Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【忘れたくない選手】フェルナンド・トーレスに想いを馳せて‐不器用な神童は不敵に笑う‐

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君こそヒーロー フェルナンド・トーレスに想いを馳せる

2019.6.21 リライト

スポーツには浪漫が欠かせない。

六角形のグラフで能力を表した時、綺麗な六角形を形成するよりも、尖ってる歪な形の方が浪漫を感じるのは、スポーツファンの冥利に尽きる。

そして能力的に疑問は全くなくとも、実際の結果はそうは行かない事もある。

それも実に浪漫である。

そういう選手は、普段やきもきもするが、その反動もあって大きく花開いた時は忘れ難い輝きを産む。

彼の実力をすれば当たり前だ、いやそれでもすげぇ。

そんなFWが点を重ね続けた光景は、死ぬまで忘れない鮮やかな光景として残ってる。

今回はそんな思いを抱いたFWに想いを馳せる。

 

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10代からスペインの神童と呼ばれたフェルナンド・トーレスは、数字でも印象でも測り難い選手だ。

ポテンシャルからすると、及第点なのか?というどうにも測り難い成績が続いたり、時

折見せる絶好調時のプレーからすれば、何試合かゴールのないトーレスはゴール前で散

歩してるだけの様にも見えた。

不安定というか、不器用なんだろう。

プレーヤー的には器用な方だ。

点取り屋としてオーソドックスにバランス良く全ての能力を兼ね備えている、だが僕ら

にはわからない、もしかすると本人にもわからないほんの些細な綻びからその能力を発

揮出来ない事に陥る。

ただそれがハマった時は、君こそヒーロー状態だった。たぶん一生忘れない。

いつまでも垢抜けない様に見えるつぶらな瞳は、ナイーブで頼りなくもあったり、颯爽

とした不敵さに満ちていたりして、見続けていると吸い込まれるような得も知れぬ魅力

に溢れている。単に顔がいいだけじゃないぜ

それを人は浪漫というのだろう。

本日はフェルナンド・トーレスに想いを馳せる。

 

 

似たようなお話レコバはこちら

www.footballsoundtrack.com

 

神童の経歴

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1984年スペイン・マドリード生まれのトーレス。

最初にアトレティコでプロ契約をしたのは、1999年わずか15歳の時だった。

恵まれた体躯、圧倒的なスピード、ずば抜けたゴールセンス、更には甘いマスクも相まってアトレティコ・マドリードは、新しいクラブのバンディエラを15歳のトーレスに託す事を早々に決めた。

15歳のカテゴリーで欧州の年間最優秀選手に選出された神の子の前途は、見た事がないような歴史的なものになるとスペインの誰もが予測していた。

 


Fernando Torres ● All 100 Goals for Atletico Madrid ● HD

 

当時2部だったアトレティコで17歳でデビューを果たし、一部昇格を果たすとその2年目には、なんと19歳にしてキャプテンマークを巻く。

チームからの桁外れの期待を腕に、重要な試合でのゴールや、好調時の爆発力で存在感を強め世界トップレベルのプレーの片鱗を見せ始める。

レアル・バルサと共にリーガ三強と呼ばれた80年代を取り戻すまでには行かなかったが、それでも苦しい戦力の中、少ないチャンスでゴールを重ねたトーレスにサポーターは再建の象徴として希望を抱いていく。

好不調の波が大きい事が珠に瑕だったが、若さ故の限定的な問題であると思えたし、なんだかんだ1シーズン15得点前後を重ね続ける成績は十分だと言えた。

 

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チームとしてのアトレティコは、多くのチャンスを生み出すチームではなかった。

チームの顔として引っ張っていたトーレスのプレーとは、一種の歪みすら感じられることも多かった。

ゴールを速く直接陥れられるプレーの質を持つトーレスだったが、そのトーレスと噛み合わずパスラインが繋がらない事もしばしばだった。

見方によっては歴史は繰り返す的、神童の凋落に有りがちな、象徴的な孤立という自体はもうそこまで迫っているようにも見えた。

中位以上には成績を上げられず、ジレンマを感じる事が多くなり、前線で独りの時間を過ごすことが多くなったトーレス。

そう見えた2000年代中期、スペイン代表や欧州カップで国際舞台を経験したトーレスが外の世界にも目を向けだしているのは、まことしとやかに報じられ始めた。

 

アトレティコは断固として移籍をさせないという構えを見せたが、彼の元へと届くオファーは日に日に増えていく。

クラブも最適な判断を下さないと時を逃す。

何度目かにもなったレアルとのマドリード・ダービーでの敗戦でトーレスの心も動き、2007年オフ、フェルナンド・トーレスはイングランド・プレミアリーグの強豪リバプールへと移籍を果たしたのだった。

 

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当時世界最高峰の絢爛を誇っていたプレミアリーグ。

リバプールもビッグ4に名を連ね、チャンピオンズリーグにも顔を出す欧州の強豪であり、歴史ある情熱的なチーム。

ここでのトーレスの活躍は、例えば1‐2シーズンの活躍のみで切り取ったフットボール歴代のベスト11を選ぶなら、リバプールのトーレス、という存在は確実にノミネートされるだろう。

そんな唐突で予想以上の大爆発だった。

 


ALL Goal of Fernando Torres at Liverpool

 

最初のシーズンで外国人シーズン得点記録を抜き去るリーグ24得点を記録。

連続ハットトリックや、8試合にも及ぶ連続得点など、ド派手なインパクトで、あっという間にリバプールのアイドルとして歴代のレジェンド達を抜き去る印象的な活躍を見せた。

C・ロナウドやセスク・ファブレガスなど巨大な成績を残す外国人選手に成績面では一歩見劣りするが、リバプールという浪漫志向でアツい魂を持ったクラブのニューヒーローとして絶賛される活躍を残したのだ。

 

体感的にはまるで一夜にして成した成功物語。

これぞ、アトレティコ・マドリーが契約した時に、人々が彼に見た未来の最高の形だった。

そんな浪漫的な夢が叶うという現実は、強烈に人々の胸を掴んだ。

彼に合っていたイングランド・フットボールの質、そしてシャビ・アロンソの様な彼に合うパサーの存在も大きく、結果的に当初は懐疑的だったトーレスの獲得は歴代に残るケミストリーを発揮したのだった。

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その後のシーズンは、怪我もあり全試合出場とは行かなかったが、得点率は異様とも言える高さで、鮮烈なインパクトを残し続けた。

結局所属した3シーズン半、出場した6割の試合でゴールを決める得点率を残した。人々の目にはその成績以上のインパクトが残る、会心の時代を過ごしたのだった。

莫大な報酬とともに次に過ごすクラブ、チェルシー・ミランでもここまでのインパクトは残せていない。

不調が長く、クラブとしてもワーストな成績に名を連ねる事もしばしばだった。

確変だ、とリバプール時代を揶揄する声も出ていたが、彼のプレーの中に成果を残した成功体験として残った事で、その先のキャリアでも、勝負強さを放った瞬間があった。

不器用なりにも、したたかに不敵にゴールを陥れた後に見せた笑顔は、現実離れしているようなリバプール時代を経たからこその、味のある表情だった。

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古巣のアトレティコに戻り、シメオネ旋風に湧くチームをベテランストライカーとして支え、日本中が沸いたサガン鳥栖への移籍で夢を与えてくれ、2019年シーズン途中に引退を発表。

全然変わらないあどけない瞳の奥には、不敵さが煌めき、頼もしさが増したようにも見える。

最後まで頼もしくなったと、言い切れないような雰囲気が、また浪漫があっていいのだ。

 

プレースタイル

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典型的なストライカータイプの選手と言っていい。

パス回しや組み立ての部分には参加せず、前線から下がることはなく、常にDFラインと駆け引きをしてプレッシャーを与える事が出来る根っからのFWである。

 


Fernando Torres ● The Legendary Liverpool's Number 9 ● Best Goals & Skills for Liverpool | HD

 

ストライカーに必要な能力、すなわちゴール前で必要なスキルを全て高水準で備え、それを見せびらかすと言うよりは、じっくり牙を研ぎながら躍動する瞬間を待ち続けている選手だった。

ずば抜けたスピードをベースに、長い脚のストライドを活かしたボールタッチは、最短距離に最速でゴールへ迎えるアイディアに満ちている。

長身でしなやかなフィジカルで、シンプルにボールを収めるポストプレーも十分に機能する、しかしそれも彼がゴールを陥れる布石であり、瞬時に反転しDF置き去りにすることが最大の狙いだ。

とにかく、ゴール前で行う全てのプレーがスピーディーに、直接的にゴールを目指せる、不可能に近いスキルを持ち合わせていたのだ。

 


Fernando Torres vs Germany

 

そういう能力を90分間で一度だけでもいい。

見せてくれれば、チームを勝利に導ける。

ただ歩いたり止まったりを繰り返しているように見えるが、どんな状況でも常にゴールに直結するタイミングで動き出している。

だからこそ大舞台での集中力がケタ違いに恐ろしく際立った。

チャンピオンズリーグやW杯という大舞台では、必ずと言っていいほど複数ゴールを重ね、ユーロでは優勝を決める歴史的なゴールも奪った。

ゴールを奪うための集中力を切らさずに、駆け引きを続ける天才性は、賞賛に値するだろうと思う。

 

不器用で愚直なFW

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FWというポジションでフェルナンド・トーレスは愚直に戦い続けた。

駆け引きを続け、技術を見せびらかす事はせず、職人の様にゴールを狙い続ける。

結果的にインポッシブルなスマッシングゴールが多く、鮮烈に輝くが、その裏には数多くの孤独な時間を過ごしている。

繊細なバランスでソレ以外が出来ない不器用でも、そこに居続ける事が彼には最適だった。

おそらくだけど、彼のためには彼の為のチームを作るって事でもないんだろう。

全体の些細なバランスですら、彼に作用するのだと思う。

ただそれでも、彼がゴール前にいるだけで、そこを目指して攻撃をしたくなるのだ。

それだけの輝きを見ているから尚更だ。

世界一ロマンを抱えた不器用なFWは、ピッチを去る決断をした。

凄くオルタナティヴな存在で、どんな選手よりも点を獲ったら嬉しい選手だった。

 

【Football soundtrack theme Fernando José Torres Sanz】

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