Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【今月の新譜】Hi-STANDARD "The Gift"&"Live at AIR JAM 2000"

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一生、味わえる事がないと思っていたハイスタの新譜が、いよいよ手元にきた!

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今月最初の新譜レビューはもちろんハイスタだ。

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昨年のシングルから約1年、復活のエアジャム2011から6年、最後のアルバムから18年。

1987年生まれの僕からすれば、絶対に起きる事がないと思っていたハイスタの新しいアルバムが今手元にある。

ギフト、と名付けられたアルバムは、ハイスタらしいファニーな贈り物であり、発売に到るまでも、「そう来たか!」と一杯食わされ同時に「ハイスタらしいな」という暖かいノスタルジーを感じられる仕掛けが多くあった。

極めつけはアルバムと同時に店頭のみで無告知発売となった活動休止前最後のAIR JAM2000のライブDVD。

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全く新しく輝くアルバムと当時の輝きの最後の瞬間を収めたDVD、18年の時を跨いだ2つの結晶を同時にリリースした事は、The Giftのオープニングトラックに込められた想いが感じられた。

この2枚に触れなきゃ、今年は語れないだろう。

今、ハイスタの新譜に想いを馳せる。

 

Hi-STANDARD "The Gift"

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THE GIFT

THE GIFT

 

昨年のシングル”Another Starting Line”とカバーシングル”Vintage & New, Gift Shits”からこのアルバムには一切楽曲は入っていない。

全くの新曲でボーナストラックを合わせると16曲。この時点でこの上ない贈り物だ。

ハイスタとは何か?という音を突き詰めたよりは、3人集まって出て来たアイディアをナチュラルにフラットに広げていき、それを怒涛の勢いでバンドサウンドにした様な、厚みを感じる音。

難波が持って来た鼻歌からケンがギターで拾って、徐々に大きくしていく。”Making the Road”の時は突っぱねていたアイディアも、今回は一度こねる事を忘れなかったそうだ。

それでもミックスする作業は妥協せず、相棒ライアンとデータでやり取りをしながら納得のいくまで、今のハイスタパンクを求めた様だ。

 

1曲目の”All Generations”から彼らの想いが溢れる。

エピックなパンクギターから速くラウドに、まるで”Growing Up”の時の様にショートなトラックを怒涛の勢いで鳴らす。

「ハイスタ世代」なんて言葉はない。そう言わんばかりに全ての世代でノるハイスタサウンド。一曲目から言ってほしい事、痒いとこに手が届く事を言ってくれる幸福感。

その上で”ステージにいるのは同じあの3人組”という自負も歌う責任感すら感じる。

 

タイトルトラックの”The Gift”は巨大なバンドスコア広告でも話題になった贈り物。

実際に聞くと重みのあるリアルなパンクサウンドでじっくりと聞かされるメロディー。


Hi-STANDARD -The Gift(OFFICIAL VIDEO)

待ち焦がれた僕らへのメッセージは、タイトでビリビリと痺れる様な18年分の重みも感じるメロディックでハードなナンバーだ。

結果、何年経とうと僕らが待っていたのはパンクロックで、そういう思いのつまった曲も多い。

”Can I Be Kind To You”の様に”パンクロックを教えてあげるよ”って歌もあれば、エピタフばりのストイックなハーモニーのメロコア”Punk Rock Is The Answer”もそう。

しっかりとパンクロックというワードを出しながら、それを2017年の今考えるという事。一緒にそれをハイスタとやろうって事だ。

ディアマイフレンド的爽やかさを感じる”We're All Grown Up”というアンセムから、このアルバムも制作が加速したというエピソードが表しているのも、時が経った事をもう一度認識する作業を、エアジャム2011からの6年間で経てから、それを歌にして相応なアンセムに出来たことから決壊する様に怒涛のアイディアが出て来たんじゃないかとさえ思う。

ステイゴールド2はこのアルバムにはない。

90年代は90年代だ。

音楽を鳴らすいろんな手段も方法も増えた今、それでもハイスタの音楽は胸に響く。

若さを振り切った爆発力よりも、幅広いファンへ向けたハイスタのサウンドは、大人になってもパンクロックができるという証明に他ならない。

色んなやつが聞いて、色んな感想を言うだろう。そういう光景がリアリティ溢れるパンクロックってことなんだろう。1987年生まれ少しずれたハイスタ世代の僕はそう思った。

 

トラックリスト

1.All Generations

2.The Gift

3.Can I Be Kind To You

4.Going Crazy

5.Time To Crow

6.My Girl

7.Hello My Junior

8.Big Ol' Clock

9.We're All Grown Up

10.Punk Rock Is The Answer

11.Pacific Sun(Instrumental)

12.I Know You Love Me

13.Bridge Over Troubled Water

14.Free

15.Friend Song

16.Cabbage Surfin'(Instrumental)

 

Hi-STANDARD "Live at AIR JAM 2000"

Live at AIR JAM 2000 [DVD]

Live at AIR JAM 2000 [DVD]

 

この頃には、もう活動の凍結は決まっていたのかもしれない。

ステージ横からの映像で、数々の関係者と個々に言葉を交わしながら、どこかピリッとした空気の中、出番を待つ姿。

圧倒的な数のオーディエンスの声援の中、3人で言葉を交わす事は特になく、普段通り、と心を塗り固めた様な緊張感がある。

そういうしがらみを思わせるには十分な映像から、一瞬で沸騰するライブのシーンへ。

アンコールを含め全12曲。ほぼMCはなく強張った表情でスイッチが入ったまま突っ走る閃光の様な時間だった。

’Stay Gold’に始まり、’Standing Still’や'Starry Night'、’Teenagers Are All Assholes’、’Brand New Sunset’のMaking The Roadからのナンバーを中心に、'Can't Help Falling In Love' 'My First Kiss'のカバー。

更には’Summer Of Love' 'Maximum Overdrive' などのハイスタクラシックナンバーも披露し、最後は’Mosh Under The Rainbow’で終わる。

 

本当に楽しそうなオーディエンス。

ちょっとそこにいられないのを悔しくなる様な、偽りのない笑顔。

年も性別も関係なくみんなで肩組んでMosh Under The Rainbowを歌う。

この幸せの瞬間があったから、僕にまで語り継がれたのだと思う。

 

演奏にはギクシャクした感じはない。

Maximum Overdriveのジャンプのシーンなんて最高だ。

それでも言う事に詰まって訳わかんない事を言う難波、いつもより真剣な眼差しのケン、淡々としているツネの姿も普段よりもそう心がけている様に見える。

曲の合間、つぶやく様に難波が”やっぱり楽しい”と言った様に、解散寸前という事実を感じられるシーンもある。

鬼気迫る感じすらある圧倒的な演奏、声を絞り出す様な叫びにも、唯一無二な伝説らしさが宿るのも、そういうバックボーンがあるからだろう。

 

僕に取ったら2011年以降のライブしか見ていないワケで、当時と変わらない姿なんだと思っていた。

でもやっぱり若くエネルギッシュなパフォーマンスは、パンクロックの鮮度を強烈に感じたライブ映像。

この余熱は今でも色あせず、僕らを沸騰する何かエネルギーを持っているのだ。

これは一家に一枚だと思う。そして観た後"The Gift"の感慨深さと、変わった部分変わらない部分に想いを馳せるのも、本当にいい時間。

まさしくハイスタ漬けにされたこの2つのリリースは、今年最も大きな贈り物だった。

 

トラックリスト

1.Stay Gold

2.Standing Still

3.Summer Of Love

4.MY FIRST KISS

5.Starry Night

6.Making The Road Blues

7.Brand New Sunset

8.Teenagers Are All Assholes

9.Can't Help Falling In Love

10.Turning Back

11.Maximum Overdrive

12.Mosh Under The Rainbow