Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【ディスクレビュー】Weezer ピンカートン 20年目の100万枚【ウィーザー】

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WEEZERの怪作、アルバム'Pinkerton'に想いを馳せる

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2016年、1996年発売のWeezerの2ndアルバム”ピンカートン”が発売20周年を迎えた。
そしてようやく先ごろアメリカで100万枚売れてプラチナディスクに認定されたらしいのだ。
Weezerファンとしては個人的に朗報であり、ちょっぴり悲報。
ロック史にも自分史にも残る心のバンドのキャリアの中で重要なアルバムながら、ニッチなバイブルだったピンカートン。それはそれで良かった。
でも20年かけてジワジワと「売れない」問題作が結果的に長い年月をかけて、輝く評価を手にするストーリーはおとぎ話の教訓のような皮肉が効いていて、なんとも彼ららしいニュースだと思った。
そう考えると実にピンカートンらしいペースで達成された記録かもしれない。
 
赤裸々をはき違えた問題作であり、Weezerの才能がすべて詰まった快作。
今回はWeezerのピンカートンに想いを馳せるレビュー。
 

アルバム'ピンカートン'の特異性

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リリースは1996年9月24日だった。
アルバムのジャケットに使用されているのは歌川広重の東海道五十三次の浮世絵で、ピンカートンというタイトルはオペラ「蝶々夫人」の夫で情けない上に最終的に夫人を捨てる男の役名。
謎めいたシュールな組み合わせだが、ビジュアルのインパクトは抜群であり、中身のスペシャルさもあって突拍子は無いが奇妙なバランスを持って迎え入れられた。
 

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1作目のブルーアルバムにより、Weezerは開き直りつつもエモーショナルにダメな僕達の事を歌う、情けない僕らのロックというスタイルを定着させた。
ブルーアルバムはロック史に刻まれる名盤となり、それこそピンカートンとは異なりあっという間にプラチナディスクを獲得した。
そのアルバムから2年後のセカンドアルバムがピンカートンであり、2枚目のジンクスという格言の現象がモロに出た1枚なのかもしれない。
 
オープニングトラックの'Tired of Sex'に描かれた’ヒットしてからセックスばっかりで疲れたよ’というあられもない恥部を剥き出しにする生々しさ、明らかに不穏で奇妙なヘヴィ―サウンドの空気感、唐突に叫びだすリバース、1作目に比べ少しリアル過ぎた激情的な光景に多くのファンは疑問符をつけた。
セルフプロデュースだった事もあり、インディー感の方が全面に出て自分たちの暗く歪な部分も色濃く出て、その年の年間ワーストアルバムに選ぶ音楽メディアも多かった。
セールス的にも前作に比べ落ち込み、ある種事件として扱われるアルバム(実際にピンカートン警備会社から訴えられるという事件も起きた)になったわけだが、結果的に今振り返ってみると、ブルーアルバムで立ち上がったウィーザーのスタイルをさらに陰陽含めて更に推し進めた画期的なセカンドアルバムだったのだ想いを馳せる事が出来るのだ。
その証明的な出来事が20年後のプラチナディスクなのかもしれないとも思う。
時が経ち手のひら返し的な賞賛を受ける問題作という位置付けのロックアルバムは他にも見受けられるが、ただの再評価でなくピンカートンはどこか僕にとってはお守り的にチャーミングな存在感で心に刻まれているアルバムなのだ。
 
'El Scorcho''The Good Life'などのインディーなグッドメロディーチューン、日本のファンとの絆(への妄想)が詰まった’Across The Sea'などのキラートラックは今でもライブのハイライトになる。
ザラついた重いギターで軽やかなポップロックメロディーを鳴らす。
そこに捻くれながらもミステリアスな表現で、情けなくカッコよくなりたいと感情を吐露する。
ちょっと全部は理解できないけど、清々しいまでの赤裸々さとセンチメンタルに響くパワーポップサウンドが、確かな共感を呼び、不穏な中にある爽やかなエナジーに時として涙を流させるWeezerのスタイルが詰まっている。
ピンカートン以降も紆余曲折ばかりのWeezerだったが、結局戻ってくる基本中の基本はブルーアルバムであり、実はここピンカートンな気がする。
ピンカートンのプラチナディスクの話題に限って言えば、ピンカートン以降にピンカートンサウンドを感じるからこその結果と言えるかもしれない。
人によってはサイテーの烙印を押された作品、好きな僕でもその理由は分かるほどの濃密なギークな匂いは、Weezerサウンドのルーツの更に奥のリバース始め彼らのパーソナルな柔らかく危ない部分まで触れているのだと思えるのだ。
 
ウィーザーの基本でありながら、最も突き抜けていたという、奇妙なアルバム。
少しその楽曲に触れていこうと思います。

アルバム トラックリスト

1.Tired of Sex
2.Getchoo
3.No Other One
4.Why Bother
5.Across The Sea
6.The Good Life
7.El Scorcho
8.Pink Triangle
9.Falling For You
10.Butterfly 
 
全10曲での構成で、全て35分くらいで終わるコンパクトな内容。
一気に聴けるし、陰に陽にと振り回される盛りだくさんの内容。
何曲かレビューしていきます。
 

1.Tired of Sex

冒頭を飾る奇抜な音・不穏さを加速させるベースラインに、「セックスにつかれた」という歌詞。
何を言ってんの?ってなるが、その後も女の子の固有名詞もバンバン出てくる問題作を封切るにふさわしい超迷曲。
そこにあるのも冴えないロックボーイだったリバースが過ごした憧れのロックスターになった愛欲にまみれた成功の日々の苦悩。
四方八方にぶちまける様に振りかざされる圧倒的なギターに本当に愛が見つからないと叫ぶリバース。
捻くれたピュアネスというウィーザー永遠のテーマが見え隠れするナンバーだ。
 
 

2.No Other One 


Weezer - No Other One

もうどうにでもなれって位のリバースのシャウトから、'My Girl's a Liar.But I'll Stand Beside Her'で始まるオルタナティブなロックチューン。

彼氏に依存する女の子の事を歌った曲はJPOPにも溢れているが、ここまで露骨に彼女に依存しまくる男の曲は共感せざる負えないしそんな自分はちょっとヤバいかも、と思う。

情けなくて、切ないけど、それしか考えられない弱い男の心の奥底で認めたくない気持ち。男だって感情移入したっていいのだ。

高らかに鳴らされたギターが振りかざされ、泣きを誘う必殺のサウンドがドラマチックにそしてシュールに重なっていく、ギークなエモーショナルが炸裂した一曲。

 

 

3.Across The Sea


Weezer - Across The Sea

日本のファンからの手紙にインスパイアされて出来たキラートラックで超人気曲。

まさにパワーポップというフックの効いたサウンドとグッドメロディー。

抑えきれない感情を敢えて素直に爆発させたピンカートンらしさ溢れるナンバー。

君から僕が得るのは手紙、君は僕の歌だけだ。

ここまでなら綺麗な歌なんだけど、かなり変態的な表現も数多く、ふりきれたピュアネスが爆発する。

日本にゆかりのある曲なので、日本で演奏される事が多い。

イントロが流れる瞬間に、日本の女の子のファンから歓声が起こるのは、実にロックな光景だ。

 

4.The Good Life


Weezer - The Good Life

リズムよく刻まれる楽しくなってくるようなギターで始まる、過去にすがりつく男の歌。

程よく歪んだ音に美しい泣きのギターも加わり、カラッとした音の心地よい風の中に、ウェットな悲哀の感情も感じるエモーショナルなギターロックだ。

捻じれる様な音の奔流に、翻弄される後味のいい一曲。
この曇り空の木漏れ日みたいな、晴れきらない暖かさはがウィーザーらしく、ピンカートンのインディーさが成せる色合い。
MVの女性は海外ドラマ24のクロエが出てる。

 

5.El Scorcho


Weezer - El Scorcho (Director's Cut)

急きょ表れるフリーキーなポップロックナンバー。

アルバムタイトルの由来にもなってる蝶々夫人がテーマのコンセプチャルな一曲。

コミカルでファニーなリフに、リバースの自由自在のボーカル。

テクニカルさあってこそのフリースタイルな音楽が際立つ、ソングライティングの実力感じる。

歌いやすいシンガロングにライブでも大人気だ。

グリーンデイっていう歌詞が出てくる時点で、音楽ファンの心をくすぐる。

 

 

6.Butterfly 


Weezer - Butterfly

ウィーザー史の中でも屈指のスロウバラード。

1stからピンカートンまでアコースティックな曲はなかっただけに、リバースの声の魅力がつまった曲。

ここでも出て来るのは蝶々だ。

セックスに疲れたなんて言っておきながら、繊細で真摯な別れをしっとりと歌う。

どちらも赤裸々な本音で、等身大のリバースなのだ。

何度も何度も謝り続けるリバースに胸が締め付けられる名バラード。

 

無人島に持っていきたい1枚?

以上、いかがでしたでしょうか?

色んな所で議論がされているアルバムだけど、ウィーザーの本質に近い「強がりな弱さ」みたいなものは一番感じられてすごい好きなアルバムだ。

一枚だけ無人島に持っていくのは、ブルーアルバムだけど、きっとすぐにピンカートンを聴きたくなるだろう。

ブルーアルバムのTシャツを着てる人とは、すぐさま駆け寄って話を弾ませたいが、ピンカートンのTシャツ着ている人とは、一瞬こいつ…!ってピリッとした後、親友になるだろう。

そんなアルバム、ピンカートン。

一家に一枚あってもいいかもしれない。

100万枚なんかより十分価値のあるアルバムだ。 

 それではまた別の記事で。

 

Pinkerton

Pinkerton

  • ウィーザー
  • ロック
  • ¥1600