クリス・コーネルを偲ぶ
ご覧いただいている皆様ありがとうございます。
yellowScaleです。
久々の文章になる。
平日の休みを使って旅行行ったりなんなりして、随分と文章を書けていなかった。
その話も含めてこれから少しずつまたペースを戻して書いていきます。
さて、まず想いを馳せたかったのがクリス・コーネルについて。
Soundgardenのボーカル、前日までライブをしていた5/17、52歳でその生涯を閉じた、現代の誇る偉大なロックシンガー。
訃報はいつも急である、当たり前の様に。
情報のスピードが早い現代、数々の追悼の意が世界中で取り上げられる。
その死を受け入れない、って事は出来ない以上、語り継ぐのが大切な事なのだと、次々と灯篭の様に灯るニュースを見て思った。
Web上の文字だろうが、想いがそこにはあるのだ。
今日はクリス・コーネルを偲ぶ。
ロックの殿堂的バンド 世界を掴んだ声
クリス・コーネルは1964年生まれ、1980年代後半にSoundgardenを結成し、1990年代グランジムーブメントの中でも飛びぬけた存在感を放ち、グランジが終焉した後もその存在感を増し、世界的にも大きく成功した現代最高のロックバンドの一つとなった。
Nirvanaのカート・コバーンがこんな奴らに適うわけないと、彼らを評したのは有名なエピソードだ。
今でこそ、諸々の情報を知ってはいるが、初めて聴いた時はそんな事は知らずに聴きだした。
僕の世代くらいの人からすれば、Nirvanaからグランジという時代を知り、そこから掘り下げて行く内にぶち当たる大きいバンドがパールジャムだったりフーファイターズだったりと、今この世を席巻する殿堂的なスーパーバンドなのだということを知る。
クリス・コーネル率いるサウンドガーデンも僕からしたらそんな感じで初めて手に取ったんだと思う。
Soundgarden 'Spoonman'
すごい重力のサウンドと、さらにそれを抑えつける様な低いグルーヴに、激しく叙情的なギター。
重く黒い荘厳さを感じるイメージでも、ヘヴィなだけの重苦しさだけでないロックのキレ味とスイング感をもった世界を制する音を彼らは持っていた。
その先頭を奔るのがクリス・コーネルの声だった。
その強靭な存在感は一気に彼の名前も共に耳に刻まれる程、記名性が強く凄い引力だった。
艶やかで男らしく、抜群に上手い、それだけじゃないドラマチックな声。
そこに僕は魅せられた。
Soundgarden 'Black Hole Sun'
どんな音も苦しそうにする低音でも、微塵も意に介さずクールに漂う様な歌声。
お互いが全く違う存在感ながらヘヴィなグルーヴと響き合い、火花の様な煌めきが暗い音の中で所々輝く。
そうかと思えば、その火花の1つが急に閃光の様に花開き、低い声から高音の叫びへと変貌を遂げる。
スリリングに壊れそうな高音でも、しっかりと響きを維持して、撒き散らす様でありながら次第に音の重力に引き寄せられて抱擁感のある音空間を作るのだ。
その途轍もない音域は不可侵の領域であったが、それ以上に彼の声はドラマチックさがあった。
Soundgarden 'Fell On Black Days'
Soundgarden - Fell On Black Days
男らしくも艶やかで、毅然としてるけど捻くれてる様な、2面性が相反しながら危ういバランスを保ち、それが力強さを感じさせる声は、何ともロック的なボーカルであり世界を掴み取った声となった要因だったのだと思う。
胸を震わせるような重低音が心を洗い流し、その後澄んだ所に火をくべて炎を起こすような激情的な高音。
高低・静動が幾重にも重なった美しく重厚で僕らを導くような声は、数々のロックシンガーの歌声が収録されている僕のipodの中でも、唯一無二の熱量がある王者の声だった。
今は彼の声に身を任せて、心に火を灯して、語り継いでいく事が、ロックファンとして喪に服するという事。
ご冥福をお祈りします。