ロシアW杯 日本の短い夢は終わった
ロシアW杯決勝トーナメント一回戦ベルギー戦、ロスタイムでの失点で2-3での敗北。
日本代表史上初のW杯ベスト8を逃し、日本代表に乗せたサッカーファンの短い夢は終わった。
フレーズだけで見ると、日本サッカーのテンプレートの様な負けの形ではあるが、相手は超国ベルギーであって、ここはW杯であって、そこには確かな本当の熱狂があった。
終わらない旅を続ける事が出来るのは1チームだけなのだ。
色んな事が起きた大会だった。
コロンビア戦、開始3分のレッドカードから。
賛否を巻き起こし、理不尽な批判と過度な期待と純粋な想いが入り交じるながら、よく戦ってくれた。
それが凝縮されたベルギー戦でもあった。
驚くほど鮮やかにスタートダッシュを決め、リズムを掴んだが決めきれず、徐々に耐える展開でジリジリと押される。
ルカクがボールを納める度に期待感が削ぎ落とされていく様に、強いベルギーを見せつけられ後半へと進むが、劣勢の中でもセネガル戦の様に一瞬で眩いばかりに輝いてみせる力があった。
この日の2点はこの4年間で最も美しい2点だった。
後半15分くらいから時間の流れは遅い。
お互いにギリギリ助かる場面も続き勝利の女神も決め兼ねている展開の中、ベルギー1点目も、後数cm上であればバーだった。
なりふり構わずデータを凌駕するベルギー。
アザールは右サイドにまで進出し、得意の形を囮にし左足で2点目のクロスを上げた。
同点に追いつかれてからの時間は間違いなく異常な熱量で、両チームとも足が止まりつつもチャレンジとリスクのカオスなバランスを保つ、物凄く美しい空間を作り出していた。
おそらく戦前、本田が狙っていたFKはクルトワが辛くも弾き、CKもクルトワが狙っていた。
クルトワの丁寧なスローを受けたデブルイネの突進から始まったワールドクラスのカウンターは絶対的に速く、ラストパスを受けたルカクは身も凍るような冷静さでスルーを選択した。
今これを書いているのは朝5時だ。きっとこれから数々の賞賛と批判することが仕事の人達が世論を決定付けていく。
西野監督が虚ろな表情で言った’わからない差’はまだ埋まらなかった。
それでも、たった4試合でも代表戦士達は輝いていた。
冷めきっていた日本を彼らが熱狂させた事は間違いないし、ここまで格好良く映った青いユニフォームは僕らの誇りだ。
僕が初めてW杯を見た20年前のフランス大会は小学5年生だった。今でもそのプレーは脳裏に焼き付いている。今見てる子供達の脳裏にも焼き付いた戦いぶりだったのではないか。
ちょっとうらやましい。僕の子供の頃は3戦全敗だったから。
'STAY GOLD'なのだ。
この日輝いていたサッカー選手たちを僕は忘れないし、輝き続けなきゃいけないためにこのストーリーは忘れてはいけない。
反省よりもレポートよりも、サッカーの根っこの根っこにある熱量が、キッズ含めサッカーファミリーに届く事が何よりの財産になってほしい。
Hi-STANDARD - Stay Gold [OFFICIAL MUSIC VIDEO]
まだまだW杯は続く。
日本を破ったベルギーはどこまでも行ってほしいもんだ。
サッカーに青く染められたこの2週間は忘れ難い。
時間が止まってほしい様な、ノスタルジックな気持ちもこ心にしまい、あと少しで終わってしまうお祭り、最後まで見届けたい。
日本代表に想いを馳せて 2018.7.3