ルパン映画スピンオフLupin the Thirdシリーズ’次元大介の墓標’を見た
LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標
監督:小池健 脚本:高橋悠也 原作:モンキー・パンチ
公開:2014年6月21日 時間:51分
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LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標 通常版 [DVD]
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2014/11/28
- メディア: DVD
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倉庫街で額を打ち抜かれた次元。でもこれはフェイクだろうなと思ったけど、それを看破された上で何かがある様な奥行を感じるストーリーに、より前のめりになる。
不二子が捕えられている変態クラブに一人で乗り込むルパン。
不二子はガラス張りの巨大な水槽の中で思いっきり裸だしヤエル奥崎が作った変態的メカに陵辱されそうになり、それを変態達がディナーとともに見てる。何十年もタイムスリップしたようなアダルトなシーンだ。
そこに助けにくるルパン、いつも通り粋だけど、何回か殴られて顔に青あざが出来るあたりも何かリアルでその右目の青たんが最後の謎解きの伏線にもなるあたりが、脚本的にも粋だ。
不二子が盗み出したファイルは、ドロア国の要人暗殺ファイルで、ヤエル奥崎の依頼人はドロア国という点と点が線で繋がって、ストーリーは佳境に入る。
最大のハイライトはやはり最後の対峙だった。
ファイルを盗んだ事でルパンと不二子の墓標も用意され、奥崎が動き出す。
海沿いのカフェでコーヒーを飲むルパンを狙う奥崎。
サイコロを振って、何発の銃弾で仕留めるかを決める。1の目が出て、運のない男だ、とつぶやく奥崎。
なにかこうルパンのという人物を、敵ながら親近感をもってるような感じ。
これもルパンシリーズの深い所。
結局ヤエル奥崎の凄腕にもカラクリがあり、それを謎解き破ったルパン。
そのカラクリは国中に仕掛けられた多数のカメラから立体的にヤエルの眼帯の中に映像が届き、狙撃のポイントを捉えていたから。
序盤からの違和感を感じ、国と奥崎がつながったことで、完璧に謎を解いたのだ。
ルパンの青あざ隠しの眼帯にも同じ装置が付けられていて、逆手にとって奥崎を追い詰める。
そして逆に狙撃をして追い詰めるのは次元。
やっぱり死んでないし、ルパンも後は任せたぜって言う様な、この真打登場感もとてつもなくダンディーだった。
ただその後の次元との早撃ち再戦は、最後まで軽い銃を使うというヤエル奥崎の優位を破れないままシーンに入ったような気がしていた。
が、先に撃たれた弾に真正面からこっちの弾ぶつけるという神業で、ヤエル奥崎の軽い弾は弾かれ逆に重い銃から撃たれた次元の弾丸は真っ直ぐ進み、奥崎の利き腕の骨を砕いた。
軽い銃を使おうがしったこっちゃないが、俺から言わせりゃロマンに欠けるな
ここまでの全ての描写のど真ん中をつき、更に僕らの心の琴線すらも撃ち抜いた最高の一言であった。
ラストシーンで夕日の中、今回の一件を振り返る二人。
次元が狙われるきっかけになった歌姫との会話もあり、彼なりの正義を貫いた物語だった。
それを、うまいタバコが吸いたいだけだ、の一言に込める。
ルパンもそれで全てを受け止め、ファイルを燃やした炎でタバコに火をつける。
いつまでも見ていたくなる夕日の中の、最高の2人のシーンだった。
最後にちょっとだけマモーも出てくる。
タバコあり酒あり女ありロマンあり
やたらとタバコを吸っているシーンが目につくのも、最近の規制の反動なのか、その次元の姿を堪能する。
R-12な中、とてつもないSFチックなアクションシーンもない事と、シリアスでハードボイルドな雰囲気と作画の濃淡のコントラストがリアリティを産むシーンの連続。
強固に定まったルパン必勝の型をなぞりながら、ダンディズムとリアリズムに特化した
次元らしい作品だった。
男は多くは語らない。
余計なものはいらない。
ただ求めるのはロマンだけ。
もう時代遅れになった気がしていた男のロマンを、強烈に引き戻して匂わせてくれる作品。
次に吸うタバコはきっと少しだけ美味いはずだ。
それではまた別の記事で。