00年代のインディーJ-rockシーンを振り返るレビュー!
もう誰にも塗り替える事の出来ない僕らの時代
2004年頃から2009年くらいのJ-Rock、すなわち日本のインディー・ロックシーン の話、タイトルの通りのバンド達の音楽のまとめレビューである。
早い話が1987年生まれ の僕の青春時代の話だ。タイトルを見て、東京タワーが浮かんだ人はもれなく同世代 だ。
まずはそういう人に目に入ってほしい記事でもある。
あれから15年 、そう短くはない時間である。
僕らの時代がずば抜けてすごい時代だったんじゃないかという自負は、思い出の特権である。
それでも歳を経て、振り返って考えてみても、オルタナティヴなロックを軸に多様な音楽性のバンドが幅も深さも備えて揃う面白い時代だった。
ハイスタから脈々と受け継がれたメロディックなパワー と、海の向こうから風にのって届いたオルタナの香り 。
その二つがミックスされて、ロックの不屈のロマン と、感受性豊かなモダンな感覚 があの頃の僕らの『今』 となったのだ。
それぞれのバンドが、邦洋問わず広がる憧れの世界から受け継いだ音を、自分たちの音に潜ませる 。
それがもう楽しかったし、メジャーとかインディーとかいう言葉が入り乱れ、若い聴き手が売れているものでは無い何か 新しいものを求めた時代に、それらの音がポップミュージックとの境界を絶妙に突く絶妙なバランス を作り、ヤングカルチャーのど真ん中を貫いた。
日本のオルタナティブなロックの在り方が弾けた時代 と言ってもいいのかもしれない。
メロコアもオルタナティブもポップパンクもブリットポップも、全てを再解釈する大いなる時代であったと僕は最近思うのだ。
洋楽は憧れだったけど、彼らは僕らの活力と血肉になった。
ミュージシャンでありながらも、僕らと同じ目線を持って、手の届く場所だけでいい、と彼らが始めた音楽が大きなうねりになって、僕らを包んでいった時代。
何回も言うがメジャーとかインディーとかいう言葉が入り乱れるシーンの境目の時代、どれだけ売れてるとかは関係なかった。
確かに売れてる方が僕らの耳には届きやすい、それでも彼らの比較に数字は何にもない。
僕らが子供の頃のまま何かの魅力に取りつかれていく様に、手のひらいっぱいのキラキラしたインスタントな魅力でいっぱいで、何ともロマンティックなロックシーンとなったのだ。
あの頃は完成された黄金の時代 で、僕にとってはいつ聴いたって金ピカなのだ。
後輩にあたるワンオクロック大好きな大学生にこの時代のアツさを語ってたら、鬱陶しそうにしてたので引っ叩きつつも、年を取った事を思い知る。
きっとずっとそういう事だ。
僕らの時代の前だってハイスタがあってハスキンがあってブラフマンがいたし、その前はブルーハーツでもっと言えば頭脳警察とかで、今はワンオクなんだろう。
インディーなロックの灯は消えないんだ 、それぞれもちろん大好きだ。
それでもやっぱり、僕らが最も恋に落ちたその時代の熱量を語り継ぐ事は大切である。
僕に引っ叩かれた奴も、多分好きになれるはずのバンド達。
もちろん死ぬほど聞いてた同世代もたまに一緒に振り返りたいし、先を行く諸先輩方にも是非聞いてほしいのだ。
そんなバンド達を振り返り想いを馳せるレビュー。
自分の備忘録としても、同じ世代の人にも。
そして知らない世代の人にも是非読んでいただければ幸いです。
Spotify Playlist
1.ELLEGARDEN
もしも世代に名前をつけるなら、きっと彼らの名前が冠されるだろうシーンの象徴的なバンドだった。
肥大化気味だった人気の中、次のアルバムへのモチベーションの方向性を見失っての活動休止は僕らの心に大きな穴を空けたし、2018年の復活は僕らの胸にずっと足りなかったアツさを取り戻させてくれた。
センス抜群のメロディーラインだったからこそ間口も広く、あらゆる人の初期衝動を起こし、リスナー個々が彼らに対してかつてない確信と出逢えた喜びを持てる、最も影響力のデカイバンドだった。
ポップパンクのカラッとした元気の良い爽快さと、オルタナティブでインディーな擦れた格好良さのバランス。
日本のメロコアと洋楽のオルタナティブロックの交点的サウンドを実現した事で、どこか玄人感すら感じるギター主体のバンドアンサンブルは、時代の顔に相応しい音圧を持っていた。
シンプルな構成にドラマティックさが加わるバンドの音と細美の無二の美声が、もう一つネクストレベルの音楽を感じさせ続け、時代と歯車が噛み合うような絶対的さすらあった象徴的バンド。
セルアウトを嫌う姿勢、ストイックでアツい心意気も魅力だった。
My Favorite Songの様なギターロック全開の初期のサウンドから、Supernovaみたいなパワーポップとパンクの融合したメロディックなサウンド、休止直前のFire Crackerの骨太のロックサウンドまで、ロックを基軸にオルタナティブで多彩なサウンドを鳴らしたエルレ。
ナードで後ろ向きなメッセージを、カラッとしたメロディーに載せて届けるダメな俺たちの爽快さは、世代の誰もが今まで感じた事のないものだった。
乾いたギターサウンドとハイトーンで美しい細美の声、全体的にちょっとドライな感触が今までにないスタイリッシュな音楽だった1stアルバム'Don't Trust Anyone But Us'は一生モノの名盤だ。
2.BEAT CRUSADERS
お面をつけた天才たちのバンド。
オオカミとか、能面とか、マシュマロとか、たくさんのお面が今も音楽シーンを賑わせている。
でも僕らの原風景で、覆面バンドと言えばビークルってのは絶対的なアンサーなのだ。
彼らの中で特筆すべきは、ソングライターでフロントマンのヒダカトオルは、キャッチーでモダンな曲を作る天才だったこと。
キラキラしたポップネスとロックのラフなパワー、そこにキーボードが加わりマジカルな旋律のポップロックを作りあげる。
拙すぎて逆に聞きやすい英詩を、独特の声のパワー溢れるヒダカトオルのボーカルも強烈なアイデンティティーであり、カラフルで眩しい音圧は他のバンドにはないハイブリットな魅力だった。
音楽ファンの間でも一世を風靡したバンド漫画、BECKのアニメのオープニングに抜擢されたりと、割かしメジャーなインパクトも持っていた彼ら。
数々のバンドに留まらず、つじあやのとかポップ畑のアーティストともコラボするなど積極的な活動も目立った。
ありえないくらい奇跡
つじあやのとBEAT CRUSADERS
J-Pop
¥250
provided courtesy of iTunes
ポップなメロディーに力点を置く事に注力し、ポップを恐れないロックサウンドは確実にオルタナティヴなもので、この方法論とそれをバキッと提示できるセンスが、多岐にわたるミュージシャンとしての活動にも表れている。
ファーストインパクトだけかと思っていたチープなお面も、そういうサウンドのフィルターを通してみると、ぐっとミステリアスでアイコニックになる不思議。
マジカルなサウンドと強烈なロックボーカル、そしてやっぱりお面のケミストリーがビークルの最大の魅力なのだ。
ISOLATIONS
BEAT CRUSADERS
ロック
¥250
provided courtesy of iTunes
3.ストレイテナー
当代きっての実力派バンドで、オルタナティヴに幅広いレンジで真っ直ぐなロックを鳴らしたクールなバンド。
甘くメロウなポップロックもエモーショナルな跳ね上がる様に鮮やかに彩られて、そうかと思えば濃いめのギザギザロックチューンで踊り狂わせる。
メジャー的なサウンドレンジの広さもありつつ、単なる流行歌では終わらない芯の太さをもったロックなメロディーは、 甘くそして上手いと唸らせるセンスがあった。
スタイリッシュでロマンチックな雰囲気をもって、それでも観客が女子だけじゃなかったのは、そこにおもねらず楽曲の強さがあった確かなロックバンドだったからだ。
オーソドックスなロックサウンドも、色彩も濃淡も自在なアレンジと演奏でモダンなメロディーを作り上げる。
常に21世紀のロックバンドであろうとするバランス感覚が、常に時代を捉えた音楽性・世界観となって、現在でも聞かれ続けるアーティストとなっているのだ。
ギラついた曲でもセクシーな感じを失わないところも好き。
KILLER TUNEは死ぬほど聴いたロックチューン。
4.ACIDMAN
聴かせる系?えーっとアシッドマンみたいな?の様な会話が蔓延っていた当時。
アートでエモーショナルでスタイリッシュなバンドの姿のプロトタイプが彼らだった。
人生観まで踏み込んだ文学的なテーマも、透き通った炎の様な隙のない音で浸透させられる。
ものすごく遠くから距離を越えて聞こえてきたような、 難しそうなテーマでもすんなり僕らに届く、柔らかくて鋭く響く声がアシッドマンにはあった。
アートなロックを聞けるかどうかの分水嶺みたいなバンドだし、 彼らが描いたアートに、大きく影響されたバンドも多いはず。
がならなくても叫ばなくても伝わるクールなアツさ、静と動の緩急、ロックとアートの類似性を、限りなく感じさせてくれた彼らは唯一無二だった。
気取ってないスタンスみたいなものも、僕が僕らの音楽という意識すんなり持てた要因でもあった。
5.ASIAN KUNG-FU GENERATION
’ソルファ’が世に出たのは2004年、僕らにとっても既にメジャーなバンドだった。
あの広がり方を生で見ていた僕ら世代が自信を持って言えるし、日本のロックの分岐点で、彼らの初動から時代が動いた。
ストレートなギターロックで純粋にいい歌のポイントを突いて来る上で、独特の日本詞の言い回しと淡い描写で、日本らしい世界観のロックを築いてきた功績はえげつないほどデカイ。
僕らの見てきた風景に、いつでもどの光景でも合う音は常にアジカンだった。
バンドの生音が主体のロックの迫力と、シンプルなギターサウンドが生む衝動感。
表示上豊かなメロディーを淡々と心地いいファルセットを交えながら届ける。
未来永劫残るだろう 全員が認めるパイオニア的バンドである。
アルバム’サーフブンガクカマクラ’は至高の名盤だった。
ほんとに江ノ電乗りながら聴きたくなる、光景にロックが追いついたような名曲揃い。
文学作品の様に、何年先も誰かの手に渡って欲しいと切に願う1枚。
6.B-DASH
2017年解散。
自分の故郷でよく遊んだ馴染みの公園が無くなっちまったような悲しさで胸が締め付けられた。
アジカンと並んで彼らの様な存在がメジャーなシーンで多くの目に触れた事はロックシーンにとって大きい。
日本のメロディックハードコアを我流で継承したトリッキーでその実純朴なパンクロック。
めちゃくちゃな単語の羅列の歌詞も、キャッチーなリフも、メロディアスなサウンド。
ポップパンクらしい澄み切ったバンドサウンドは青い空の入道雲が眼に浮かび、田舎っぽい爽やかさが僕らにはカリフォルニアの風にも思えた。
意味不明な歌詞に隠れて、ストレートで優しいメッセージが胸の隙間を埋めていく様な暖かい感覚。
郷愁的でホッとする優しさが、ごんごんの声にはあった。
7.10FEET
いまや日本のパンクシーンを背負うあまりにも重要なバンドになった彼らは、この時代からフルスロットルで稼働し続けてきた。
地元京都で巨大なフェスを主宰し、毎年のように新曲を出し、恐ろしいペースで迫力のライブをこなしつづけてきた。
そのむき出しのストリート感と、となりの関西の兄貴感で、どのフェスに行ってもラインナップに名前があり、それは時に安心感に繋がった。
良くしなるパンクサウンドにミクスチャーらしいフックの応酬、王道を突きながらファンキーな彩りも失わない。
ファットマイクばりのパンクな地声と、だみ声とデス声のコミカルでオンリーな歌い方も世代を越えてキッズを魅了し続ける理由だ。
良く喋るMCに、よく泣き感情をあらわにする関西のお兄ちゃん達がステージの上ですげぇかっこいい音楽をやってる。
斜に構える事は金輪際ない、リスナーと同じ目線の日本のロック代表として、現役第一線で先頭を走れるのもパンチ力のあるアンセムの数々とその明快なキャラクターだからだ。
それを20年くらい続けてきた。そうやって積み重ねてきた圧倒的に暖かい人柄と楽曲がにじみ出る、凄く日本人情的なバンドだ。
英詞、日本語詞問わずキラーチューンは多いが、だれもが持つ童心を掴む日本語詞の使い方は秀逸。
8.GOOD 4 NOTHING
どストレートなジャパニーズメロディックパンクバンドとして象徴的だったのは彼らの事だった。
速めのビートにカラッとしたギターに甘いコーラス、楽しい掛け合いに男らしい声に少しナヨってひねた英詞。
これは何だ?と思考も必要ない、音と直結で心が弾む、ヤングカルチャーに沿ったシンプルでラウドな音。
近年ではアジア圏でもドえらい人気を誇る。
ライブハウスでみんな汗だくびしょびしょで、海の家にいそうな恰好したお兄さんたちが同じくビショビショで全力の笑顔で音楽をやってる光景は、ボクらの時代の青春のハイライトになる強烈に楽しい光景だった。
大雑把で男臭い感じも、思い切り良くブン投げてくる分、親しみやすいキャッチーなサウンドとなって、難しい事考えなくていい全力で前向きな音楽になる要素を創る。
軽快さもありながら、野太くてラウドに爆発するようなワイルドさも、グッフォーの魅力だ。
当時のアルバム’Stick With Yourself’ と’Kiss The World’ は今でもライブを彩る名曲が多い。
9.Locofrank
今やレジェンド的な位置づけながら海外までツアーを回り、インディー精神を持ち続けあらゆるライブに顔を出す第一線のバンド。
ハイスタが時間を止めた後、何かが変わったパンクシーンでも変わらず、彼らが先頭に立って地道に音を鳴らし続けたからこそ今のシーンはあるのかもしれないのだ。
3ピースらしくシンプルながら、真摯さまで伝わってくる様なストイックでストレートなサウンド。
漢らしいエッジが効きつつ疾走感のあるスケーターボーカル、スムーズに流れ込んでくる無駄なく野太い音も、僕らにストレートに重く響いた。
何て事のない平凡なメロディックパンクでも、ロコがやるそれを僕らは求めていたのだ。
数々のバンドが自分たちの着色を試行錯誤する中、衝動的で強靭なメロコアを突き詰めつづけた楽曲達。
先行世代が大御所過ぎるメロコアシーンで、真似だなんだと言われようが、強烈な憧れからスタートした物語には間違いはなかったのだ。
間違いなく僕らの世代の耳にはロコのサウンドが染みついてる。
10. Northern19
メロディーセンス溢れるキャッチーなパンクアンセムを生み出し続けたメロコアバンド。
純度の高い甘さを持つメロディックなサウンドとボーカルを、クリアかつスピーディーに響かせる、ただ勢いだけではない透明感と疾走感を同時に感じさせるメロディーセンスが溢れていた忘れがたい存在感。
ノーザンの描くカラフルでメロディックな世界は、スウィートでもメロコアの熱もしっかりと持っていた。
どこか口ずさむような歌いたくなるようなメロディー。
’いい歌’の基本になるようなメロディーがどの楽曲にも散りばめられていて、彼らのアルバムはまるで宝石箱を空けたみたいにキラキラしていた。
こういうスウィートなポップネスと、ロックのロマンの融合は00年代のロックの進化論のド真ん中なテーマであり、ノーザンはその中心で輝き続けた。
’FROM HERE TO EVERYWHERE’ と’EVERLASTING’ の2枚は大名盤。
11.Dustbox
埼玉県出身、音楽界のサッカー好きとしてもレジェンド。
速さは当代随一のメロディックパンクバンド。
ハイスピードとハイトーンが鮮烈に弾ける流星の様に速く美しいサウンドは、とにかく中毒性が高い。
重量感は失わず決して軽くない畝りのあるメロディーは、光の粒が弾けるような凄い光量で襲う眩しいメロコアサウンド。
アルバムのジャケットのアメリカ風の謎のイラストも好きだった。
12.Hawaiian6
ハイスピードにグッドメロディー、そして漂わせる哀愁こそがジャパニーズメロディックハードコアの方程式だが、彼らの楽曲の’泣き’要素の強さは随一だった。
ややメタリックなベースラインが香らせる深い哀愁を、加速度的に解き放つ星のようなメロディーと琴線を刺激しまくる歌詞。
もうほぼ泣いてんじゃないかってボーカルも、あっという間に童話の様に美しく切ない歌世界に惹き込んでいく引力があって、そのナイーブな歌詞を自己投影しその先の美しい力強さへと完結する物語性を感じさせてくれる。
TBSのドラマが許可なく勝手に使う程、誰にも刺さる強烈なキャッチーさとメッセージの透明性が光っていた。
'MAGIC''PROMICE''FLOWER'はこの時代から語り継がれてきた日本のメロコアシーンの重要曲だ。
13.フジファブリック
2009年12月24日にボーカルの志村正彦が死去した事も、未だ昨日の様に思い出せる。
それぐらい影響力も存在も当時から大きいバンドだった。
特にこの時期のフジファブリックは精力的に楽曲を作成し、大規模なライブを敢行し、僕らの耳にも目にも届く場面が凄く多かった。
作家性すらあった歌詞が聴き手ひとりひとりの心で物語になっていくような浸透性は随一で、そういう詩的なストーリーを変幻自在なロックメロディーと融合させられるサウンドデザインが実に鮮やかだった。
’若者のすべて’ の揺らぐような歌詞とメロディーは彼らの真髄。
また’MONSTER’ みたいなシャープなテーマの曲も独特の表現でスキだった。
14.DOPING PANDA
奇才感の漂うダンスロックはこの時代の特異点だった。
ロックスター・フルカワユタカに率いられそのオルタナな魅力は時に沸点に達し、熱狂的な支持を得た。
エンターテイメント的なフロアの一体感をロックミュージックで創り出せるその音楽性は飛び抜けて異質で唯一無二だった。
もちろんエレクトロなバンドも多く世に出ていたが、ダンスとロックを黄金比で混ぜた最高にハイなサウンドはそのシーンとも一線を画したものだった。
ロッキン史上の最高の瞬間だと語り継がれる2006年の彼らのステージだというのは、同じ時代を生きてきた誇りである。
インディー時代の名曲'Hi-Fi' 、超弩級のダンスロック'MIRACLE' の名のもとに、ハイな奇蹟を起こした伝説のバンドだった。
15.9mm Parabellum Bullet
Punkspring2007だった。
余り耳の早いファンではなかった僕は、パラモアかなにかの代打で急遽出演した彼らを見て衝撃を受けた。
やせっぽちな見た目からはウソのように狂った様に暴れまわるバンドパフォーマンス、エクスタティックな艶やかさと攻撃的でハードなサウンド。
日本的な叙情的炸裂感を伴いながら、圧倒するスタイルと音圧で雷に打たれたような衝撃だった。
その後の活躍も何ら疑問の余地もないファーストインプレッションに未だに引きずられている。
ささくれ立つどころかギザギザのキラーチューン'Discommunication'に切り裂かれた傷跡は、きっと一生モノの予感がビンビンしているのだ。
16.チャットモンチー
徳島出身の女性3ピースバンド。
シーンの紅一点的な存在というだけで注目される中、素朴かつキレキレのロックサウンドの実力でド真ん中で華開いた。
メンバーチェンジや脱退を経て、2018年活動を終了させた。
もちろんそれは残念でならないが、数多くの仲間が彼女たちを支えたいとサポートし、熱狂的で分厚い支持を受ける存在のバンドとして、永久に記憶に留められる終わり方だった事は幸せだ。
チャーミングでありつつ心臓を掴まれたように赤裸々なメッセージは、心の無防備な部分でいつしか知らぬ間に鳴っている、少女らしい無垢さと女性らしい柔らかさに満ちていた。
どこまでも心に刺さるのに、痛くない。
17.ASPARAGUS
エモいエモいって流行りに乗って乱発する奴らに、これがエモだって叩きつけたいバンド。
メロコアを主体にしながらも、コズミックで轟くような音の広がりがあって、ハスキンにも通じるエモーショナルな音の震え方は唯一無二だった。
跳ねるキラキラした音とエモい轟音ギターに、宝石みたいなピュアな声がワクワクする世界観を生み出す。
曲ごとに全然違う表情でも、醸し出すスマートさとグッドメロディーが根底にある眩しいバンドだった。
ビークルとの合作の'Faliy Tale'はコズミックでファンタジーな魅力に溢れた名曲。
18.The band apart
天才的技術をベースにした美しくスタイリッシュな都会的ロックの最高峰。
もっともっと大人になったら聞くもんだと思ってた音楽を、バンアパは僕らに教えてくれた。
クールなグルーヴ、ジャジーでブルージーなエッセンスが染みだす都会的な音。
ハイトーンのコーラスも眩いばかりのアルペジオも全てが気高い音。
自然と夜を彩れるネオンサインの様な煌々としたロマンチシズム、こういう頭からつま先までオシャレなロックが、この時にあって良かった。
僕たちのステイゴールド
いかがでしたでしょうか?
まだまだ紹介しきれないバンドもいるし、もっともっと書きたいバンドもいるけど、それはまた別の記事で触れようと思います。
未だに火照った感覚が残る熱中時代の余熱。
そこには火種みたいなものが残っていて、僕たちがこの頃の音楽を聴くたびに電撃的に音楽細胞のスイッチを入れ、瞬く間にタイムスリップを起こすのだ。
どんどんヴィンテージになる寂しさもありながら、時代の流れに簡単に持って行かれない強靭なパワーと勇気を得たような、変な自信にも繋がるのだ。
いつまでも聴いていたい音楽の時代は皆様にはあるだろうか?
それではまた別の記事で。