Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【忘れたくない選手】カカに想いを馳せて-神に愛された主人公−

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奇跡の貴公子、ブラジルのカカに想いを馳せる

フットボールのプレーを評する時に、まるで漫画の様だ、と評する事は多々ある。
ネットが千切んばかりのパワーの長距離弾丸シュートや、虹のエフェクトが掛かりそうな美しい弧を描くボールの軌道、或いはオーバーヘッドの様なアクロバティックなプレー。
すぐに動画で観れる今の時代では、あっという間に拡散され、「あれ見た?凄かったよな!」と話す前に次々と新しいゴールが配信されて行く。
どれも漫画みたいで凄いんだけど、そんな時代の情報処理速度にどうにも記憶が付いていけず、その中でも心に残っているプレーは、とてもシンプルで実は最も真似できない鮮やかがある。
きっと大空翼のドリブルをかなりリアルに再現すれば彼の様なドリブルになるんだろうと思う。
元ブラジル代表カカのドリブルは、そう記憶に焼き付いている。
 

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25 Monstrous Dribbles/Speed/Runs by Ricardo Kaka | HD

まっすぐとした姿勢で、ざっくりと90度にボールと体を動かし、またゴールへ向かう針路を取る。
リヴァース・クォモのライトニングストラップばりの稲妻の足跡をピッチに刻み、誰にもボールを触らせずゴール前へとたどり着く。
 

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その王子様的なルックスと様々なエピソードが示す公正明大な性格も相まって、その姿はまさしく主人公のそれだった。
ACミランの象徴として歴史に残る活躍を見せ、主人公としてプレーしたカカは、まるでその敬虔さで神に愛されたという表現がぴったりのプレーヤーだった。
そんな彼に今日は想いを馳せる。
素敵な暇つぶしになれば幸い。
 
 

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プレーヤーヒストリー

 
神様ジーコ擁する華麗なる黄金の中盤にブラジル中が希望を抱いていた1982年、カカはブラジルの首都ブラジリアに生まれた。
その24年後、カカ自身も黄金の中盤に匹敵する”カルテット・マジコ”のメンバーの一員としてW杯に挑戦することになる。
 

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中流階級で育ったカカはサンパウロへと引っ越してから本格的にサッカーを始め、名門サンパウロFCに少年期から所属した。
今では180cmを超える長身と、細身ではあるがフォトジェニックな芯の通った体型で、彼のプレーにも充分過ぎるほど活かされているが、当時は線も細かった様だ。
それでもクラブのサポートにより、メキメキとフィジカルは成長する。
メッシでもそうだが、卓越した才能を守る為の少年期からのクラブのサポートは、サッカー強豪国では手厚く、いい循環だなと思う。
 
カカという名前は、幼い弟が名前を発音できずに付いたニックネーム
ロナウジーニョも本当はロナウドだとか、ペレの本名はめちゃくちゃ長いとか、ブラジル人の名前エピソードの1つだ。
 

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17歳の頃には卓越した才能をユースで発揮し、クラブの財政難から大金を積んだロシアに売られそうになるが寸前で回避
あわや下半身不随になるかというプールでの転倒事故もあったりと、肝を冷やす事もあったが、その才能は奇跡的に神様に守られて無事にブラジルでのプロデビューを果たす。
デビュー戦ですかさずゴールを決めるとあっさりとトップチームに定着し、未来の代表10番として若手筆頭株に上り詰めると、2002年日韓W杯にも選出され、出場機会こそ多くなかったが18歳でメンバーとしてW杯優勝を経験。
いくつかの奇跡と本人と周りの努力、そして謙虚な姿勢で圧倒的な支持を集めたカカの才能は見事な形で開花し始めた。
真摯な姿勢と気品すら漂うその姿は主人公らしさを纏い、いよいよカカはヨーロッパサッカーの舞台へ乗り込んだ。
 
2003-2004シーズンよりカカはイタリア・セリエAのACミランへと移籍する。
メディカルチェックではミラン史上最高クラスのスピードの値を叩き出し、驚愕の新人としてミランだけでなくイタリアが注目する存在として開幕を迎える。
 
頼りになる先輩ルイ・コスタなどの影響もあって開幕からスタメンを勝ち取り、そのスピードとテクニックを惜しみなく発揮し、数試合の内にその才能が世界トップのモノだと言う事を証明した。
 
カカの個人能力はあっさりとイタリアサッカーのDFも凌駕して、数々のクラブの守備陣を切り裂いたドリブルは日本でも連日の様に報道されたので良く覚えている。
初年度からスクデットを獲得し、W杯の時とは違い自らの力で勝ち取った栄光にミラニスタは新たな主人として彼を認めたのだった。
 

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ミランのシステムもカカを中心にほぼ不動のものとなり、特に中盤は今でもクラブ史に残る様な完成度だった。
 
司令塔として底でチームを操るピルロ、闘犬のガットゥーゾが相手を追い回しボールを奪取し、絶対的なバランサーのセードルフが気の利いた位置で相手の急所を突く。
そしてニュータイプのトップ下として攻撃に加速をもたらし、チャンスを創造して行くカカ
 
知将アンチェロッティが産み出したこのダイアモンド型の中盤は、補完性も協調性も芸術性も抜群で、内容も結果でも圧倒し、ミランの輝かしい歴史の中でも歴代1・2を争う芸術的な完成度として名を残している。
 
 
磐石で不変の強さはミランに数々のタイトルをもたらす。
イスタンブールの悲劇やカルチョスキャンダルなど、悲哀の歴史もあったにしろ多くの栄光で語ったほうが、どちらかと言うとカカらしくて良い。
CLを制した翌年には、クラブW杯で来日しこちらも優勝し日本のファンにその凄さを見せつけ、2007年のこの年にはバロンドールも獲得する。
ちなみにこの翌年からバロンドールはC・ロナウドとメッシによって独占されていく。
 
この時代のミランの主人公は誰の目にも明らかにカカだった。
カルチョスキャンダル以降、混迷を極めるセリエAの中でもカカの存在感はリーグ自体の象徴となる程高まっていた。
だがミランはそれ以上に経済的に疲弊していた。
カカを出したくはないが、それ以外の全てを解決する事の出来る移籍金という対価は捨てがたく、カカもミランのために移籍を決意する道を選んでいく。
 

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時は前後するがブラジル代表でのカカもミラン移籍後、欧州での実績を胸にしっかりと定位置を確保し2005年には日本とも戦ったコンフェデレーションズ杯を優勝。
2006年のW杯は連覇にも期待がかかった。
ジーコの黄金の中盤に匹敵する魔法の4人、ロナウド・ロナウジーニョ・アドリアーノ・そしてカカの攻撃陣は、おそらくその時代の最高の才能が揃ったユニットだった。
その破壊力が発揮さえされれば、対戦国はどうしようもなかった。
実際テストマッチでは驚くほどの得点を重ねた試合もあった。
が、その破壊力はチームのバランスを壊してしまい、ユニットは自壊してしまう事になる。
それぞれ個々に見せ場は作ったが、これまた稀代の才能ジダンのラストダンスとなったフランス代表に破れベスト8で敗退する。
主人公4人を並べた布陣では戦い切る事ができなかった。
カカの様な主人公には、必ずつきものの難しいテーマは時代を巡っても難しいものだった。
その後も年齢の面もあったが、魔法の4人の中では最も長く代表に残り、2009年には再びコンフェデ杯を制覇。
2010年のW杯にも選出されるなど、長きに渡り代表の中心選手として活躍した。
 

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ミランの財政難に伴い、移籍を決意したカカはレアル・マドリードへ。
本人が移籍するならレアル以外は考えられなかった様だ。
銀河系は解体されていたが、スター軍団の中に入ったカカは大きな期待をされていたが、蓄積疲労の怪我もあり、精彩を欠くプレーが目立つ。
欠場も多くなり、やってきたスターに手厳しいサポーターに最悪の移籍だと言われるほど厳しい時を過ごした。
中々狂った歯車は戻らず、シーズンが変わってもトップフォームには程遠く、断片的な活躍にとどまった。
結局はベイルやイスコを獲得したレアルに見切りをつけ、2014年のW杯を前に出場機会を求め、買い戻しを図るミランと条件が合致し、ミランへと戻る。
そこでも主役級の活躍は取り戻せず、ミランも低迷期へ落ち込む事になる。
 

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漫画では見られない主人公の晩年。それでもカカを求める声はまだあった。

アメリカのメジャーリーグサッカーを新天地に選び、新しい物語をスタートさせる。

サンパウロへのレンタル期間を経てオーランド・シティへと合流し、かつての煌めきを随所に見せ、数々のスタートともにアメリカのファンを魅了した。

チームを発展させた今、スターシステムによる高給がネックとなり交渉は難航し、2017年10月契約を解除。
同年の12月に引退を発表。
主人公らしい伝説的なプレーとともに、求められる声に応えながら真摯にここまでやってきた。
ブラジルサッカー界の主人公のフットボールストーリーは、全ての場面で栄光があったわけではないが、その姿はある意味最も王道的だったのかもしれない。
彼の柔和な笑顔が、そのフットボール人生の充実度を物語っているし、どこか常に感謝を忘れないでいる様な敬虔さも滲み出て、彼を神聖化すらしているのだ。
 

フットボールスタイル


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カカのポジションはトップ下。

だが中央に陣取ってパスを散らしゲームメイクをするというタイプではなく、天才的な身のこなしから攻撃のギアを上げ、よりゴールに近い場所へボールを運び決定的なチャンスメイクをするタイプだ。

そのギアの上げ方がエゲツない。

2段も3段も一気に上げられる天性のスピード。

何度も何度も見た、カウンターの場面でのカカのロングドリブルは脳裏に焼き付いている。

ありえない距離をありえない速さで駆け抜ける。

ラン・ウィズ・ア・ボールでかなり大きめに出したボールが、糸で離れない様になっているかの様にぐんぐん引き寄せられていく。

対峙するDFも、とんでもないスピードで向かってくるカカに、リズムが全く合わず、フェイントを使われるまでもなく置き去りにされる。
ミランの歴史を塗り替えたスピードは伊達ではなく、まだそこから加速するのか…!みたいな、カカにとっちゃトップじゃないのだ。
大空翼がひょいひょい交わしていくドリブルは最も彼が近いかもしれないと思う、そんな速さを持ったドリブルだった。
 


Ricardo Kaká ● The Magic Never Ends ● HD

 
高速ドリブルと複合できる、天才的な【ながら】技術も恐ろしく精度が高かった。
迂闊に飛び込めば、キレのいいインサイド・アウトサイドのカットで腰砕けにされるし、巧みにコース取りできる予測能力とフィジカルの柔軟性もあったからドリブルの距離を出せたのだ。
さらには高精度なキックのコントロールを持ち、特にインサイドキックの技術は絶対的だった。
弧を描きDFの肩口を抜く様なシュート、直線で射抜くグラウンダーのスルーパス。
様々な名手がそうだった様に、得意なゴールの形を持っていた。
インサイドの高速シュートで、エリア外からでも十分にゴールを陥れられる。
次元の違うスピードと、その中で正確にボールを扱える技術。
僕らの考えた最強の主人公。
そんなプレースタイルを具現化していたのがカカだった。

王国らしい主人公

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王国ブラジルの最先端で最高のスターだったカカ。

引退後もTwitterのフォロワー数は驚異的で、人間性に関してはいいカンジのエピソードが転がりまくってる。

忠実な騎士であるかの様に模範的で、敬虔なクリスチャンだった事も彼の律儀さを際立てている。

何よりも誰もが驚愕したあのドリブルこそ、神に愛された者にしかできない技巧だと、見たこっちが感謝したくなるような、そんな尊いものだった。

伝説的・超人的な活躍をキープし続けた訳ではなかったが、それでも僕らの時代の主人公は常にカカだったのだ。
 

【Football soundtrack theme Kaka

The All-American Rejects 'One More Sad Song'

 

One More Sad Song

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