夏のスタートダッシュを切る、あの頃のメロディックパンク
手応えのない梅雨は明け、バカみたいに青い空が広がった今年の夏。
こんなこと滅多にない。
すなわち夏が長いということだ。記憶にない程、早い夏だ。
うんざりしてないで、歳を重ねるほど時限的なこの爽快さに、ただひたすらに青空に向けメロディーを胸に太陽の下を歩きたい。
懐古的かもしれないが僕にはお守りのような日本の夏のパンクメロディーがあるのだ。
エルレにアジカンにビークルにロコフランクにノーザンにグッフォーに、時々、B-DASH。
メロコアフォロワー世代が僕らのロックとなって鳴ったパンクメロディーが響いた夏は、もう既にかげがえないものだし、きっとこの時を超える夏は来ないし僕には来なくても良いのかもしれない。
同世代なら聴いて懐かしんで欲しいし、知らない人にも夏とともに感じて頂ければ嬉しい。
- 夏のスタートダッシュを切る、あの頃のメロディックパンク
- 1.ELLEGARDEN 'Surfrider Association'
- 2.BEAT CRUSADERS 'CUM ON FEEL THE NOIZE'
- 3.ASIAN KUNG-FU GENERATION '鵠沼サーフ'
- 4.Ken Yokoyama ' Punk Rock Dream'
- 5.GOOD4NOTHING 'STICK WITH YOURSELF'
- 6.Northern19 'MORATORIUM'
- 7.Locofrank ' Mountain range'
- 8.Dustbox 'Sunburst'
- 9.HAWAIIAN6 'Promise'
- 10.10Feet 'VIBES BY VIBES'
- 11.TOTAL FAT 'Dear My Empire'
- 12.ストレイテナー 'TRAIN'
- 13.THE HIGH-LOWS '夏なんだな'
- 14.Sandy Beach Surf Coaster 'PRIVATE BEACH'
- 15.Go!Go!7188 '渚のシンドバッド'
- 旅する夏と15曲のお守り
1.ELLEGARDEN 'Surfrider Association'
ELLEGARDEN ~Surfrider Association~ live ver.
僕らのロックNo1サマーアンセム。
僕はずっとこういう歌が聞きたかった、を地で行くバンド・エルレガーデンのサマーメロデックパンクチューン。
彼らが戻ってくる夏は既にして一生モノは確定だが、スカルシットのTシャツを着て、ドロドロになりながら陽光の下で踊るのが最高に夏だったのだ。
メロコアの蒼いビートと只事じゃないエピックなギター、ドライヴィン&メロディアスなサウンドが高位に混ざり合う爽快さは、馴染みやすくエゲツない聴き応えという普通じゃないモノを聴きたい!という僕らの夏の最適解に近いサウンドだった。
滑り出す様なサウンドの爆発力と乗りこなす細美の美声は、今でもジリジリ焦げる様な太陽の下でコレ以上なく鮮やかに響くのだ。
2.BEAT CRUSADERS 'CUM ON FEEL THE NOIZE'
BEAT CRUSADERS - CUM ON FEEL THE NOIZE LIVE
仮面をつけた天才パワーポップバンド、ビートクルセイダーズのキラーナンバー。
狼なんか怖くないぜ、僕らの時代は仮面バンドは画用紙のイラストだった。
歪んだギターにグッドメロディーの超絶キャッチーなパワーポップはどこまでも楽しさを寄り添って響き、夏に走り出すには最高のテンション。
空を見上げるのに適したクリアなサウンドで火を点けるのに適したエッジーな音が同時に感じられ、音の種類多くうねるメロディラインも鮮やかに聞き映えるまとまりの良さは、ちょっと群を抜いていた。
仮面付けてる事よりもこの人達すげぇと思う瞬間がたくさんあった忘れ難きお面バンドだ。
3.ASIAN KUNG-FU GENERATION '鵠沼サーフ'
4.Ken Yokoyama ' Punk Rock Dream'
Ken Yokoyama "Punk Rock Dream" 【PV】
僕らの物心的に考えてKEN YOKOYAMAは元ハイスタってよりも完璧に一人のパンクロッカーだった。
どストレートなメロディックパンクサウンドは、そういう背負ってきたものとかを重みを理解し重々感じる今なお響くし、ノイジーにかき鳴らされつつ開放的で見通しの良いメロディーは夏向き。
ガキがただ喚いてるんじゃない一人のパンクスのパンクロックに対する真摯なメッセージは、真っ直ぐであれば真っ直ぐであるだけ芯を食うし、僕らがこうあるべきだ、こうあって欲しいと漠然と願っていたモノのド真ん中を撃ち抜いた。
何千回聴いても火がつくパンクギターはメロディアスにタフにエモーショナルに上辺じゃなくいつも心から根っこから揺らすのだ。
男でも女でも大人もキッズも、きっといつか揺らさなきゃいけない時がくる事を、聴く度に思い出させてくれるいつだって僕らに必要なパンクソングだ。
5.GOOD4NOTHING 'STICK WITH YOURSELF'
Good 4 nothing - STICK WITH YOURSELF
アメリカ西海岸の風を大阪・堺から吹き荒らしたメロディックコースター、グッドフォーナッシング。
どこまでもパンキッシュにボリューム満点のファストサウンドは屈託なく溌剌に弾ける。
眩いメロディックパンクメロディーの陽性に振り切れるパワーは瑞々しく、なんて事ない景色がどれだけキラキラしてるかって事を、まじりっけ無くストレートに伝えてくれる。
こういう心強いメロコアはきっと一生聴ける、甘いロマンチシズムなんてない、アツくエモーショナルな夏の滑り出しにはぴったりのキラーソングだ。
6.Northern19 'MORATORIUM'
どこまでも蒼く絵本の様に美しく速いメロディック・パンクを奏でるノーザン19のザ・キラーチューン。
何故だか知らないがエモいという言葉を面白おかしく流行りだした昨今、言ってりゃウケると思ってる奴に投げつけたいエモいアンセム。
デリケートそうで躍動感あるこの時代特有の誇りにも思うメロコアサウンドだ。
爽快でロマンチックな美メロにのっかる更なる美声。
どこまでも懐かしい光景を呼び起こすストーリーを紡ぐようなサウンドデザインはジャパニーズパンクらしい情緒がある。
タイトなメロコアビートだからこそ力強い肯定性を持って、涙を振り切るようなスピード感は繊細な歌声とは思えないほどタフに響く。
7.Locofrank ' Mountain range'
ハイスタのフォロワーとして次世代メロコアバンドだったロコフランクも、僕らが聞き出した頃にはもう他のバンドのプロトタイプだった。
タフで荒々しいギターサウンドと爆裂のビートにハードでメロディアスなギターメロディー、ボーカルとコーラスの掛け合いとシンガロング、まさにど直球のアンセミックメロディックハードコアな一曲。
パンキッシュな轟音に心ごとねじられて、王道を行く事に何の恐れもないストイシズムすら感じる超男らしいまっすぐな一曲だ。
8.Dustbox 'Sunburst'
9.HAWAIIAN6 'Promise'
哀切誘うエモーショナルなメロディックサウンドは、装飾なくストレートで伸びやかだからこそ心の奥底の弱い部分に刺さり、夏の青い空を涙でにじませる。
10.10Feet 'VIBES BY VIBES'
10-FEET「VIBES BY VIBES」MUSIC VIDEO
何年も何年も最前線で闘い続ける日本のパンクバンド最高峰、10フィート。
屈託のない満面のポジティブメッセージをパンクのグルーヴにのせる必殺のキラーソングで、あったかいはんなり言葉がヒップなヴァイヴでバウンドする日本らしく異質な感覚。
夏の空気裂いて軽やかに吹き抜ける風の様なバンドサウンドの作り方はまさにフェス向きだし、一発で昇天モノのエネルギッシュさは最高レベルで有り続け、今も変わらず支持される彼ら。
変わらない事が難しい中、全然変わらない誰もが軸にしている最重要バンドかもしれない。
11.TOTAL FAT 'Dear My Empire'
よくバンドに対して'ここら辺まで好き'とか良く言うが、この頃のトータルファットもそりゃそうさってくらいに輝いていた。
超クリアなハイトーンボイスとスクールパンク的な情緒とパンクサウンドの融合は一つのアンサーソングだ。
等身大だからこそ、鮮やか過ぎるほど眩しく格好良く映って、17歳じゃなくとも、そういう時にこういう曲があって良かったぜと、口ずさみながら今そう思う一曲。
12.ストレイテナー 'TRAIN'
確実に時代を彩りながら、常にオルタナティブなロックバンドで有り続けたストレイテナー。
メロコアではないが強烈に夏の匂いを感じ、鮮やかな空想世界の夏の空を飛んでいるような彼らの象徴的な一曲。
鮮やかで疾走するギターロックでありつつ、バッキバキに強靭なベースラインのパワーが際立ち、透明性を保ち100万光年先まで響きそうなオルタナティブな轟音。
純度の高いアートさはミステリアスですらあり、それでもロックなエナジーが満ち溢れた説得力と抜群のオルタナティブセンスで聴く者を圧倒する世界観で音を鳴らす稀有なオルタナバンドだった。
13.THE HIGH-LOWS '夏なんだな'
馬鹿みたいに暑い日のバカみたいに暑いパンクを、ハイロウズのサマーナンバー。
超少年的な情景を、ガキっぽい言い回しで、それこそ日本のパンクだと言わんばかりの最高の情景。
これでもかって程コンセプチャルなナンバーでも、誰もが琴線に触れられる再現性の高さは胸にクるもんがある。
風鈴のようなアルペジオからジリジリと陽炎昇るギターサウンドは、一片残らず夏を感じさせるし、ヒロト少年がじいちゃん家の庭で飛び跳ねてる様な光景が目に浮かぶ。
14.Sandy Beach Surf Coaster 'PRIVATE BEACH'
Sandy Beach Surf Coaster / PRIVATE BEACH
ガールズボーカルのメロディックパンクバンド、サンディ・ビーチ・サーフ・コースターの超サマーチューン。
個人的に大好きなバンドなのだ。
確かな音圧のメロコアバンドサウンドに、チルでクールに、大切に歌い上げるエモーショナルなガールズボーカル。
声に恋に落ちる瞬間がわかる鮮烈な声で、今でもその恋は続いているのだ。
15.Go!Go!7188 '渚のシンドバッド'
おまけ的だが、ゴーゴーのまさかのピンクレディーのカバー。
決してパンクバンドではないが、この選曲はエモい。こういうトコで使うんだエモとは。
何故かいつのまにか聴いてるキュートでエッジーなロックカバー。
全く色気のない導入にニヤニヤしつつ、美しいほどのコーラスのハーモニーに身を寄せダイナミックな演りっぷりにちょっと面食らう。
下手にロック要素を強くせず、歌謡的な世界観のままで走り抜けるファニーなサマーナンバー。
旅する夏と15曲のお守り
今年はどんな夏になるだろう。
毎年短くなる夏に想いを馳せつつ、少しは長いと聞いて個人的に必殺のサマーチューンを集めてみました。
旅する夏のお守りの様な曲皆様にはあるでしょうか?
それではまた別の記事で。