ幸い。

アルバムの一音目を聴き逃してはいけない。いくら音楽の聴き方が便利になってもだ。

ジャケットで心躍り、ワクワクしてヘッドホンを耳にかけ、試聴機で1音目を聞いた衝撃は何時迄も心に跡を残すし、たまらない快感なのだ。

 

それではまた別の記事で。

Beady Eyeに想いを馳せて-狭間になりつつあるグッドバンド【リアム・ギャラガー】

【バンド&ソングレビュー10】Beady Eyeに想いを馳せて 今もう一度聴くグッドバンド 2019年8月リライト

 
OASIS(オアシス)というバンドをご存知だろうか?
逆に凄すぎて言葉に詰まるくらい、近年で最もわかりやすく世界最強の座についたイギリスの国民的ロックバンドである。

ギャラガー兄弟を中心としたバンドサウンドとボーカルとソングライティング、数々のグッドメロディーと強烈・苛烈なカリスマ性でロックバンドとして規模も実力も影響力も、歴史的に見ても最高クラスまで上り詰めた近代ロックンロールの頂点

数々のムーブメントを引き起こし、彼らの曲は国歌よりも有名になり、今でもこれからも未来永劫響き続けるのは間違いがないだろうと思う。
2009年に活動を停止して以降2019年現在も、兄ノエル・ギャラガーは自身の理想のバンドを作り上げ伸び伸びと新たな境地に入った活動を続けているし、弟リアム・ギャラガーも満を持してのソロアルバムが驚異的なセールスを記録したばかりで、その影響力は留まることは知らず、常に再結成の声も高まり続けているのである。
 
さて、Beady Eyeというバンドをご存知だろうか?

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オアシスの解散はノエルの脱退という意味合いが強く、リアムを中心にオアシスという名前を捨てる事、を残ったメンバーが選択した事で、逆にオアシスの名前を永遠なものに閉じ込めた。
Beady Eyeはノエルを除いたメンバーで始めた新しいバンドなのだ
2枚のアルバムのみの発表にとどまったが、リアム好きな僕にとって、ふと聞いてみると意表を突かれるくらい素晴らしい凄く良い。
オアシス後の不条理な期待に飲み込まれた格好になったけど、それすら包み込むような優しい音を奏でるバンドだった。
そしてそのリード・ボーカルを取ったリアムのソロの結実~オアシス再結成の機運の流れも有り、キャリアの狭間として捉えられてしまう格好も否めなくなってきている。
今回はそんなBeady Eyeに想いを馳せたい。
知らない人も是非、読んでみてくれたら嬉しいです。
 

 

Oasisの記事はコチラ❕

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Beady Eyeとは

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2009年にオアシスは何千回目かの兄弟喧嘩がついに収まらず、ソングライターでありリードギターであり実質的なリーダーのノエルの脱退で終焉を迎えた。
その後に残ったメンバーはBeady Eyeと改名しレコーディングをスタートする。
ボーカルのリアムギタリストのゲム・アーチャーとアンディー・ベルドラマーのクリス・シャーロックの元メンバーにベースを加え、ソングライティングはリアムとベルとゲムが曲を持ち寄っていた。
2011年に1stアルバムを発表。2013年2ndアルバムを発表し、その翌年2014年に早くも解散を発表する5年足らずの活動だったが、精力的にツアーも周り、オアシスの楽曲を披露する事もあり局地的に話題をさらっていた注目を集めたバンド。
 
忌憚なく言ってしまえば早い話、ノエルが抜けたオアシスのメンバーの新しい音楽であり、世間的にはオアシスに近いサウンドを期待されていたバンドだった。
リアムが’オアシスを超える。ノエルは頭下げて戻ってくるはずだぜ’とビッグマウスを飛ばしたが、結局は彼等Beady Eyeの楽曲よりも、オアシスの楽曲を歌うリアムを求められていた。
それでも抜群の経験値を敢えて捨てきらず、自分のアイデンティティーとの狭間で曲を作り、リアムは自分の声に新たな価値を見出し、その僅かで貴重な瞬間を閉じ込めたのがBeady Eyeであり、今見ればリアムのソロの強靭さ・優しさに繋がる必要な過程であったとすら思うのだ。

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1stの音源が発表された時のリスナーの反応は、なんだオアシスの延長のメロディーをやってるだけじゃないかいや全く違うインディーロックじゃないか、とか結構2分していた。
そんな中で、なんだかんだ凄いセールスを記録する辺りは流石だ。
それがオアシスの名残も残しながら、オルタナティブでポジティブな変化も感じる絶妙な瞬間の結晶を閉じ込められた結果なのだと思う。
変化を求めてた人にとっては、唖然とするくらいにベーシックなサウンドで、それでもその彩りと深さみたいなものはさすがと頷かされるクオリティーを持っていた。
 
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ノエルのギターがない寂しさも存分に感じつつ、そこからミニマムに振り切りセピアなインディーの香りが漂う。
リアムのボーカルの一点突破ではなく、曲全体でそれを後押しする雰囲気があった。
オアシス後期にはボロボロだったリアムの声も、落ち着きを取り戻し、躍動感よりも深みを増して染み入るように響く。
音域が狭まった事を見事に逆手にとって、表現力を増す円熟のボーカルを魅せたリアムは、このバンドでも唯一無二の音だった。
どこか慎重でも、穏やかで眩い自然な振る舞いに徹したナチュラルなモードが、十分すぎるほど伝わってくる。
 
ソングライターのアンディーとゲム、そしてリアムの曲を織り交ぜる事で表情を変えながら彩りを加えられる事も大きいポイントだった。
そもそも個々人がイギリスの音楽シーンをレジェンドと言ってもいいメンバーだ。
逆に解き放たれた開放感も感じられつつロックサウンドだけにとらわれない幅の広さを魅せる事になる。
全体通して大人の叙情的で枯れた空気、瑞々しさとはかけ離れた所でも確かな生命力を感じる思慮深い音を感じる。
ブリットポップの死、オアシスの死をもう一度噛み砕いた、スモーキーな空気感は時代背景も反映し、それを彼らがやることに大きな意味があった。
過去にすがる様な気持ちが感じられたとしても、それはそれでOK
 
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オアシスは超えなくとも、その先を見せる事に成功したBeady Eyeは存分に良いバンドだった。
オアシスという巨大なモノに押しつぶされそうでも、ある意味リラックスしたようなナチュラルな音は、凄みを感じるオルタナティブロックを創り上げていたと思うのだ。
新しい伝説ではない、全く違う別の語り継ぎたいバンド
是非聴いてみてほしいバンドだ。
 

ソングレビュー10

ふと歩いていたら足を止め、深く深く曲に引き込まれてしまう名曲達。

10曲を厳選してまとめてみました。是非聴きながらご覧ください。

 

1.The Rollar
1stのリードトラックでバンドの始動のシンボルにもなったキャッチーなロックナンバー。
超絶シンプルなギターの調べにリアムの声がど真ん中で響く。
穏やかでゆらゆらした歌い方でも、エッジの効いた声のリアムは健在。
親しみやすいリズムで展開するアンセム的なサウンドも、どこか王道から一本だけ奥に行ったような、いいバランスの音が鳴っていた。
 
2.Four Letter Word
アルバムのファーストトラック。
アンディー・ベルが書いた性急なビートに残響の濃い、ずしっとくるロックサウンド。
合わせる様にリアムの前のめりな声の迫力が分厚くて、オアシスの続きだと思ってたら頰つらを叩かれるような新鮮なエモーショナル加減だ。
 
3.Beatles And Stones 
イギリス人じゃ無くともロック好きならテンション上がるタイトルに思いは募る。
リアムが書いた曲。
モチーフに恥じないくらい無駄を削ぎ、尖らせたシンプルで美しいロックンロール。
クラシカルなグルーヴはUKロックの伝統を重々感じ、割りとフリーキーに歌い散らすリアムが楽しそうなのが何よりうれしい。
流麗な節回しのボーカルはレンジの広さも感じるし、解き放つ様な開放感も香るパワーソング。
 
4.Millionaire


BEADY EYE - 'MILLIONAIRE'

アンニュイで心地よいギターメロディーが流れていく彼らの代表曲。
優しさを増したリアムの声と相まって、開放感溢れる音の重なりが気持ち良くちょうどいい爽快感。
サビでどかーん、ではないグッドメロディーが吹き抜ける爽やかさを終始感じられるデザインは、より遥かさを感じるのだ。
 
5.Kill For A Dream
穏やかでゆったりとしたミドルロックチューン。
ストリングスの柔らかい旋律から優しく浮遊感すらあるリアムの声が細部まで響き渡る。
大きな見せ場よりも淡々と進むスロージャムで耳に触れる心地の良さ、曲全体でただただ実直に声を重ねていくリアムは、敢えてそうしているようで何とも儚いのだ。
 
6.The Beat Goes On
オアシスのサウンドに近い、そしてそれ以上の切なさを感じるロックバラード。
かつてない程の光に満ちた暖かみで、混じりっ気のないピュアなハートフルな響き。
オアシスの事も、ロックの事も、きっと僕らの事も、この曲が全て包んでくれる。
彼ら最大のアンセム。
 
7.Flick Of The Finger
2ndアルバムから荘厳なブラスビートの目立つミドルロックチューン。
地を這うような音が、じわじわと滲み寄ってくるような巨大なスケールを感じる新しい一面だった。
素のリアムの声がストーリーテラー的にも指揮者の様にも聞こえ、無機質ながら明らかにバンド・サウンドを引っ張る存在感を感じる。
 
8.Soul Love
2ndのリアムが作ったミステリアスなロックナンバー。
マイナーで不穏なメロディーの真っ暗闇をリアムの声が漂うような展開。
デジタルの信号音の様な音がさらに焦燥感を煽るダークな心地。
実に艶やかに、どこか乾いたリアムの声は漂う様に、でも物凄い近くで響く。
ソウルの女王、アレサ・フランクリンに敬意を表し、リアムがソロのツアーでも披露した。
 
9.Second Bite Of The Apple
色んな音が弾むミクスチャー的要素の強いポップロック。
ベックとかのオルタナに通ずるワクワク感。
表情が移ろい変わる起伏に富んだリアムの声が楽しい。
アッパーに色鮮やかな色彩が浮かんでは消えていくが、鮮烈に耳に残る強靭なオルタナパワーを感じる。
 
10.Don't Brother Me
丸くなって淡く揺らめく様なのに、何故こんなにも鋭く心に響く声なのか。
優しさに溢れたメロディーはリアムのピュアさの一端だ。
この音に引き込まれていつの間にかリアムの声とギターの音以外がセピアになっていく。感覚はオアシスで感じたものと同じだ。
 

Beady Eyeは狭間で穏やかに漂うように響く

以上、ご覧いただいた皆様ありがとうございます。
オアシスが今後どうなるかは、予測不可能な領域にあるし、ソロ作品の強靭さも凄いレベルに有る。
ただ今後そういう狭間にあってこそ、穏やかに輝いたBeady Eyeは、絶対に響くはずなのだ。
先を見越していたわけではないと思う。自由にやり切った音楽でもないと思う。
それでもこの瞬間に、今センシティヴに音を鳴らす事、それが数年先にも意味を持ち、オアシスとも、ソロ・アルバムとも違う、実にグッドな音楽を鳴らしていたと感じる事が、今実際にあったのだ。
Beady Eye、僕は好きなバンドだ。
こういうバンドこそ、広めていきたい。
 
それではまた別の記事で。
 

Green Day 隠れた名曲20選 【Another Color Of Green 20 -Green Day B-Side】

グリーン・デイの代表曲ではない隠れた名曲20選

前書き 心のフェイバリットバンド Green Day(グリーンデイ)は今どう聞かれるのか

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1枚のCDが欲しすぎて、血眼になって探した経験はあるだろうか?

僕には人生のフェイバリットバンドGreen Dayでそういう経験がある。

2003年に海外で制作されたトリビュート・アルバムで、当時の海外のインディーバンドがGreen Dayの楽曲をカバーしているのだが、そのインディーバンドの中にもう一つのフェイバリットバンドWeezerが紛れていて'Worry Rock'をカバーしているのだ。

WeezerがGreen Dayを、なんてヤバい、大好きなバンド2大巨頭同士の横断は浪漫に溢れ、'A Different Shade of Green'というタイトルも、当時20歳前後の僕にグサッと刺さるには十分過ぎるほど超イカしてた。

存在を聞きつけてからバイト先のCDショップで勝手に発注し、結構店着まで時間かかって今か今かと手に入れた'A Different Shade of Green'は今でも大切な1枚で、手に入れるまでの経緯も大切なストーリーになっている。

 

 

さて、グリーンデイ

以前Oasisの記事を書いた時に、ロックの歴史的に見て僕らが生きているのはOasisの時代だったと書いた。

オアシスのロックはその絶対性を持って確かに時代でも比肩し得ないカリスマ性を帯びていたが、グリーンデイも歴史的なムーブメントを起こす世代のアイコンでありつつも、より身近で親しみやすい存在として時代を作り上げてきた。

ポップなパンクとロックンロールの超合金何千回聞いても魅力のある歌であり続ける断トツのキャッチーさ。

アングラな反骨心はロック/パンク的であれど、太陽の様にポジティブなサウンドに込められ、ファニーなユーモアを持って証明し続けたリベリオンは、誰にもにフェイバリットに届くメッセージとしてシーンの中でも決して成し得られなかったことをやり遂げた。

つっぱりがちな硬派なパンクスの心すら踊らせ、チャラチャラしたナンパなヤツにもわかりやすく、男の子も女の子もひっくるめドロドロに楽しい集団熱狂をインスタントに引き起こすことが出来た、手が届きそうな身近なヒーローとして世界を照らしたのがグリーンデイだった。 

 

僕とってもGreen Dayは心から愛するフェイバリットバンドで、当然僕の人生の多くの場面で登場し、多くの場面で鳴らされてきた。

'A Different Shade of Green'の時もそうだし、人生で初めて'Basket Case''Basket Case'として認識して聴いた瞬間の事を場所まで鮮明に覚えている。

ビリーのパニック障害について歌った時代を撃ち抜いた名曲は、そんな金字塔としての前提無くとも、全身総毛立たせるエナジーに満ちていた。

この3分間で世界を制してから約25年、僕が初めて聴いてから17-8年経って、今グリーンデイはどう聞かれているのだろうか、とふと思うのだ。

僕らがロックを聴き出そうって時には必ず彼らが僕らの頭に真っ先にコードを繋いでくれたし、その誰にも響き得る音楽性は時代性問わない永久不滅なものだと確信を持ってすらいる。

 
’Basket Case’’American Idiot’とか名前は知っているけどどう凄かったの?って人が出てくるのは時代の常ではあり、ストリーミング社会だグリーンデイだと言っても、きっとそう言う人はいる。
 
だからこそ'逆に'今、1987年生まれのロックファンの僕なりに届けたいグリーンデイのBサイドトラック達。
 
想い出のアルバム'A Different Shade of Green'にあやかってグリーンデイの超代表曲では無くちょっと違う緑な20曲
ヒットソングではない曲こそ至高という考えは、拗らせると’こだわりぶりたい変な奴’になるけども、ファンなら広めたい・知ってほしい気持ちはあるもんだ。
ちょっと外れたモノがやたらとカッコよく見えるのは中学2年生から変わってない僕のロマントラック集。
時代の表舞台で颯爽と流れるキラーソング達とほんの少し、色が違うだけ。
そっちの方からライトを当ててやる事で、きっと爆発的に好きになる人もいるはず。
少しリラックスしたノリも、ちょっと陰ったポップ性も、秘密めいたオルタナティブな響きを感じて、むしろそっちの方が多く聞いてるかもしれない。
聞けばグリーンデイと分かり、そして心躍る。
ちょっと好きな人には、もっと好きの幅を広げられる様に。
知らない人はこっからでも聴いてくれればと思える様に。
そんなサウンドトラックになれば幸い。
 
 

Green Dayの記事はコチラ!

www.footballsoundtrack.com

Spotify Playlist

 

1.'Castaway' 2000年 Warning 収録

かわいたパンキッシュなパワーリフを大股開きでビリーとマイクがかき鳴らし、トレのドラミングで颯爽と滑り出す。

グリーンデイ流メロディックパンクど真ん中のキレ味で、どのシングル曲と比べても遜色ない燦めきでありつつ、仄かに陰る情緒的なオルタナ性も感じるこれぞ最高のディファレントキラーチューン。

歪みの効いたギターリフで構成されたストレートな良い歌として機能するメロディアスさ、エネルギッシュにバンド一体の骨太さがある演奏で小細工なしに真正面からぶつかってくる。
その音圧の中に爪弾きにされ漂流していく事へセンチメンタルな反骨心が込められる。
サビ手前'Where I'm a...'のボーカルの儚さは絶品。
アルバムを聞けば名曲として埋もれずに必ず響く一曲。
 

2.'Jinx' 1997年 Nimrod 収録

演技じみてはっちゃけた'one,two,three'の掛け声から鳴るリフは、何処かで聞いたことありそうにシンプルでも何度でも流れた瞬間電撃の走るポップパンクギターの真髄。
もしもビリーの様にギターを弾きながら歌えたなら、こうやってナチュラルさを爆発させた一曲を振りかざしてみたい。
ショートトラックでぎゅっと凝縮したポップパンクワールドは、冒頭で掴まれた心を離さないまま鮮やかに駆け抜けられる、多分一生聞き続けても変わらぬ耳触りの良さもあるのだ。
悪運みたいにつきまとう自分みたいな男を呪うような後悔も、明るく吐き捨てるようなファニーなモードだからさらっとエモーショナルに残る。

3.'Poprocks And Coke' 2001年 International Superhits! 収録

キャリアを一度リセットした2000年のベスト盤に新録されたボーナス的なトラック。

もう1つ1曲目に'Maria'というポップパンクトラックも新録されていて、この曲が2曲目に配されていた。

タイドで心地良いグッドメロディーが、軽やかに重みゼロで頭を巡る自然と醸し出せる音楽人としての魅力。

クリーンから歪みのロックサウンドになっても変わらない、ポップとロックを正しく極めたアンセムは何処までも穏やか。

アメリカで有名なキャンディーがPoprocksというらしく、机にキャンディーとコーラが置いてあるいつもの光景に少しだけスウィートでエッジーな日常。

そんなイメージを描ける良曲なのだ。

 

4.'Give Me Novacaine' 2004年 American Idiot 収録

アメリカン・イディオットはロック史に残るコンセプチャルなロックアルバムだったが、1つ1つのバラードの音色も途方も無いほど美しく響いていた。

繊細で艶やかなビリーの声は、怒りや憂うべき物事への感情が張り詰められてても、丁寧にそれを解いていく様に優しい。

浮遊的・幻想的なアコースティックメロディーが漂い、急激に地に落ちるかのようなバンドサウンドは超重力ながら、アンニュイなムードを残したまま優しく降り注でいく。

曲が去った後、最後にはポツンと1人で佇んでいるような感覚に纏われる、荒廃的な美しさを産む。

 

5.'Cigarettes and Valentines' 2003年

2003年、Green Dayはこの曲がタイトルトラックとなっていたアルバム'Cigarettes and Valentines'が完成直前だったが何者かにマスターテープを盗まれて、1から作り直したアルバムが'American Idiot'だったというエピソードは彼らのロック的なエピソードとして有名なものの1つ。

そのCigarettes and Valentinesは2010年辺りのライブから披露しだされ、ライブDVDにも収録され命を吹き込まれたシークレットトラック。

このアルバム、凄く聴いてみたい...!となるワクワクする幻のオープナー。

ラウドでメロディアスなリフは溌剌さとざらつきを兼ね備え、タバコとバレンタインという何だか分からないが甘く危険なフレーズを振り回すカオティックでストレートなパンクサウンドに、今や全体像が見えないこのアルバムに想いを馳せるのも面白いのだ。

 

6.'Pulling Teeth' 1994年 'Dookie' 収録

アルバム’Dookie’の'Welcome to Pradaise'と'Basket Case'の名曲に挟まれたエアポケットにしては耳触りの良さが随一の、これもまた名曲。

穏やかに流れるフォーキーでパワーポップ的なギターサウンドは風が通り抜ける様に爽やかで、クラシカルなロマンチックなムードも纏う。

このロカビリーさも彼らのかけがえのない魅力の一つだし、ロックンロールのハートウォーミングな部分を抽出できるメロディーセンスは彼らの根源的な魅力なのだ。

マイクの暖かく柔らかいコーラスも涙腺を緩めてくるし、大きな聞き所。

7.'Static Age' 2009年 21st Century Breakdown 収録

燃える様なロックサウンドとは対照的な、涼感すら伴う爽やかなギターロックチューンにも彼らの爽快な魅力が濃縮されているのを感じる。

高らかなギターリフのまっすぐ伸びていく鳴り音の魅力、ハイトーンなボーカルが心地よく刻まれるクラシカルな雰囲気のビッグメロディー。

ビリー本人が「ブルース・スプリングスティーンみたいだろ?」と語る、伸びやかでエバーグリーンなサウンドに涼やかに心が洗われていく音楽的興奮は、グリーンデイのファニーでエッジーな魅力のもっと柔らかい本質的な部分だと思う。

静止の時代と切り捨てた今の時代に対する問題提起を、こういうポップさで彩った2面性は鮮やか。

 

8.'Church On Sunday' 2000年 Warning 収録

この記事において、僕の言いたいことが詰まった一曲。
ニッチなアルバムの名曲という位置付けで、大好きなトラック。
牧歌的で穏やかカントリーなメロディーラインは、行ったこともないが何かの映画で見たアメリカの郊外の郷愁が浮かぶセンチメンタルさ。
爆発的な高揚感よりもジワリと胸の奥から染められていくグリーンデイの良心、スイスイと聴き進められる歌としての浸透性はキラーカードでありつつ情感たっぷり。
ヒルビリーなサウンドに屈託のないダイナミズムで語られるナチュラルな恋愛観も、読み取ると面白い。
 

9.'86' 1995年 Insomniac 収録

ポップパンク街道から少しだけ外れたクールなパンキッシュナンバー。

ウエストコースト的な彼らのパンクルーツを思わせる、チリチリとしたギターサウンドが擦れる音がラフでスモーキーで良い味。

必殺のキレを保つシャープなバンドサウンドには、向かってる若さと既に場数をこなした落ち着きを感じる、凄く絶妙な時期。

86は拒絶とか断りを意味する隠語的な意味があるらしい。

ドゥーキー後の心の移り変わりを捉えた貴重な瞬間のアナザーサイド。

 

10.'Paper Lenterns' 1990年 1039/Smoothed Out Slappy Hours 収録

超初期の軽妙なポップパンクチューン。
パワーソングというよりは、ナードな恋心をナチュラルに吐露したシンプルなエモーショナルトラック。
最も彼らの自然な型、ザクザクのドライヴィンなパンクギターに絡み合っていくベースリフと高速のドラミングのユニゾンする姿は、どんなバンドより断トツにアイコニック。
絶妙なリズムの歌い回し、I Will Think About Youを決めギターを鳴らす瞬間は眩しすぎる位カッコイイ。
 

11.'One Of My Lies' 1991年 Kerplunk 収録

どこか暖かいメロディーラインのポップロックチューン。

ギャリギャリのギターに乗せる死とか終わる事への絶望的な思いが陰に輝く。

哀しみをドライに吐き捨てるよう歌うと何故か温かみに満ち、結果背中を押してくれている。

挑発的な戦闘性よりも、こういうロックにハートを掴むやり方こそ、彼らが戦ってきたスタイルでどんな楽曲の隅々まで浸透してる。

 

12.'Prosthetic Head' 1997年 Nimrod 収録

グリーンデイワンダーランド的なミステリアスなマイナーポップチューン。

得意とするモノクロームなフィーリングのリフに、少し色合いの違うダークな世界観。

トレのドラムと共に徐々にビルドアップされるサウンドが波のように寄せ世界観ごとかっさらっていく。

ラウドでフローターに、転調しまくる緩急静動自在のトリッキーな曲展開に、最上級にイカれた気分を歌うサイケな浮遊感が鈍く輝くアナザートラックだ。

 

13.'Ha Ha You're Dead' 2002年 Shenanigans 収録

「悪ふざけ」という意味のベスト後に発表されたBサイドトラック集の最後に収録されたキラートラック。

超絶シンプルなベースラインが漂うように流れ、時たまギターを引っかきながらタイドに歌う。

淡々と前に進むメロディーにまるで賛美歌のように'ハハッ、お前は死んだ。すげぇハッピーだ'と歌うニヒルなパンクスタイル。

ちょっとThe Crashを彷彿とさせるレアなタイプの一曲、この為だけにこのアルバムを手に入れるべきだとすら思う良曲。

 

14.'She's A Rebel' 2004年 American Idiot 収録

アメリカンイディオットのハートハンドグレネードを象徴するモチーフ的なトラック。

危険な甘さを香らせつるロックの電撃性とパンキッシュなムードを持つ、ポップパンクの少し先のパンクスタイル。

韻を踏むようにドライヴィンなリズムでまくし立て、キレは維持しつつ厚みを増したギターがアグレッシヴかつキャッチーに届く。

2分ジャストに込められたグリーンデイらしいコンパクトなパンクアンセム。

 

15.'Horseshoes And Handgrenades' 2009年 21st Century Breakdown 収録

アグレッシブでハードなロックチューン。

21世紀のブレイクダウンの曲らしく、騎兵隊の足音で始まるがそのSEと完全に同化するキレキレのロックリフ。

荒々しくノイジー、でも美しく作用する盤石のロックサウンドは、近年のスケールの大きさを反映している。

厚みのある音圧は、ロックの毒気と華々しさを帯びて僕らを蜂起させる様に響くのだ。

 

16.'Emenius Sleepus' 1994年 'Dookie' 収録

パワーコードのキャッチーなリフがワクワクするリズムで刻まれる爽やかなギタートラック。

Emenius Sleepusはという全く分からない単語がタイトル。

疾走するパワーリフに優しいテンションのビリーの声は、凄くナチュラルな聴き心地。

ビリーのボーカルはどこか世界観に入った役者的なところがあるがこの曲ではふんわりと自然体なのが良い。

これも淡々とドライにちょっとセンチな思いを包み込んでくれる心優しいアナザートラック。

 

17.'All The Time' 1997年 Nimrod 収録

キャッチーながらトリッキーなギターチューン。
斜めに切るようなグラインドするリフ、かなり鋭角でも馴染みやすいメロディアスなサウンド。
ロウなムードでまくし立てヘヴィな歪みを躍動させるパンキッシュで完璧にアナザーサイドな一曲。

 

18.'Misery' 2000年 Warning 収録

どこかドラマ仕立てで後のコンセプチャルな作品へ繋がりそうなアートさを帯びるアシッドなポップロック。

アコーディオンの音がミステリアスさを加速させ、しっとりとしたビートにどこまでも艷やかに妖しく歌い上げるビリー。

打って変わってミステリアスなムードを纏えるシンガーとしての表現力はケタ違いだ。

 

19.'Walking Alone' 1997年 Nimrod 収録

郷愁的な一曲。

小さい頃、田舎の帰り道を歩いて帰っている時の様な気分になる、こういうノスタルジックさが鮮やかに僕らのどこかの光景にマッチする。
クリアなメロディーとエッジ、音の輝きと土っぽさ。
音楽を歌っている時だけは肩の荷を降ろした様な晴れやかな味わいに、聴いてるといつもより大股で歩いていけそうなフォーキーなグッドメロディーなのだ。
幸せの記憶とどこか繋がる大切な色彩の一曲だ。

 

20.'Ordinary World' 2016年 Revolution Radio 収録

ラストは2016年の最新アルバムのアコースティックナンバー。
ビリー自ら出演した映画のテーマソングらしい。ずっと待ってるんだけど全然日本でやらない。
子守唄の様に一音一音を紡ぐようなテンダーな一曲。
全ての荷物を置いて、この曲にだけ寄り添っていたい。
そう思える歌声は、まさに僕の人生のフェイバリットなものだ。
 

ヒーローが見せる自然な横顔

少しでも読んで頂いた皆様ありがとうございます。いかがでしたか?
影だからこそ色濃く彼ららしい曲が多い。
迷いに迷った時に基本に立ち返る場所に居るフェイバリットなヒーローのGreen Day。
ただでさえ近い位置にいる彼らのその自然な横顔、少し影がかかった表情が彼らの内面の色すら見せているようで、その音の中だけに身を置きたいと思えるアナザートラック。
一億回聴けるバスケットケースも、こういう曲を何千万回聴くからきっと一生輝いていくんだろう。
そこまでどっぷりと緑な世界で良い。そう思える数少ないバンド。
 
それではまた別の記事で。

【長編バンド&ソングレビュー10】Neverstoreに想いを馳せて【聖蹟桜ヶ丘とネヴァーストア】

忘れ難いスウェディッシュパンクバンド Neverstoreに想いを馳せて 2019.08リライト

東京には声に出して言いたいカッコイイ駅名が多い。
「雪が谷大塚」とか「自由が丘」とか「清澄白河」とか。
何かのランキングで見た1位は「天王洲アイル」だった。
京王線ユーザーだった僕の心のランキング断トツトップは「聖蹟桜ヶ丘」だ。

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東京都多摩市に位置する京王線の駅で、天皇家ゆかりの地があったことで聖蹟と言う凄く強烈なインパクトの名前がついている。

これも心のランキングで断トツトップのジブリ映画「耳をすませば」のモデルの地となった事でも有名だ。

18歳~20歳くらいまでこっちの方に来る用事が定期的にあった事もあり、目的地を通り過ぎて良く立ち寄っては時間を潰していた。耳をすませば好きだし。

名前はカッコイイし、コンパクトな街でちょっと用事の前の時間にフラフラするにはぴったりで、何よりタワレコがあって過ごしやすかった。

僕のこの街1番の想い出は、そのタワレコの試聴機で出会ったNeverstoreというバンドだ。

 

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2007年デビューした音楽大国スウェーデン発3人組ポップパンクバンド・ネヴァーストア。
飽和気味であったポップパンクシーンで、間違いなくモダンであり圧倒的に蒼いエネルギー、見た目もスタイリッシュかつポップパンクの肝を抑えたパワーメロディーは、オールドなポップパンクファンも’おっ’と腰を浮かす、ストライクゾーンのド真ん中を居抜いた途轍もない原石感はえげつなかった。
「凄いバンドを俺は見つけてしまった」というありがちな衝撃的な出会いから10年近く経ちつつ、今やほぼ活動はしていなくとも未だにフェイバリットなバンドの一つとして植え付けられている。
大好きな街で出会った個人的に大好きなバンド。
「居たねそんなバンド」くらいのフレーバーかもしれないが、僕は忘れないし懐かしくもない位バリバリで聴いてるし、耳をすませば僕の心のどこかに引っかかってるアツい存在感のバンドなのだ。
Neverstoreに想いを馳せて。
 
 

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初期衝動の衝撃力 'Stay Forever'

聖蹟桜ヶ丘のタワレコ、割りと良い位置の試聴機のコーナーに彼らのデビューアルバム'Sevenhundred Sundays'が入っていて、その一曲目がこの'Stay Forever'だった。
ナニコレ超かっこいい。
導火線に火を着けるような攻撃的でアグレッシブなベースラインに駆け抜けるメロディックなギター、ギラギラしてるけど暑苦しくないフックの効いた爽快感
わかりやすいほどGREEN DAYビリー・ジョー・アームストロング直系のセクシーでエッジーなボーカル。
そしてわずかに引っかかるほどの蒼く暗い北欧らしい感情の轟き。
 
バンドのオープニングトラックとして途轍もなく起爆的で最高のクオリティーだったし、彼らも僕らと同じベクトルで憧れていたとわかるポップ/メロディックなパンクバンドと地続きのサウンドは抜群の聞き馴染みと親しみを産んで、数秒でファイバリットなバンドにバキッと確定する完璧な出会い。
聖蹟とも相まってなんか神聖な想い出として心に深く残ってしまっている。
時が経っても聴いた瞬間ヘッドホンしながら目を見開いて驚いてる聖蹟桜ヶ丘の20歳の僕を俯瞰で思い出せる、そういう光景毎切り取られたアンセム'Stay Foever'は個人的には一つの文句もない、至高のメロディックパンクナンバーであるのだ
 
当時こそやっと見つけた宝石の様に輝く新しいバンドだったからカラッカラになるまで聴いたけど、それでも今想いを馳せても想い出深いのは、ポップパンクとしての着火性はもちろん、彼らのルーツであるスウェディッシュパンクのタフな骨太さ、蒼く深い影の色合いの自然な艷やかさが、いいバランスでオルタナティヴな聴き心地となって爆発的なインパクトを下地にして今もなお響くからである。
 

スウェーデン出身パンクバンド ネヴァーストア

そもそもスウェーデンという国は音楽処である。

国が音楽を志す者にジャンル分け隔てなく支援し、安価でスタジオや機器を借りれるなどの制度がある。
英語にも馴染み深く世界のメインストリームの音楽も消化しやすいし、先鋭的な物を好む国民性もあり、一度メインストリームの音楽を噛み締めた後スウェディッシュ・ポップ、スウェディッシュ・メタルも一つのジャンルとして確立した歴史もある。
それはパンクシーンも同じで、ストリートカルチャーは北欧でも根強く、No Fun At AllMillencolinRandyなど世界のスケートシーンでもヘヴィに流される'本物感'溢れるバンドを多数輩出してるのだ。
 

 

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2000年、スウェーデンのストックホルムで彼らが高校の時に結成されたネヴァーストアも、その流れを汲むバンドなのだ。
Green DayやNOFXやBad Religion、Weezerの90sのパンク・オルタナシーンを聴いて育った生粋のパンクキッズであり、スウェディッシュパンク勢も身近に感じるホームの北欧感。
更にはSUM41やGood CharlotteやNew Found Gloryなど当時世界のメインストリームで鳴っていたポップパンクにも影響も受ける、超ハイブリットな環境。
だからこそ、王道も突き・オルタナティヴであり・モダンであった超新星的な存在だったのかもしれない。

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ボーカル/ギターのジェイコブ、ベースのオスカー、ドラムのエリックの3人共実に甘いルックス。
ストリート&モダンな、そこはかとないタレント感を感じる見た目である。 
 
2007年、前述の1stアルバムでデビューし地元スウェーデンでも評価を上げると、当時世界最高クラスの評価を得ていたGood Charlotteの北欧ツアーの前座を射止め、世界のパンクキッズの目に留まりワールドワイドに広まった人気が、聖蹟桜ヶ丘まで届いたという事だ。
その後もSUM41のデリックがアルバムのプロデュースに名乗りを上げるなどシーンで大きく注目されつつ、デビューから3年で3枚のアルバムを出しポップパンクシーンを駆け抜けた。
MTVのベストスウェディッシュアクトを2度受賞し、スウェーデンの顔のロックバンドになった彼らは、2010年に一度休止を挟んだ後も、アルバム制作のために森篭りするなどバンドの前進を進め、ストリートのカルチャーを受け継ぎつつ表現力に磨きをかけたロックバンドとしてスケールを大きくしている。
と言っても、このブログ調べでは2015年に出したシングルが最後の音源になっていて、今はちょっとペースを落としていると行ってもいい。
ポップパンクを超えたロックバンドとしても壮大なサウンドにシフトチェンジした音の良さも好きだが、今でも僕の中ではスウェーデン×聖蹟桜ヶ丘×ポップパンクのハイブリットな存在として今活動してなくても心の記憶の箱に仕舞われてる大切なバンドなのだ。
 

彼らの音楽 ソングレビュー10

あまりにも〇〇っぽいとか言うと、彼らのアイデンティティーが無いように聞こえてしまうから嫌なんだが、それでもGREEN DAYに染められた僕らOVER30ポップパンク直撃世代にとっては断トツの耳馴染み。
絶対シュガーカルトも好きだろ、サムっぽさもブリンクっぽさも感じる香り。
ポップパンクファンには、あまりにも重要なツボを抑えたメロディックなサウンドと性急なリズムが大きなベースになっている事が、どのトラックからもわかる。
3ピースらしくシンプルに、アクセントの強い音をソリッドに鳴らせるバンドサウンドに、ボーカルのジェイコブはロックシンガーとして稀有な歌声を持っているし、セクシーでスモーキーな艶やかさをもってポップパンクを彩れる。
何かドキドキするようなスリルとアグレッシブさを前面に出したメロディックなサウンドは若くありつつタフだった。
おおげさに言えば、かもしれないが、Green Day・Offspringから続く90年代~00年代の魂まで千切れそうなPop Punkの系譜として、全てのポップパンクバンドに影響を受けた世代として、シーンのアンサーバンドとして存在してると捉えても、間違いではないのかもしれない。
 
それでいて北欧・スウェーデンの香りと、厳しくタフなリアリズムが彼ららしさを醸す重大なエッセンスになっているとも感じるのだ。
思うのは、どんなにハイなメロディーでもピーカンの晴れ晴れしさは感じないどこか常に側にある影。
陽性なエネルギーと背中合わせに、よりドープで潤った神秘性もある陰がコントラストを作り、そのままドライヴしていくサウンドデザインが、美しいメロディーと渦巻くように作用して深い鮮やかさを出している。
行った事がないからきっとだが、僕らの知ってる世界より昼は澄んでいて夜は深いんだろう。そういう感性も彼らのナンバーの聴き応えを唯一な印象にしている一端なのだ。
 
1.'Stay Forever'

彼らの初期衝動にして最大のアンセム。この必殺技くらった様なパンチ力はなかなか出逢えない。

性急なリズムに刻まれる烈火の如き爽快なリフは、アグレッシブに走り切れるスケートパンク的なスピード感+メロディアスなフレーズのリフレインで強靭な聴き応えがある。

エネルギッシュな暴風感がメロディーとしてまとまる快感、アンニュイなコーラスとボーカルの儚い影が黄金律的なバランスで美しく響くのだ。

ここぞで聴くエネルギッシュなアンセムは劇的にスイッチを入れられる、全ポップパンクバンドの中でも結構有数しかないポップパンクアンセムだと思う。

 

2.'So Much Of Not Enough'

ストイックに炸裂するタイトなギターのエモーショナルなロックチューン。

ステイ~に続きアンセミックな位置づけで人気の曲は、エモーショナルシーンの哀愁疾走感と彼らがナチュラルにもつ憂いが重なる良的なキラーソング。

ダイナミックなボーカルがクールなサウンドにドラマチックに映える、そういうロマンチックな声の魅せ方も彼ららしさ。

ノイジーでストイック、そしてポップな疾走感の陰陽のバランスが良く、心地よい扇情感は曲全体の美観を崩さない。

 

3.Racer
ポップでパンクに振り切った、彼らきってのパンキッシュなキラーチューン。
飛び跳ねる様なバウンシーなリフとビート、軽やかに轟くメロディー。
字余り気味のボーカルの節回しも、どこまでもキャッチーでハッピーなリズムで僕らに届く。
ポップでキャッチー、少しセクシーという完璧なフォルムで、親しみやすさNo1のキラーチューンである。
 
4.'Rejected All Along'
グルーヴィーなベースラインからスピーディーでタフに滑るメロディックパンクナンバー。
王道まっしぐらのストレートな雰囲気に、パンキッシュなエネルギーと甘いロマンチシズムを交差させる眩いキャッチーなデザイン。
バシッと決まるサビの決め手の良さもパーフェクトな収まり。
キャッチーな疾走感は最後の瞬間まで続くビックなナンバーだ。
 
5.'Nanana'
ポップでロマンティックそしてメロウなミドルチューン。
キラキラしたメロディーが大流星群の様に降り注ぐ壮大さと、ストレートで飾らない素朴さ。
ポップパンクバンドのこういう曲は、どうしてこうも親しみ深いのか。
ライトで繊細、重なってもナチュラルな聞き触りで決して無駄に厚くない音は染み入りやすい。
北欧の夜を想像したくなるようなどこまでも透明に伸びやかな一曲。
 
6.L.Y.D
タイドなメロウチューンであり、彼らの美しさの面が炸裂するような一曲。
抑え気味のメロディーラインを歌う時点で既に美しいが、それがエモーショナルに弾けても、ブレない芯の力強さも感じて、よくある構成のドラマ性もより深く聞き入らせる。
どこまでも表情豊かでサウンドの高鳴りに併せても、わざとらしくなくナチュラルな聞き心地を実現できる澄んだノスタルジーは劇的に好き。
後にシンガーとして強烈に輝きを放つのもわかるアイコニックな声だ。
 
7.'Another Sentimental Argument'
Another Sentimental Argument

Another Sentimental Argument

  • Neverstore
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

おそらく、Green Dayの'Worry Rock'の出だしの歌詞から取ったタイトル。

新たなセンチメンタルな喧嘩、みたいな意味。

グリーンデイはポップ・ロックだったが、こちらはギザギザのマイナーなギターに染められたエモーショナルチューンだ。

ダークでクールな印象のコーラスを振り切るようにパッショナブルなボーカルのジレンマ感が良い感じの崩壊感。

アコースティックverになっている程メロディーは美しくトリッキーな印象もあるけどストレートに音のいい一曲。

 

8.Count Me Out

キャッチーなポップパンクは彼らの’カッコよさ’が前面に出たソリッドなナンバー。

男臭いセクシーさが濃縮されたパンキッシュさ、こういうの待ってたっていうシンプルな豪速球。

マイナーなサウンドが、タフにソリッドに鳴らされるシンプルでアツいナンバー。

途中の遊び心ある転調がまたかっこいい。プロモが日本の映像でそれも好き。

 

9.Shallow Beautiful People

3rdアルバムはSUM41のデリックがプロデュースに携わった。そのアルバムのキラートラック。

分厚いベースラインと迸るエモーショナルなロックサウンドは、余計なもの無くガツンと殴られる様にミニマムにメロディアスで、少しセンチメンタル。

メロディックで攻撃的なデリックらしい瞬間も、艶やかな音空間は完璧に彼らのもの。

凄く短いレコーディング期間で撮ったことにも起因するスリル高い衝動的なパワーも上手く内包される良曲だ。

 

10.'For The Rest Of My Life'

決意のセルフタイトルアルバムのタイトルトラック。

森篭りして制作したアルバムの肝の一曲は、ダイナミックでメロディアスなサウンドが、光と影を入れ替えながら疾走的にドラマティックに響く。

緩急と陰陽がより一層巧みで、暗い部分はダークでも鮮やかに、光の部分は抜群に眩く優しい。

よりストイックながら表情は豊かに、よりスウェーデンらしい壮大なロックバンドに近づいた一曲。

 

ポップパンクと聖蹟桜ヶ丘とスウェーデンとネヴァーストア

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好きなバンドの話は合いそうな、親近感たっぷりの隣人的友達的ヒーロー像がポップパンクには欠かせない。
それがキレのある音楽大国スウェーデン人ってなると、俄然興味が湧くってもんだ。
あの初期衝動から10数年たっても、彼らは絶妙な親近感で付かず離れずずっと聴いてきた。
人間30年以上生きるとお気に入りの何かを持ちたくなるもんだ。
聖蹟桜ヶ丘で初めて聴いたポップパンクバンド、ネヴァーストアはそういう壮大な掛け算の元、僕の心に定着している。
なんなら行ったことないがスウェーデンも好きになりそうだ。
 
それではまた別の記事で。 

エルレとビークルとアジカンと、時々、B-DASH【00年代J-Rock/Punk Bandのまとめ】

00年代のインディーJ-rockシーンを振り返るレビュー!

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もう誰にも塗り替える事の出来ない僕らの時代

2004年頃から2009年くらいのJ-Rock、すなわち日本のインディー・ロックシーンの話、タイトルの通りのバンド達の音楽のまとめレビューである。

早い話が1987年生まれの僕の青春時代の話だ。タイトルを見て、東京タワーが浮かんだ人はもれなく同世代だ。

まずはそういう人に目に入ってほしい記事でもある。
 
あれから15年、そう短くはない時間である。
僕らの時代がずば抜けてすごい時代だったんじゃないかという自負は、思い出の特権である。
それでも歳を経て、振り返って考えてみても、オルタナティヴなロックを軸に多様な音楽性のバンドが幅も深さも備えて揃う面白い時代だった。
ハイスタから脈々と受け継がれたメロディックなパワーと、海の向こうから風にのって届いたオルタナの香り
その二つがミックスされて、ロックの不屈のロマンと、感受性豊かなモダンな感覚があの頃の僕らの『今』となったのだ。
それぞれのバンドが、邦洋問わず広がる憧れの世界から受け継いだ音を、自分たちの音に潜ませる
それがもう楽しかったし、メジャーとかインディーとかいう言葉が入り乱れ、若い聴き手が売れているものでは無い何か新しいものを求めた時代に、それらの音がポップミュージックとの境界を絶妙に突く絶妙なバランスを作り、ヤングカルチャーのど真ん中を貫いた。
日本のオルタナティブなロックの在り方が弾けた時代と言ってもいいのかもしれない。
メロコアもオルタナティブもポップパンクもブリットポップも、全てを再解釈する大いなる時代であったと僕は最近思うのだ。
 
洋楽は憧れだったけど、彼らは僕らの活力と血肉になった。
ミュージシャンでありながらも、僕らと同じ目線を持って、手の届く場所だけでいい、と彼らが始めた音楽が大きなうねりになって、僕らを包んでいった時代。
何回も言うがメジャーとかインディーとかいう言葉が入り乱れるシーンの境目の時代、どれだけ売れてるとかは関係なかった。
確かに売れてる方が僕らの耳には届きやすい、それでも彼らの比較に数字は何にもない。
僕らが子供の頃のまま何かの魅力に取りつかれていく様に、手のひらいっぱいのキラキラしたインスタントな魅力でいっぱいで、何ともロマンティックなロックシーンとなったのだ。
 
 
あの頃は完成された黄金の時代で、僕にとってはいつ聴いたって金ピカなのだ。
後輩にあたるワンオクロック大好きな大学生にこの時代のアツさを語ってたら、鬱陶しそうにしてたので引っ叩きつつも、年を取った事を思い知る。
きっとずっとそういう事だ。
僕らの時代の前だってハイスタがあってハスキンがあってブラフマンがいたし、その前はブルーハーツでもっと言えば頭脳警察とかで、今はワンオクなんだろう。
インディーなロックの灯は消えないんだ、それぞれもちろん大好きだ。
それでもやっぱり、僕らが最も恋に落ちたその時代の熱量を語り継ぐ事は大切である。
僕に引っ叩かれた奴も、多分好きになれるはずのバンド達。
もちろん死ぬほど聞いてた同世代もたまに一緒に振り返りたいし、先を行く諸先輩方にも是非聞いてほしいのだ。
 
そんなバンド達を振り返り想いを馳せるレビュー。
自分の備忘録としても、同じ世代の人にも。
そして知らない世代の人にも是非読んでいただければ幸いです。
 

Spotify Playlist

 

1.ELLEGARDEN

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もしも世代に名前をつけるなら、きっと彼らの名前が冠されるだろうシーンの象徴的なバンドだった。

肥大化気味だった人気の中、次のアルバムへのモチベーションの方向性を見失っての活動休止は僕らの心に大きな穴を空けたし、2018年の復活は僕らの胸にずっと足りなかったアツさを取り戻させてくれた。
センス抜群のメロディーラインだったからこそ間口も広く、あらゆる人の初期衝動を起こし、リスナー個々が彼らに対してかつてない確信と出逢えた喜びを持てる、最も影響力のデカイバンドだった。
 
 
ポップパンクのカラッとした元気の良い爽快さと、オルタナティブでインディーな擦れた格好良さのバランス。
日本のメロコアと洋楽のオルタナティブロックの交点的サウンドを実現した事で、どこか玄人感すら感じるギター主体のバンドアンサンブルは、時代の顔に相応しい音圧を持っていた。
シンプルな構成にドラマティックさが加わるバンドの音と細美の無二の美声が、もう一つネクストレベルの音楽を感じさせ続け、時代と歯車が噛み合うような絶対的さすらあった象徴的バンド。

セルアウトを嫌う姿勢、ストイックでアツい心意気も魅力だった。

 

My Favorite Songの様なギターロック全開の初期のサウンドから、Supernovaみたいなパワーポップとパンクの融合したメロディックなサウンド、休止直前のFire Crackerの骨太のロックサウンドまで、ロックを基軸にオルタナティブで多彩なサウンドを鳴らしたエルレ。
ナードで後ろ向きなメッセージを、カラッとしたメロディーに載せて届けるダメな俺たちの爽快さは、世代の誰もが今まで感じた事のないものだった。
乾いたギターサウンドとハイトーンで美しい細美の声、全体的にちょっとドライな感触が今までにないスタイリッシュな音楽だった1stアルバム'Don't Trust Anyone But Us'は一生モノの名盤だ。
2.BEAT CRUSADERS

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お面をつけた天才たちのバンド。
オオカミとか、能面とか、マシュマロとか、たくさんのお面が今も音楽シーンを賑わせている。
でも僕らの原風景で、覆面バンドと言えばビークルってのは絶対的なアンサーなのだ。

彼らの中で特筆すべきは、ソングライターでフロントマンのヒダカトオルは、キャッチーでモダンな曲を作る天才だったこと。
キラキラしたポップネスとロックのラフなパワー、そこにキーボードが加わりマジカルな旋律のポップロックを作りあげる。
拙すぎて逆に聞きやすい英詩を、独特の声のパワー溢れるヒダカトオルのボーカルも強烈なアイデンティティーであり、カラフルで眩しい音圧は他のバンドにはないハイブリットな魅力だった。
 

音楽ファンの間でも一世を風靡したバンド漫画、BECKのアニメのオープニングに抜擢されたりと、割かしメジャーなインパクトも持っていた彼ら。

数々のバンドに留まらず、つじあやのとかポップ畑のアーティストともコラボするなど積極的な活動も目立った。

ありえないくらい奇跡

ありえないくらい奇跡

  • つじあやのとBEAT CRUSADERS
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

ポップなメロディーに力点を置く事に注力し、ポップを恐れないロックサウンドは確実にオルタナティヴなもので、この方法論とそれをバキッと提示できるセンスが、多岐にわたるミュージシャンとしての活動にも表れている。

ファーストインパクトだけかと思っていたチープなお面も、そういうサウンドのフィルターを通してみると、ぐっとミステリアスでアイコニックになる不思議。

 

マジカルなサウンドと強烈なロックボーカル、そしてやっぱりお面のケミストリーがビークルの最大の魅力なのだ。

ISOLATIONS

ISOLATIONS

  • BEAT CRUSADERS
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

3.ストレイテナー

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当代きっての実力派バンドで、オルタナティヴに幅広いレンジで真っ直ぐなロックを鳴らしたクールなバンド。
甘くメロウなポップロックもエモーショナルな跳ね上がる様に鮮やかに彩られて、そうかと思えば濃いめのギザギザロックチューンで踊り狂わせる。
メジャー的なサウンドレンジの広さもありつつ、単なる流行歌では終わらない芯の太さをもったロックなメロディーは、甘くそして上手いと唸らせるセンスがあった。

スタイリッシュでロマンチックな雰囲気をもって、それでも観客が女子だけじゃなかったのは、そこにおもねらず楽曲の強さがあった確かなロックバンドだったからだ。

オーソドックスなロックサウンドも、色彩も濃淡も自在なアレンジと演奏でモダンなメロディーを作り上げる。

常に21世紀のロックバンドであろうとするバランス感覚が、常に時代を捉えた音楽性・世界観となって、現在でも聞かれ続けるアーティストとなっているのだ。

ギラついた曲でもセクシーな感じを失わないところも好き。

KILLER TUNEは死ぬほど聴いたロックチューン。

 

4.ACIDMAN

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聴かせる系?えーっとアシッドマンみたいな?の様な会話が蔓延っていた当時。

アートでエモーショナルでスタイリッシュなバンドの姿のプロトタイプが彼らだった。

人生観まで踏み込んだ文学的なテーマも、透き通った炎の様な隙のない音で浸透させられる。

ものすごく遠くから距離を越えて聞こえてきたような、難しそうなテーマでもすんなり僕らに届く、柔らかくて鋭く響く声がアシッドマンにはあった。

アートなロックを聞けるかどうかの分水嶺みたいなバンドだし、彼らが描いたアートに、大きく影響されたバンドも多いはず。

がならなくても叫ばなくても伝わるクールなアツさ、静と動の緩急、ロックとアートの類似性を、限りなく感じさせてくれた彼らは唯一無二だった。

気取ってないスタンスみたいなものも、僕が僕らの音楽という意識すんなり持てた要因でもあった。

 

5.ASIAN KUNG-FU GENERATION

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’ソルファ’が世に出たのは2004年、僕らにとっても既にメジャーなバンドだった。
あの広がり方を生で見ていた僕ら世代が自信を持って言えるし、日本のロックの分岐点で、彼らの初動から時代が動いた。
ストレートなギターロックで純粋にいい歌のポイントを突いて来る上で、独特の日本詞の言い回しと淡い描写で、日本らしい世界観のロックを築いてきた功績はえげつないほどデカイ。
僕らの見てきた風景に、いつでもどの光景でも合う音は常にアジカンだった。

バンドの生音が主体のロックの迫力と、シンプルなギターサウンドが生む衝動感。

表示上豊かなメロディーを淡々と心地いいファルセットを交えながら届ける。

未来永劫残るだろう全員が認めるパイオニア的バンドである。

アルバム’サーフブンガクカマクラ’は至高の名盤だった。

ほんとに江ノ電乗りながら聴きたくなる、光景にロックが追いついたような名曲揃い。

文学作品の様に、何年先も誰かの手に渡って欲しいと切に願う1枚。

6.B-DASH

 

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2017年解散。

自分の故郷でよく遊んだ馴染みの公園が無くなっちまったような悲しさで胸が締め付けられた。

アジカンと並んで彼らの様な存在がメジャーなシーンで多くの目に触れた事はロックシーンにとって大きい。

日本のメロディックハードコアを我流で継承したトリッキーでその実純朴なパンクロック。

めちゃくちゃな単語の羅列の歌詞も、キャッチーなリフも、メロディアスなサウンド。

ポップパンクらしい澄み切ったバンドサウンドは青い空の入道雲が眼に浮かび、田舎っぽい爽やかさが僕らにはカリフォルニアの風にも思えた。

意味不明な歌詞に隠れて、ストレートで優しいメッセージが胸の隙間を埋めていく様な暖かい感覚。

郷愁的でホッとする優しさが、ごんごんの声にはあった。

 

 

7.10FEET

 

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いまや日本のパンクシーンを背負うあまりにも重要なバンドになった彼らは、この時代からフルスロットルで稼働し続けてきた。

地元京都で巨大なフェスを主宰し、毎年のように新曲を出し、恐ろしいペースで迫力のライブをこなしつづけてきた。

そのむき出しのストリート感と、となりの関西の兄貴感で、どのフェスに行ってもラインナップに名前があり、それは時に安心感に繋がった。

良くしなるパンクサウンドにミクスチャーらしいフックの応酬、王道を突きながらファンキーな彩りも失わない。

ファットマイクばりのパンクな地声と、だみ声とデス声のコミカルでオンリーな歌い方も世代を越えてキッズを魅了し続ける理由だ。 

 

良く喋るMCに、よく泣き感情をあらわにする関西のお兄ちゃん達がステージの上ですげぇかっこいい音楽をやってる。

斜に構える事は金輪際ない、リスナーと同じ目線の日本のロック代表として、現役第一線で先頭を走れるのもパンチ力のあるアンセムの数々とその明快なキャラクターだからだ。

それを20年くらい続けてきた。そうやって積み重ねてきた圧倒的に暖かい人柄と楽曲がにじみ出る、凄く日本人情的なバンドだ。

英詞、日本語詞問わずキラーチューンは多いが、だれもが持つ童心を掴む日本語詞の使い方は秀逸。

 

 

8.GOOD 4 NOTHING

 

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どストレートなジャパニーズメロディックパンクバンドとして象徴的だったのは彼らの事だった。

速めのビートにカラッとしたギターに甘いコーラス、楽しい掛け合いに男らしい声に少しナヨってひねた英詞。

これは何だ?と思考も必要ない、音と直結で心が弾む、ヤングカルチャーに沿ったシンプルでラウドな音。

近年ではアジア圏でもドえらい人気を誇る。

ライブハウスでみんな汗だくびしょびしょで、海の家にいそうな恰好したお兄さんたちが同じくビショビショで全力の笑顔で音楽をやってる光景は、ボクらの時代の青春のハイライトになる強烈に楽しい光景だった。

大雑把で男臭い感じも、思い切り良くブン投げてくる分、親しみやすいキャッチーなサウンドとなって、難しい事考えなくていい全力で前向きな音楽になる要素を創る。

軽快さもありながら、野太くてラウドに爆発するようなワイルドさも、グッフォーの魅力だ。

当時のアルバム’Stick With Yourself’’Kiss The World’は今でもライブを彩る名曲が多い。

 

9.Locofrank

 

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今やレジェンド的な位置づけながら海外までツアーを回り、インディー精神を持ち続けあらゆるライブに顔を出す第一線のバンド。

ハイスタが時間を止めた後、何かが変わったパンクシーンでも変わらず、彼らが先頭に立って地道に音を鳴らし続けたからこそ今のシーンはあるのかもしれないのだ。

3ピースらしくシンプルながら、真摯さまで伝わってくる様なストイックでストレートなサウンド。

漢らしいエッジが効きつつ疾走感のあるスケーターボーカル、スムーズに流れ込んでくる無駄なく野太い音も、僕らにストレートに重く響いた。

何て事のない平凡なメロディックパンクでも、ロコがやるそれを僕らは求めていたのだ。

数々のバンドが自分たちの着色を試行錯誤する中、衝動的で強靭なメロコアを突き詰めつづけた楽曲達。

先行世代が大御所過ぎるメロコアシーンで、真似だなんだと言われようが、強烈な憧れからスタートした物語には間違いはなかったのだ。

間違いなく僕らの世代の耳にはロコのサウンドが染みついてる。

 

10.Northern19

 

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メロディーセンス溢れるキャッチーなパンクアンセムを生み出し続けたメロコアバンド。

純度の高い甘さを持つメロディックなサウンドとボーカルを、クリアかつスピーディーに響かせる、ただ勢いだけではない透明感と疾走感を同時に感じさせるメロディーセンスが溢れていた忘れがたい存在感。

ノーザンの描くカラフルでメロディックな世界は、スウィートでもメロコアの熱もしっかりと持っていた。

どこか口ずさむような歌いたくなるようなメロディー。

’いい歌’の基本になるようなメロディーがどの楽曲にも散りばめられていて、彼らのアルバムはまるで宝石箱を空けたみたいにキラキラしていた。

こういうスウィートなポップネスと、ロックのロマンの融合は00年代のロックの進化論のド真ん中なテーマであり、ノーザンはその中心で輝き続けた。

’FROM HERE TO EVERYWHERE’’EVERLASTING’の2枚は大名盤。

 

11.Dustbox

 

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埼玉県出身、音楽界のサッカー好きとしてもレジェンド。

速さは当代随一のメロディックパンクバンド。

ハイスピードとハイトーンが鮮烈に弾ける流星の様に速く美しいサウンドは、とにかく中毒性が高い。

重量感は失わず決して軽くない畝りのあるメロディーは、光の粒が弾けるような凄い光量で襲う眩しいメロコアサウンド。

アルバムのジャケットのアメリカ風の謎のイラストも好きだった。

 

12.Hawaiian6

 

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ハイスピードにグッドメロディー、そして漂わせる哀愁こそがジャパニーズメロディックハードコアの方程式だが、彼らの楽曲の’泣き’要素の強さは随一だった。

ややメタリックなベースラインが香らせる深い哀愁を、加速度的に解き放つ星のようなメロディーと琴線を刺激しまくる歌詞。

もうほぼ泣いてんじゃないかってボーカルも、あっという間に童話の様に美しく切ない歌世界に惹き込んでいく引力があって、そのナイーブな歌詞を自己投影しその先の美しい力強さへと完結する物語性を感じさせてくれる。

TBSのドラマが許可なく勝手に使う程、誰にも刺さる強烈なキャッチーさとメッセージの透明性が光っていた。

'MAGIC''PROMICE''FLOWER'はこの時代から語り継がれてきた日本のメロコアシーンの重要曲だ。

 

13.フジファブリック

 

「フジファブリック 2006」の画像検索結果
2009年12月24日にボーカルの志村正彦が死去した事も、未だ昨日の様に思い出せる。
それぐらい影響力も存在も当時から大きいバンドだった。
特にこの時期のフジファブリックは精力的に楽曲を作成し、大規模なライブを敢行し、僕らの耳にも目にも届く場面が凄く多かった。
作家性すらあった歌詞が聴き手ひとりひとりの心で物語になっていくような浸透性は随一で、そういう詩的なストーリーを変幻自在なロックメロディーと融合させられるサウンドデザインが実に鮮やかだった。
’若者のすべて’の揺らぐような歌詞とメロディーは彼らの真髄。
また’MONSTER’みたいなシャープなテーマの曲も独特の表現でスキだった。
 

14.DOPING PANDA

 

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奇才感の漂うダンスロックはこの時代の特異点だった。

ロックスター・フルカワユタカに率いられそのオルタナな魅力は時に沸点に達し、熱狂的な支持を得た。

エンターテイメント的なフロアの一体感をロックミュージックで創り出せるその音楽性は飛び抜けて異質で唯一無二だった。

もちろんエレクトロなバンドも多く世に出ていたが、ダンスとロックを黄金比で混ぜた最高にハイなサウンドはそのシーンとも一線を画したものだった。

ロッキン史上の最高の瞬間だと語り継がれる2006年の彼らのステージだというのは、同じ時代を生きてきた誇りである。

インディー時代の名曲'Hi-Fi'、超弩級のダンスロック'MIRACLE'の名のもとに、ハイな奇蹟を起こした伝説のバンドだった。

 

 

15.9mm Parabellum Bullet

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Punkspring2007だった。

余り耳の早いファンではなかった僕は、パラモアかなにかの代打で急遽出演した彼らを見て衝撃を受けた。

やせっぽちな見た目からはウソのように狂った様に暴れまわるバンドパフォーマンス、エクスタティックな艶やかさと攻撃的でハードなサウンド。

日本的な叙情的炸裂感を伴いながら、圧倒するスタイルと音圧で雷に打たれたような衝撃だった。

その後の活躍も何ら疑問の余地もないファーストインプレッションに未だに引きずられている。

ささくれ立つどころかギザギザのキラーチューン'Discommunication'に切り裂かれた傷跡は、きっと一生モノの予感がビンビンしているのだ。

 

16.チャットモンチー

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徳島出身の女性3ピースバンド。

シーンの紅一点的な存在というだけで注目される中、素朴かつキレキレのロックサウンドの実力でド真ん中で華開いた。

メンバーチェンジや脱退を経て、2018年活動を終了させた。

もちろんそれは残念でならないが、数多くの仲間が彼女たちを支えたいとサポートし、熱狂的で分厚い支持を受ける存在のバンドとして、永久に記憶に留められる終わり方だった事は幸せだ。

チャーミングでありつつ心臓を掴まれたように赤裸々なメッセージは、心の無防備な部分でいつしか知らぬ間に鳴っている、少女らしい無垢さと女性らしい柔らかさに満ちていた。

どこまでも心に刺さるのに、痛くない。

 

 

 

17.ASPARAGUS

 

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エモいエモいって流行りに乗って乱発する奴らに、これがエモだって叩きつけたいバンド。

メロコアを主体にしながらも、コズミックで轟くような音の広がりがあって、ハスキンにも通じるエモーショナルな音の震え方は唯一無二だった。

跳ねるキラキラした音とエモい轟音ギターに、宝石みたいなピュアな声がワクワクする世界観を生み出す。

曲ごとに全然違う表情でも、醸し出すスマートさとグッドメロディーが根底にある眩しいバンドだった。

ビークルとの合作の'Faliy Tale'はコズミックでファンタジーな魅力に溢れた名曲。

 

 

 

18.The band apart

 

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天才的技術をベースにした美しくスタイリッシュな都会的ロックの最高峰。

もっともっと大人になったら聞くもんだと思ってた音楽を、バンアパは僕らに教えてくれた。

クールなグルーヴ、ジャジーでブルージーなエッセンスが染みだす都会的な音。
ハイトーンのコーラスも眩いばかりのアルペジオも全てが気高い音。

自然と夜を彩れるネオンサインの様な煌々としたロマンチシズム、こういう頭からつま先までオシャレなロックが、この時にあって良かった。

 

 

僕たちのステイゴールド

いかがでしたでしょうか?

まだまだ紹介しきれないバンドもいるし、もっともっと書きたいバンドもいるけど、それはまた別の記事で触れようと思います。

未だに火照った感覚が残る熱中時代の余熱。

そこには火種みたいなものが残っていて、僕たちがこの頃の音楽を聴くたびに電撃的に音楽細胞のスイッチを入れ、瞬く間にタイムスリップを起こすのだ。

どんどんヴィンテージになる寂しさもありながら、時代の流れに簡単に持って行かれない強靭なパワーと勇気を得たような、変な自信にも繋がるのだ。

いつまでも聴いていたい音楽の時代は皆様にはあるだろうか?

 

それではまた別の記事で。

僕のiPodからハイスタが消えた日【音楽雑記】

加速する時間の流れに想いを馳せてる音楽雑記

「ハイスタ 夏」の画像検索結果

僕のiPodからハイスタが消えた。
Ken Yokoyamaもだ。
多分もっと探せばもっと聞けないバンドはあるだろう。
 
スマホでも音楽が聴けるけど、どうしてもiPodはiPodで使い続けたい、だからサブスクリプションサービスとそうじゃない音源がこんがらがって、聞けなくなった。
同じような事は何年も前に何千人が悩まされているので、もし解決策を求めてる人は違う所で丁寧に解説されているのでそちらを参考にして欲しい。

www.masa10xxx.com

 

ハイスタが聞けなかった瞬間、なんかぽっかり穴が空いて、すげぇ楽しかった場所に入れない様な気持ちになった。

昔の原っぱの秘密基地が有刺鉄線で囲まれちまうとかじゃなくて、毎年夏になったやる
サマーウォーズに出てくるバグみたいなやつに邪魔されてる感じだ。

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だけど解決するのだ。
上にも貼らせてもらってように、オフィシャルなHP以外にも、たくさんそういうブログがある。
嬉しいし便利だ。
だけどそのスピードについていけてない気がしている。
 
 
どういうことか。
もちろん聴けるようになって嬉しいし、多分10年位前なら何日もかかってた問題解決が一瞬で、ってのは今の時代だから成せるわけで途轍もなく便利だし、世の中の無くなった方がいい不備がこうやって瞬時に解決していくのは素晴らしい世界なんだろう。
だけど、一回空いちまった穴、そしてそれに対して感じて浮かび上がってきたフワフワしたものが、急に無かった事になったみたいで、どっか無機質で寂しい。
それは嫌だから言葉に残したいと思ったのだ。
ピザオブデスもサブスクリプションやってねって事では決してないのだ。
 
 
これは僕の中の折り合いの問題だ。
全てのスピードが早くて色んな事が効率よく進む。
調べる事で自分が何でも出来るような気になる。
なんかそういう世界をうまく活用している人ほど、なんかAIと喋ってるみたいで、しなくていい回り道はダサい、みたいになる。
これは音楽だけに限らず、むしろ自分にとってバカデカい存在のハイスタで知らしめられた何かのサインだったのかな?と思った。
 
 
こっからはその時に思った僕の妄想の話。
例えば夜中の帰り道、工事中で迂回させられて、ついてねーなってなる。
でも普段通らない、この道も意外といいなって思えて、なんか合う曲をシャッフルで探したりする。
たまには自販機で飲み物でも買おうかな。
なんて思ってる事がまとまりかけた所で、工事中の看板の前まで時間が巻き戻されて、看板も工事も、そして少しだけ違ったいい夜も無かったことにされちまったみたいだ。
 
ちょっと怖い。
きっと大げさだけど。
ハイスタが聞けなくなって困った、でもその回り道とか違う道で浮かんだ思いは意外と凄く大切なんだろうなと思った。
きっと情報進化に伴ってそんな時間どんどんなくなってく。
それはそうだ、すぐにでも改善しなきゃいけないことだらけだ世の中は。
社会が良くなるためには必要な人間の進化でありITの進化だ。
でもだからこそ、こういうオルタナティブな想いは自分の中に残しておきたい体験だった。
 
 
もし、時間がある時なら、ストレートに解決しようとしないで、感傷に浸るのもいいのかもしれない。
僕は家帰ってCDで速攻聴いたよ。
きっとそれが正解な気がした。
 
こんな雑記みたいな文章、読んで頂いた方有難うございました。
皆様にいい週末が訪れますように。
それではまた別の記事で。