ELLEGAREDN/the HIATUS/MONOEYESを横断する細美武士のサウンドトラック15曲
活動休止中のELLEGAREDN、そして現在the HIATUS、MONOEYESという並行して活動するプロジェクトのバンド、その3つのバンドのボーカル/ギターにしてソングライティングも行う細美武士は、日本のインディーロックシーンのトップで輝きを放ち続けるカリスマで、DIY的で信念をもった活動の形は日本のロックシーンのロールモデルとして大きな影響力を持っている人物の一人だ。
積極的にメディアに出ることは無く、ライブ活動をこよなく愛し、その姿勢に多くのフォロワーを産みながら自らも最前線でストイックに活動し続ける。
音楽人・表現者として才能に阿らず追求・鍛錬を続けつつも、取っ付きにくい感じはなく何処までもまっすぐにフランクに振る舞う情熱的でピュアなキャラクターも彼がカリスマたる所以である。
簡単には塗り替えられない僕らのヒーローなのだ。
1998年ELLEGARDENが始まり、2008年の活動休止。
2009年にはthe HIATUSが始動し、それに並行して2015年にMONOEYESを結成し、現在まで20年のバンド活動を続けてきた。
人生のサウンドトラックってものがあるのなら、確実にこの3つのバンドは欠かせない。
ソングライターとしてギター/ボーカリストとして、細美武士がどう曲の中で輝いてきた。
今、3つのバンドから5曲ずつ想いを馳せ、考えてみるのだ。
是非聴きながら読んで頂けると幸いです。
- ELLEGAREDN/the HIATUS/MONOEYESを横断する細美武士のサウンドトラック15曲
【ELLEGARDENの30曲はコチラ】
ELLEGARDENの5曲
最もパンクスで、最もエネルギッシュな姿。
ポップパンク的であり、オルタナティブな精神も持ち合わせたスタイリッシュでパッショナブルな存在感は時代に残るバンドとして記憶の中でアツく蒼く響き続ける。
1.Alternative Plans
お伽話の様なメロディーが疾走する甘美さを纏いつつスカッとしたエルレサウンドの集大成的なトラック。
'夢の中には、今より少し違った良いコトが浮かんでいるんだ'
爽快でメロディアスに、満天のドラマチックなロックサウンドに乗せた細美の聴くに鮮やかなボーカルは、彼らの核になる様なメッセージも爽快に胸を打つ。
'もうわかってるさ、これは冗談だよ、こんな事言うつもりなんかないのにね'
他の誰も触れなかった心の柔らかい核心の部分に触れられる取り繕わない真っ直ぐなメッセージは限りなく透明に近い碧さのメロディーだから、今でも何色にも染まらず残り続ける。
2.Red Hot
3.'45'
初期の溌剌なパワーポップサウンドが、スモーキーな蒼さとインディーらしいハンドメイド感でクラシカルな雰囲気すら纏う。
ショーにマイルって単語が、西海岸の光景を感じる歌詞で、アメリカの風を感じる初期らしいトラック。
ドライヴ感溢れるリズムのサウンドは爽快で透明に、全く飾り気ない前向きなメッセージは初期衝動らしくエヴァーグリーンに輝く。
4.Supernova
マキシマムにアンセミックなポップパンクチューン。
NFGとか海外のポップパンクにしか成し得なかった超ポップにしてエネルギッシュなストリート感を実現した抜群の輝き。
超絶ポジティブで眩い陽光的なメロディーに、'遅すぎた、何度チャレンジしても飛べなかった。俺はダメだ、だから彼女は去った'と後悔の言葉を空の彼方に飛ばす様に歌う。
それがやがて再び顔を出すとしても、瞬間的にすぐに這い上がれる様に、エネルギーの塊の様な眩いアンセムだ。
5.Fire Cracker
ELLEGARDEN「Fire Cracker」Music Video
休止前のラストアルバムのオープニングを飾ったナンバー。
ハードでダイナミックに痺れるロックサウンドが、もしかしたらハイエイタスにもつながっている様なアグレッシブでも美しい纏まり良くビルドアップされる。
'君の止まった夢の中に、漂ってるモノを見つけるために'そう声を上げる直情的で、哲学的なメッセージ。
そういうメッセージを尖らせるため、この曲の攻撃性に合わせる様に拳でライブハウスの壁を幾度か殴ってから出て来てたらしい。
それ程までにスイッチの入る劇薬的なナンバーだ。
the Hiatusの5曲
最もアーティスティックな才能を開花させたハイエイタス。メジャーという枠組みの中でも自らの誇りと芸術性を守り、高次に表現者としてレトリックな音楽を創り続けてきた。
6.Tiwisted Maple Tree
静謐でダークで美しい絵画の様な世界観。
聴いた瞬間に息を呑む様なギターの音色と紡ぐ様な細美の声。
心の奥底の冷たい部分を揺さぶってくる漂う深層的なメロディーをエモーショナルをアーティスティックに爆発させた新たな色彩は、大枠は変わらずとも深く心に刺さる物があった。
twisted maple treeというフレーズで空想化されていくメッセージも、'違う色のドレスの方が良かったかな、でも良い、間違っているのは僕の方だから'と歩みを止めた一つのバンドとあるき出した自身に対する想いも見え隠れする。
ただ声を荒げる事をしない細美のボーカルがまたそれを美しく響かせるのだ。
7.Walking Like A Man
Walking Like A Man / the HIATUS
どこまでも独りぼっちに感じる、無限の暗さと孤独感にさいなまれるメロディーライン。
脈打つエレクトロなノイズも無機質に響き、吸い込まれていく様な深淵のサウンドに灯りが灯った様な細美の声。
揺らめきながらもそれが悲観的で退廃的な言葉でも一つ一つ大切に重ねる。
'壊れたおもちゃだ、僕はその一つだ、遠くはなれた所で、まるで一人前の様に歩いている'
卑下する様な言葉も、凛として真っ直ぐに言葉を残し、言霊みたいな想いもやがて濁流のようなサウンドに飲み込まれていくのだ。
8.Superblock
the HIATUS - Superblock(Music Video)
近未来的で仮想的なエレクトロサウンドが、スタイリッシュでもパンククラッシュ的に混濁しながら流れていく。
ゴリラズ的なバーチャルとリアルの行き交い方がPVにも表れている。
ドラマチックな退廃感でも軽やかに意味不明な言葉を羅列し、語感は凄くいい流麗なキレ味を出す。
完全に新次元の形態で表現しきった途方もないトラックは異次元の輝きを持つ。
9.Bittersweet / Hatching Mayflies
Bittersweet / Hatching Mayflies - the HIATUS
10.Horse Riding
the HIATUS - Horse Riding 【日本語字幕入り】(Music Video)
revolution need a soundtrackは鳥肌の立ったフレーズ。
MONOEYESの5曲
最もシンプルでインスタントなロックサウンドを鳴らす。
ソリッドな疾走感から、穏やかなグルーヴまで、自在にバンドサウンドを操り、核となるメッセージを直接的に音像に反映する。
11.My Instant Song
MONOEYES - My Instant Song(Music Video)
最初にドロップされた最もインスタントで最も歌われやすいアンセム。
途轍もなくシンプルなロックサウンドが太陽の様な輝きで眩く降り注ぐ多幸感。
プラプラ歩いている時に思わず口ずさんでしまう様な、いつ止めたっていい即興の歌は、淡い包容感の中終始軽やかなムードで進む。
凄くナチュラルに肩の力の抜けた細美の声は、陽性な音に溶けるような一体感で、どの場面で聞こうが顔を上げさせてくれる。
12.Get Up
“Get Up” from「Dim The Lights Tour 2017 at Studio Coast」
スタートダッシュを切ったモノアイズの第二章的にリリースされたトラック。
穏やかでタイドなギターリフに、揺ら揺らとエモーショナルに暖かく染まっていくメロディー。
立てよ、ってニュアンスより、俺たちは立ってるんだから、お前らも一緒に行こうぜって優しく背中を押す様なメッセージと、グルーヴィーなサウンドに乗り切った細美の艶やかな声が、大きな和で漂う。
大人っぽい、というかキッズだった大人に向けた様な、マイナーなパーティアンセムだ。
13.Two Little Fishes
MONOEYES - Two Little Fishes(Music Video)
3つのバンドを横断しても、最もアンセミックと言えるかもしれない1曲。
祝福的なキャッチーなメロディー、爽快で開放的な眩いサウンド。
その合間を縫う様に前面に出るボーカルが、バンドサウンドとシンクロする味わったことない鮮やかな光景に映る。
14.グラニート
ピュアな日本詩で綴られる暖かいポップネスに満ちたナンバー。
絵本の様なワクワクする世界へ行ってみたいと願い、少し詩的な言い回しで幻想的なイメージを創る。
今までにない様な、無邪気で子供のような細美の声は、この世界観に見事にハマり、高鳴るサウンドに併せてボリュームを上げていくのも流石。
'そういう世界があるなら、行ってみたいと思った'という誰もが持つ原風景を、どこまでもそのイメージ通りに描ききった鮮やかなトラック。
15.Vostok
'グラニート'に続くピュアなナンバー。
弾けすぎず流麗なバンドサウンドの疾走と柔らかい感触の細美のボーカル。
感情的というよりは、やや穏やかに聞かせてくれる様なボーカルは、諭す様に響く。
'間違いの中に、答えがあるなら、悪くない'
さりげなく織り込まれるメッセージは、格言じみてなくて、フラットに僕らに入ってくるのだ。
一生付き合えるいつでも聴けるバンド
以上、ご覧いただきありがとうございました。
僕らのヒーローだからって盲目的に好きになるのは違う。
そう心に決めて思っていても、どこまでもまっすぐで眩しくてきらめいてる音楽を残し続けた細美武士のトラックはやっぱり一生付き合えるだろうなと思う。
ファンというには少し恥ずいが、聴けることに誇りを持ちたい人物。
皆様にはこういう人物はいるだろうか。
それではまた別の記事で。