Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【忘れたくない選手】ジョー・コールに想いを馳せて-英国産最後のファンタジスタ-

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2018年11月引退。英国最後のファンタジスタに想いを馳せる

国民性ジョークというのがある。

すごく好きなネタがあって、沈没しそうな船で、海に飛び込ませなきゃいけない時、アメリカ人には「飛び込めばヒーローになれるぞ」と、ロシア人には「海にウォッカのビンが」と、イタリア人には「海で美女が泳いでるよ」と、フランス人には「決して海には飛び込まないで下さい」と、イギリス人には「紳士は海に飛び込むものです」と、ドイツ人には「規則ですので海に飛び込んでください」と、中国人には「おいしい魚が泳いでる」と、日本人には「みんなはもう飛び込んだよ」と、韓国人には「日本人はもう飛び込んだよ」と、関西人には「阪神が優勝しました」と。

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これが中々面白くて、結構ずっと見てしまう。

フットボールも国の特性で良くカテゴライズして喋られる。

イングランドのフットボールはダイナミックさと力強さが信条だ。

もちろんテクニカルさを前面に出した選手もいるが戦術で守る傾向にあり、ハードに戦うには強さ・速さが伴っていないと難しい。

身1つでってなると良く怪我するし、思う存分発揮できない事もある。

それでもイングランド人の矜持を持って戦いつづけるファンタジスタがいた。

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ジョー・コールは2018年11月に引退を発表。

イングランドのファンタジスタはアメリカ二部の地でフットボール人生を終えることを決意した。

不毛の地での稀有な例というロマン溢れる天才プレーヤーは、ファンタジスタとしてフットボール人生を完遂した最後の選手かもしれない。

その繊細なサッカーセンスで、筋骨隆々のイギリスのハードの守備の中を切り裂く予想外でダイナミックなプレーまで可能にした英国産ファンタジスタは、手放しで大好きだと言える魅力溢れる選手だった。

本日はジョー・コールに想いを馳せる。

 

ここまでの忘れたくない選手はコチラ!

www.footballsoundtrack.com

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そのキャリア

本名ジョセフ・ジョン・コールは1981年イングランドのパディントンに生まれる。

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50年以上、トップレベルを維持し続ける育成の名門ウェストハム・ユナイテッドの下部組織に所属し、若くから最高傑作とされた彼は、17歳でクラブの至宝としてトップデビュー。
線は細くとも最もピッチでテクニカルな存在であり続け、残留争いするチームを中位に引き上げる活躍を見せ20歳前半にしてキャプテンを任されるまでになる。
 
育成が主のチームでトップに戦力が多く集まらない難しい時期も若くしてバンディエラとして引っ張っていったが自身の故障が長引いた2002-2003シーズン、ついに2部降格に。
ステップアップを望むジョーコールへと届いた最大のオファーは、当時サッカー界を賑わせていたアブラモビッチからのオファーだった。
オイルマネービックバンとなった2003年のチェルシーの10番として迎え入れられた。
ベロンやムトゥやマケレレ、クレスポなどを僅か一週間ほどで買いあさり、スターを揃えたチームの中でもジョーコールは圧倒的な技術力を持ちながら加入当初は不十分なチームマネジメントとポジション争いの憂き目にあい中々活躍は出来なかったが、翌年スペシャルワン、モウリーニョが監督に就任。
続々とビックネームを獲得し続けたが負傷や不調のスキを縫うようにジョーコールは徐々に出場機会を増やす。
モウリーニョもその才能に惚れ込み戦術的にも生活的にも指導に熱を込める。
ジョーコールも後にこの時期の指導がサッカー人生の肝になったと発言している。
右サイドを主戦場に移し、攻撃のアクセントを一手に担える莫大なセンスを見せつけ、予測のつかない圧倒的な技術で多くのチャンスを創出した。
まさしくファンタジスタのプレーを見せた。

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2001年ごろから代表に選ばれ続けてはいたが、定位置を確保するまではいかなかったコールだが、チェルシー移籍を期に代表でもプレー機会を増やしていく。
オーウェン・ベッカム・Aコール・ルーニー・ジェラード・ランパードなど最強世代が脂の乗った最高の時期、ジョー・コールも中盤の一角で出場機会を増やし、何かと歯車の合わないチームの中、圧巻の個人能力を見せW杯でも度肝を抜くドライブシュートを決めている。
この世代の異常なほどに揃った才能の中でも、中々描けない放物線は確かに歴史に残っている。
W杯のメンバーにも3回選ばれているあたりが、如何にイングランドサッカーに置いて貴重なタイプな選手だったかを証明している。
 
フィジカルが飛躍的に向上したとはいえ、やはり積年の積み重なりによって軋みはジョーコールの身体に残っていた。
2008年頃から大きな故障を再発させ万全のコンディションとは行かなくなった。
2010年にはチェルシーとの契約を満了させ、リバプールへと移籍する.
10番を背負い随所にテクニックを感じさせるプレーもあったが3シーズンで30試合程度の出場に留まる。
ベテランとしてフットボール人生の終盤に差し掛かった彼は、なるべくプレースタイルを変えずに最後まで自分らしく輝けるチームを探す。
2013年にはフランスのリールへとレンタルし復活のパフォーマンスを披露、その後はフリー移籍でウエストハムに帰還し印象的な活躍を残す。
アストン・ヴィラを経てイングランド3部のコヴェントリーへと移籍。
その後はついにヨーロッパを離れ、アメリカ2部相当のタンパベイ・ローディーズへと移籍。
変わらぬプレーをどこか伸び伸びと見せる様で、ゴールもアシストも多く記録し予想もつかないバイシクルを叩き込むなど大きな話題を集めた。
2年間プレーした2018年、引退を発表した。
最後の最後まで実戦に拘り、出場さえすればピッチでもっとも上手い選手で有り続けた。
 

フットボールスタイル

ウエストハムの26番で始まったジョー・コールのフットボール人生だが、彼のプレーは完全な10番タイプ。
トップ下の位置が適正で、中央であっさりとボールを納めるボールテクニック、そこから自在に攻撃をスイッチを入れていく王者型のプレー&チャンスメーカーだ。
エリアを問わず侵入できるドリブルは最大の武器であり、相手の間合いを外しつつスルスルと危険なエリアまで侵入できる。
緩急とコース取りにセンスが溢れ、触れないドリブルという表現が近い。
仮にサイドに追いやれたとしても、正確なクロスとラストパスでどこからでもチャンスを創生してきた。
事実、トップ下というポジションが消え去った後でも、ウィンガーとして多角的に攻撃を組み立てフィニッシュに関わるプレーを随所に見せた。
 


Joe cole amazing skills

 

そして最大の魅力は彼のファンタジスタ的な側面にあった。

圧巻のテクニックから、センスがないと思いもつかないタッチのドリブル。

ラボーナやバイシクルなど目を惹く技術も鮮やかな精度で繰り出せる。

特にフィニッシュの精度は抜群に高く、W杯のドライブシュートが記憶に残っているがかなり遠目な位置からでも予測もつかないタイミングとレンジで数多くのゴールを決めてきた。

びっくりするようなエンターテインメント性に溢れるプレー、どこか英国らしくスタイリッシュにそれを魅せるイングリッシュなファンタジスタだからこそ、全く予想もつかないプレーに溢れていたのかもしれない。

 

忘れられない悪戯っぽい笑顔

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どこまでもプレーをし続けた天才ジョー・コールは、悲運の人生とも紙一重だったかもしれないが英国最後のファンタジスタとして誇りと尊厳と勇気を持って魅力的なプレーを見せてくれた。

戦術から切り離された突破があったり、ワクワクさせるそういう一発があったしそれを本人も最も楽しそうにプレーしていた。

良くも悪くも流れが変わるファンタジスタ。

早くボールを持たないかなと観客はその視線を集めてしまう。

そんなプレーヤー。お疲れ様でした。

指導者としての道を進むとされている、次世代のファンタジスタを育ててほしいものだ。

 

それではまた別の記事で。