2017年のベストトラックを6曲に絞り、想いを馳せてみた
2018年になり、一週間が過ぎた。
このまま何となく、年末年始感を出さずに過ごそうかと思ったが、音楽を聴いてると昨年の音楽が鮮明に心に残っている事に気付いた。
2017年、癒やしのためにロックは鳴らされ、権力と戦うためにもロックを掲げられてきた。
まだまだロックは世界にも僕にも必要なのだ。
今回は6曲に絞ってみました。ウィーザーにハイスタにベックにモノアイズにリアムにフーファイ。超珠玉。
是非聴きながら読んで頂けると幸いです。
1.Weezer "Mexican Fender" やっぱりウィーザーが好き
背景を語ると、ハイスタやらリアムやらベックやら、世間の話題をかっさらいまくるリリースの何週間か後にそっと差し出されたこのアルバム。
当然ハイスタもリアムもベックも大好きだが、きっと好みの問題だがウィーザーだけは別格なのだ。
一曲目のこの曲を聞いた時も、ウィーザーだという嬉しさと心臓を掴まれたような哀愁に泣きじゃくりそうになった。
ウィーザーらしさを象徴するような一音目のギターがなった瞬間から、僕の感情全てが100点を出すパーフェクトさで、音楽聴きながら何かをってのが出来なくなるような動きを止めてしまう音だ。
オルタナティヴなリスナーの心を見据えたような、ツボを抑えまくった熟知されたパワーポップメロディーとビート。
それでいてアルバムのテーマでもある白昼夢のようなキラキラしたポップネスで眩しく鮮やかに彩る。
現実との境目にいるような白昼夢の表裏の感触がリバースの声に集約されていて、浮遊感がありつつもクリアで感傷的に淡々と声を重ねていく、その表現力にも脱帽した。
事件的な傑作では決して無かったが、極めて不意打ち的に届けられたフラットな名曲は、僕の感情を弛緩させ人生の一部をまたしても染め上げる事になったのだ。
2.Beck "I'm So Free" モダンポップスの楽園
このアルバムもだいぶ待たされたアルバムだった。
オルタナロックキングのベックは異端のまま数々の賞レースすら総なめにし、時代をからかい続けるように踊り続けてきた。
その特異性はどの時代においても異質で最高なものとして響くし、それを狙ってできるという天才ぶりは確固たるものだし、そしてやはり今年待ちに待ったこの曲もとてつもなかった。
どでかい壁のキャンパスに、カラフルなペンキをぶち撒けるような危険欲求的を満たすような爽快感。
ピアノをベースにしながら、様々な音が発現してはどこか彼方へ弾けていく、目まぐるしく色彩が移り変わり、跳ねるようにクラッシュなビートで進んでいく。
狂い咲きの様で、実はデジタルな統制が取れているような、なんともモダンな楽園のイメージが浮かぶ。
どんどん情報が増して表現が広がり感覚が発達するこの世の中でも、最も陶酔できる事ができるのはモダンでロックなベックの歌声だ。
- アーティスト: ベック,ベック・ハンセン,グレッグ・カースティン,アンドリュー・ワイヤット
- 出版社/メーカー: Hostess Entertainment
- 発売日: 2017/10/11
- メディア: CD
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3.Liam Gallagher "For What It's Worth' あまりにも自然な救世主の声
Liam Gallagher - For What It's Worth (Live At Air Studios)
SNSが僕なんかにもあまりに溶け込んだ今の社会においても、地球規模で繋がってるんだなと思うことはそうそう数は少ない。
この年、それを最も感じたのはリアム・ギャラガーの新作のアルバムだった。
オアシス後、ビーディー・アイも畳み、毒舌ランニングおじさんとなっていた、元世界最高のロックシンガーがSNSで”新作を出す、嘘じゃないぜ”とたった一言呟いただけで全世界に狂騒を巻き起こした。
自分自身に”おぉぉぉ!”とこみ上げる感覚が全世界で共鳴し、今までとは違う類の熱をもってこのアルバムを迎えられたし、リアムギャラガーが世界最高のロックシンガーのまま戻ってきた事が何よりも凄かった。
先行シングルの”Wall Of Glass"のロックンロールパワーにもやられたが、この曲はあまりにも自然にアンセムとして体に馴染んだ。
ロックサウンドと弦楽器が折り重なるビッグメロディーもシンプルながら物凄い重厚で美しい、その中心にあまりにも自然に在るリアムの歌声。
決して不遜にぶつかり合うのではなく、美しさ厚みのあるサウンドにあまりにも馴染む歌声は、この世のものとは思えないくらいのスケールで美しく、全ての舞台があるで当たり前の様にリアムの声を中心に回っていて、一つ一つの音ですらそれに喜びを感じている様な祝祭のムード漂う暖かいアンセム。
単に丸くなっただけではない優しさを伴った屈服感に、僕は一生ついていく決心を再び固めた年となった。
4.Foo Fighters "The Sky Is A Neighborhood" 誰にも負けないロックの賛美歌
Foo Fighters - The Sky Is A Neighborhood
この年は初のサマソニ出演も果たし、そのデカさを思いっきり日本の夏に刻み込み、その1ヶ月後に投下されたアルバム、コンクリートアンドゴールドでその熱を永久に心に残した。
彼らのロック史上、最もダークで美しいアルバム。
そのアルバムを象徴する様なこのトラックは、ぽつりぽつりとアシッドなテイストで、ダークで重厚な音が心の底に落ちる冒頭から、雰囲気の違いを感じる。
次第に壮大さを帯びる漆黒で灼熱のメランコリアは、今世界最強のロックバンドが鳴らすものとしては異質でとんでもなくリアルに混乱の中に響く音だった。
畳み掛ける様な曲構造で、ラウドにカオティックなギターサウンドをこれほどまでに爛漫に響かせる悪魔的なキャッチーさすら感じるサウンドデザインは異形でも王道だった。
理想郷を語るのを良しとせず、深く心に蓄積していく真っ黒に染まってしまいそうな感情を、少しでも白くではなく、そのまま業火で燃やし尽くしてしまう様な、暗黒で豪快な絶景の音楽。
それでも悲壮感は生まれず、このアルバムのテーマの戦闘ではない逃避という一種の包容感すら感じさせるトラック。
心にひっかかり、何度もリフレインする音は、間違いなくこの年で一番深かった。
5. Hi-STANDARD "All Generations" 僕らの僕らによるハイスタアンセム
Hi-STANDARD -All Generations(OFFICIAL VIDEO)
きっとロックファンの僕らから言わせれば2017年ハイスタのニューアルバムのジャケットはどんな風景よりもインスタ映えだったし、流行語大賞は間違いなく道(ストリート)だった。
ありえないと思っていた復活、そしてハイスタは畳まない、一生ハイスタンダードを彼ら3人がやると言った事。
とてつもない事が、2017年は起きていたんだが、あまりの時間の経過にピントが合っていない人も多く存在したのは、彼らも僕らも感じていた。
そんなハイスタ世代すらぶっ飛ばしたこのアンセム。
瞬時に心も体も火がつくメロディックなキラーパンクチューン、この2分足らずに込め放たれたすべての世代へ向けたシンプルなメッセージ。
何よりも当時をよく知らない僕らでも、これまでの数々のアンセムの仕組みがようやく分かった時でもあった。
ステイゴールドもグローイングアップもディアマイフレンドもシークレットマインズも。。。。
彼らはライブバンドであり、数々のライブハウスの光景とともに一つ一つが真にアンセムになっていったのだ。
今やアリーナですら響く彼らのロックンロールは、間違いなく世界で一番カッコよかったし、音楽を聴いてきた全ての人が本物のワンダーランドだと思える空間だった。
またこのアルバムの曲だってライブで鳴らされ続け奇跡的な光景を生み出し、道(ストリート)で響きアンセムとなっていく。
もう僕らもこのアンセムを手にした今、きっと敵はいないのだ。
6.Monoeyes "Two Little Fishes" ついに細美がアンセムを鳴らす
MONOEYES - Two Little Fishes(Music Video)
思えばハイエイタスの最新作からスケール感の巨大化は感じていた。
ミニマムで衝動的なインスタントなパワーを重視していても、それはやがて洗練されより高らかと響きやすくビルドアップしていく。
エルレでもない、モノアイズのアンセム。
福音的なギターリフと眩しく降り注ぐギターワーク、複雑な色合いをより鮮明に引き立てるビート、心の底に火を灯す様なギターサウンド、そして自らの熱で周りを焦がすだけでない、穏やかに包み込む様に暖かい細美の声。
シンプルな曲展開と、すべてのバンドサウンドがマジカルに空間を満たしていく。
どこまでもカラフルながら、限りなく透明感に溢れた心地よさは、確かなロックながら感動を呼ぶ類の曲として心に残る。
きっとこういう曲は、人生でもそう出会えない大切な一曲なんだと、今噛み締めていられる。
2018年はどんな曲に出会えるか
いかがでしたか?
是非聴いて頂けていると幸い。
きっとこの曲たちは一生心にあり続ける。
今年もきっと、世界を照らす様なロックソングが生まれるはずだ。
それではまた別の記事で。