Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【ディスクレビュー】Radiohead 'OK Computer' 20周年に想いを馳せる【20周年盤リリース記念】

OKコンピューターはRockを奪う

大学の入りたての頃バイト終わり、音楽談義をしてる時、落ち込んだ時に聞く音楽の話になって、
Radioheadはそういう時良いよ。本当に死にたくなるけど」
全然良くないじゃないか、と思いつつちゃんと聞いた事が無かったので聞いた曲が’Paranoid Android’だった。

 


Radiohead - Paranoid Android

 

その時はたまたまそこまで落ち込んで無かったんだろう。
楽しさとか嬉しさとかから幾層にもズレた様な数々の音が奇妙な祭の囃子の様に響いて、壊れそうに美しいトムヨークの声が周りの温度を下げていき、次第に吐き捨てる様に脈打ってきたかと思えば、暴力的なまでに振り回される超絶的ギターリフに飲み込まれる。それが2度も繰り返される。
僕の精神はギリギリ生き残った。

 

を落とし、それでいて狂気的に美しいその音楽は、魔法的であり近未来的で、そこまでの僕の人生では出会った事のないものだった。

ただ為すすべもない圧倒とはこの事だと思ったのを覚えている。
僕の中でその曲そしてそのアルバムがレディオヘッドであるという初期衝撃的擦り込みが完成した。
そのアルバムが今回の話、OKコンピューターである。

 

f:id:idwcufds:20170505212408j:plain

Creepも何百回も聞いたし、キッドAの別世界感、ザ・ベンズの透明さと浸透感も凄く衝撃的だった。
それでも最初に聞いたParanoid Androidの入ったこのアルバムこそレディオヘッドであると思うし、そこまでの評価を得てる事が何かちょっと嬉しいと思う様な、フェイバリットなアルバムなのだ。

 

f:id:idwcufds:20170505212551j:plain

そして奇妙なカウントダウンと共に、OKコンピューターは20周年を迎え、未発表曲を含むデラックス盤が発売される事が公式に発表された。
Liftっていう伝説的な曲も入る様で、かなりアツい。

この伝家の宝刀的なキラーソングを当時OKコンピューターに入れなかったのは、「アルバムが売れ過ぎちゃうから」だそうだ。

かっこいい。

 


radiohead - lift (Pinkpop 1996)


多分これも買うだろうが、今このアルバムの事を強烈に思い出したのを機に、記事を書く。
今回はOKコンピューターに想いを馳せる。

 

 

 

 

このアルバムは OKコンピューター以前と事件的発売

f:id:idwcufds:20170505212839j:plain

1997年にリリースされたレディオヘッドのオリジナルアルバム3作目となる。
元々の彼らの音楽はアート性も醸す様なイギリスらしいインディーギターロックを主にしていて、シンプルな構成の曲も多かった。

 

 初期のギターロック

Anyone Can Play Guitar

Anyone Can Play Guitar

  • レディオヘッド
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

1995年、時はブリットポップ全盛期でそのブームにどのバンドも一枚噛む様な姿勢を見せる中、彼らが決定的に輪の外にいるという音を2nd 'The Bends'で示した。
シンプルでロック的な音なのだが、とことんシリアスにマイナーに音に影を落とし、陰陽でいう所の陰の部分でど真ん中を突く抜群のメロディーを作ったのだった。

 

 2ndで一番好きな曲


Radiohead - High & Dry

 

1997年のOKコンピューターはロック史的にも事件とされる程の影響力をもったアルバムだった様だ。
ロック的なバンドサウンドは軸にしながらも、デジタルな魔法を施す事で、見たこともない様なプリズムを怪しく光らせる。
奇妙な近未来アニメーションの様な世界観の中を、無機質なロックサウンドが通るようで、機械的なものと肉体性を感じさせるものがさも当たり前の様に同居する不思議な感覚が湧き上がる。
なんか手塚治虫の漫画のような未来像に近い。

 

f:id:idwcufds:20170505213431j:plain

 

彼ら自体のスタンスの変更も衝撃的であったし、それが更に以前から垣間見せていた深淵な部分が一気に溢れ出た様な作品だったと言うのもあるんだろう。

更に時勢的にもブリットポップという狂騒的ブームの中にいて、次々と物凄いスピードでポップなロックが生み出されては消えてく市場のアンチ的な存在ってのも事件的に大きいんだろう。
事実彼らにとって初のイギリスのチャートで1位を取った作品になったし、薔薇色の夢にトドメを刺した運命の一枚であった事は語り継がれている通りなんだろう。

それでも、僕がこの時の10年後くらいに初めて聞いた時に、まるで凍りついた炎が溶けて再び燃え盛る様な煌めきを持っていたのは、それが普遍的に見ても恐ろしく特異で素晴らしい音だったからなんだと思う。
この時代だからこそのアンチテーゼというストーリーもかっこよくて好きだが、僕には時の流れからも逸脱した様なファンタジー的な要素も強いアルバムだと思うのである。

 

抜粋ソングレビュー

それでは何曲かソングレビュー。

 

Airbag
Airbag

Airbag

  • レディオヘッド
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

開幕曲。

多様なサウンドをダイナミックに未来的色付けした奇妙で美しい世界観。
重く震えるギターリフと打ち込みのビートを中心に据えながら、大胆にカットしてくるドリーミーな効果音に、異様さを感じつつも感嘆してしまう。

 

Subterranean Homesick Alien
Subterranean Homesick Alien

Subterranean Homesick Alien

  • レディオヘッド
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

ボブディランをもじった彼らの名曲。
宇宙的な浮遊感は、この地球のものとは思えない音楽と思わせる。
勝手気儘にフラフラしたコズミックな音が曲の盛り上がりに向け結びつき幻想的な音空間になる。
深い孤独感をさらに募らせる誰もいない音世界、これぞOKコンピューターの真髄。

 

Exit Music (For A Film)
Exit Music (For a Film)

Exit Music (For a Film)

  • レディオヘッド
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

トムヨークが自身で大絶賛したらしい幽玄なバラード。
仄暗いフォークギターが暗く深く落ちていく。
声が近い分、途方も無い孤独な息遣いまで感じられる、それがなぜだか美しい。

Karma Police


Radiohead - Karma Police

シングルカットもされた代表曲
ピアノが叙情的な寂しさに満ちた幕開けから、ラフに叩かれるビートとそれに隠れる様な繊細なトムの歌声。
妄想的な世界観を吐露する赤裸々さとほんの少しの誇らしさみたいなものが混交する、感情の揺らぎも感じる。

 

Electioneering
Electioneering

Electioneering

  • レディオヘッド
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

アルバム終盤に差し掛かる多分彼ら最後のギターソング。
躍動的な轟音ギターリフに大胆に変則的な音の彩りを加える。
フックに満ちた演奏と一心不乱に狂ってくボーカル。
割りかし荒々しい熱量を感じる曲。

 

No Surprises


Radiohead - No Surprises

PVで超有名になった超代表曲。
未来の信号音みたいなメロディーに包まれた、癒されるようで残酷に心を削り取られてる様な美しすぎる音。
淡々と歌うトムの声が、コーラスも受け最後の一節で震えるシーンに、心が動く。

 

Lucky
Lucky

Lucky

  • レディオヘッド
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

終盤のダークなバラード。
不安を煽る反響音の中、サビでそれらを吹き飛ばすかの様な一瞬の煌めきを見せる、そしてまた不安に包まれる。
より一層強くなる音に比例してトムの声も広がりを増す。咽び泣く様なギターがいいのだ。

 

またいつの日か誰かのロックを壊すアルバム

f:id:idwcufds:20170505221759j:plain

未知との遭遇だったOKコンピューターは、発売された20年前に世界のロックを壊し、10年前に僕のロックを壊した。

彼らの不滅の金字塔として、この先もきっと聞かれ続ける度に、誰かの音楽観を変えるものになるんだと思う。

こういうアルバムって中々ない。

20年?そうなんだ。大体はそんな経ったんだーってなる。

好きとか嫌いとか、飛び越してスゲエって最初に思う、アート的な衝撃。

ぶっとんだ発想を元に、繊細なセンスを研ぎ澄ました芸術作品は、時の流れすら些細な事の様に、完璧な姿で未来にも残り続けるのだ。