20年の時を経た再提起 Radiohead 'OK Computer OKNOTOK 19972017'を聴いた
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yellowScaleです。
先月の新譜紹介その④です。
1997年、ロックを揺るがしたレディオヘッドの’OK Computer’のリマスター、そして音源化を期待され続けていた未発表曲を含めた2枚組のリイシュー盤。
前回想いを馳せた後、このアルバムの発表を見て絶対に手に入れようと思った。
20年前、その存在は異端ながらも感嘆を呼び、世界のロックを崩壊させていった。
それを今の時代にもう一度響かせる事は何を呼ぶのか。
結論から言うと、僕の精神はまたしてもギリギリで生き残る事が出来た。
なすすべなく音に取り込まれる。
現世とは隔絶された音世界での体験後、意識をはっきりと取戻し現世を理解した時、何かそれまでとは違うモノが意識の中に宿っている様な感覚。
臨死体験にも近い、幻想的で苛烈なメッセージを受け取れた時、見たこともない世界が見える。最初に聴いた時より、受け取るモノは増えたのかも。
それはリイシューされた名曲達もしかり、2枚組目の方の未発表の名曲達ももちろん最重要なわけで。
今回はRadiohead 'OK Computer OKNOTOK 19972017'に想いを馳せる。
Radiohead 'OK Computer OKNOTOK 19972017'
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OK COMPUTER OKNOTOK 1997 2017 [帯解説・歌詞対訳 / 紙ジャケ仕様/ 高音質UHQCD / 2CD / 国内盤] (限定ステッカー付)(XLCDJP868)
- アーティスト: RADIOHEAD,レディオヘッド
- 出版社/メーカー: Beat Records / XL Recordings
- 発売日: 2017/06/23
- メディア: CD
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更新でも未来でもない。
「何も変わっていないじゃないか、それどころか悪くなってく一方じゃないか」
今作は、そう彼らが言いそうな20年の時を経て世界へ向けた再提起である。
暗闇の圧迫感、背筋が凍り、そして暖かい寓話的な空間。
異端が最先端だった、今もこの異端さは際立って美しい。異端が粗悪なもので終わらないメロディーの良さが彼らにはあった。
全英でバンド自身初の一位を取った、皮肉にまみれた奇跡的問題作である。
デジタルとフィジカルの混在させた音、その混沌とした美しい世界。それに絶望するするトムの叫び。
決して感情的にならずに無機質な声がその表現と合うのだ。
キラーソングの数々のリマスターはもう一度向き合ってこのメッセージを受け取るまたとないチャンスだ。
そして'I Promise' 'Man Of War' 'Lift'という音源化していなかった名曲達。
恐らく同時期に作られたこの名曲達は、このアルバムにあまりにもナチュラルに馴染む。
未発表の3曲はどれも素晴らしかった。
’I Promise’
1,’I Promise’はしなるギターの躍動、規則正しく高揚感を募らせるビート、崩壊的で讃歌的なボーカル。シンフォニックなメロディーは現在のレディへにも通ずる。
Man Of War
プリズム的に反射を繰り返してるようなメロディーを繰り返す2,’Man Of War’
ピアノとギターが絡むリフの応酬は、感じた事のない強い音だ。
Lift
3,’Lift’はファン待望の大名曲。
恥ずかしながらちゃんと聴いたことがなかった。それも納得のCreepにも近い聴いた感触。
フィジカルの意識を保ったまま幻想世界を泳いでいるような、それでもギターの美しさと荒々しさに自然と涙が溢れてくるような圧倒感。歴史的な一曲クラスの破壊力をいとも簡単にお蔵入りさせてしまう彼らの底知れなさ。それにも驚く。
その他、オリジナル版には未収録の曲のリマスターがディスク2には集められてる。
気になるトラックは、
登っていくような声と降り注ぐ様な音で浮遊感と透明感の重なる④’Lull’、レディへにしかできないオーケストラの様に深淵渦巻く壮大な曲⑥Melatonin、⑧Polyethylene, Pt. 1 & 2 は唐突に曲が変化し、デモ的で衝動的なギターロックが奔り、⑩Palo Altoも幻惑的でメランコリーなギターロック。
もちろんディスク1のオリジナルのリマスターも今聞くべき。
ありがちなレトロさに浸る瞬間は一つもない。
懐かしいノスタルジーへの期待を打ち砕いて、20年経った今も同じように冷や水を浴びせられる様な、崩壊感に包まれていて、それが今も世界に求められている音なのだ。
ロックを壊して生まれたOKコンピューターは、幾星霜を経てもプリズムの様に時代を反映して傍で響く、ある意味ロックらしさに溢れた未来の音なのかもしれない。
それではまた別の記事で。