Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【無人島に持っていく1枚シリーズを3枚】Green Day 'Uno!' 'Dos!' 'Tre!'【ディスクレビュー】

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無人島に持っていくならどのアルバム?

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無人島に持っていくシリーズ 番外編というか10・11・12
新譜のレビューはやっていたけど、それ以外にも心に刺さったアルバムは山ほどあるのだ。
音楽友達と良く酒飲みながら話すネタ、無人島に持っていくならどのアルバムを持っていく?という話題。おもしろかったので記事にしました。の10・11・12
 
今回は2012年に3部作として発売されたGreen Dayのアルバム'Uno!' 'Dos!' 'Tre!'の三枚に想いを馳せます。
POPなPUNKとロックなストーリーでみんなダイスキなグリーンデイ!
2004年'American Idiot'というモンスターアルバムで世界を制し、その路線を踏襲した2009年の'21st Century Breakdown'でもロックアルバムで世界のトップを取り続けた。
そこから一拍おいて彼ら自身を見つめる時間があってのこのアルバム。だけど3部作というぶっ飛んだ試みで世界を驚かせた。

中々の曲者三作品で原点回帰と言うか原点意識したストーリー・オブ・ザ・グリーンデイと言うべき、彼らの最強バンド物語には欠かせない3枚になった。

地味?侮んなよ?グリーンデイだぜ?と言いたい強烈なアルバム。

今回はGreen Dayのアルバム'Uno!' 'Dos!' 'Tre!'の三枚に想いを馳せます。

 

他の無人島シリーズはコチラ!

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Green Day 'Uno!' 'Dos!' 'Tre!'

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Uno . . . Dos . . . Tré!

Uno . . . Dos . . . Tré!

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Uno!

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Dos!

Dos!

 
Green Day - ¡TRE!

Green Day - ¡TRE!

 

 

ピーシズ・オブ・ア・グリーンデイ

グリーンデイくらいのバンドになると、その歴史が〇〇期みたいな形で分けられることもある。
アルバムごとに分けるとするならば彼らにとって最も大きなターニングポイントは全世界で1位を記録しパンクロックオペラという戯曲的なロックンロールで世界情勢をぶった切るコンセプトアルバム'アメリカン・イディオット'であった。
その手法を確立し継続路線で更新させた'21世紀のブレイクダウン'も含め、グリーンデイ史のみならずロック史としても偉大な2枚として刻まれて、アメリカン・イディオット~21世紀のブレイクダウン期は最も鮮烈なピーク期であると言えるのは間違いはない。
ではその2枚の後の彼らはどうなのか。それがこの強烈なジャケットの3枚。トレとかそのまんまだ。
スタジオに入り、何のテーマも目論見も設けずにガレージ感覚でブレインストーミング的な曲の作り方をし、ガレージロック的な楽曲群が見えてきた。
元は彼ら自身がそのままメンバーの覆面ガレージバンド、フォックスボロホットタブスの曲になるかと思われていたが、鳴らしている内にグリーンデイとしてアルバムにすれば面白いかも、という膨大な曲の数を3部作にまとめるファニーなアイディアでレコーディングを始めたのだった。
 
コンセプト・テーマを抜け、すっぴんのグリーンデイを。
3枚組のボリュームに途轍もなくナチュラルに納められた楽曲群は、ユーモアにも溢れ挑戦も敬意もあり、荒々しくも艶やかな、どこまでもグリーンデイを素直に感じられるアルバムだったのだ。

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3枚のアルバム全体から感じられる歌謡的な良さにそれぞれにロック的な瞬間が散りばめられる。
なんせ曲数が多い。
甘いメロディーの歌モノもあれば、アシッドな雰囲気のダンサブルでジャジーなムードのトラックも。
パワーポップロック的な必殺の疾走曲もあれば、男らしく~セクシャルに艷やかにまで様々な表情も魅せる。
もちろんガレージ的な音の中から生まれたある意味らしくない新しい試みまで、彼らのアイデンティティーを心配していた人へ痛快な程にバラエティーに富んだ抜群の出来。
それでもどこか感じる統一感、擦り切れるほど聴こうが何時までも魅了ある歌として有り続けるエヴァーグリーンなキャッチーさ加減こそ、グリーンデイらしというオーセンティンクなヴィンテージ感に根本で繋がっている。
 
 
ナチュラルで伸びやかにラフな印象ながら、彼らのヴィンテージ感が色濃く強靭に感じるのは、純粋に彼らの音楽人としての表現力の向上が大きな理由の1つだ。
数多の浮き沈みの経験と音楽的鍛錬の結果、見事に昇華された彼らのベースになる音楽性。
艶やかさを増したビリーのボーカル、ジェイソンも加わったギターサウンドの厚みと色彩、男らしさを一手に引き受けて歌うように跳ねるベース、軽やかさも重厚感も自在なドラミング。
根本にあるロックンロールを演奏する事が、まずズバ抜けて格好いい味を出してる事、そこに自然なグリーンデイの凄みがあるのだ。
 
とは言えこの時期のライブは衝動的解放的でぶっ飛んだガレージ・パンク的なライブが多かった様に思うし、何よりも陽気にフラットなグリーンデイを十分過ぎる程味わえる。
音楽的な部分で素晴らしいロックである事は間違いない上で、その根底の大前提に感情に訴えかける類のロックサウンドと声が存分に響く。
感情と直結的にあらゆる場所に散りばめられたピーシズオブグリーンデイを感じ、ニマニマしながら聴いてしまう。
作り込まれたコンセプトも、時代を揺るがすようなアンセムは無くとも、どこまでも本質的なグリーンデイが美しいこの3枚。
ipodを聴いていて、あれっ何この曲かっけぇ、Green Dayだよな、ってシュババッとフリックすると'Uno!' 'Dos!' 'Tre!'だった、という事がめちゃくちゃ多い。
そういう持ち味のアルバムは、たしかにこの時期のグリーンデイには必要だったのかもしれない。
 

ソングレビュー

それではソングレビュー。

ウノ・ドス・トレから順にお気に入りな曲をピックアップしていきます。

 

1.'Kill The DJ' Uno!


Green Day - Kill The DJ [Official Video]

まずは強烈にアイコニックなダンスビート×パブロック風の呑んだくれセクシーロック。

彼らの一層深まった艶やかさをダンサブルなビートに乗せ、危うさと甘さを振りまく。

ちょっと彼ららしくない予想だにしないというワクワクもファニーな彼ららしいし、完成度的にも音色の綾を存分に堪能できるサウンドにもどこか余裕を感じるのだ。

ダンスミュージックらしいノリノリのリフレインも、ダンスは苦手だがこういう曲なら踊りたい。

 

2.'Troublemaker' Uno!


Green Day - Troublemaker [Official Video]

ガレージ的に響くオルタナロックンロール。

最初のyeahが悶絶するほどセクシーで粋なコーラスに絡んでボーカルはエロさを増していく。

グリーンデイらしい音の膨らみと一定のビートで魅せられる一曲。

歪みのリズムギターとアスピリンの様に目の冴えるギターソロ、怖いほど一定のリズムで歌う様に支えるベースライン。

ナチュラルなドランキーさが癖になるキラーソングだ。

 

3.'Sweet16' Uno!


Green Day - Sweet 16 (HD Quality)

超メロウなキラーロックンロール。

ノスタルジーでスウィートなサウンドに誰もが懐かしい光景を目に浮かべそうな故郷的な音。

磨き抜かれた歌としてのセンスが宿る恒久性、終わりが見えない程伸びやかに響く美しい歌声。

ナチュラルでテンダーな歌い回しのビリーは瑞々しくもどこか儚い。

4.'Stay The Night' Uno!


Green Day: "Stay The Night" - [Official Video]

聴いてると安心してしまう程、僕らに刷り込まれたグリーンデイサウンドの基本を抽出したポップロックチューン。

和音が印象的なチャイムのようなギターで幕を明け疾走するロックサウンドに甘い声と強靭なビート。ドライに見えてロマンチックな色めき。

お手の物感を存分に振りまきながら真摯にまっすぐと歌う彼らの姿、だから好きなんだよなと今何度目かにそう思わせる理由が分かる、グリーンデイの魅力の礎だ。

 

5.'Oh Love' Uno!


Green Day: "Oh Love" - [Official Video]

三部作のスタートダッシュを切った様な形になったシングル的な一曲。

絶妙な歪みのギターにスポットライトが当たる様なビリーのボーカルから花開くバンドサウンド。

アメリカン・イディオットからの最もロマンチックで絵になる形はやっぱり圧巻。

馬鹿でかいテーマを号砲的なアンセムサウンドに乗せる得意の形でも、曲に宿る感情を空へ空へと向けた開放感は彼らのアンセムの中でも特に清々しく響いた。

 

6.'Fuck Time' Dos!


Green Day - Fuck Time

名前の通りエロさ満天のセクシーガレージロック。

喘いでるようだったりへっへっへっと笑ったり、所々大げさなほどセリフじみた官能的なビリーの歌い回しにちょっと枯れた感じも味があっていい。

ディストーションの効いたメロディアスなギターサウンドの魅せ方も最高で腰をクネらせたくなるグルーヴは終始続く。

 

7.'Stray Heart' Dos!


Green Day - "Stray Heart" (Official Video)

ロックンロールの原初的ビート、グリーンデイがそれを振りかざすという喜びにまず溢れるクラシカルなロックンロールソング。

途轍もないクオリティ。

ロックだポップだ関係なくステップ踏んで踊り出したくなるリズムに頬が緩み、鮮やかそのものなビリーの声に心が鮮烈に染まる快感に嬉しさで胸いっぱい。

 

8.'Lazy Bones' Dos!


Lazy Bones - Green Day - Lyrics

少しダークなオルタナ的な音創り。

マイナーなインディーな音がそのまま渦巻き、光と陰を自在に行き来するブライトネスなビリーの声。

濃密な哀愁をポジティブに魅せるグッドグルーヴを産むベースとドラムの彩のある燦めきも味わい深くて、心がざわめいてその後深く染み入るメランコリックなドラマ性のある一曲だ。

 
9.'Ashley' Dos!


Green Day - Ashley - [HQ]

弾丸パンクナンバー。

暴風雨的なギターメロディー、この凶暴さが前面に出るときのセクシーさが彼らの大きな魅力。

Lazy Bonesから地続きのマイナーで不穏なメロディーライン、アグレッシブに振り切る様な高速ビートで目まぐるしくメロディーが吹き荒れる。

 

10.'Amy' Dos!


Green Day - Amy [Unofficial Video]

27歳でこの世を去ったパンクなソウルシンガー、エイミー・ワインハウスへ向けた曲。

ポツリポツリとアシッドで艶やかなメロディーと、まっすぐ彼女を称え親身で暖かみのある歌詞。

ビリーからすれば、シンパシーを感じる女性だったはず。

その想いを溢れてしまわないように丁寧に紡ぎ、涙を見せず笑顔で歌っているはずだ。

優しさと暖かみに満ちた圧倒的な包容力は、哀しみを癒やす音楽の美しさが凝縮されている。

忘れ難い人の忘れ難い歌。

 

11.'Drama Queen' Tre!


GREEN DAY - Drama Queen

アコースティック&メロウなミドルチューン。

皮肉の効いた褒め言葉らしいドラマクイーンという言葉を軸に、香り豊かなタイドなメロディーが爽やかに身体に纏わる感覚は悟ったように笑ってしまう程虚しくどこまでも優しい。

テンダーで暖かく、空気を震わせるシンガー・ビリー、ファルセットが震えるほどに美しい。

 

12.'99 Revolutions' Tre!


Green Day - 99 Revolutions (LIVE)

弾けるようにキャッチーなギターロック。

最も自然な必殺の形で多くのコール&レスポンスも巻き起こりながら、底抜けに明るい時代を超えセンチメンタルにグルーヴを乗りこなすヴィンテージな疾走感もあるのだ。

バンドグルーヴとグッドメロディーにのりギターを掻き毟る様なビリーの姿はとびきりアイコニックなままで、上唇を噛んでベースを弾くマイクにグッと来て、コミカルに煽りまくりながらノールックでドラムを叩くトレに微笑む。

色褪せない鮮やかさとヴィンテージ感を手にしたからこそ、きっと何年経っても彼らの必殺レパートリーにこういう曲は増えていくんだろう、そう願いを叶えてくれそうな一曲だった。

 

13.'Sex,Drugs & Violence' Tre!


Green Day - Sex, Drugs & Violence

スウィートバウンズポップパンクソング。

滑り落ちるようなサウンド&ボーカルは爽快ながらアンニュイさも含む。

バカな事ばかりやってきた現実を想い今を見据えつつ、ふと気持ちが軽くなったかのような閃きを言葉に込めて歌うのだ。

一歩間違えば哀しみが襲ってきそうなセンチメンタルも、ギミギミデンジャーのキャッチーさに僕らは何度でもファニーになれる。

 

14.'X-Kid' Tre!


Green Day - "X-Kid" - Album: ¡TRE!

きっと若い事の終わりを歌った切ないポップロックチューン。

歌ってしまった事への後悔ももしかしたらあるのかもしれない。

静けさの中にエモーショナルなエッジの火種を残し、失われる事への折り合いのつかなさ、やりきれないよなって想いを吐露する様に、でも悟った様に歌う。

頭の中は悩みで一杯で堂々巡りしていても、どっかの瞬間不意にほつれが取れる一瞬がかならず来る。

それはきっと何処かに消えて掴めないんだけど、すごく人生にとっては大切な瞬間なのだ。

 

無人島に持っていく3部作

無人島に持っていく1枚の第10/11/12弾は、Green Day 'Uno!' 'Dos!' 'Tre!'でした。

 

何処までもすっぴんのグリーンデイが艶やかにビルドアップされた3枚は、実は物凄くアクセスしやすいハートに近い所で鳴っている

そしてそれがグリーンデイっていうのは凄く嬉しい。

まだまだ紹介したいアルバムは一杯。

荷物が音楽でいっぱいになってもいいじゃないか。

 

それではまた別の記事で。