Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

Blurの10曲【ブラーの名曲10】

広告

エポックでマジカルなメロディーワーク。英国唯一無二のオルタナティヴ・ロックバンド、Blurの名曲に想いを馳せる。

f:id:idwcufds:20191009191954p:plain

今じゃあんまり聞かれなくなったが、10年ぐらい前までは音楽好きでUKロックも聴く、なんて言ったもんなら、
「じゃOasisとBlurどっち好き?」
っていう質問がコミュニケーションの入り口だった時代が確実にあった。
イギリスで90年代メディアが千切れるほど腕を振り回し、煽りに煽ったブリットポップどっちが凄い論争はもう20年以上前でも、その余波は10年位前までは日本の音楽好きにも普通に日常会話に使われるくらいアツかった。
 
僕はサッカーのスコアで言うと2-1くらいでオアシスが好き。
それでも超気になるのはブラーの独自性。
やたらファッキンファッキンいう兄弟をスカして、もっとヒートアップさせる天使のような悪魔の笑顔みたいな構図も凄くカッコよかった。
音楽なんてものは数字で測れるもんじゃないし、どっちが凄いかは1人1人が決めりゃ良い。
2番手という意識もないし、そもそもブラーってバンドは、番手ってのが当てはまらないオルタナな存在感で存在し続けていると思う。
オアシスの方がちょっと聴いてる時間は長いけど、より深く異色に心に刺さっているのはブラーの曲たちだ。
 
マッドチェスターを引き継ぐような形でデビューした英国期待のバンドは、アメリカでの挫折を受け、英国らしさを考え直し、ブリットポップを創り上げた。
狂騒的なブームのド真ん中でもどこか冷ややかに、クールでストレンジャーな雰囲気は醸しまくり。そこが尚、格好良かった。
 
狂騒が終わったと見るやブリットポップを殺す音楽を自ら掻き鳴らすという先駆者であり続け、その後のバンド以外の音楽活動を見てもアーティスティックな才能は奇妙ですらあった。
だがソングブックにしてみれば、彼らの幅広い音楽的豊潤さは多彩であり、エポックでマジカルなメロディーワークだからこそ、その分シニカルさが突き刺さってきて格好良かった。
英国らしくありつつ、同国唯一無二のオルタナティヴなロックを鳴らした、時代の過渡期に降り立った、誰もが認める王者の対極に居る、天使か悪魔みたいなバンド。
そんな彼らの10の名曲を個人的にセレクトしてみました。
初めての人も触れやすく、知ってる人はコレコレ!と膝頭を叩けるような、そんなソングブックになっていればと思います。
聴きながら、素敵な暇つぶしになれば幸い。
 

Spotify

 

何となく同じく秋に想いを馳せたいthe pillowsの10曲はコチラ❕

www.footballsoundtrack.com

 

1.'Song2'

90年代イギリス音楽で最高最大のリフを炸裂させた本曲は、ブラーの名曲普遍のNo1として未来永劫語り継がれるはずだが、この曲が炸裂したのは彼らにも特異的な瞬間の到達点だった事も、実にオルタナティヴな名曲。

ラフでシンプルなビートとアイコニックなリフがブーミーに揺れ、ウーフーのコーラスと謎の歌詞の羅列で起こしたオルタナ大爆発は、イギリスのみならず初めてアメリカでも大ヒットを飛ばした。

ブラーらしいマニアックなロックンロール感はそのまま醸しながら、そしてポップに跳ねられるムードを埋める異様なアンセムは、彼ららしくも彼らの中でも特異な名曲として1番輝いているのだ。

 

2.'Girls and Boys'

ブラーがブラーである確固たる地位を築いたダンスポップチューン。

チープなだからこそ馴染むビートに、コミカルでキャッチーなベースラインと擦れ擦れのギターと浮遊的なエフェクト、肩の力が抜けたボーカルとコーラスをただただ繰り返すメロディー。

最終的にはごった煮の雰囲気でも、ストレンジロマンチックにフェードのかかるダンスナンバーは、世界的にも異質でそのポップセンスに誰もが憧れて各国のアーティストがそれを真似た。

変則的で不可思議なアンセム、ただ今聴くと載せている音はシンプルにポップで実に伸びやかな物にしているからこそ、ブリットポップっていうトレンドを超えた普遍性を持って、今聴いても古くなくオルタナティヴに光る。

 

3.'Park Life'

'さらば青春の光'にも出演し、自らもバンド活動をするイギリス人俳優フィル・ダニエルズをストーリーテラーに加えた異色のオルタナポップナンバー。

心地いいヴァースに載せてフィル・ダニエルズの喋りが続き、デーモンのサビに続く見たこともないスタイル。

眩いコーラスとカラフルなシャッフルギターは、健全に肘も膝も少し上げて公園をウォーキングするには適してるし、どこかシニカルでマイナーなシェードのかかる雰囲気を産むエッジーな瞬間もあって、公園にいる変な人をウォッチングするような捻くれた散歩に最高だ。

 

4.'Coffee & TV'

世界で最もキュートでロックなMVとして名を馳せる、YouTube時代の今再興が華々しい1曲。

このギターグルーヴが歴史上最も一番心地いいと、誰もが体感できるメロディーライン。

MVの主役のギターのグレアムもボーカルを取り、ハートフルな音空間が中心にあるのが良い。

絶妙にタイトで聴き心地が完璧、聴き方で如何ようにも変化する無限のロウエモーショナルがところどころで刺さってくる、ブラーのアザーネスも光るポップソングだ。

 

5.'On Your Own'

いくつかの電子音にオルタナギターとアコギが、様式無く混ざるロウな雰囲気のイギリス版BECKみたいな1曲。
冒頭のかすれたギターとごちゃつきに現代芸術をみている様にあっという間に心を奪われる、もうどこまでもこの音を次々に浴びていたい、というオルタナ的な快感。

いよいよブラーがインスピレーションを解放した、って時代の個人的には最もブラーの変わり者&天才っぷりがわかって大好きな一曲。

ぶっ飛んだ登場人物が多くてもオズの魔法使いが面白いように、過密な音の構築性は何回聴いても新しい発見があるほどすごく緻密で、カオスにならないポップネスも強烈。

6.'Popscene'

ぴょんぴょん跳ねるデーモンが眩しい初期の重要な1曲。
グランジーな轟音ギターと野太いベース、そこに楽しげなブラスが乗っかりマッドマジカルな音空間になる。
ここからブリットポップは始まったともっぱらの噂だが、それもそうだってほど時代錯誤?いや先取り?と今でもなる超越性があった。
再結成後もライブでやってる様に、彼らにとってもお気に入りなキラーチューンのようだ。
 

7.'Losesome Street'

2015年の最新アルバムの必殺のキラーギターチューン。

切り方のリズムとか角度とかで魅せ方抜群のギターグルーヴが、奇妙さとキャッチーさのオルタナティヴなラインでゆらゆら揺れて、ゆっくりとオーディエンスの耳に浸透させていく。

復活したブラーの1曲目からこういう曲で本当に嬉しく思った。

香港からインスピレーションを受けた世界観も不思議。

 

8.'This Is A Low'

壮大な渦の中で歌ってる様な、大規模なロックバラッド。

美しく旋律が広がりながらドープに沈んでいくギターサウンド。

この曲ライブを締めくくる事も多い、彼ららしい美しい終わり方。

'Low'はロンドンに覆いかぶさる低気圧の意味で、ラジオ番組が注意報を発令し、それを1人で聞いてる様な深い孤独感を感じられる。

 

9.'To The End'

超越的陶酔感のラブソング。

クラシック的なベースラインに、木琴的な音が更に浮遊的で心地よくモノクロームな世界観で、眩しく泡のような光に包まれる。

その中で艶やかなデーモンの声が鮮やかで、シンガーとして彼に最も整合した一曲かもしれない。

愛に落ちて、まるで上手くいっている様に見えて、やりきった様に見えた。

聞けば聞くほど、その言葉は泡のように心に浮かび続ける。

 

10.'End Of A Century'

マジカルでカラフルなポップネスワールドが世紀末という100年に1回のキラーワードで弾けたキラーチューン。

ギターポップ調のさらっと聴ける心地の良さは曲全体から常にあり、多重に折り重なるコーラスとギターが降り積もって重厚なメロディーを漂わせる。

艶やかで淡々としたボーカルは、冷たくはないが無温度で、特別な事なんてない、ぽっかりとした世紀末にこそ響く声。

無機質×マジカルなポップという、カラフルな虚無感を創り上げられるインスピレーションの発現力は見事。

叶うことなら100年後も響いて欲しい。

 

イギリス最大のアザーネス

以上、ブラーの10曲をピックアップしてみました。

お楽しみいただいていれば幸い。

どこまでも異質なポップセンスは、誰もが分かり得て誰もがちょっと外れたオルタナティヴな光景に浸れる、最高のアザーネスを持ったバンドだった。

シニカルでマジカルなブリットポップとロックのワンダーランド。こういう世界だけに浸れる時間は貴重だ。

 

それではまた別の記事で。