パンクロックを支えてきたバンド達のまとめ!2019年10月20日リライト
パンクロックとは何か?
1960年代後半から、加速度的に巨大化・商業化していったロックを良しとせず、アンダーグラウンドシーンで「自分たちで自分たちみたいなヤツのために」というDIY精神を持った、ロックミュージックの1つの形である。
もう勃興から50年以上も立つ。
いくらロック史を彩ってきた鮮やかな曲でも、時代と共に眠りについて少しレトロに聴こえる年月を経ても、パンクロック、例えばSex Pistolsはクラシカルさは感じられても、どこまでも'アツさ'みたいなものが残っている。
きっともう50年経ってもそうなんじゃないか。
パンクロックはそのアツさをもって、1つの方法論としてロック史に残り続けてきた。
アンダーグラウンドシーンで攻撃性を帯びたり、オルタナティヴに様々なスタイルと結びついたり、近年では音楽性というよりはアーティストのスタイルとしてのパンク、という捉えられ方もする。
そういう広義なカルチャーとして、間口が広がれば広がる程、濃度が落ちてしまうんじゃないか?という危惧や反発があるのも、ストリートから生まれたパンクロックの常。
実は僕もほんの少しそっち寄り。
1987年生まれ的に、パンクロックを聴く事にとても幸せな時代だった。
間口の広いポップパンクが青春とともに加速し、オーセンティックなストリートパンクバンド達もガンガン来日していた。
だからこそ、ピストルズの様に僕の時代のレジェンド達も50年経ってもアツさを保ってるんじゃないかと、今そう思う。
現代のパンクの良さは、そのシンプルさ故に考える前に高揚感を感じれる事。
反抗を扇動するプロテストソングではなく、もっとパーソナルな問題まで踏み込んで、お前らどうするんだって後押ししてくれる。
そのメッセージと攻撃的なだけでなく、メロディアスな音の彩りがある事で浸透性を増す。
メインストリームに対するオルタナティブとして、タフでストイックでバラエティーで時にぶっ飛んだアツいバンド達の煌めきをご紹介する今回の記事。黙って聞けと硬派なパンクスは言う。こっちは良すぎて伝えたくて黙っていられないのだ。
結成から20年近く、ライブを重ねアルバムを作り、パンクバンドの在り方を示し続けてきた誇るべき旗手たち。
濃度は薄くなること無く、それでもアツさを感じるバンドを幅広く。そんなまとめになってます。
素敵な暇つぶしになれば幸い。
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1.The Offspring
1990年代前半の爆発的なヒットでメインストリームに出てからも、パンクの誇りを胸にストイックに活動し続け現代パンクを引っ張り続ける、近年で最もビッグなストリートパンクバンド。
タフでエッジの効いたパンクサウンドとコミカルに世相を茶化すスタイルの融合で、キャッチーでもストリートの精神を持った開放的なアンセムを数多く創り上げ、売れたものは認めないなんて言うおカタい奴らも抗えず踊ってしまう、そんな突出した域まで到達したレジェンドだ。
TVにゲームにスケート場にスタジアムに、所かしこで流されまくるスーパーキャッチーなエッジ含んだ一面もあるから、メインストリームにすら溶け込めるバカデカイバンドなのだ。
パンク界でも屈指のギターリフ'The Kids Aren't Alright'や'All I Want''Hammerhead'に代表されるタフなメロコアソング、'Pretty Fly''Original Prankster''Come Out Play'の様なユーモアなパンクソング、'Want You Bad'の様なポップ・パンク、'One Fine Day'のスカパンクまで、幅広く強靭なアンセムの数はパンクバンドでも随一で、もちろんその全てがシンガロング級の名曲だ。
2.Bad Religion
速くシンプルな音にメロディックな旋律を組み合わせ現代パンクの礎にもなったメロディックハードコアの立役者であり、パンクの進む道を示した今やゴッドファーザー級の威圧感もったおじいちゃんたち。
アングラでコアなだけだったパンクが、限りなく理想を守りながら完璧に近い姿で世に姿を現せたのは、彼らの様なバンドのおかげだった。
もはや紳士的なイメージすらある粋なスーパーおじいちゃん達、パンク界のローリング・ストーンズと言っても過言ではない。
アングラなリフをスピーディーなメロディーで炸裂させた'American Jesus'はメディックハードコアのレジェンダリーな1曲。
'Punk Rock Song'や'Supersonic'のようなパンクキラーチューンも鮮やかだが、'Sorrow''Infected'の様なパンクソングに尋常ならざる哀愁を纏わせた曲こそ、彼らのオリジナリティーに近い。レキシコンパンクって呼ばれる様な難解で知的な言い回しを鮮やかに使いこなし、パンク=頭が悪いってマウント取ってくるやつをぶっ飛ばしてるのも注目ポイント。
3.NOFX
パンク界最強のボス、ノーエフエックスはベテランの域に入っても、パンク界の大きな指針でもある。
超重要なインディーパンクDIYレーベル、フェットレックコーズを立ち上げ、パンクギターの極致とも言えるサウンドで、政治家やTVスター、体制をこき下ろす内容、時には甘っちょろくなったパンク自体を危惧する様な問題提起を振り回し続ける。
見た目通りの純度の高いパンクスタイルが最大の魅力。
それでも極限まで磨き上げれらたパンクメロディーは、もはやパンクの範疇を超えキャッチーさにも触れるレベルの域で、彼等はキラーチューンメーカーでもある。
パンクって何?って言われれば'The Separation of Church and Skate'を投げつけるし、'Seeing Double at The Triple Rock''Stickin In My Eye''Linoleum'も火花散るような強烈なパンクスの凱歌、'Franco Un-American'や'Don't Call Me White'の様に”言わないほうが…”って事もパンクソングに載せる反骨精神、'Bob'の様なトランペットが美しいダヴな曲まで、バラエティーに富んだ曲に驚かされる。
4.Rancid
現代パンクロックにおいて聖地となったバークレーのギルマンストリートにおいて、カルト的な人気をもったOperation Ivyの中心メンバーがその後に立ち上げたパンクロックバンド。同期のグリーンデイがメジャーを飲み込んでいく中、インディーでアングラで居ながらメインストリームすら制した超絶硬派なカリスマバンドだ。
誇らしいほどパンクな風貌。怒髪天。指のPUNKのタトゥーも初見は衝撃的だった。
スカやレゲエの要素も含むミクスチャーパンクスタイルは、太陽の様な陽性なポップエナジーとベキベキのベースラインのエッジの鋭さに、フリーキーでラフボーカルスタイルが楽しさを押し出し、全くもってスタイルを変えないこだわりを超えた俠気はパンクスの憧れであり続ける。
青春臭いメロディックさと男らしさのミクスチャー'Ruby Soho''Fall Back Down'や、'Time Bomb''Maxwell Murder'の様なスカのリズムとパンクのザラつきが融合した、心が燃えていく様な感覚は実にカリスマティック。
5.Mxpx
蒼さと激情を、メジャーとインディーをどちらも感じさせる、速さ、勢いだけではないメロディックなパンクを地で行くスタイルが、好感を呼ぶストリートパンクの良心的バンド。
全員敬虔なクリスチャンだからか真っ直ぐな爽やかさと、真っ当なストリート精神をもった凄く愛されるバンドとなって今やベテランとなった。
バンドのイメージキャラ、ポキナッチャくんも有名だし、それに負けないくらいアイコニックでクリアな歌声も魅力。
'The Broken Bones'は日産エクストレイルのCMで起用されスノーボーダーのキラートラックとなり、'Punk Rawk Show''What Ad''Doing Time'の様な突貫的なスケートパンクの王道のキラーチューン、'Middlename'や'Responsibility'の様なビッグ・サウンドもオルタナティヴに操るセンスが素晴らしい。
あのブルーハーツの'リンダリンダ'の日本語カバーもあるパンクカバー曲集も凄くお勧め。
6.Lagwagon
玄人好みって言葉を具現化したかの様な、独特な味を出すベテランバンドだ。
トリッキーな転調を繰り返すデザイン、野太くも泣きのメロディアスなサウンドが歌として成立する確かなパンク職人の技術、ボーカルのジョーイ・ケープの丸く柔らかい味のある声が涙腺を撫でるように優しく触れる。
こういった彼ら独特の色も存分に作用して、哀愁は現存するパンクバンドでもトップクラスだし、彼らを聞かずして何がパンクか、って程にブレずオーセンティックな存在感を醸すシーンの中でも最重要なバンドと言って良いかもしれない。
颯爽としていながら哀愁満載のパンクソング'May16'は彼らの真ん中で鳴る名アンセム。
'Coffee and Cigarettes''Heartbreakingmusic'の様なTHEメロディック・ハードコアも強力に変則的だし、'Sleep''Automatic''After You My Friend'のような独特なスピードメイクによるクセのある疾走感が新しくも本物感に溢れてる。
7.Descendents
1978年結成の近代パンクの祖と言っていいレジェンドバンド。
カリフォルニアパンクの伝説は活動休止もあったが、近年大復活しアルバムも出してくれたしツアーもやってくれた。
心に抗えない躍動感を、耳に爽やかな残響を、目には少しの涙を感じさせるモダンパンクメロディーの礎となった。
時代を感じる硬質なサウンドが、メロディーのハーモニズムで鮮やかさに情感を産む、激しくパワフルでも永久に暖かさを感じさせる特別な音が、その後40年パンクの根底にあった。
''Merican''Hope''I'm Not A Loser'という最初期のパワフルでメロディックなパンクチューンから、最新アルバムの'Shameless Helo'の洗練された姿まで、進んできたベクトルは全く一緒。
8.No Use For A Name
尖ろうと思えばどこまでも尖れるパンクリスナーにおいても、このバンドを嫌いって奴に会ったことがないし、そんな奴らは何にもわかっちゃいない。
権力とか腕っ節とかじゃなくて、自然とその人の魅力で最も尊敬される地元の有名な先輩のように、スケートパンク界隈で圧倒的にカリスマ的で、ボーカルのトニー・スライの死によって時間を止めた事で、その存在感は永遠になった。
彼らのバンドサウンドは満点の夜空の様に美しくて、今でも隣で聴いているかのように情熱的だ。
抜群にロマンチックでメロディックなメロディーラインでも、全く媚びちゃいないメロコア具合。
世界で最もストリートなトニーの声と、メロコアスピリッツを持ちながら滑り出すキャッチーなメロディーが、美しいバランスで火花を散らす、これをメロディックパンクと言うのだ。
ささくれだったパンク感性と美しいメロディーの融合したスケートパンクの金字塔'Soulmate'を筆頭に、'Dumb Remiders''Let Me Down''Internatiol You Day'など宝石のような珠玉のメロディックナンバーだけでなく、'Justified Black Eye''The Answer is Still No'のようなタフでコアなメロコアチューンもオーセンティックな魅力をしっかり持つ。
9.Pennywise
バッドレリジョンのメロコア、古くはマイナースレットやブラックフラッグと言ったハードコアパンクのスピリットを継承し現代でも鳴らし続ける重鎮バンド。
オリジナルメンバーのベースの死、エピタフ・レコード脱退、ボーカルの脱退(今は復帰)など、パンクなバンドバイオグラフィーでも変わらずブレずにパンクを鳴らし続ける。
挙げたバンドの中でもパンクの濃度は随一で、ストイックさに説得力を持たせるような速く安定したパンクプレイに関しては、歴代1かもしれない。パワーを貰える漢の姿。
時にセンチメンタル<ストイックさって構図がないと男じゃない。
’Fuck Authority'の真っ直ぐにシリアスなパンク、大谷翔平の所属するエンゼルスの球場でよくかかる'Bro Hymn'だったり'Alien'が代表的なナンバーで、パワフルさとほんの少しの情緒が絶妙。あの名曲'Stand By Me'のカバーも素晴らしく良い。
まだまだ続くパンクバンド集
以上ここまでをメジャーどころの前篇とさせていただきます。
まだまだ更新していきますので、後編もお楽しみいただければ幸い。