最後のパンクの春に想いを馳せ振り返るレビュー!
前回プレビューをして万全の態勢でいよいよ最後の春、パンクスプリング2017ファイナルに参加してきた。
1つ1つバンドのライブを終える度に、ド派手なクライマックスを迎えそうな高揚感と、それに比例した寂しさが降り積もる様な不思議な気分だった。
バンドのステージだけではなく、この肌寒さも、ごった返す喫煙所の光景も、パンクな人々の往来も、そういった光景の一つ一つが今年限りのフィルターがかかって見えて、背を丸めて歩きたくなる様な一抹の物悲しさも感じた。
それでも笑顔をでライブを終えられた数々のステージは強烈に最後の春を彩ってくれたのだ。
今回はバンド達のステージに想いを馳せる。
前回のプレビューはコチラ!
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タイムテーブルはコチラ!
1.ザ・ナゲッツ
雨の中、史上最長なんじゃないかという開場待ちの行列を抜け、入場とともに一回「一回全部回ってみる?」位の時にフラッとみたライオットステージのオープニングアクトが遠目からでも衝撃的だった。
すぐに近づいて見て聴いてみるとすごい。
真っ黒のシャツとサングラスにリーゼントのバンド達、フロントマンは赤いスーツを纏い痺れるレトロなダンスを踊る。絶対地元千葉のバンドだ、と思っていたらMCで船橋出身の全員平成6年生まれのロックバンドらしい。
ギターとベースがフォーメーションを組んで、ピタッと揃った振りで会場を盛り上げ、ボーカルはジャケットパフォーマンスと渋いダンスで盛り上げる。
もちろん音もレトロなロックンロールで、船橋のエルビスプレスリーを自称するだけある、まさにオープニングアクトに爆笑とロックンロール魂でふさわしいフェスを盛り上げたバンドだった。
LET’S GO
- THE NUGGETS
- ロック
- ¥250
- provided courtesy of iTunes
2.NAMBA69
ナゲッツのステージの余韻が凄く、ニヤニヤしながらいよいよメインステージも開幕。
満を持して難波率いるNAMBA69が姿を現す。難波は4度目の出演らしい。
4人の体制になって初めて見たが30分しかないこともあって飛ばしたライブだった。
一音目から度胆を抜くような爆音で会場を震わせ、パンクスのスイッチをこれでもかと言う程に入れて回った。
4月のNEWアルバム'HEROS'から新曲’LOOK UP IN THE SKY’'HEROS'を披露し、どちらもメロコアなビートの明るく重い’らしい’ロックソングであり、パンスプは終わろうがパンクを続けるための強靭なパワーが備わっている事を彼らに感じた。
もちろん’PUNK ROCK THROUGH THE NIGHT’’MY WAY’という代表曲も披露し、パンクの第一人者として貫禄のライブを見せた。
MY WAY
- 難波章浩-AKIHIRO NAMBA-
- ロック
- ¥250
- provided courtesy of iTunes
3.MxPx
徐々に増すオーディエンスの中、始まったのはMXPX。
ナチュラルなパンクロックを背伸びせずに強烈に鳴らし続けた現代パンクのいろはのい的バンドのライブはやっぱり凄かった。
'My Life Story''Middlename''Linda Linda'’Responsibility’'Punk Rawk Show'、'The Broken Bones'...
もう完璧なパンクの嵐。淡々とそれでも楽しそうに’たくさん演るからたくさん踊ってよ!’みたいな無邪気さすらあるジェットコースターの様なステージだった。
フロントエリアは僕より若い奴も、もっともっとおじさんも一緒に歌う空間で、おじいちゃんと言ってもおかしくない人がダイブにも挑戦してた。
これぞパンクスプリング冥利につきる光景だと思った。
4.Zebrahead
予定より2分くらい前にSEが流れて意表を突かれて始まったゼブラヘッド。
オープニングはポニョの曲で爆笑を誘い、いつも通りの期待感抜群。
超絶的なギターソロに目を奪われた。ギターのヒゲにも目を奪われっぱなしだった。
陽気で触りすらココでも欠けない途轍もない下ネタの連続のMCに笑いっぱなしのライブ。
’Hell Yeah!’'Mental Health''Playmate Of the Year'’Out of Control’など数々のパンクパーティーナンバーを期待通りのコールアンドレスポンスでノリノリにやってくれた。
最後の'Anthem'で少しさみしさを感じる瞬間もあった、何度も見ているけど特別なゼブラヘッドのライブ。
最後のエンディングはホイットニーヒューストンのI will always love you(エンダあぁぁぁの曲)が爆音で流れるという最後までウィットに富んだ演出をしてきた。
また彼らを見たいと思えるライブだった。
Anthem
- ZEBRAHEAD
- ロック
- ¥200
- provided courtesy of iTunes
5.MONOEYES
去年と同じくサウンドチェックに本人達が出てきて一曲'What I Left Today'をやって「本番もよろしくお願いします」と言ってスタート。
'When I Was A King'開幕のアグレッシブなロックチューン中心に披露して今日は喋りたいことがあると言わんばかりに細美のMCに入る。
ポップスプリングが続くのにパンスプがなくなるの?とか、千葉のコンビニでの一コマとか、もっと小さいとこで良いから続けりゃ良いのに、とかキッチリと自分の意見を僕らに伝えつつ、いつもより真剣な顔で'Run Run'や'Get Up'を演奏する。
グラニート・明日公園で、の連続日本詞で終わったライブに、日本のバンドとしてのパンクロックカルチャーを残した気がした。
グラニート
- MONOEYES
- ロック
- ¥250
- provided courtesy of iTunes
6.Nothen19
ライオットステージに早足で移動して楽しみだったノーザンのライブ。
25分しかなかったけど、喜びを抑えきれない演奏と日本のパンクシーンを彩ったメロディーセンスが光るキラーチューンを畳み掛けてきた。
昨年の月毎に出したシングルの結晶のNewアルバムを控えた新曲もメロディーは色褪せず。
MORATORIAM,MESSEGE,TRUTHなどのアツイ曲も聴けて、短時間でも上手く彼らを味あわせてくれた、やっぱりそれには彼らの浸透感抜群のグットメロディーがあるからだと思う。
このメロディーはもはや日本のパンク文化のひとつと言えそう。
MORATORIUM
- Northern19
- ロック
- ¥200
- provided courtesy of iTunes
7.Brahman
後ろからモニターで見てたんだけど、事件的なライブで全く目が離せないライブだった。
時の鐘、賽の河原、SEE OFF、BEYOND THE MOUNTAIN、とステージ上で見えない何かと戦っている様な暴力的なパフォーマンス。
すぐに観客の中にダイブして、ぐちゃぐちゃになる中(絶対何人かなぐられてた)、オーディエンスと一体になって支えられて立つ。
PunkSpringなんで終わるんですか?と大阪のライブの後ホテルでファンに聞かれたエピソードに真面目に答えて、真面目ですね、って言われてクリマンに言えって!怒っていた。
その状態のまま曲をやり、震災、日本、パンクへのアツい思いを語り、震災をきっかけにパンクスになる事を決意し、パンクになる事で周りの友人が減っていった中、友達が出来たよ!細美武士!と細美を呼び入れる。
細美は、TOSHI-LOWと同じ戦闘服に身を包み、反対側のフロントエリアに立つ。
両側からPLACEBOを披露。
ライトが当たる姿、その叫びは間違いなくその場にいた人の心に刻まれたはず。言葉を失うとはこのことだった。
フェスは娯楽だけど、パンクの名を語る以上、主張が必要なのだ。最後の最後にブラフマンにそれを教えてもらった。
Placebo
- BRAHMAN
- オルタナティブ
- ¥200
- provided courtesy of iTunes
8.NoFX
いよいよラストが近づいてくる異様な空気感の中、カリフォルニアバンド三連発で締めに入る。
まずはノーエフ。
何度も見てるけどやっぱり予測不可能なライブだった。
別にオープニングSEがある訳でもなくモニターも暗いまま、ピンクのモヒカンで黒いキャミソール一枚にブーツという意味わかんない格好で踊りながらステージに現れたファットマイク。
ブラフマンが示したものもパンクスのスピリットだけど、この予想できないクレイジーさをクールと言えるのもパンクの魅力でもある。
それを見た目一発でやってのけた。
'Seeing Double At The Triple Rock'で開幕し、酔ってるのかフラフラしながらもパンクに歌う。ギターのエリック・メルヴィンが出産に立ち会うので来日出来ず、代わりにレスザンジェイクのロジャーがギターに入ってたんだけど凄く嬉しそう。
エル・フェーフェと共にMCと呼んでいいのかわからない一方的にまくし立てる喋りも、彼らなりのコミュニーケーションで、この茶化して煙に巻く感じがノーエフ流なのだ。
まともな演奏では決してなかったけど、どのバンドよりもぶっ飛んでたのはノーエフだった。
'I'm sorry tony'が聞けたのは何よりのお土産になった。
9.Bad Religion
カリフォルニア2発目は、その辺のベテランとか重鎮が震え上がるレジェンドのバッドレリジョン。
もうおじいちゃんだしライブの流れも大体決まってるしな、ライブやってる事自体が凄いからなとか思ってたらいきなりの開幕'American Jesus'で、フロアをメロコアで飲み込んだ。
完全に浅はかだったし、多分全員笑顔になった瞬間だったと思う。
その後も立て続けに'Super Sonic''Fuck You'などファストでメロディックでストイックな伝説の曲を披露。
それでもまだまだと、'Suffer'とか往年のナンバーを畳み掛けてくる。
25年くらい前の曲なんてポップスだと懐メロだ。
それでも全然最前線でサークルピットができるのも、バッドレリジョンが切り拓いて灯したパンクの灯が消えていない何よりの証拠だ。
とにかく歌うまかったしギターもメロディーも速かった。曲の締め方がバシッと決まってて、いちいちすげぇカッコイイ。
パンクを通して何にも通ずるストイックさを体現したステージは、結構一生モノだったなと今になって気づく。
Fuck You
- Bad Religion
- ロック
- ¥250
- provided courtesy of iTunes
10.The Offspring
ついに最後。ファイナルのファイナルはオフスプリング。
もう誰からも文句でないだろう。
'You're Gonna Go Far, Kid'から始まったかと思えばシンガロングの嵐で、この一体感がオフスプのパンクであるべき光景。
ストイックな曲もコミカルな曲も剛柔使い分けた変幻自在で期待以上の高揚感襲うセットリスト。
ヌードルズが陽気にいつもより喋ってた。仙台と福岡で何かイベントをやりたいみたいだ。
この瞬間だけは、寂しさを忘れて無邪気に歌えて飛べたのも、最後がオフスプだったから。
あらゆる想いを真っ向から受け止めて吹き飛ばす様な笑顔のデクスターの声は、僕らにこの日一番の爽快感を運んできた。
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One Fine Day
- The Offspring
- ロック
- ¥250
- provided courtesy of iTunes
パンクの在り方
ロックの一つの形として、大爆発から生まれたパンクロック。
様々な形が花開き、伝え方はバンドそれぞれで、この日僕は色んなパンクを感じた。
確かに窮屈なのだ。パンクなものがこの世には少なすぎて、パンクじゃないものだけ目についてフラストレーションが溜まる。
だからそれを陽に変換するパンクだけの祭り、パンクスプリングは偉大だった。
短命というレッテルもパンク通りだし、僕らも寂しさを募らせるだけではいけない。
ここで爆発させてきた反骨精神はなくならないし、持ち続けて各自の持ち場で闘うべきだ。
思えばそれを毎年確認する春だったような気もした。
PUNKSPRING行ってきました。良いフェスだったよ。また今度ね。