Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【バンドレビュー】NoFXに想いを馳せて【ソングレビュー14】

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世界で最もパンクなバンド、ノーエフエックスに想いを馳せる 2019.7.18リライト

周囲に怒りをふりまく人間っているのだ。

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いっっつも怒った顔をして、人の粗を探すのがいつの間にか上手くなって、練りに練った罵詈雑言で、怒涛の勢いで批判しまくる。
多分自分でもわかってるんだ、迷惑なのは。でもあっちに言ったからこっちにもって、言わずにはいられなくなっちまってる。
怒りのスイッチがゆるゆるで、その外に向けた刃が自分を追い詰めてるみたい。
批判のポイントは間違っちゃいないかもしれないが、結局多くの人がハッピーにはならない。
 
そういう人に対し、仕方ないよね、みんな人間だし。起こったりする時もあるよね。と寛大過ぎる心を持つのもちょっと違うと思う。
意識高めにしがみつきたがる人が良く言うけど、そんなにみんな出来ちゃいない。
でもじゃあこっちも怒りとか不満とかを振り乱すだけじゃ、良性なイイパワーは生まれてこない。
多分答えはこき下ろしてバカにして笑い飛ばして、陰性のフラストレーションを陽性のエネルギーに変えることなののだ。
ユニークにするには、その問題の本質をわかってないとできない。
僕はそれを音楽、特にNoFX から学んだ。
 

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1980年代中盤からメロディックハードコアシーンの先頭を切り、その音楽的実力とパンクスピリットで、パンクロックレーベル’ファット・レック・コーズ’を立ち上げ、北米最大のインディーパンクレーベルへと成長させた、言わずと知れたパンク界のボスノーエフエックス。
彼らが開けた風穴から、次々と新しい若いバンドが飛び出していき、そいつらもひっくるめてあっという間に追い越す、強靭なスピリットのパフォーマンスを最前線で披露し続ける名実ともに世界一のパンクバンドだ。
ハイスタもファットレックからデビューして日本に逆輸入的にヒットした事でも知られ彼らも敬愛するバンド、日本人の僕らにとっても深い関わりのあるバンドである。
今回はNoFXに想いを馳せる。
 
 

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Spotify Playlist

 

パンクだけを認める究極のパンクス

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1970年代の後半から1980年にかけ、パンクロックのオリジナルはビジネスとなってしまった自分達を悔やみ自爆して以降パンクバンド達は地に潜った。

そもそも何か違う事をしたいフラストレーションの行き場が欲しい若者たちの為の音楽をやろう、という志で、売れてる=みんなと一緒でカッコ悪いものという図式が根本にあるパンクで、アンダーグラウンドに帰るという事は元の遊び場に戻ったという解釈もできた。

そこで再びインスピレーションを得て、様々な形のパンクが花開く時代に、バッドレリジョンメロディックハードコアを根付かせ、メロディックさとスピーディーさを結びついたパンクは大きなムーブメントになり、一つの型となるまでになった。

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彼らノーエフエックスもメロコアの初期衝動からシーンに存在する草分け的存在と言っていい。

 

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1983年、ファット・マイク(ベース・ボーカル)エリック・サンディン(ドラム)エリック・メルヴィン(ギター・コーラス)の三人が中心となり結成されたノーエフ、91年にリードギター(とトランペット)のエル・ヘーフェがメンバーに固定され、今の顔触れとなった。

バッドレリジョンのエピタフレコードに所属した後、自身でパンクレーベルを立ち上げ、毎年の様に新曲を出し、ライブをこなし、パンクの先頭をパンクらしい姿で進み続けた。

バンドの節目に出したベストアルバムも27曲入りで2000円くらいで売っていた反セルアウトぶり。

 

ほとんどの人が目をつぶってる部分を敢えて気付かせる様に、パーソナルなものからビッグな物に対しての軋轢とか怒り。
あからさまな程、扇動的じゃないんだけど、CIAにマークされてる噂が立つくらいのレベルのリベラルさは保ちつつ掻き毟るようにパンクを鳴らす。
決して自爆することを美的とはせず、まだまだ言いたい事がある、と言わんばかりに曲を作り続け30年近くたった。
女装してみたり、喧嘩を吹っかけてきた客をぶん殴ったりヒッピーをライブ会場から返したり(パンクはラブアンドピースとは真逆の考えだから)、大勢でラインダンスしたり。。。
パンクらしい型破りな個性で、時に明確な意味なんてなかったりするけど、彼らにおけるダサさを何よりも恐れるスタンスは変わらず、一見コミカルに見えても彼らなりの線引は割りと強固で、注目を浴び続けながらステージに立ち続けた。 

タトゥーに溺れそうな体に、サンバの衣装みたいなモヒカン、ぼさぼさのコーンロウに、パンクやってますってファッションを貫き、決してカッコよくない格好でも、理屈じゃないカッコ良さがある。

音楽シーンのトレンドが変わる中、その都度様々なジャンルにカテゴライズされるバンドが多い中、そこに阿らないパンクでもそこで安住しない、その中でも純度の高い事を追求する事に、多くのフォロワーがついてきた。
ささやかな行動で済ます気もない苛烈なパンク的メソッドが、彼らの音楽からだけじゃなく見た目と生き様からも容易にわかりやすいのだ。
 

ノーエフのパンクサウンド

パンクギターを極めた緊張感と攻撃性をギリギリまで高め、一瞬で頭の中に散乱するコードを引っこ抜く電撃的なサウンド。
バチバチしてて危ねえ、でも苛立ちを募らせてきた若者はそこに飛び込ことが唯一の救いであり、その勇気を持ってるのだ。
ライブの度に、昨日より今日速くなる速度に加え、ぶっといギターのヘヴィな振動で首を振らせる重圧もある。 
ファットマイクのパンクスらしい喉の強いタフでダスティーな声と、ツインギターの多彩さに、音速のドラミング。
時には1曲に6ヵ月もかける(もしかしたらファットマイクのジョークかもしれないが)緻密なソングライティングが産む、高品質で骨太なサウンドをメロディックに鳴らせるキラーソングの数々。
リフとビートもボーカルもコーラスも殴り合いの様なスリリングさ、時にトランペットで優しい気持ちになることがご愛嬌。
絶対に勘違いしちゃいけない部分は決してインディーだからってチープではなく、彼らの個性が剥き出しにしてありシンプルな突貫力を追求するのがメロコアの美学であるだけで、本質的なロックバンドとしての実力から来る握力が有るからこそ、ここまでフォロワーの多い伝説的なバンドになっているという事だ。
 
日常の事、リベラルな事、時にはパンクそのものすらも、その攻撃的なサウンドの標的になる。
音楽的な成功の反面、どうしても薄れるスピリットを時代の流れだと都合良く解釈をせず、どこまでも自身のアイデンティティーに忠実に音を鳴らす。
君らの言いたい事はわかる、でもこうなんだ。っていいかたのパンクバンドを良しとしない。
お前らの言いたいことなんてわかんねぇ、だからこういう事がおかしいんじゃねーの?って的を射たメッセージが気持ちのいいくらいに突き刺さるのだ。
 

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パンク=で結ばれる危ないイメージは基本的に具現化されているといっていい。

この見た目に、何しろめちゃくちゃ問題発言が多いし、入っちゃいけない会場も数知れないのだ。

それでもパンクシーンの真ん中で君臨し続けるカリスマ性の根本にあるのは、ストリートにおけるカッコ悪いことに対して、中指を立て怒りを露わにすることを恐れないと同時に、それを思いっきりコケに出来る批評のセンスの重要性を知っていたからだ。

やっぱりノーエフこそ最強と思えるギラギラのメロコアパンクの生半可でない圧倒感は、きっとソコから来ている。

彼らは彼らの為にバンドをやってるし、僕らも僕らの為に彼らのパンクを聴くべきなのかもしれない。

ただ盲目的にくっついていくだけなら、ファットマイクに思いっきり怪訝な顔されてエルフェーフェにからかわれて、エリック・メルヴィンに肩組まれて意味不明な事言われておしまいなのだ。
 

ノーエフのプレイリスト・ソングレビュー

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1.The Separation Of Church & Skate

ノーエフと言えば、という括りを超えてパンクと言えばコレという猛烈なキラーソング。

全然知らない奴にパンクって何?ってヘラヘラ聞かれたらこの曲を叩きつけてやる事にしている。お前は自分の好きなモノを一言で語れんのか?

そのくらいの最重要なパンククラシックスとして、布教のバイブルになり得るだけの、史上最高のパンクギターリフ。

メロディックなラインをハードコアに鳴らし、スパイラルを起こすメロコアギターが最高のバランスを持って発現したこのエンターテイメント性は、パンクシーンの最もコアな部分でマキシマムなデカさで君臨してる。

 

2.Don't Call Me White

ライブでもハイライトになる必殺曲。

ダラダラとMCしながら急にDon't Call Me White!と始まる瞬間は、何回観てもすげえかっこいい。

ダスティーながら腹の底に響くマイクのシャウトに併せて、3度バーンとカチ上げるバンドの音。

フラフラと蛇行するようで、正確で高速なドラミングがそのスピード感を維持して火花の出る疾走感を演出するバッチバチのパンクナンバー。

大丈夫?ってなるくらい思いっきりそのままのタイトル、隠された意味におかしくなりそうになる、俺を白人と呼ぶな、最低という烙印を押せよ、自分の責任は取る。

言わないようにしていたことを、どれだけ指を刺されようが言う事がパンクの流儀だ。

 

3.Seeing Double At the Triple Rock

セパレイション~に並ぶヘヴィーで豪快なパンクリフが特徴のキラーショートチューン。

曲全体から醸すニヒルなコミカルさも彼らの肝の部分でもあり、この痛快な感じが奥底から常に漂っているのが凄い。

ザクザク刻まれるギターを中心に据えたアグレッシブさ、パンクギターを存分に浴び過ぎてガンガンと頭が痛くなるような、ドランキーでハイになるタイプのアイコニックなパンクナンバーだ。

 

4.Bob

彼らの真の部分のユーモラスさをダイナミックに振り回したファニーなミドルパンクチューン。

遊び心に溢れる曲は灼熱のライブでも欠かせない、虹のかかるようなトランペットのダヴな転調。

ラフでルーズなパンク/クラウドサーフなサウンドにオイ!オイ!オイ!の掛け合いもあってナチュラルに乗っかれる、ノーエフの音楽の根源的な魅力に溢れた一曲。

主人公の酔っぱらいのボブは大丈夫なんだろうか?

 

5.It's My Job To Keep Punk Rock Elite

彼らが自らの在り方を強く宣言した一曲。

1分ちょいの間に、あっという間に吹き抜ける爆風メロコアパンクに、俺は俺のためにここにいる、クソ最低な音楽業界とは違うんだ、と叫ぶ。

パンクロックのエリート、らしい数瞬で劇的な高揚感を産み出せる落雷の様なギターリフに、電撃の疾走感を帯びたまま刹那的なパンクを叫ぶのだ。

ちょっとKEN YOKOYAMAのギターにも通じる我々には馴染み深い、スリリングさも感じていられないほどの目の覚めるギターは強力だ。

 

6.Linoleum

パンクノイズにまみれた冒頭でフロアに火をつけ、待ってましたの爆発が起こる屈指の人気を誇るメロディックナンバー。

ノイジーで怪我しそうな程にアグレッシブ、でもコーラスもメロディーも重なれば重なる程美しさと哀愁を帯びてくメロコアの極致に触れる一曲。

へーフェの高音コーラスも実に美しい。

 

7.The Idiot Are Takikg Over

キレキレのファストでメロディックな展開から、ダヴな転調が鮮やかに決まるキラーソング。

硬質的でしなやかに鳴るベースラインから飛び出す、弾丸の様なメロコアサウンド。

艶やかにうねるような音のハーフパイプ的なトンネルを突っ走る景色は爽快であっという間に流れていく。

速さは増し増しながら、急遽ブレーキのかかるダヴなスローテンポに転調し、ますますメロディックになっていく。

 

8.72Hookers

新し目のナンバーでライブでもセットリストによく入る近年のキラーチューン。

長めのギターリフから割と陽性な感触で滑り出すナンバー。

内容は自爆テロに関する歌だったりする。

オブラート全く無し、強烈なくらいこき下ろされた内容は一見の価値ある。

それでもこの曲を掲げ続ける事に彼らからのメッセージも伝わる。

 

9.Stickin' In My Eye

これぞという汗まみれのメロコアパワーソング。

ドープなベースリフからジェットコースター的なメロディックなメロディーラインが突っ込んできて、走らずには飛ばずにはいられない、衝動を開放する類の原初的なメロコアナンバーだ。

どこでやっても異常な程に燃え上がるライブの必殺曲、ベースが聞こえた瞬間に沸き上がる瞬間着火力にパンクの醍醐味が詰まっている。

 

10.Bottle To The Ground

ライブの終盤に持ってくるメロウなパンクチューン。

ストイックなギターから歌謡的な雰囲気も有るサウンドデザイン。

WOWOWのコーラスが穏やか。

ラスト1杯の酒を割ってしまえば、もう一杯飲めるというバーのルールからできた一曲。

名残惜しむ様にライブの終盤に聞かせてきて、不意を付かれた穏やかさにこっちも聴いてしまう。

 

11.Kill All The White Man

エル・ヘーフェがボーカルのミドルチューン。

殺気に溢れたタイトルからは想像できないほどゆったりとしたスカビート。

ニヒリスティックに、だからこそ穏やかにトランペットも交えつつ、へーフェの味のあるボーカルで進む。

エリート白人層に対する過激な内容も、うんざりだぜって位のミドルな展開だからこそ心に響きやすい。

 

12.I'm so Sorry Tony

自身のレーベルに所属した伝説的パンクバンドNo Use For A Nameのボーカルで、共にシーンを創り上げた戦友であり、大親友のトニー・スライへ向けた歌。

2012年突然死した彼に、NUFAに向け数多くのトリビュートが行われているが、ノーエフエックスとして歌うトニーだけのための歌。きっとこの曲を音源化するのにも色んな思いがあったはずだ。

彼への賛辞で埋め尽くされたメッセージ、そしてトニーがいなくなったことが自分に襲い掛かってくる恐怖、自分にもチラつく死の姿、ピアノとマイクの優しい歌声から始まり、徐々に高揚感を増すパンクサウンドになるにつれ大空高く舞う様で、圧倒的に胸を締め付けられる。

最高の連れと写真を撮るのは変な気がして1枚も一緒の写真は残っていないらしい。

限りなく続く、彼への敬愛と後悔。ノーエフの中でも最もピュアなエモーションは最高の仲間に向けられた時に結晶化された。

この曲とともに、トニー・スライが永遠と語り継がれていってほしい。

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13.Radio(Rancid Cover)

同じくストリート初のパンクレジェンドRancidとお互いの曲をカバーするスプリットアルバムに収録されていたカバーソング。

根強い人気でライブでも定番のナンバーになった。

ちなみにランシドはスティッキン~などをカバーしてる。それも格好いい。

本家よりもずっと穏やかなグルーヴのダヴカバーで、艶やかなへーフェのボーカルに楽しそうに歩き回りながら歌う。

パンク史にも残るパンクによるパンクのための絶品のカバーだ。

 

14.Champs Elysees

教科書でも歌った’オーシャンゼリゼ’のパンクカバー。しっかりとフランス語で歌う。

最初はなんだってくらいキレのあるパンクサウンドで始まるけど、徐々に全貌が明らかになり、誰もが歌いたいサビの抜群の楽しさ。

こういうファニーで音楽的幸福に溢れる空間を創れるのも、彼らのバンドとしてのパワーを物語っている。

 

パンクと僕らの感情の結びつき

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怒りがなくなる事はきっとない。外に向けた刃はいずれ自身を傷つける事になる。
でもそれをモチベーションに変えた時の無敵感ったらないよ。
そう考えた方がロマンがあると思う。
それを僕らは音楽から学んでいるんだ。
ノーエフエックスを聴いてると無性にそう思いたくなる。
敬愛すべきパンクバンド、彼らにとって普通で自然なフレーズが僕らにとっては最高にクールなのだ。
時に2分にも満たない刹那のメソッド、僕らにはそれだけでいい。
そう思う限り、きっとなくなることはないのだ。
 
それではまた別の記事で。