Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【バンドレビュー】Sugarcultに想いを馳せて【ソングレビュー10】

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あなたはシュガーカルトを知っていますか?

2019.7.16 リライト

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人間というものは年齢を重ねると、どうしても懐古的になりがちだ。

割と新しく若い物事も取り入れてる方だとは思いたいが、どうしても自分の想い出の中にある感覚を優先してしまう。
根本的に、それが良いことなのか悪いことなのかはひとまず置いておいて、音楽でも自分なりの"あの頃"に良く聴いていたバンドのナンバーを耳にすると、やっぱり凄く耳馴染みが良い。
その一瞬に評価なんて無くていい、秘密めいたパーソナルな喜びに溢れた手放しの賛辞。
しばらく浸りながら聴いていて、懐かしさというセピア色のエッセンスと共に、今でも変わらないタイムレスなエネルギーをガシガシと感じるし、何か今になって違った意味が上書きされることもある。
 
そんな音楽的なふるさと、の様なバンドが、音楽ファンの心の中には誰にでもあるのだろうと思う。
聴きはじめてすぐにホッとする、そしてやはりいいものだと言える自信と誇りで思わず口角が上がってしまう。
もちろんビッグな世代を代表するバンド、Green DayやOasisやOffspringにだってその瞬間はある。
が、少し敬意を欠いた表現だが絶妙な知名度というか、バンドの活動期と自分の’あの頃’が合致しているバンドだと、自分だけの秘密めいた軽い優越感も共に押し寄せてきて、それがたまらなく芳しい高揚感を呼ばないだろうか?
 
さて、皆様Sugarcultってバンド知ってます?
 
 

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アメリカ・カリフォルニア州サンダーバーバラ出身のポップ/メロディックパンク・パワーポップバンドで、2000年代前半から中期にかけて3枚のアルバムを出し、特に日本で人気を博し、ポップパンクシーンに名を残した。
シーンの大爆発により、一大ムーブメントとなり歴史に残るポップパンクバンドが数多く活動していた黄金時代の中、Simple Plan,Good Charlotte,New Found Glory,Sum41等大好きなレジェンド達にちょっと埋もれつつも、勝るとも劣らないエッジの効いたサウンドデザインはだからこそどこかオルタナティブに響いて、未だにお気に入りであり続けるし、高らかに"俺シュガーカルトすげー好きなんです"そう宣言したい欲求が募る、密かに自慢したい大好きなバンドなのだ。
 
僕にとってのそんなバンドSugarclutに想いを馳せるレビュー。
贔屓目たっぷりのバンドレビューになると思いますが、是非ご覧ください。
素敵な暇つぶしになれば幸いです。

 

 

Spotify Playlist

メロディック/ポップパンクシーンの大人なバンド

2001年にアメリカのサンダーバーバラから出てきた4人組のポップ/メロディックパンクバンド、シュガーカルト。
名前の通り、甘めな見た目にスーツスタイルもスタイリッシュに決まっていて、当時バンドのど真ん中を行くキッズ受けしそうなイメージもありながら、ちょっと大人なエッジもあった。
単純にかっこいいし、華があるのって重要だ。

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2006年、彼らのラスト・アルバムになる3rdアルバムにも収録されたThe BeatlesA Hard Day’s Nightのカバーが、日本でトヨタの車のCMで使われ、’え、この曲いいじゃん’現象で少し一般的にもバンド名が広まることになる。

 

 

誰もが聞き馴染みあるエッジ立ったグッドロックメロディーを、モダンなエネルギーで染め直したストレートなロックカバーは、メロディックパンクに馴染みのない人の耳にも引っかかるフックが満載だし、ポップセンスも満点の出来栄え。
このメロディックなパンクのフック&枯れてセクシーなロックサウンドのバランスは強烈に彼らの強みであって、このロッククラシックスのカバーで濃縮・爆発している事は、元から知ってる僕らファンからしたら’どうだ見たかコレがシュガーカルトだ’っていう状態にまでさせてくれた想いは鮮明に残っている。
 
1995年のバンド結成という事は、彼ら自身がグリーンデイ・オフスプリングあたりを、死ぬほど聞いて影響をうけてきた世代であるという事とイコールである。
ポップパンクバンドってのは、そのリスナーが抱く共通点めいた好感があって、すんなり聴き始める事が出来る間口の広さというか、そういう絶対的に入りやすい入り口があった。
僕が彼らのアルバムを初めて手にしたのもそれが理由である。
 
2000年代前半メロディックパンク黄金時代の当時、SimpleplanGoodcharlotteNew found glorySum41というオールスターメンバーと同時期に活動し、パンクの春を謳歌する日本のキッズとの相性も良く、記念すべき第一回のPUNKSPRING2006を始め単独でも何度も来日した。
ちなみにこの時に当時ELLEGARDENで出ていた細美武士はバックステージでボーカルのティムにシュガーカルトのタオルを貰い、今でも大切に使ってるらしい。
 
 
 
ちょっと話は逸れるが、当時高校生〜大学生だった僕にとっても、なんとなく一生聴くであろうなって感覚を持ちながら聴くバンドが溢れていた時だし、音楽的な生活の幅を決定付けたバンド達は当然今でも聴いている。
そのくらいシーンは鮮烈に盛り上がっていた。
その中でも今もし「学生時代最大の後悔は?」と面接で聞かれれば「シュガーカルトのライブに1度も行けなかった事」と答える。
学生諸君、恋愛も勉強も割と大人でも出来るぞ、ただ行けるライブには出来るだけ行っておいた方がいい。
トップレベルに売れていたメロディックパンクバンドではないし、それよりはちょっと僕の耳に届いてくれたことを嬉しい、と感じたいバンド。
今でもライブに来日するレジェンド達とは違い、現在はほぼ活動をしていないその絶妙なマイナーさは、いつしかかけがえのないものになってしまったのだ。
だからそのメランコリックなエモさは、僕の想い出の中に閉じ込められ走馬灯みたいに加速して、流れた時にどうしても懐古的になってしまう。
ただそれと同時に、あの時とおんなじペースで流し続け聞き続けても、今はほんの少し違う所に引っかかりがあるのも、僕が大人になったって事だろうなと今思う。
だからこそ手放せないバンドなのだ。
 

セクシーでスモーキー どのバンドからもオルタナティヴに離れたメロディック・パンク

2001年1stアルバム、2004年2ndアルバム、2006年3rdアルバムとオリジナルアルバムは3枚のリリース。
僕は行けなかったが何度か日本ツアーに来ていた。
最後のリリースになったベストアルバムも日本独自盤だし、本国アメリカよりも日本で大きな支持を獲得していた、当時は稀に起こった現象のプロトタイプ的な存在だった。
 

 

カテゴライズの妙でもあるが、彼等のポップパンクバンドと言い切ってしまうのには、些かの違和感が残る。
シンプルで聴きやすいパンクサウンドはもちろんベースとしてあり、それをそれぞれのバンドのフィルターと解釈で、そのエッセンスをオルタナティヴに変化させてバンドの持ち味として来たのもメロディックなパンクの歴史でもある。
バンド各々に何かキーワードめいた特徴があって趣きの違いがあるのも、盛り上がったシーンの中のオルタナティヴな良い一面なのだ。
 
彼らと言えばで思い浮かぶのは、ロック的な要素も含んだ"大人に"洗練されたスタイリッシュさ。
キャリアの集大成として放った3rdアルバム'Lights Out'で大きく具現化しているが、ポップパンクの軽快さも持ち合わせてるんだけど、もっとゆったりと大きなドライヴ感を通してロックを鳴らせる。
もちろんキャッチーでアクセスしやすいポイントをバンドとして持ちつつ、メロディーの作りは一緒でも、深みと幅を持ったスモーキーな魅力があった。
僕らリスナーが大人になる事を見越して、と思ってしまう程、結果的に今まさに味わい深く聴けるというレベルのロックの色気みたいなモノが漂うのだ。
 
 
歪んだギターサウンドはエッジーかつ軽やか、そしてメロディーラインの美しさがストレートに伝わるグッドグルーヴは根底にある。
実にアダルトながらエネルギッシュで、ロックのグルーヴとかドライヴ感をダイレクトに深くじっくりと感じさせてくれるストレートな力強さがあった。
 
その秘密はオーソドックスなロックギターチューンをベースにし、キャッチーなメロディー一発の破壊力よりは、曲の中のコントラストで魅せることにある。
切なさが全編尾を引くメランコリックさと、弾けるようなメロディックさを同じ曲の中で感じさせる陰陽と光と影の付け方の上手さ。
パワーポップ的でしっかりしたプレーンなメロディーの中に、サウンドの移ろいとか雰囲気でドラマティックに魅せられる曲が実に多くて、僕らの耳にも実にひっかかりやすいロマンがあるのだ。

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そして尋常じゃないほどの色気。その中心は間違いなくボーカル、ティムの声だ。
個人的には史上に残るボーカルだと思い続けているその声質は、スモーキーにしゃがれつつ、クリアに響くことも出来るセクシーなロックボーカルだ。
曲の移ろいに合わせて、歌い方は大きく変えない芯の強さがありながら、濃淡とか明暗とかで悲劇的にも喜劇的にも音を表現できる卓越したボーカルだった。
カート・コバーンにも似た崩壊的な瞬間は本当にドラマティックに魅せられるし、シンプルでソリッドなサウンドの中だからこそ、この声の元に収束した美しさもあって、心を深く揺さぶられる瞬間を作り出せるロマンチックでメロディックなグルーヴになるのである。
 
曲の幅と深みを出すスマート&ダンディの大人なムード。
それでいてエネルギッシュに疾走する美学は損なわれてない。
ちょっと只事じゃなく聞こえるのも僕の贔屓なのかもしれないが、このバンドに関してはいいのだ。
いつまでも僕の心のド真ん中の一番良い場所でなって欲しい最高のバンドなのだ。
 

ソングレビュー10

3枚のオリジナルアルバムから今でもセクシーに輝くシュガーカルトの10曲をセレクトしたので挙げていこうと思います。
1.You're The One  (1stアルバム Start Static)

1stアルバム’Start Static'の開幕ポップパンクナンバー。

ドラム先行にゴキゲンなスイングロックリフを振り回されれば、完璧にスイッチが入るポップパンクの右ストレート。

メロディックで爽やかなサウンドに、ちょっと枯れ気味のエッジが絶妙な塩梅効いた擦れ具合。

心掴まれたキャッチーな開幕から更に、セクシーにくぐもったティムのエネルギッシュなボーカルに後頭部を殴られた様に揺らされる衝撃は忘れ難い。

このシンプルさの中にどことなくオールドな魅力もあり、めちゃめちゃ取っ付き易い理想的なオープニングトラックだ。
 
2.Stuck In America (1stアルバム Start Static)

1stアルバムのリードトラックであり、彼らのキャリアの名刺代わりの一発になったヒットチューン。

全然意味のわからん日本風の音楽番組風MVのめちゃくちゃなチープさにすら心踊るそのメロディー。

テロッテロなアッパーでキャッチーなリフ、ラフながら最も体に染み込みやすい馴染みのリズムで刻まれるサウンドは甘くセクシー。

スモーキーなボーカルがどことなく哀愁を誘い、青い空を突き抜ける様なサウンドとのコントラストは彼らならでは。

彼らのメロディックなパンクを凝縮した名ナンバーでもあり、初期のキラーチューンであり、シュガーカルトを語る上では外せない名曲。

 

3.Bouncing Off The Walls (1stアルバム Start Static)

パンキッシュでファニーなテイスト漂うイージーの心がアガるキラーチューン。

キャッチーなメロディーラインがフックでロールするノリノリの展開に、ティムのエネルギッシュにシャウトするという意外と少ないタイプの陽性なボーカル。

起爆力に優れた沸騰ポイントが多いエッジの効いたパンクチューン。で更に影の落とし方もナチュラルで、相対的に光が濃くなる深みも今聞くと物凄く染みる。

ちなみにギターソロはNo Use For A Nameのギターのクリス・シフレットが弾いているらしい。

 
4.Memory (2ndアルバム Palm Trees And Power Lines)

光と影の対比が多く彼らのアダルトな魅力がグッと増した2ndに収録されている彼らのド真ん中で鳴る一曲。

鮮やかに爽やかに、切なさを歌い上げるのが当時のエモパンクならば、そこにプラスされたティムのボーカルはロマンティックさをさらに加速させて、特別なものにする。

彼らのカッコよさの要素が詰まった彼らの中心でずっと鳴り続けるべき鮮やかな一曲。

少しセピアになっても未だにいつだって胸が締め付けられる彼ら屈指のキラーチューンだ。

 

5.Crying (2ndアルバム Palm Trees And Power Lines)

2ndのオープニングトラック的メランコリックロックチューン。

マイナーなサウンドをエッジ立ててセクシーに、鋭角に切り上げる様なグルーヴは明らかに彼らの新境地だった。

空いっぱいに流れ星が降り注ぐ星空の様なギターの音像に重みを感じつつ、実は軽快に響いている感触になる不思議。

このダークな華はグランジにも通ずる彼らの魅力的な側面でもある。

 

6.Champagne (2ndアルバム Palm Trees And Power Lines)

手拍子と共にグッドメロディーとグッドグルーヴに飲まれるパワーポップチューン。

ティムの心優しき歌声に魅せられてると、エモーショナルな奔流にギターが雪崩を起こし、あらゆる色に反射する様に眩く光るメロディアスな音のカクテルが美しく反響するのだ。

常に耽美さを纏うエレガントで情熱的なロックチューンは、どこか忘れられないメランコリックさを残す。

 

7.What You Say (2ndアルバム Palm Trees And Power Lines)

ストイシズムとダイナミズムが入り交じるコアなパンクチューン。

大きくストライドを取って、掻き回される歪んだギターリフに乗って、攻撃的にセクシャルに畳み掛けるボーカルは圧倒される音圧を持つ。

スケール感を身に着けた2ndらしい、ドープでアグレッシブなパワーショートナンバーだ。

終わりかけてから、もう一度キラーフレーズを歌うのも好きなところ。

 

8.Los Angeles (3rdアルバム Lights Out)

3rdアルバムのリードトラック。

ライツ・アウトというタイトルから、ちょっと嫌な予感はしていたが最後のアルバムとなってしまった3rdの練り込まれたより洗練感のあるロックサウンド。

明らかに変貌したハードなオルタナティヴな空気は、スリリングでより危険な香りを放つセクシャルなロックグルーヴと色気あるギターに引っ張られる。

ロマンチシズムが溢れそうな、ギリギリのスピード感でエモーショナルを発揮できる彼らの集大成的な曲だと、今思う。

 

9.Do It Alone (3rdアルバム Lights Out)

これもリードトラックの一つになったアダルトなロックナンバー。

程よい疾走感にダンディーなボーカルは淡々としている様で、高純度に圧縮された情熱が見え隠れしているし、この秘め方こそ男の姿だ。

光と影を同時に感じる灰色の世界観のロックミュージックは、大人の煌めきがあった。

冬に合うコートの襟立てて聞きたい一曲。

 

10.Hiatus (3rdアルバム Lights Out)

ラストトラック。

きめ細かく煌めくギターが美しく渦巻く、虚無的で都会的でモダンな崩壊感。

強烈なフックを仕込みながら、暖かく響く声は優しく包容感のある、最後まで彼らの両面性のバランスを貫いたナンバー。

彼らの音楽の醍醐味が、美しく帰結したラストナンバーだった。

 

シュガーカルトを僕は知っている

いかがでしたでしょうか?
あれだけいたメロディックパンク全盛期のバンド達の中でも、自分の中では心のド真ん中にくるバンド、シュガーカルト。今知ったって人は是非聴いてみてほしいところ。
 
年を重ねる程に、好きなバンドや再評価するバンドはガシガシ増えていく。
それを剥いて剥いて残る本当の芯にあるバンドはきっとこういうバンドなんだろう。
何もかも聴き流してしまう時に、ふとシュガーカルトをかけるのだ。
深く心に刺さったエッジは、こういう時にこそ胸の奥にひっかかり、ギラギラと灯りをともしてくれるのである。
そういう切り札的なバンド、皆様にはありますか?
 
それではまた別の記事で。

【Sugarcult alubum】

Start Static

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スタート・スタティック(CCCD)

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Palm Trees and Power Lines

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Palm Trees & Power Lines

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ライツ・アウト

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