僕の夏に強烈なインパクトを残した新進気鋭の若手ロックバンドに想いを馳せる その1
以前もサマソニレビューで触れたが、この夏見た新進気鋭の若手ロックバンドのステージに僕は想像の万倍心を打たれた。
スイマーズとサーカウェイヴス。
いやもう、新たな発見と刺激だった。
いつの間にか玄人ぶった年の取り方をしていた僕には。
軽く聞き流すくらいの予習をして、OKもう分かった、みたいな大手メジャーレーベルの大物プロデューサーぶった瞬間があった自分を許せない。
凄く不覚だったし、いつの間に自分は、ビッグな、またはそれに連なるバンドの新アルバムだけを追っていた様で、凝り固まっていなかったとは胸張っては言えないぜって気分だ。
特に両者ともライブで更に良くなるライブバンドだった事で、そのステージは心臓辺りをわしっと掴まれて引き込まれるロックのエネルギーに満ちていたのだ。
中々のビックインパクトだったので小コラムとして想いを馳せる。
まずはスイマーズから。
聴きながら読んでいただけると幸いです。
SWMRS スイマーズと読みます
まず一曲。
D’You Have A Car?
SWMRS: D'You Have A Car? [OFFICIAL VIDEO]
インディーな香りのするギターが激しくスウィングして、セクシャルで直情的なボーカルが踊り回る。
燻んだローファイな空気が濃密でも、ダイナミックなサウンドが跳ね上がって衝動的に襲うパンク的な煌めきに溢れる、ちょっとビックリするくらいの熱量。
モダンパンク的なこの曲にやられたのだ。

サマーソニック2017で初来日を果たしたアメリカ・オークランド出身の4人組バンドSWMRS。写真見るとすげえ髪型だ。サマソニの時は女もののワンピース着てた。ぶっ飛んでる。パンク。
これでスイマーズ、と読む一回覚えりゃ中々忘れないバンド名。
半年か1年前には名前は耳にしていた。
その1番大きな見出しはGreen Dayのボーカル、ビリー・ジョー・アームストロングの実の息子がドラムを叩いているって事だった。それで話題になった記事とかを目にしたんだろう。
スイマーズはそのジョーイ・アームストロングとボーカルギターのコール・ベッカーの2人の幼馴染が中心となって結成された。
ビリーの息子だからって、メジャー的な触れ込みでのバンド結成ではなく、幼少の頃からの約束していてバンドを作り上げたみたいだ。
映画「スクール・オブ・ロック」を見てテンション上がってバンド結成を決めたって言う俗っぽいエピソードもあって、凄くいいヤツら感出てる。
コールの実兄マックもバンドに加入し、高校生活の中、バンド活動を本格化する。
メンバーもベンド名も変わりつつだったが、彼らを中心に曲は作り続け、ジョーイの父親ビリーも音楽の道を進む息子へのサポートとしてアルバムのレコーディングを手伝ったりして、インディーで2枚アルバムを出している。
そのクオリティからワープトツアーなどにも出ていたらしいし、ベースのセブも加入し4人組となりペニーワイズやライズ・アゲインストなど名だたるパンクバンドと共演し驚異の新人としてその名を轟かせていた。
2016年に現代パンクレーベルの代表格、Fueled By Ramenと契約し、撮り直したメジャー1stアルバムリリースを引っさげてサマソニ来日に至ったわけだ。
それからも彼らのライブにビリーが乱入したり、ジョーイとビリーで親子バンドを組んだりと何かと話題を振りまき、注目のバンドだったのである。
モダンなパンクバンドとして ソングレビュー
Green Dayという名前がやたら出てくるが、SWMRSの曲がポップパンクらしさに溢れると言うよりは、むしろガレージロックとかに近いモダンなパンクのイメージが最も近いような気がする。

リバーティーンズとかストロークス直流の陶酔感のあるメロディーライン。
ノイジーでソリッドなギターサウンドは、ストレートで一種のキャッチーさもあるんだけど、セクシャルなボーカルの表現やリズム隊の変則的さがクセになる。
その変則さは、ささくれている様で実際は超絶にスタイリッシュで官能的。
それは目を惹くためのトリッキーさではなく、
何か衝動的にそうなった様な、毒々しい魅力の危険なロックさも纏っているのが、ちょっと規格外感が漂うのだ。
音源を聴いてると現代っぽいインディーなモードのバンドらしさもあるが、ロック的なストレートなサウンドの鳴り音が気持ちよくて、むしろライブを見るとクラッシュとかラモーンズのスピリットすら感じるパンクバンドだと感じた。
そしてもう圧倒的にライブが良い。
音源にもヒリヒリする生々しさは感じられるけど、迫力というか音圧みたいなものを圧倒されたし、カオスな部分はよりカオスに響き、彼らの興奮も伝わってくる様なライブ。
フェスに行った人がフワフワしたまま「〇〇のライブ最高だった!」とおざなりに言うんでは無く、正真正銘ロックアウトされた彼らのステージだった。
良いロックには直接的な説得力があるもんだ。
それをこの目で耳で感じられた。
ビリーの息子だ!新鋭バンド今年ブレイク間違いなし!って触れ込みよりも、何よりも刺激的で僕の目を覚まささしてくれた。
これが若い奴に、若さを貰う的な事なのかもしんないな。
クールなトーンの中に、パンキッシュなエネルギーと甘いロマンチズムを含ませた、若くモダンなロックンロール。
スイマーズ、聴いといて覚えといて損はなし。
Figuring It Out
エネルギッシュなシャウトから始まるライブでもハイライトになったシンガロング系のナンバー。
シンプルに絡むギター・ベース・ドラムのクールなグルーヴを基調に、ハイエナジーな瞬間をいくつも作る切れ味高いロックチューンだ。
拙い様でその実、強烈なモダンネスにあふれたパンク、このギザギザ感はハマる。
Miley
SWMRS - Miley (Official Music Video)
Miley
- SWMRS
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- provided courtesy of iTunes
ミドルテンポのパンクチューン。
ボーカル先行でアコースティックに始まり、徐々にバンドサウンドが高鳴る展開。
その音がささくれまくってて、ラフで攻撃的に暴れまわる。
シンプルで衝動的なパンクの塊。
Palm Trees
SWMRS: Palm Trees [OFFICIAL VIDEO]
Palm Trees
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- ¥250

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エキセントリックなギターロックナンバー。
軽快で美しいギターメロディーと、マニアックなインディー感の強いサウンドが同居する。
奇妙さすら感じるけど、あまりにスムーズなカオスを、ストレートにぶつけられると快感になってくる。
Turn Up
SWMRS - Turn Up (Audio)
Turn Up
- SWMRS
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- ¥250

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一転してグルーヴィーでミドルなロックチューン。
潤いにあふれたグッドメロディーに、海岸沿いを流してる様な爽快なリズム。
ポップさに力点を置いたこういう曲でも、しっとりと聴かせてくる辺りに、彼らを信じさせる説得力がある。
Drive North
SWMRS - Drive North (LIVE at the KROQ Red Bull Sound Space)
Drive North
- SWMRS
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アルバムのタイトルトラックでもあるアグレッシヴなパンクロックチューン。
ロックンロール的な響きを強調した聞、聞けば聞くほど馴染むメロディーは、パンクロックの系譜をきっちり受け継いでいる証明。
グランジの様にノイズを含んだ、攻撃的にセクシャルで歪んだアンセムは、思いっきり彼らの若さが伝わってくる。
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次回はサーカウェイブスに想いを馳せる。
それではまた次回の記事で。