ノエルに続きリアムを見た夏 後半戦
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サム・マイト・セイ 誰が何と言っても
ソロアルバム'As You Were'の楽曲群を歌い上げたリアムは、満足気に僕らに’お前ら最高’と語りかける。
サングラスだし大きなリアクションこそ少なくクールな対応に終始していたが、言葉少なでも楽曲を通して’俺の言いたいことわかるだろ?’と投げかけている様にも見えて、それが短い感謝の言葉に詰まっていた。
一呼吸置いての7曲目は'Some Might Say'だった。
Oasis - Some Might Say - Official Video
再びオアシスの楽曲群に没入するのに適していたと言っていい馴染みのリフに、オーディエンスは女の子からオジサン・オバサンまでキター!!とテンションは沸騰する。
冒頭一音目からブライトネスな空間が広がり、眩しい程の音空間の中心にリアムが居ることに心に暖かい何かが満たされて行く。
何度もリフレインするキャッチーなフレーズを一緒に歌い、畳み掛ける様なボーカルに笑顔でみんな頭を振る。
迫力はあれど、ラフさよりも丁寧さを感じるリアムのボーカルは言葉としてとにかく捉えやすかった。
誰が何と言おうと、勝ってきたロックはとにかく眩しくて、聴きながらにして全員が手応えを手に入れたようなハイライト的な瞬間だった。
’アリガト’とこの日初めての日本語をマイクに乗せるとバンドメンバーが下がりピアノのみに。
'Champagne Supernova'だ。
スペイシーで幻想的なSEなしに、ピアノのみの演奏で臨んだアレンジも最高に圧巻だった。
誰もが一緒に歌いたい、その思いを真正面からうけてきっちりと歌い上げる。
最初は好き勝手奇声を上げているようだったオーディエンスの声も彼の声に集約されて行き、自然な大合唱には運命的な美しさすらあった。
気づけばサビを終えた瞬間、無音に。
静まり返る瞬間に鳥肌が立ったのは初めてだ。
固唾を飲んで誰もがリアムの一声目を待つ。
ただのカリスマ性ではすまない、神聖さすらあるその時間はかけがえのない光景だった。
感動の余韻を残しつつ、今ツアー中に亡くなったソウルの女王アレサフランクリンへ捧げるとして歌い続けていたBeady Eyeのナンバー'Soul Love'へとなだれ込む。
モノトーンでややダークでしっとりと。
それでも存在感抜群の声、燃える様な熱さではなく、ルビーの様に遠くからでもその熱さを感じる輝き。
きっと二度とナマで聞けないと思っていたBeady Eyeのナンバーは切なくアツく胸に残った。
暑いだろ?と観客と会話しながら再びギアを上げ直しAs You Wereから'You Better Run''I've All I Need'を続ける。
Liam Gallagher - You Better Run
Liam Gallagher - I've All I Need (Official Video)
どちらも彼のこのアルバムらしいモダンながら良くねじれたナンバー。
ややくぐもったボーカルもスモーキーに染み渡り、どストレートではなくフック的に頭を揺らされる色味も感じる。
音に合わせ表情を変える声でありながらダイナミックに空間に広がっていく躍動感みたいな物は常に宿り、新生し表情が増えた姿も普遍なものも誇るように歌う。
一旦次の曲で本編はラストにしていた。
'Whatever'だ。
🎵WHATEVER - LIAM GALLAGHER live 2018
一ヶ月前サマソニのノエルのステージでも彼のアレンジで聞いた。
どっちでももちろん凄い、ただこの曲に関しては1ヶ月たって重なる何か感慨深いものがあった。
エヴァーグリーンなグッドメロディーに、特異な程の存在感を出すリアムのエッジーな声とそれがナチュラルに馴染む超越的な音空間。
誰も彼もメロディーの声を載せながら多幸感に満ちた空気を満喫する。
きっとオアシスの曲全てに言えることだが、リアムの声でないと成立しなかったんだろうと、当たり前の事を思い浮かべる。
その存在感とエネルギーはもちろん、どこかみんなで語り継ぎ味方したくなる大切さみたいなものがこの時間武道館では共有できていた。
スーパソニック あっという間に終わってしまう
一旦裏に下がったメンバーはアンコールに応えてまずはドラムから出てくる。
聞き慣れたロックンロールビートを叩くと徐々にメンバーが出て来る。
アンコールの最初は'Supersonic'だった。
最後まで完走しきるぞ、と指を観客に向けつつキーを保ちつつ優雅にエネルギッシュに歌いきる。
リアムが上を向いて歌うのがわかる、ロックンロールの危うい色気と他では得難い開放感のパワーは空に向けてこそビッグメロディーで鳴りえた。
今も揺るがない、リアムがまだこの歌をこの強度で歌うからこそ僕らはロックを誇れるのだ。
リアムの前に陣取ってたマンチェスター・シティのユニフォームを来た少年にマラカスをプレゼントし、ちゃんと振るんだぞ?と一言。
続いては'Cigarettes & Alcohol'だ。
大合唱の'いまーじねいしょーん!'誰もが飛んで叫ぶ。
待ってましたの歓声はここがマックスだったかもしれない。
ビリビリ痺れまくりのギターに捻りまくりつつロックンロールスター然とした威風堂々の声。
言うまでもなく王者な声、あんたが大将的な抜群のスター性を濃縮したナンバーは劇的に武道館の温度を上げる。
色んな著名なコンサートホールでは、壁やら天井やらの石にまで気を使い音響のクオリティを上げるという。一方でココは武道の聖地でビートルズから始まったロックの聖地。そういう計算の外にある神聖なものを手にした者だけがココで音を響かせられるのだ。
いよいよ終盤。最早安定感すら感じられた超名曲'Live Forever'
余裕すら感じられる様に、ただナチュラルに口ずさむような気軽さで至高の歌声を載せる。
観客の映るモニターを眺め、オアシスのタオルに苦笑する一幕も、どこかフラットな暖かさに満ちていた。
ラストの曲は'Wondewall'。
最後の最後まで力強く。他の誰よりも自然に。
崇高さすら醸していたが、それも当たり前なんだと、彼こそがオアシスのボーカルだと証明していた様で、言葉を失う程カッコよかった。
リフレインの部分はロックンロールと書かれた機材の前に座り込んでオーディエンスの合唱を聴くリアム。
子供が夜空を眺めているようにロマンチックでお前らの声を聞かせてくれよと美しく不遜ロックな姿。
宙空をボーっと眺めるリアムの目には、ビートルズやはたまたオアシスの光景が浮かんでいたかもしれない。
これにて終了!ちょっと曲は少ないけど文句なし!という心持ちでいたがなんとアンコールに応えて再登場。
ステージ脇に子供達もヒョコリ出てきてラストの曲に選んだのは'Be Here Now'だった。
Liam Gallagher - Be Here Now [Live at Pinkpop Festival - 05-06-2017]
1997年に発売されたOasisの3rdアルバムのタイトルトラック。
ノエルはこのアルバムを嫌いだと公言していたが、リアムは気に入っていて何回かこの曲もライブでやっていた。
もちろんオアシスでも1998年武道館公演で初っ端演ったのがこの曲で、20年の時を経ての粋な計らいだったわけだ。
福音的でかつ愉快なというファニーでサイケなポップサウンド。
サングラスを外したリアムも目を細めて僕らが飛び跳ねる姿を、微笑ましく見ている。
そんな気がしたのだ。
Set List
Opening. Manchester City Champions Chant~Fuckin' in the Bushes(Oasis)
1.Rock'n' Roll Star(Oasis)
2.Morning Glory(Oasis)
3.Greedy Soul
4.Wall Of Glass
5.Bold
6.For What It's Worth
7.Some Might Say(Oasis)
8.Champagne Supernova(Oasis)
9.Soul Love(Beady Eye)
10.You Better Run
11.I've All I Need
12.Whatever(Oasis)
Encore
13.Supersonic(Oasis)
14.Cigarettes & Alcohol(Oasis)
15.Live Forever(Oasis)
16.Wonderwall(Oasis)
Encore2
17.Be Here Now(Oasis)
ロックの聖地・僕らの時代
武道館は歴史が合って格好良くて、リアムは想像以上にカッコよかった。
反則技だがノエルと合わせりゃ、ほぼオアシスの曲を網羅した気にもなれる。
きっと見れないと思ってたバンドを、こうしてまた感じることが出来た。
やっぱりでもノエルのギターで聴きたい。
きっとそれもまたロックの未来に繋がるはずだ。
それではまた別の記事で。