Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

The Raconteurs 'HELP US STRANGER'とロック音楽に想いを馳せる【ラカンターズ】

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ディスクレビュー!ジャック・ホワイト、ブレンダン・ベンソン率いるロック界の巨星ラカンターズが11年ぶりの3rdアルバムは、盤石で圧倒的なロックアルバム❕

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White Strypsで彗星の様にシーンに表れ、革新的で伝統的なロックを鳴らし天才の頂きでロック音楽を牽引し続けるジャック・ホワイトと、穏やかで甘い唯一無二の歌声と、オルタナティヴでナチュラルなメロディーを武器に活躍しているブレンダン・ベンソン

アメリカ南部、デトロイトが同郷の2人が、同じくデトロイト出身のGreen Hornsのリズム隊と結成したオルタナティヴロック界きってのスーパーバンド'The Raconteurs'

数十年前から瀕死だったロック界において、初期衝動的でありつつ異様な程のクオリティのロックを叩き鳴らし、2006年1stのリリース直後からそのオーセンティックさで圧倒的な支持を獲得する伝説のバンドに瞬時になった。

2008年2ndの名盤ぶりも今でも記憶に新しいロックファンは多いが、その後は各々の活動に戻り、その2枚のアルバムを残しラカンターズはもう伝説のまま額縁に入れられたのだと思っていた。

当時ライブに行きそびれた僕は、また一生見れないバンドが増えてしまったと、ヘヴィにラカンターズを聴きつつ悔やんだ10年間を過ごしていた。

 

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そんな2019年初め。

突然シングル曲をリリースし、更には単独公演決定&NEWアルバムも制作というニュースが飛び込んできた。

声にならない声を上げ、嬉しさを抑えきれない日々を過ごし、圧巻のライブを会場で見れた事は早くも今年1番の思い出だ。

そのライブでも何曲かこの3rdアルバムからの楽曲も演奏していて、このアルバムのリリースもめちゃくちゃ待ち遠しかったが、ついに6/21にリリースされた。

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超強力なロックアルバム。

その強烈であり味わい深い印象は1stとも2ndとも何も変わっちゃいない。

彼らのルーツであるアメリカの南風に乗せた、荒野の真ん中でどこまでも空気を切り裂く様なギターは、一発でこれがロックなんだと分からせるアジテートだった。

まるでロックの無い世界の荒野で彼らだけで鳴らしているようで、都会の真ん中でAir Podsで鳴っている事に全く違和感のない、超越的本物感。

ロックが終わっちまうんじゃないか、と不安になる昨今、このアルバムは大いなる勇気をあまりにユージュアルにくれたのだ。

そんなロックアルバムに想いを馳せます。

 

 

The Raconteursの2ndアルバムに想いを馳せた記事はコチラ

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The Raconteurs 'HELP US STRANGER'

 


The Raconteurs - "Help Me Stranger" (Official Music Video)

あまりにもナチュラルに聴きやすく、それでいてロックならではの鳴りと揺れのグルーヴを醸すタイトルトラック'Help Me Stranger'は、日本の千葉のレトロな街でMVを撮ったらしい。

このメンバーに街で会ったら顎外れるくらい口が塞がんないだろうな。

そんなチープな想いを馳せたくなるくらいナチュラルに、ロックのアンナチュラルが響くから、このアルバムはモダンで全時代的なのだ。

 

ロックが終わるかもしれない時、救世主は人知れず現れる。

それが彼らと言ってしまうのは簡単だけど、それさえ彼らの的を射てないんではないか。


The Raconteurs Perform 'Bored And Razed'

確かに、無骨さとモダンさを同居させたオープニングトラック'Bored And Razed'の様に、引力は抜群。

無骨なほど即興的でありながら、激しく甘い。

彼らの表現力の高さとカリスマ性が、余りにレベルの高いアーティフィカルなものになって、ド迫力の音圧と同時に耳を掴む。

この堂々としたロックのパワーを、彼らはあまりに自然に慣らしてみせるのだ。

 

ロックが瀕死だとか、そういう切迫感はない。

アメリカ南部のデトロイトでロックを聴いて育った彼らには、余りにも普通で世界でロックが終わろうと、俺達はこれを選ぶけどね、っていう超自然発生的な余裕がある。

元々ラカンターズというバンドもそういう側面がある。

ジャックとブレンダンの気ままな創作から、あらゆる事が形になっていく初期衝動的な楽しさ。
だからこそお互いが火が点いた時の振れ幅はとんでもないし、ラカンターズをそういうバンドだと初期衝動・2ndを経てわかっているからこそ、ジャック・ホワイトはソロの曲作りの際にラカンターズの為に残した曲もあったらしい。
 
ロックの楽しさが詰まったリフに、着いてこい歌おうぜっていう挑発的でセクシーなボーカル。
穏やかに破顔的な展開の中で、サイケに燃え盛る瞬間を自然に盛り込むバカ格好いいメリハリを産むシングルトラック'Sunday Driver'の様に、時代に背きすぎて奇を衒う事なんか一切なく、堂々と圧倒的に制されてそして自然と捻られたロックが鳴るのだ。 
 
耳に飛び込んでくる鮮やかなツインボーカルは挑発的で絡みつくセクシーさ。
お茶目なブレンダンと、ちょっとぶっ飛んだジャック。
どのメンバーも千葉の町中にいたら、えっ?と振り返るオーラ。
曲に合わせて姿を変えるギターサウンドとの、美麗なハーモニーの音楽的興奮と爽やかさはここにしかないと確信できる。
オーセンティックなレトロな趣向があって、泥臭くも鮮やか。
決してポップではなくとも、ドンっとパワーのあるメロディーになる。
彼らの魂が、本質がロックにあるのだ。
それをこの達人達が、カントリーもブルースもプログレもサイケも、ギターもピアノもコーラスも、あらゆる深みを使って、ストレートにロック方向に混ぜ合わさった至高の1枚。
今回も冴え渡ってる途轍もないケミストリーは、ロックがこの世から無くなろうが、こここそロックの宿る場所として残り続けるのだ。
 

ロックとは

何回目かのリピートを終えてふと思うに、ロックは酒みたいなものだ。

組み合わせたらカクテルになるし、そこは甘いも激しいも自在だ。
独創的な料理の元になることもあって、でもどんなに形が変わっても、それを感じることが出来る。
そして通な奴ほどそのまま飲むのだ。
国が禁止しようが、誰もが隠れて飲んでいた。
 
それこそジミヘンが、ジャニスがそうだったように、そんな魅力とシンクロするような色気が、このアルバムにもあるのではと思うのだ。
是非聴いてみて下さい。酔えるぜ。
 
それではまた別の記事で。
 
HELP US STRANGER

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