無人島に持っていくならどのアルバム?
ヒットしようが世界を制そうが最高にファニーな企みは常に胸にあって、いつもそれを最高にイカしてる方に舵を切るバークレーのパンク野郎たち。
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Foxboro Hot Tubs 'Stop Drop And Roll'
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2007年12月、無名の新人バンド'Foxboro Hot Tubs'がオフィシャルサイトを立ち上げて5曲の音源を発表した。
60年代風のロックンロールサウンドの表現力、ヴィンテージながら鮮やかにモダンでエネルギッシュなビート。そして独特の歌い回しは、完全にあるバンドを想起させた。
今より10年分遅い当時のSNSの動きの中でも、瞬く間に広まり、”これってビリー・ジョーの声だよね?'と世界中が何だかわからないまま興奮していた。
煙に巻く様に音源のフリーダウンロードは終わり、残った1曲の'Mother Mary'がシングルの様な扱いでサイトに残り、得体の知れないバンドの曲が本国アメリカのチャートを10位台まで駆け上っていったらしい。
世界を股にかけた”イタズラ”で始動したフォックスボロ・ホット・タブスは、その後正体を徐々に明かし、そのままグリーンデイのオリジナルメンバー3人と当時まだツアー・レコーディングメンバーだった2人の5人によるプロジェクトと判明した。
つまるところグリーンデイのサイドプロジェクトなワケだが、よしやろう!って決めた形ではなく、彼ら5人で深夜集まって音を出してたら次々とインスピレーションが湧いてきたという類の衝動的なモノだったらしい。
グリーンデイ年表で言えば2004年の'American Idiot'の大爆発以降、次のアルバムを待たれている時期で、彼らの周りで色んな想いが交錯していた時期だろうと想いを馳せられる。
タイミング的に一度肩の力を抜いたナチュラルな音楽を鳴らす必要があったのかもしれないし、世間やレコード会社の過大な期待の声への嫌悪とフラストレーションをぶち撒けたとも見れる。
いずれにせよ、谷間制作の一過性のものに終わらず、人々の心を動かしたのも、悪ふざけから始まったとしても彼らのガレージロックが大いなる魅力にあふれていたからだろうと思うのだ。
Foxboro Hot Tubsの音楽 ソングレビュー
Foxboro Hot Tubs - Stop Drop and Roll/Mother Mary on Last Call With Carson Daly (12/6/09)
1.Stop Drop And Roll!!!
Stop Drop And Roll!!!- Foxboro Hot Tubs w/lyrics.
ビックリマークが3つついたアルバムのオープニングナンバー。
ロックでロールなリフが堂々と溌剌と鳴るインパクト。
クラシカルな王道は様式美的でも群を抜いてカッコいい。
音から伝わるバンドの振る舞いがそう思わせるし、鮮やかなドラミング主体のオーセンティックなビートに、ロックなアタック感満載のキャッチーなリフレインは良質で心地が良い。
渋さ漲るヴィンテージな色で、こんなに鮮やかに映えるロックを描けるエネルギッシュなオープニングチューンだ。
2.Mother Mary
Foxboro Hot Tubs- Mother Mary With Lyrics
シングル扱いのキラーロックンロールチューン。
ロック好きにとって最も心地良いリズムで刻まれるギターサウンドを主体に、全体を淡く抱む様な浮遊感のあるメロディー。
綾のあるロックンロールアンセムという彼らのルーツ・ケミストリーが存分に振るわれたアンセムで、曇り空も晴れる事が分かってるような、経験から来る落ち着いた爽快さ溢れる開放的なナンバーだ。
ある種の枯れた味わいで深みのあるサウンドに、クラシカルなコーラスがまた良い味出してる。
3.Ruby Room
4.Brordway
Foxboro Hot Tubs Broadway lyrics
ドライヴィンなミドルテンポのロックチューン。
エッジだったギターサウンドがこれでもかと繰り返されヒリヒリと焦がす様で、どこか挑発的ですらある煽り具合に、こっちもアガってくる。
終盤ギターソロからパッと音が無くなりギター一本になる展開の魅せ方も、エンターテイメント的でロックアイコンとしてのビリーの色気を際立たせる。
5.She's A Saint Not A Celebrity
Foxboro Hot Tubs, Shes A Saint Not A Celebrity lyrics
ロックンロールマナーにパーフェクトに沿ったクラシックロックチューン。
容赦なく折り重なるバンドサウンドと、そのドライブ感はステップを踏まずには手を叩かずにはいられない。
爽快さと艶やかさの両面持ち合わせてうねる音像は、未だ色あせない超強力な必勝の型でもあるのだ。
このギミギミ感をわざとらしくなくナチュラルに出せるのも彼らならでは。
6.Alligator
The Foxboro Hot Tubs Alligator
キレあるリフレイン主体のシンプルさがコンセプチャルな一曲。
ザラついたギターサウンドにノリやすい前進的なビートという抗いがたい根源的な快感。
わずかなボーカルのゆらめきとか、ドラムのタム回しとか、ギター・ベースのグラインド気味なビートで、シンプルさをオルタナティブなプリズムで色濃くした職人技。
7.The Pedestrian
FoxBorro Hot Tubs - The Pedestrian [Offical Music Video]
8.Pieces Of Truth
The Foxboro Hot Tubs Pieces of Truth
アルバムのラストトラックを飾る小粋なロックンロールチューン。
これでもかとビシっと決まるギターリフ中心の畳み掛けるガレージサウンド。
ショーマンシップに溢れるロックンロール・バンドのフロントマンとして完璧に振る舞うビリーの歌いまわし。
自分たちのルーツをナチュラルな質感かつ、オーセンティックに野太く鳴らす、演じているようで実に自然な理想の形。
無人島に持っていく 覆面でガレージなロックアルバム
無人島に持っていく1枚の第8弾は、Foxboro Hot Tubs 'Stop Drop And Roll'でした。
覆面と言うには、我が出まくった音の鳴り方をしまくり、ファンを喜ばせるとともに、ギラギラでドランキーな自由なルーツ・ミュージックは、自らのアンチテーゼとともに鳴ったのだ。
今でも格好いい、心に残ったファニーな企みだった。
まだまだ紹介したいアルバムは一杯。
荷物が音楽でいっぱいになってもいいじゃないか。
それではまた別の記事で。