Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【忘れたくない蹴球選手】ジダンに想いを馳せて-時代の最高到達点・伝説に相応しい選手-

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語り継がれる伝説という言葉にふさわしいジダンのプレーに想いを馳せる

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2018.10.10 リライト
フットボーラーとして歴史に名を残すほどの伝説の選手という域に到達するには、サッカーの上手さだけではいけない気がしている。
そもそもある程度の超えれば上手さというのは個人的な見地に阿ってくる気もするし、だからこそ議論が面白い部分もあるのだが、誰もが反論できない伝説という頂きにはなにかそれ以外の高次な要素が必要だ。
波乱万丈なドラマを含んだサクセスストーリー、大舞台での劇的な活躍、芸術性に富んだキャラクター或いは聖人君子のような真摯なスポーツマンシップ。
そういう人に讃えられる何かがあってこそ、フットボーラーは伝説足り得る。
ジネディーヌ・ジダンは讃えられるべきプレーヤーシップをもっていて、その上で究極にサッカーの上手いまさしく伝説の選手だった。
僕がサッカーファンとして人生を終える時に、史上最高の選手はジダンと答えを出すだろう。きっと。
 
化け物揃いのプレーヤーが枚挙していた時代に、名実ともに時代のトッププレーヤーとして世界一の選手だったジダン。
そのプレーは芸術性は圧倒的ながら、究極に優雅でどこか正しさに満ちていた。
僕らはジダンの時代にいたと、胸を張って言える世代の英雄。
ジダンに想いを馳せる。
 

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そのプレーヤー人生

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ユーロ2016・2018年ロシアW杯でのフランス代表の強さも記憶に新しいが、どうも気持ち的に、強いけどさー…と、しっくりこなかったのは、ほんの少し前の全盛期が強すぎたからだ。
アンリがいて、トレゼゲテュラムプティピレスビエラリザラスバルテスジョルカエフetc...
そこで10番を背負い続けチームの中心であり続けたのがジネディーヌ・ジダンだった。
 
恵まれた肉体と圧倒的な技術。
しなやかで野生的な動きと理知的なプレービジョン。
どんな名プレーヤーも片方しか持ち得なかった物をジダンは持っていた様に思う。
フランス伝統のシャンパンサッカーの中心に入って、四方八方を囲まれてもボールを取られない。
そのいなし方が例えようがなく優雅だった。
 
1972年、アルジェリアからの移民としてフランス・マルセイユで生まれたジダン。
彼のドリブルの必殺技マルセイユ・ルーレットの語源はここからきている。
そもそもそういう名前がついている事自体が伝説だ。
当時からルーレットを使いこなしていたかは分からないが、幼少期から抜きん出た才能を見せ16歳でフランスリーグのカンヌでプロ契約を果たす。
出場機会も限られた中、安定感に欠ける瞬間もあったが、その身のこなしとボールコントロールは全盛期と重なる優雅さを感じさせ、徐々に圧巻のパフォーマンスを披露。
プラティニの再来というシャンパンサッカーの国が待ちわびた10番という最大級の評価を得る。
ボルドーへ移籍した後もリーグアン最優秀選手に輝き、20代前半にして代表の10番を背負い98年にW杯自国開催を控えるフランスのNEWシンボルとして、国内の期待は最高潮位へと達していた。
 
 
フランス国内では既に歴史的な評価を得ていたが、世界的にはまだ優秀な若手の域を出ていなかったジダンの大きな転機は、1996年のユベントス移籍だった。
当時世界最高峰のリーグ・セリエAで積極的なフィジカルトレーシングを受け、しなやかさを保ちつつ強靭なボディバランスを手にする。
これが彼のプレースタイルに見事に合致し、繊細さと強靭さという二面性が彼のプレーを伝説的なものにしている大きな要因にもなっている。
加入当初こそフィットしきれなかったが、当時の監督・名将リッピにトップ下のポジションで我慢強く固定されると、その才能が爆発する。
ピッチの中央に陣取るに相応しいテクニック、プレッシング発祥の地の本場のプレッシングを1人で無効化できるビジョンとコントロールは圧巻で、プラティニも愛したポジションに彼も聖域を見出した。
CLこそ準優勝2回に終わったが、スクデットを2度勝ち取りデルピエロやインザーギ、ダーヴィッツといった選手達と一時代を築いた。
ちなみにユベントス時代にも一度頭突きをカマし、4試合の出場停止をくらっている。
 
 
ここからのキャリアはジネディーヌ・ジダンが史上最高の選手としてのストーリーの中心的な時期に入る。
 
98年自国開催のフランスW杯。
10番を背負って全攻撃のタクトを振るい、決定的なシーンを演出し続け破竹の勢いで決勝に進む。
サウジアラビア戦の退場からの出場停止もあってかMVPこそ怪物ロナウドに譲ったが、決勝でもヘディングで2ゴールを上げ、プラティニも成し得なかったW杯初優勝を成し遂げた。
当時見ていた朝早い決勝、小学生の僕にはロナウドの不調が衝撃的だったが、ジダンが上手いってのはサルでもわかるくらい明白だった。
フランスではいよいよ歴史上最高の選手となり、バロンドールとFIFA最優秀選手のダブル受賞を果たしたジダンは世界でもトップの選手となった。
更にEURO2000ではジダンを先頭にしたフランス黄金世代が完全に成熟し、トレゼゲの劇的なVゴールで優勝を果たした。
2000-2001シーズンには飽和気味だったユベントスでの生活を離れ、世界最高のチームへとなりつつあったレアル・マドリードへと移籍。
当時世界最高の移籍金の移籍劇の裏には、たまたまレセプションで隣りに座ったフロンティアーノ・ペレスが’レアルに来たいか?’とメモ書きを渡され’イエス!’と書いて返したという逸話がある。
銀河系級のプレッシャーに苛まれ苦心もしたが、次第に圧倒的な支配力を発揮し、その宇宙レベルのテクニックには白い巨人のユニフォームがよく似合っていた。
そして2001-2002シーズンのチャンピオンズリーグ決勝、彼の伝説のゴールによって優勝を果たす。
史上最も美しいゴールにも数えられ技術の極致でもある芸術的なボレーシュートは、彼の伝説の象徴として永遠にサッカー史に刻まれる事になった。
単純に技術的にトンデモない技術が詰まっている。
はるか上空に上がったボールが、真上から落ちてくる。叩きつけるのでも、蹴り上げるのでもなく、一点で真っ直ぐに蹴り抜かないといけない。
それをさらにコースを見極め、落ちるような回転までかけている。
本当に神がかり的な技術。
その後雄叫びを上げながら走るジダンの姿は神々しさすらあった。
 
彼の大きなストーリーで言えばこの3冠が全盛期であると言える。
1990年代後半~2000年代初頭の彼は間違いなく史上最高の選手で有り続けたのだ。
大きなタイトルは無かったとは言え、その後も銀河系の中でも燦然と輝き続け、ベッカムのクロスから強烈なボレーを決めたり、フィーゴとの心踊るパス交換があったり、超絶的なトラップに誰もが虚を付かれている所唯一走り出していたロナウドにスルーパスを通したり、自分へと注目を集めその隙を逃さないラウルへ多くのアシストを決めたり、僕のダイスキなグティのこれまたエゲツないヒールパスに唯一反応できたりと、レアルマドリードでのプレーは不安定な部分もあったが、輝いた瞬間はサッカー史上最高に美しいチームだった。
 
タイトルが取れなかった事に批判も集まったが、今見返すと本当にあり得ないほど高次元でのプレーをしていて、各タレントの技術の最高点のプレー同士の共演は、一つ一つが伝説になり得るゴールだと言えた。
大怪我を抱えたままプレーした2002年日韓W杯、失意の敗退こそあったものの代表においても存在感はそのままでEURO2004でも劇的なPKとFKを決めるなど孤軍奮闘したが、コンディション不良に苦しんだフランスはベスト8で敗退。
そしてこの欧州選手権をもってジダンは代表を引退する。
その潔さには賞賛を浴びたが、ジダンを失ったらどうすればいい?と惜しまれる声もとてつもなく大きかった。
 
 
2006年のドイツW杯。34歳のジダンはそれを現役の最後に舞台に選び、代表に復帰する。
そもそもヨーロッパ予選敗退の危機にあったフランス、そこでジダン復帰の一報は国民を熱狂させ、その勢いのままフランスを救い本大会出場へと導いた。
W杯前のレアルの試合では引退のセレモニーも行われていたし、記念大会的な雰囲気になるかと思いきやジダンのこの大会での活躍はとんでもなかった。
百戦錬磨の経験で徐々に調子を上げると、ベスト16のスペイン戦ではプジョルを切り返し一発で交わしダメ押しゴール。しかもロスタイムという引退間際の人間とは思えないキレの発揮ぶり。
ベスト8の最強ブラジル戦では、これまで何度も同じピッチにいながら一度もアシストをしていなかったアンリへとFKを合わせ決勝ゴールを演出。
それ以外のプレーでも、誰もジダンからボールを奪えなかったんじゃないかという程ブラジルの魔法のカルテットのどの選手よりマジカルな存在感を放つベストプレーだった。
盟友フィーゴ擁するポルトガルとの準決勝でも決勝ゴールとなるPKを決め、いよいよ決勝へ。
誰もがジダンの背中を追う異様なW杯。
まさに今起きていることは伝説だと認識しながら、きっと更なる伝説がその先にあると、異常な興奮で決勝のイタリア戦を迎えていた。
運命の決勝戦はジダンの美しいパネンカPKで幕を開ける。
ここでそれをやる?の典型だからこそ絶対に出来ない、それを覆せるアイディアと技術と自然体の演技力。
優雅な放物線はまさしくジダンが蹴ったボールにふさわしい軌道だった。
その後同点後の延長戦でのマテラッツィへの頭突きにより、フランスのW杯は終わり、そしてジダンの選手生活も終わる事になる。
最後の瞬間に何が起きたかは憶測だけで、彼ら2人しか知り得ない。
ただ多くの人がジダンへの賞賛を惜しまない素晴らしい彼のW杯だった事は間違いない。
神様のようなプレー。
もう見られないという気持ちもあってか尊ささえあった芸術的な1タッチ1タッチ。
衰えなんてない、洗練されるとはこういうことだという、本当に芸術家の様な最期。
衝撃的で彼の人生の中でも最も恥ずべき反則行為で終わったとしても、このW杯でのプレーこそ伝説的なプレーの真髄だと言えたかもしれない。
 
 

歴代トップクラスのプレー

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プレーヤーとしてのジダンの凄さは、しなやかな動き桁違いのボールコントロール力の二つがベースとなってうまれるクリエイティビティにある。
 
ゆったりとした動きなんだけど、しなやかに相手の逆をつける緩急のキレが凄い。
必殺のマルセイユルーレットがいい例。
あんなにもゆったりとしているけど、ギアを上げるタイミングが抜群だから奪えないのだ。
ルーレットばかりが注目されるが、シザースも歴代トップクラスに上手い。
両足を同じレベルで扱えるからどちらに来るかわからず、そもそも最高のタイミングで跨いでくるので、そこで腰砕けになるDFが多い。
リーチが長いのもあり、かなり大きなモーションになる分、見た目以上にダイナミックになるのだ。
 
そしてその身のこなし、身体能力が霞む程のボールコントロール技術がある。
良くトピックに挙げられるがトラップは歴代でも類を見ないコントロール力。
昔見ていたレアルの試合、"悪魔の左足"を持つロベルト・カルロスの、こんなの誰がトラップ出来るんだって言う音速ロングフィードを、右足のインサイドで事も無げにコントロールして見せた。
ジダンの所で急にボールが止まったので、テレビのカメラが一度振り切れる程の出来事。
ピッチを切り裂く轟音のボールがジダンの足元で無音になる。
トラップ一つでどよめきを起こせるのは彼かロナウジーニョくらい。ロナウジーニョのそれよりも、ゆったりと優雅な所作で止めるあたりに惚れ惚れする
おそらく誰もが認めているが、こういうボールコントロールの技術力は歴代最高と賞賛されていて、最もサッカー選手の根底にある技術という部分で圧倒的だったからこそ、ジダンのプレーヤーとしての正しさに繋がったのだと思う。

その評価

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その評価は歴代でもトップクラスに高く、ある有名誌のランキングではクライフやベッケンバウアー、それに母国の英雄プラティニを抑えて欧州歴代NO.1のサッカー選手と位置付けている。
プレーの質はもちろん、手にしたタイトルがそれを裏付ける。
チーム単位でW杯(1998年)、ユーロ(2000)、セリエA(96-97、97-98)、リーガエスパニョーラ(02-03)、チャンピオンズリーグ(01-02)
個人でもFIFA最優秀選手賞(1998、2000、2003)、バロンドール(1998)
これはちょっと凄すぎる結果だ。
W杯決勝のヘディングCL決勝の伝説のボレーしかり、タイトルを取ったチームの劇的な勝ち方を演出してきたジダンに、数々の栄誉が与えられるのは当然だし、やっぱりジダンだよなと、その選考の正当さに嬉しさまで覚えるのだ。

栄誉にふさわしい控えめなヒーロー

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冒頭でも触れたが、化け物揃いのファンタジスタ・テクニシャン全盛期の時代において、ここまで評価を独占できたのは歴史的にみてもとてつもないこと。

むしろファンタジスタを過去のモノに追いやったのも、新しいファンタジスタ・ジダンだったのかもしれない。

 

『サッカーが簡単だったことは一度もない』と本人が言う。

ジダンに言われちゃ俺らはおしまいだ。

サッカーに真摯に向き合って、その本質に敬意を払っていたからこその神域のプレー。

途方もなくロマンチックで美しいプレーをできるのは、そういう彼のサッカー選手としての人間性みたいなものがに神様が微笑んだのかもしれない。

僕らはジダンの時代に生きている。それを誇れるのも、ジダンだからなのだ。

 

【Football Soundtrack Theme Zidane】

Weezer 'Perfect Situation'

 

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