無人島に持っていくならどのアルバム?第1弾!!
無人島に持っていくシリーズ。
新譜のレビューはやっていたけど、それ以外にも心に刺さったアルバムは山ほどあるのだ。
音楽友達と良く酒飲みながら話すネタ、無人島に持っていくならどのアルバムを持っていく?という話題。おもしろかったので記事にしました。のその1。
不定期で思いつくままにレビューしていきます。
1987年生まれ、ロック好きの心を打った珠玉のアルバム達。
今回はHi-STANDARDのギタリスト横山健のソロバンド、KEN YOKOYAMA名義いわゆるKEN BANDの6thアルバム’Sentimental trash’を持って行きます。
ハイスタの時間が止まっていた間も、歩みを止めずバンドを続けパンクを守り続けてきた横山健。
2011年以降ハイスタの時計が再び動き出し、計り知れないハイスタのパワーは、KEN BANDの活動、さらには一人のパンクス横山健自身にも影響を与える。
そんな2015年、45歳の疾走り続けたパンクロッカーが、赤裸々で純粋にロックンロールアルバムを作った。
数々のアンセムがあるKEN BANDの中でもこのアルバムにいつの間にか照準を合わせがち。ふと聴きがちの大好きな名盤なのだ。
是非聴きながら読んで頂き、素敵な暇つぶしになれば幸い。
それでは行きます。
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KEN YOKOYAMA ’sentimental trash’
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KEN BANDとしてのアルバムはこれで6枚目となるアルバム。
とことんデフォルメしたケンの姿のジャケットが目を引く。
2004年の活動開始からコンスタントにアルバムを出し続け、怒涛の様にライブをこなしてきたKEN BANDのテーマは一貫してパンクロックであり、サウンドデザインはもちろんその歌詞も現実的でリアルなパンクス横山健のメッセージが中心に据え続けられていた。
その時その時、彼が思うことを赤裸々にどストレートな言葉で紡ぎ、そのピュアなアツさがパンクキッズ達の心を震わせ続け、横山健は伝説のパンクスであり、パンクシーンの最前線で有り続けた。
ハイスタが休止してからも、何年も何年もパンクを引っ張り、思えば遠くへ来たもんだ。
まだまだ疾走ろうとは思うけど、少しだけ考えてみようと思い立つ。
彼自身にとっても、ターニングポイントとして鳴るようなアルバムは、そういうタイミングで生まれたのだ。
もはや必殺の型となったパンクチューンをダイナミックに鳴らし、更にそのメッセージが広範囲に届きやすい様な、その先を見据えたロックアルバムと言えるかもしれない。
事実、ケン自体も音楽シーンの移り変わりを目にし、メディアへ出てキッズたちが少しでもギターを取ってもらえる様にと願いを込めた活動も増やしていた。
ケンらしいファニーなメロディックさを中心に、ストイックなだけでなくどこか余裕すら感じる懐の深さと曲調の幅は、パンクアティチュードを失わずにロックソングとして存分に完成しているキャッチーさすらある。
メッセージだって下ネタ上等のコミカルな歌詞、そうかと思えばダイレクトに心を揺さぶる直情的なモノもあって、一緒にゲラゲラ笑えるような空気から急にギラつかせるアツい言葉、KEN BANDのライブの様な雰囲気は一見変わらない。
それでも、タイトルにあるようにケン本人のセンチメンタルな感傷が散りばめてあって、それを存分に感じながら聴くことが正しい用法な気もする。
ちょっとは疲れてんだぜって、そう言う弱音ではなく本音な部分も、驚くほど思いっきりさらけ出す。
痛々しく同情を誘うんではなく、45歳になった等身大のパンクスが今鳴らすロックを知ってもらうために。逃げ道を絶つ反動を着けるような助走。
そういうスパイスがあるからこそ近くで響き、より鋭く刺さる。
およそ純情とは言えないファニーなエロラブソングも、パンクギターがギュンギュンになるアグレッシブな曲も、空高く舞い上がる様なパンクアンセムも、艶っぽく憂いを帯びたブルージーなナンバーも、壮大なロックバラードも。
綺麗だ美しいだ言う前に、まず震える程にリアルなカッコよさに圧倒されるのだ。
そういうスイッチが入ってしまったら、メロディックなパンクってのは僕らにとって特別なものになるのである。
ソングレビュー
1.Dream Of You
Dream Of You
- Ken Yokoyama
- ロック
- ¥200
- provided courtesy of iTunes
オープニングトラックはケン必殺のエロラブソング。
手拍子よろしくのポップでドリーミーなパンクメロディーに、歌詞の意味を知って男は頷いて女の子は苦笑う。これで爆笑できる女の子は最高だと思う。
トロピカルなメロディーとリズムにストリートなザラついたギターが満ち満ちて、あまりにも自然なパンクな電磁波を帯びるのだ。
南国にいてあの子を思い出すのも頭に思いつくのはエロい事だったりするのだ。そういう男の子のリアルな痛快ポップロックナンバー。
2.Boys Don't Cry
シンプルにアンセミックなリフの鳴るギターロック。
割りとミディアムなテンポで心にリフレインしやすいリズムで響き、輪唱的なコーラスも聴き心地抜群。
簡潔で前を向きやすいメッセージで、自らを大人として男の子たちへの暖かめの応援ソングは終始軽やかに、大空へ向けた様なギターが渦巻いてく爽快なロックナンバーとして送られる。
3.I Don't Care
I Don't Care
- Ken Yokoyama
- ロック
- ¥200
- provided courtesy of iTunes
作品中でも屈指のパンクチューン。
痛快なパンクギターリフに切り刻まれ、ロックンロール的なドライブ感を高速で回すバンドサウンド。 がちゃがちゃしてる様で、猛烈に一体となっているパンクの壁みたいな音圧。
ベースソロもギターソロもクラシカルなフレーズを織り交ぜながら魅せまくるロックでロールなグルーヴに圧倒される。
ポップパンクでもロックンロールでも関係ないぜって、そんなメッセージに説得力すら帯びるただただ格好いいリフが終始鳴り続ける。
陽性なユーモラスだけだとただのポップソング、そこに圧倒するロックアウト感があって初めて、がんじがらめにするコードをぶっ飛ばすパワーがあるのだ。
4.Maybe Maybe
期待に真正面から応えるオーソドックスで必殺のメロコアナンバー。
どこまでもメロディアスでスピーディー、その完成度が他のバンドとは一線を画す職人技。
あの頃の成分も含めたオーソドックスさを踏み越えず、相応しい音圧と骨太の演奏力で重なるバンドのケミストリーがマキシマムに炸裂するアンセム的瞬間を何度も何度も訪れさせる。
ここまで濃密で緻密なメロコアアンセムを真正面からストレートにぶつけられる、贅沢さすら覚える必殺の一撃だ。
5.Da Da Da
Da Da Da
- Ken Yokoyama
- ロック
- ¥200
- provided courtesy of iTunes
超高速ドラミング&スラッシュギターのパンクソング
涙すら乾きそうなめまぐるしい展開で、精巧さよりも疾走と爽快さを感じさせる。
繰り返すDaDaDaがシンプルで速くて、考えるより感じる方が早そうなストイックなパンクチューン。
6.Roll The Dice
シニカルでひねりの効いたロックナンバー。
ブギーな音とロックンロールなバンドサウンドに、ブラックユーモアを歌うちょっと風刺的な大人なナンバー。
ヴィンテージなロックの魅力にスタイリッシュなモダンな躍動感が加え、ファニーなリズム感を産む魅せ方は流石。
結構KEN BANDでしか見れない一面かもしれない。
7.One Last Time
タイトでギターロックナンバー。
ペキペキのリフからまっすぐに伸びやかな真摯なパンクロックサウンド。
限りなく澄んだメロディーの透明感にアツい激情を秘める、クールなエモーショナルで遠くを見つめる様な達観的な一曲。
8.Mama, Let Me Come Home
メロコアビートが吹き荒れる直情的なパンクソング。
強烈なフックで哀愁がどんどん増して、光が照らされる様な展開にバンドアンサンブルの強固さが伝わる。ギターソロも秀逸。
絶妙に粗くなるケンの声がパンクでかっこいい。
9.Yellow Trash Blues
酒瓶が転がってそうな路地裏っぽいストリートロックブルース。
濃密なセンチメンタル&ブルージーなギターメロディーに飾り気なしのケンの声でナチュラルに歌われる45歳のパンクスの今。
このアルバムのキーにもなるような一曲で最も耳に残る。
ここに来てダサさとか哀しさみたいなものを笑い飛ばさず、しっとりと歌い上げる事の意味と、そして完璧にキマってるギタリスト&シンガーのケンの姿。
こういう歌こそ一人でも多くの人に聴いてほしい。
10.I Won't Turn Off My Radio
Ken Yokoyama- I Won’t Turn Off My Radio (OFFICIAL VIDEO)
シングルカットもされてMステでも演奏していた近年のアイコン的ナンバー。
KENらしいメロディック&ハードコアなパンクで、今持てる全てのパワーを注いだ武器として持ち得る一曲。
Mステで誰よりも猫背で歌うケンの姿はその時座ってたどの芸能人よりもかっこよかった。
11.A Beautiful Song
めずらしい程の壮大な光に満ちたロックバラード。
内傷的で美しい流麗なギター、自信や信頼を感じる音。
物語を語る様なバンドサウンドが、一音一音紡ぐように聴かせる。
シンプルだからこそバンドの美しさが際立つ。
12.Pressure Drop
ラストはカバーソング。クラッシュとかもカバーしていた名曲。
ライブの締めくくりにも、ふさわしいハピネスでアッパーなスカナンバー。
シンガロング必須のコーラスに、魔法の様に笑顔になって行く太陽の歌。
ファニーで物怖じしないカバーはKEN BANDの定番だが、この曲もまた今後も中心となって回っていくだろう曲だ。
無人島に持っていくのはどのアルバム?
以上いかがでしたでしょうか?
まずはKenのアルバムから入れたい無人島に持っていく一枚シリーズ。
ビートルズのサージェント・ペパーズとかニルヴァーナのネヴァーマインドとか、そりゃ持っていきたいだろうけど、それ以上にパーソナルな想い出が詰まったアルバムを誰もいない浜辺に並べんのも面白い。
今後も持ってけねえよってくらい頻繁に更新していきますので、是非聴いてみてください。
それではまた別の記事で!