ボブディランをあまり知らない人へライトなレビュー
ご覧頂いている皆様ありがとうございます!!
yellowScaleです!
秋も深まる10月中頃ですが、文学の秋に相応しいニュースが舞い込んで来ました。
ボブディラン ノーベル文学賞受賞
フォークロック界の生ける伝説にフォーカスが当たる事、さらにはロックシンガーソングライターが歌手として初めてノーベル賞を受賞する事の重大さに、普通のニュース番組でも特集が組まれる一報となりました。
自分としても、クラシックロックも聴こう!と思った時に、ボブディランに触れて、レトロでクラシカルで叙情的な魅力を知った。
でも単純に考えてデビューは40年近く前。
今の若い世代の人は全然知らない人も多いはず。
どこのニュースでも、知ってるでしょ?くらいの触れられ方しかしない。
それでは聴く気になる人は少ないと思うし、音楽ファンとしてはたくさんの人に聞いて欲しいところ。
なので、これを機会にボブディランについて想いを馳せ、トラックリストも簡単にまとめて行こうと思います。
クラシックロックっていう取っつきづらさもあるので、ライトな紹介記事になりますので、サクッとお楽しみ頂けると、幸いです。
ボブディラン ライトなプロフィールと音楽性
この酸いも甘いも噛み締めてきた様な、荘厳な初老の男性がボブディラン。
1941年生まれの御歳75歳で現役のアーティストでシンガーソングライター。
何年かに一回の'〜誌が選ぶ歴代で偉大なロックアーティスト100選'とかがあると必ずトップ10前後にランクインする凄い人。1位とかいう事もしばしばある、それも20年くらいずっとだ。
日本だけの影響力で例えるならユーミンくらい凄いと思う。
それだけスペシャルで、世間から隔絶した所で評価が確立されている様なイメージだ。
音楽性
その音楽についてもライトに触れていく。
時は1960年代、その時の世界の音楽はエルビス→ビートルズのロック旋風が巻き起こっていた。
エレキギターやアンプの進化により、電気的に音を増幅し、抜群の高揚感を生み出すロック音楽は世界中で市民権を獲得したのだ。
でも、それを良しとしない人達もいる。
それがフォーク音楽と言って、アコースティックな音を使い、物悲しさを隠さない様なメロディーに、世相を反映した歌詞を文学的に語る様な音楽。
その最前線に祭り上げられていたのがボブディランだった。
当の本人は、バリバリのロックファンだったらしいが、フォークの影響もあり、さらにその才能もあったので'フォークの貴公子'みたいな捉え方をされてた様だ。
完全にアーティストだったんだと思うこの人は。
ロック、フォークの音楽だけでなく、文学や歴史など垣根を超えた表現形態も同じくらい愛し、没頭できる人。
さらにはそれを自身の音楽的才能に投影できるセンスがあった。
だからこそ垣根を超えた'ロックアーティストのノーベル文学賞'は彼にこそ相応しい気持ちもするのだ。
話を彼の歴史に戻すと、フォーク界の旗手となったボブディランに、過熱気味の周りの人々はロックvsフォークといった構図にまで発展させビートルズやストーンズと戦わせようとしてきた。
元々ロック好きのボブディランはビートルズも大好き。
なので周囲の人々の枠組みをあっさりと超えた次元で、互いを高めあいながら闘うという道を進む。
なんとあっさりとフォークの象徴であるアコギを投げ捨てたボブディランはエレキギターを持ち、フォークとロックを掛け合わせた音を鳴らしたのだ。
世相を切り続けた事が、時代の代弁者みたいになり、音楽が優れていたからフォーク界の代表選手みたいな扱いになる事に、厭気が指した。
スターを見ると忘れがちだけど彼も人間なのだ。
そこで、そんなストレスすら昇華できる叙情的で高揚的なフォークロックを奏でる。
歴史に残る方針転換は、'裏切もの!'となじるフォークファンすら黙らせる圧巻の演奏で痛快なドラマとなったのだ。
想像しにくい人は宇多田ヒカルを思い浮かべてほしい。
彼女が、いきなりバンドを組んでエレキギター片手にゴリゴリのロックを鳴らしオリコン1位を何週間も占領する、そんなイメージで大体あっているはず。
トラックリスト
さて、トラックリストに入る。
彼の音楽の良さはなんと言ってもメランコリックで味わい深い音。
今のロックとかポップスに比べると、シンプルに聴こえるかもしれないが、一度40年以上も前の曲という事を頭に置いて聞いてほしいのだ。
レトロでもタイムレスな魅力がある。
その筆頭のビートルズとかとも、少し違う味わいがある。
ノーベル文学賞という事で歌詞についても触れながら羅列していく。
1.風に吹かれて Blowin' In The Wind
アコギとハープだけでここまで物悲しくできるのか。
ボブディランと言えばで1番か2番に出てくるロック界・フォーク界の金字塔。
驚くほどクリアなギターの音と艶のあるしゃがれ声というボブディランの基本中の基本を抑えた名曲だ。
虚しさを吐露するプロテストな歌詞は、今の音楽表現のプロトタイプにもなる。
ロックにかけ合わせたのは彼が初めてだ。
’どれほどの道を歩けば男になれるのか’
これに痺れない男は男じゃない。
2.ライクアローリングストーン Like A Rolling Stone
ロックとの邂逅を経たボブディラン最高の名曲。
シンプルながら歓喜を孕んだ喜びに満ちたメロディーに、憂いと躍動を同方向から感じさせるロック界の頂に近い名曲。彼のもう一つの代表作。ロック的な歌詞でもそこはかとない詩的な感じを感じる。
転がる石の様にころころと状況が悪くなる女性に対し’君は誇りを食べ物の算段をしながらくらしている’なんて、最高だ。
3.天国への扉 Knockin' On The Heaven's Door
映画の曲として広く知られているけど、それすら吹っ飛ぶ曲としての美しさ。
暗く寂しい空気の中、底の見えない深みのある声が染みわたる。
映画をイメージした歌詞かもしれないが、少年が主人公で、自分の死を受け入れる様なショッキングな歌詞も彼の声のおかげで、優しい感触になる。
4.見張り塔からずっと All Along The Watchtower
滑り落ちる様なメロディーと鋭いエッジーなサウンドのまさにディランのフォークロック。
ジミヘンのカバーがとってもかっこいい、本人もそれを認めている。
ハーメルンの笛吹みたいな童話的な世界を感じるレトロファンタジーな物語が描かれていて、対話形式ですすむ世界観が新鮮。
’風がうなり始めた’で終わる歌詞。凄すぎる。
5.ミスタータンバリンマン Mr.Tambourine Man
ちょっとズレてる様なタイトルの曲だけど、味わい深い可愛さすら感じる。
少し明るめな曲調に、高らかに跳ね上がるディランの声。
タンバリンマンに歌を歌ってほしい主人公が、思いのたけをつらつらと語る歌詞なのだが、まとまりの良さが凄すぎて、一個の物語みたい。
6.ハリケーン Hurricane
Hurricane
- ボブ・ディラン
- ロック
- ¥200
- provided courtesy of iTunes
最後にご紹介したいのは、この問題作。
殺人事件の冤罪をかけられたボクシング世界チャンピオン、ルービン・カーターの事を歌った一曲。ハリケーンはルービンのあだ名だ。
黒人だったルービンが不当な冤罪で20年投獄された事件で、様々なアーティストが取り扱ってきた事件をボブディランも歌にした。
スリリングなハープの音とまくしたてるボーカルに怒りを感じる攻撃的なロックナンバー。
初めて聴いた時は、さぞ巧みな詩的な歌詞と思いきや、思いっきりストレートに怒りを無拍子にピンポイントにぶつける鋭さ。
これぞ反体制のロックの真骨頂を、ボブディランがやるという凄み。
以上、いかがでしたでしょうか?
色々ともっとたくさんドラマはある人で、だいぶ端折りましたが、ノーベル文学賞なんて彼を知るきっかけには最高なので、ライトな紹介でここからロック全体に興味を持つ人がいればいいなと思います!
一度20年位前心臓発作で死にかけて'エルビスに会うところだった'と言ってたりしましたが、まだまだ現役で昨年は奇跡のライブハウスツアーで来日したばかり。
新しい作品もありそうなのでとても気になるところ。
まるで転がる石、ローリングストーンの様にロックは回り続けます。
これまでも、これからもきっと変わらないロックの形。
このニュースを期に、ロックな世界に触れるのも、音楽の秋として乙なもんだと思うのです。
それではまた別の記事で。