Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【映画】LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標を見た

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ルパン映画スピンオフLupin the Thirdシリーズ’次元大介の墓標’を見た

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男ってのは憧れで出来ている。
理想の男像みたいなのが誰しもあって、その憧れたるや、いくつになろうが少年のそれだ。
女性が良く女優とか芸能人に憧れて、髪型とかメイクとかを真似するけど、男の場合はもれなくアニメとか漫画のキャラクターに憧れるのだ。
単純で短絡で全然具体的じゃないけど、本人になれなかろうがいくつになっても理屈を通り越して手放しで好きなのである。
僕の場合もいっぱいいるが、まず挙げたいのは次元大介である。
 

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孤高の凄腕のガンマンであり、ルパンの相棒。
寡黙かと思えば喋ればウィットに富んでいるという最高のギャップ。
酒もタバコもファッションも女も、選ぶものが全てがダンディーな男らしい男。
いちいち言う事がカッコいい。
 
ルパンシリーズは凄く好きで、ほとんどのシリーズを見ているんだけど、この間強烈にカッコいい作品を見たのでレビューしようと思う。
LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標である。
今回はサッカーと音楽の話はしない。それにだいぶ前の映画の話になるけど。
お付き合いいただければ幸いです。
 

LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標

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監督:小池健 脚本:高橋悠也 原作:モンキー・パンチ

公開:2014年6月21日 時間:51分

 

次元大介をフィーチャーしたスピンオフ的な作品。
他にも同じ作成陣で五右衛門と不二子の作品もある。
スピンオフと侮ってると、その作画の迫力、アクションシーンの豪快さ、ルパンらしい粋なエッセンス、ファンを喜ばせる要素の数々にあっという間に心を奪われる60分だった。
 
LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標 通常版 [DVD]

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ストーリーを振り返りながら感想を述べて行く。
 
まずはいきなりシックな雰囲気のオープニング。
墨画のようなタッチでルパン一味のシルエットが次々と浮かぶ。
そのまま筆のタッチが残る本編の作画も最初こそ違和感があったけど、生々しさすらあるラフな迫力にすぐにひきこまれる。
 

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ストーリーの舞台は、ヨーロッパの某国をモデルにした東西にわかれるキナ臭いドロア国で、そこに落ちた隕石を加工した宝石を、いつものようにルパンと次元が要人になりすまして盗み出すが、その脱出の際に隻眼のヤエル奥崎というガンマンに2人とも狙撃される。
この描写も鮮血とか足を引き摺る感じがすごいリアルで、ルパンと次元のやり取りもシリアスな雰囲気かつ粋さが際立っていて、大人の映画感が満載でグっと前のめりになってくる。
 

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自身の身体に残った弾丸は、つい先日東西ドロア国の平和の象徴としてコンサートをしていた歌姫クイーン=マルタの狙撃に使われた弾丸で、次元はそのボディーガードをしていたが暗殺を防げなかった因縁もあった。
そこからヤエル奥崎へと辿り着いた2人は、墓地へ向かうと次元大介の墓標がある。
ヤエル奥崎はターゲットの墓標を先に用意する儀式をした上で仕事に臨むのだ。
この時点で少し違和感を感じてるルパンの勘みたいな描写も細かくてすごくいい。
 
ターゲットとされた次元は、ルパンと共にヤエル奥崎のアジトへと向かう。
商売道具の銃器の部品がある中、同じ真っ白スーツが何枚もあったり、謎のメカがあったりと、少し変態的な拘りに趣味が悪いと吐き捨てる。
ヤエル奥崎自体もルパンシリーズのテンプレ通りのライバルで、次元の黒とヤエルの白の対比も、次元自体が因縁の前に、コイツ気に入らねえな美学が合わねえっていう雰囲気をひしひしと感じていく描写が次々と出てくる。
次元がおんなじスーツを何枚もかかっているのを見て俺はジバンシーからフェンディまで幅広いんだと言うあたりも次元ファン的には嬉しいコメントだ。
 

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奥のヴィジョンでは、ヤエルとも関わりがある変態ナイトクラブに機密ファイルを盗みに行った不二子いつも通り捕えられて、中継が流れていて、助けに行こうってとこでヤエル奥崎が現れる。
そこで2人の早撃ち対決となるのだが、次元は先に銃を射抜かれてしまう
手先が起用な奥崎はギリギリまで軽量化した銃で抜くスピードを上げていたのだ。
ルパンの機転で脱出する事になり、軽い銃を使えば?というルパンにごめんだねと返す次元がかっこいい
 
この後のカーチェイスのシーンも、ルパンお得意の空を飛ぶような装置とか直角に壁を走ったりとかはなく、とにかくリアルに切迫したチェイスでルパンの表情もリアルなのに見入ってしまうシーンだった。
 
その後何故か振り切っても振り切っても先回りしてくる奥崎に倉庫街に追い詰められて。。。
 
ここからはもっとネタバレつき感想
 

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倉庫街で額を打ち抜かれた次元。でもこれはフェイクだろうなと思ったけど、それを看破された上で何かがある様な奥行を感じるストーリーに、より前のめりになる。

 

不二子が捕えられている変態クラブに一人で乗り込むルパン。

不二子はガラス張りの巨大な水槽の中で思いっきり裸だしヤエル奥崎が作った変態的メカに陵辱されそうになり、それを変態達がディナーとともに見てる。何十年もタイムスリップしたようなアダルトなシーンだ。

そこに助けにくるルパン、いつも通り粋だけど、何回か殴られて顔に青あざが出来るあたりも何かリアルでその右目の青たんが最後の謎解きの伏線にもなるあたりが、脚本的にも粋だ。

 

不二子が盗み出したファイルは、ドロア国の要人暗殺ファイルで、ヤエル奥崎の依頼人はドロア国という点と点が線で繋がって、ストーリーは佳境に入る。

 

最大のハイライトはやはり最後の対峙だった。

 

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ファイルを盗んだ事でルパンと不二子の墓標も用意され、奥崎が動き出す。

海沿いのカフェでコーヒーを飲むルパンを狙う奥崎。

サイコロを振って、何発の銃弾で仕留めるかを決める。1の目が出て、運のない男だ、とつぶやく奥崎。

なにかこうルパンのという人物を、敵ながら親近感をもってるような感じ

これもルパンシリーズの深い所。

 

結局ヤエル奥崎の凄腕にもカラクリがあり、それを謎解き破ったルパン。

そのカラクリは国中に仕掛けられた多数のカメラから立体的にヤエルの眼帯の中に映像が届き、狙撃のポイントを捉えていたから。

序盤からの違和感を感じ、国と奥崎がつながったことで、完璧に謎を解いたのだ。

ルパンの青あざ隠しの眼帯にも同じ装置が付けられていて、逆手にとって奥崎を追い詰める。

 

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そして逆に狙撃をして追い詰めるのは次元。

やっぱり死んでないし、ルパンも後は任せたぜって言う様な、この真打登場感もとてつもなくダンディーだった。

ただその後の次元との早撃ち再戦は、最後まで軽い銃を使うというヤエル奥崎の優位を破れないままシーンに入ったような気がしていた。

が、先に撃たれた弾に真正面からこっちの弾ぶつけるという神業で、ヤエル奥崎の軽い弾は弾かれ逆に重い銃から撃たれた次元の弾丸は真っ直ぐ進み、奥崎の利き腕の骨を砕いた。

軽い銃を使おうがしったこっちゃないが、俺から言わせりゃロマンに欠けるな

ここまでの全ての描写のど真ん中をつき、更に僕らの心の琴線すらも撃ち抜いた最高の一言であった。

 

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ラストシーンで夕日の中、今回の一件を振り返る二人。

次元が狙われるきっかけになった歌姫との会話もあり、彼なりの正義を貫いた物語だった。

それを、うまいタバコが吸いたいだけだ、の一言に込める。

ルパンもそれで全てを受け止め、ファイルを燃やした炎でタバコに火をつける。

いつまでも見ていたくなる夕日の中の、最高の2人のシーンだった。

最後にちょっとだけマモーも出てくる。

 

タバコあり酒あり女ありロマンあり 

やたらとタバコを吸っているシーンが目につくのも、最近の規制の反動なのか、その次元の姿を堪能する。

R-12な中、とてつもないSFチックなアクションシーンもない事と、シリアスでハードボイルドな雰囲気と作画の濃淡のコントラストがリアリティを産むシーンの連続。

強固に定まったルパン必勝の型をなぞりながら、ダンディズムとリアリズムに特化した

次元らしい作品だった。

男は多くは語らない。

余計なものはいらない。

ただ求めるのはロマンだけ。

もう時代遅れになった気がしていた男のロマンを、強烈に引き戻して匂わせてくれる作品。

 

次に吸うタバコはきっと少しだけ美味いはずだ。

それではまた別の記事で。