Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【バンドレビュー】Fountains Of Wayneに想いを馳せる-パワーポップ日和-【ソングレビュー10曲】

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うららかパワーポップバンドFountains Of Wayneに想いを馳せるレビュー

である。

何となく眼に映る全てが穏やかで、少しずつ世界が色付いて行く感覚は年々増して行き、ジーさんになる頃の春はサイケデリックなくらいカラフルになってるんだろうと下らない妄想すら冴える。

冬の間一日一本の飲むヨーグルトでコーティングされた身体は花粉を跳ね返せるはず、ちょっとそこまで歩いてみようかなと思える季節。体のキレも抜群だ。

財布と鍵とケータイをポッケに入れて新しく買ったスニーカーは他のどんなヤツのスニーカーより輝いていると勘違いに想いを馳せ、ipodを耳に出かける準備をすると、ふと流れるFountains Of Wayne'Leave The Biker'が、この心地よさを加速させる。


Leave the Biker.

小気味いいカラッと乾いたギター、ハスキーに擦れてても穏やかな声、ホワホワしながらガツンと来る瞬間も持ったパワーポップサウンドただ事ではすまないグッドメロディー。
既に表を歩いているような、その先の光景のその瞬間に見事に入り込んだ曲。
それ以外の音は聞こえなくなり、世界は彼らの音で埋め尽くされる。
だから音楽を好きで聴いてるんだってそのまま胸を張って言える瞬間だ。
コレさえあれば手ぶらで外出ていいだろう。

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僕が好きなので、このブログにもちょいちょい名前は出て来るパワーポップバンド、ファウンテン・オブ・ウェイン
1990年代のオルタナティヴロックシーンで稀代のパワーポップバンドとして世界に名を馳せ、メロディアス&メランコリックを閉じ込めたキラーチューンは未だに今聴いても新鮮で色鮮やかだ。
春の陽気の様にうららかで、切なさも秘めるからこその美しさは是非この季節に存分に楽しみたい。
結構満を辞してのレビュー記事。なぜかってすっごいおすすめバンドなのです。
聴きながら外歩こうぜって声高らかに宣言をしたいのだ。
本日はFountains Of Wayneに想いを馳せる。
 
 

パワー・ポップとはなんぞ

古くは1970年前後からその言葉の存在は確認されていた'パワーポップ'というスペシャルなジャンル。
全ての始まりビートルズから派生した原初のロックジャンルで、キャッチー&メロディアスの瑞々しいポップメロディーとロックンロール感濃いラウドに脈打つサウンドが基軸になる。
要はポップで弾ける様なメロディーを、ロック的に激しめな音のアプローチで奏でたものだとされる。
古く80年代からCheap TrickとかThe Knackとか、90年代ではJellyfishとかWeezerがメインストリームに出たが、基本的にはアンダーグラウンドなシーンで鳴るパワフルでポップなメロディーという大衆性と紙一重で大きく違うというのが何とも粋なジャンルなのである。
そういう意味ではパンクやグランジ的なスピリットのルーツになった側面もあるのだ。
 


Cheap Trick - Surrender

 

何しろ広義なだけに、パワーポップは蔓延る傾向にもある。

ポップロックともギターポップとも言える側面が多いし、ロックバンド・パンクバンドが少しメロウなメロディーに寄ったらパワーポップ的と言われることもしばしば。
要素は満たしやすい聞き馴染みのいい音楽なだけに、割りと間口は広めなのかもしれない。
その中で絶妙なバランスでオルタナ性を見出した傑出したバンド達は、ポップとロックの黄金律を駆使し、音楽の神秘性にすら触れる途轍もないバランス感覚でも、綱渡りの様な危うさは全くない強靭な分厚さを持つメロディーの強さがある。
永遠に耳に残るだろうエヴァーグリーンさを纏うのもパワーポップの真髄でもあるのだ。
 
魔法の様な言葉であり、その反面で何だってパワー・ポップになりがちだが、そこはシビアに見て、ロック的な感性も余すところなく感じさせつつ、ポップセンス溢れるメロディアスな音を作り練り上げられるかという、ハイレベルなジャンルなのだと思う。
爆発的なムーブメントは起きないにしろ、至高で有り続ける王道の研究の歴史は、ロックとポップの永遠のテーマでありちょっと崇高さすら帯びてるのだ。
 
パワーポップを主に鳴らすバンドは、どこか粋でちょっと雰囲気があるのだ。
Fountains Of Wayneは中でも指折りのパワーポップバンドであり、インディーの枠にとどまらず、メジャーに蔓延るポップソングとも混ざらず、唯一でエポックなパワーポップバンドとして刻まれたバンドだった。
 

彼らのキャリアと音楽

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ボーカル・ギターのクリスとベースのアダムのルームメイトコンビが学生時代に2人でバンドを組んだのが1996年
REMとかウィーザーに影響を受け、アダムの家の隣の家のウェインさん家の、その噴水(ファウンテン)バンド名につけて活動を始める。
 
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同年に1stアルバム"Fountains Of Wayne"でデビューし、スマッシュヒットを記録する。
クリス・アダムの二人でレコーディングをしていたが、ライブをやるにあたってサポートしていたジョディブライアンも正式にメンバーになり、4人体制で精力的に活動を開始する。
短いスパンで2nd,3rdアルバムを出し、ヒット曲"Mexican Wine""Stacy's Mom"が生まれグラミー賞最優秀新人にもノミネートされ、2000年代に名を残すパワーポップバンドとなったのだ。
サマソニやフジロック、親交のあるアジカンのサポートなどで多く来日しているので、日本での知名度も高い一面もある。
その後はツアーをしながらメンバーそれぞれが音楽活動を広げ、一定のペースでアルバムを出していたが、2011年のアルバムを最後に新しいリリースはなく、アダムはIvyTinted Windowsといったバンドでも活動し、クリスもソロアルバムを出したり、中心のクリス・アダムの方向性の違いを認める発言もあったりと、現在は歩みを止めているバンドだと言えるかもしれない。
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パワーのあるポップって?Weezer直系?なら聴いてみよかな。って感じで手にとって、僕が最初に聞いたのは3rdアルバムの"Welcome Interstate Managers"だったが、強烈な眩しさは1ラウンドKO勝ちの大傑作の迫力で、穏やかに降り注ぐドライヴィンなメロディーは聴き終わってもしばらく僕の身体の周りを漂っている様な余韻だった。
 
扇情的なドライヴィンサウンド、人懐こく耳に引っかかるフック満載の懐郷的メロディーの歌心を前提にしながら、超効果的なシンセの音が独自の浮遊感とスロウでメロウな空間を産み、ギターサウンドをよりメランコリックに色鮮やかに映す。
このソングライティングとサウンドデザインこそパワーポップの真髄を見事に付き、色褪せない強靭な色彩を残し続ける。
僕に手を取らせたWeezer直系という触れ込みもわかるし、むしろ曲に込められた濃密なメランコリアの総量は上回るレベルにあると思うし、逆に今のWeezerの楽曲にFOWのスタイルが意識されてるんじゃないかと思える曲もあるのだ。
 
ポップとロックのバランスを付く、そういうメロディーは、聴く者の心の均衡にも触れる事も大いにあると思うのだ。
 
どこまでも歩ける様なポカポカ春うららの道のような音も、その瞬間がずっとは続かない、そんな噛み締めたくなるような哀愁の瞬間がある。
そういう後ろめたさとか、ただ単に明るく上を向くような人間ではない、ナードでひねくれ者の僕には、そういうバランスを感じられるってのは本当に大切なのだ。
胸に染み、涙を目尻に抑えて、笑顔で頷きたくなる様なそんなハートフルな想いを持たせてくれる何か没入感みたいなポップネスワールドを彼らの音楽には感じるのである。
 
 
 

ソングレビュー10

基本的にポップであって、どこかに闇や憂いや寂しさを隠す様に。

ロック的なサウンドデザインで起こす歪んだ摩擦と共にマジカルに昇華するエモーショナルは、見事にパーソナルな感情と結びつき、温かい涙を零させるような、そんな優しさを持つのだ。

そんなパワーポップ、FOWの珠玉の10曲を集めてみました。

1.Sink To Bottom


Fountains Of Wayne - Sink To The Bottom [Official Video]

1stアルバムのリードトラックで彼ら自身のオープニングトラックと言っても過言でない代表曲。
儚げなギターとキーボードのアルペジオに、ハスキーな声ですぐにでも口ずさめそうなフレーズ。
叙情的なメロディーが花開き眩しさを増すエモーショナルに、曲が進むにつれて胸が締め付けられる。
ラフながらクリエイティビティーが完成されている様な圧倒的な曲の持つ色彩と響きは強烈に不変的だ。
2.Stacy's Mom


Fountains of Wayne - Stacy's Mom

彼らの中で最もポップで1番のアンセム。
ドリーミーなシンセのポップさを大胆に組み込み、ロックなサウンドで跳ねる見事なパワーポップナンバー。
隣の友達のお母さんがセクシーすぎてどうにかなっちゃうよ、ってテーマも僕らに溶け込みやすい。
一際目を惹くキャッチーさだけではなく、その中にもオルタナなエッセンスを詰め込めるバランスが彼ららしいヒット曲。
 
3.Mexican Wine


Fountains of Wayne - Mexican Wine (ORIGINAL)

代表的なアルバムになった3rdの開幕曲。
僕個人的にはこの曲から聞き、電流が流れる衝撃だった。
電気的だけど素朴さを極めた様なギターとシンセの音、その音が重力を帯びて天から降り注ぐ様な感触に、今まで経験したことのないメランコリーな空間を創る。
ハスキーで穏やかなボーカルもすごく暖かい。
 
 
コズミックなギターロックチューン。
アグレッシブなリフで珍しく無機質なボーカルに虚を突かれるオフェンシブなサウンドデザイン。
攻撃的な雰囲気を包み込むようなサビ・コーラスの抱擁感は変わらず抜群。
うなるギターが意表をつく格好良さがちょっとスタイリッシュで素敵。
 
5.Leave the Biker


Leave the Biker.

世界一心地いいかもしれないギターロックチューン。
浮遊感あるメロディーが心地いい反面、地に足ついた砂埃あげるようなギターが抉ってくるロックアウト感もある。
一転、リアム・ギャラガーばりロックなシンガーの一面も感じる幅の広さを感じる初期の名ナンバー。
ロウファイな音だからこそ、ちょうど良くささくれてパワーポップの良さが出る一面もあるのだ。
 
6.Bright Future In Sales
ライブでも定番なキャッチーな爽快ギターロックチューン。
浸透性抜群のクリアなメロディー、小気味いい疾走感・躍動感はザ・パワーポップ。
ベーシックで渋めなクラシックなサウンドも眩しさを失わないフックの効いたアクセントで走りきる。
 
7.This Better Be Good


Fountains of Wayne - This Better Be Good

マジカルな雰囲気漂うミドルポップチューン。

キラキラしたメロディーとクラウトな乾いたサウンドにビートルズな世界観も感じる。
ただ美しいだけでなく、切なさを加速させるボーカルの燻んだ透明感は、不安も持たせたま僕らの心を洗う様で優しく胸を締め付けられる。
 
8.Someone to Love


Fountains of Wayne - Someone To Love

オルタナティブなポップロックチューン。
冒頭からの妖しげでマイナーなギターの音がダークに曲を覆いつつ、躍動感は増しマジカルなカラフルさで前進する独特なポップワールド。
タイトめなボーカルでも所々柔らかい部分を感じる彼らならではの変化の付け方だ。
 
9.Hey Julie
アコースティックで終始穏やかな名トラック。
どこかカントリーな雰囲気にナチュラルに揺れるグルーヴと、リズミカルなパーカッションが終始心地良い。
焚き木を囲って気楽に歌っているような穏やかさでも、迸るメロディアスさと滲み出るメランコリーは流石だ。
ホッと癒されるような一曲。
 
 
10.....Baby One More Time
...Baby One More Time

...Baby One More Time

  • ファウンテインズ・オブ・ウェイン
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

ブリトニースピアーズの代表曲のカバーソング。

珍しく暗い雰囲気のメロウなナンバー。
暗くダークな中にもきっちりと聴かせるメロディックな音で泣かせてくる。
ポツンと佇むようなボーカルが次第に溶け合い、突き抜けない様に丁寧に聞き手に寄り添う。
哀しみとか寂しさとかそういう感情を深く深く落として行くような音だ。
 

色褪せず僕らを投影するポップな良曲達

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僕調べだが、iPod流してて、この曲いいね、誰の曲?って言われる率の高さは、並み居るバンドの中でも驚異的に高い。
そして嬉しさは、他のバンドよりもなんか大きい気がするのだ。
そんな多幸感に溢れるバンドは、唯一無二かもしれない。
 
春うららである。
冬と春、春と夏の絶妙な境界線を歩きたい様な日が続く。
お気に入りのスニーカーの紐を結び、FOWにシャッフルをセットすれば、どこまででも歩いていけそうだ。
それでも日が暮れる頃には、そろそろ帰ろう、と自然と家に足を向けるような、郷愁的な優しさもあって、実に良いのだ。
 
それではまた別の記事で。
 
 

 

Fountains of Wayne

Fountains of Wayne

 

 

 

Welcome Interstate Managers

Welcome Interstate Managers