Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【ディスクレビュー Weezer】雨と夏とWeezerのブルーアルバム【無人島に持っていくCD】

広告

無人島に持っていくならどのアルバム?番外編

今、この夏に聴きたいWeezerのブルーアルバムに想いを馳せる

f:id:idwcufds:20180708235148p:plain

無人島に持っていくシリーズ番外編
新譜のレビューはやっていたけど、それ以外にも心に刺さったアルバムは山ほどあるのだ。
音楽友達と良く酒飲みながら話すネタ、無人島に持っていくならどのアルバムを持っていく?という話題。おもしろかったので記事にしました。の番外編
 
何故番外編かと言うと'そりゃそうだろ'ってくらいの名盤、Weezerのブルーアルバムだから。
持っていくのは当たり前の一枚。
水より先にバックに入れる気概くらいはある大好き極まりないWeezerのフェイバリットアルバム。
Weezerのバイオグラフィーの中でのみならず90s以降のパワーポップ・オルタナティブロックシーンにおいても金字塔として大きく認知され、オルタナロックの踏み絵的な入門的なアルバムにもなるし同時に完成形として到達したサウンド・デザインの鮮やかさもある。
何かとヘンテコに始まったこの夏、知り合いの女の子も街行く女の子も可愛く見えてぼーっと空想がはずんでしまうのは、きっとこのアルバムを聞いているからだ。
今回はWeezerのブルーアルバムに想いを馳せる。
 

Weezerに関する雑記はコチラ

www.footballsoundtrack.com

無人島に持っていくCDシリーズはコチラ

www.footballsoundtrack.com

www.footballsoundtrack.com

www.footballsoundtrack.com

Weezer 'Weezer'(Blue Album)

f:id:idwcufds:20180709203450p:plain

□iTunesダウンロード
Weezer

Weezer

  • ウィーザー
  • ロック
  • ¥1400
□Amazon販売
Weezer

Weezer

 

 

1994年、このアルバムがスマッシュヒットし独自で確かな路線を確立したWeezerは、未だロックシーン最前線で活躍し続ける90sレジェンド組の中でもトップクラスの存在で有り続けている。

ロックスターになりたい、と田舎から出てきたリバース少年の夢は1stアルバムにして叶い、その後想像もしない程良い事も悪い事もWeezerに降りかかるのだが、そのうちの良い事の一つはこのアルバムがロック界でも最高レベルに大切にされる心よりの名盤となった事だ。

 
冴えない4人が全くドヤる事無く只々はにかんで並んで立ってるだけ。
今考えればWeezerのキャラクターを象徴するようなジャケットで、そこから生み出される音楽的パワーの大きさも大きなギャップがある、デザインのみならず稀代のジャケットとなった。
本来のアルバムタイトル名はバンド名と同じセルフタイトルアルバム'Weezer'だが、その後セルフタイトルを出しまくる事になる彼らは、色で違いを出しこのアルバムは’ブルーアルバム’という通称で親しまれている。
 
憂鬱のブルー爽やかな空色どちらにも見える青色は、全く同じ色だからこそ、
胸の中の感情が明暗どちらにも転がりながらオルタナ性を持って映える。
1stにして彼らの未来すら撃ち抜いたそのサウンドスタイルでもあり、今でもWeezerの新作が出るたび、どれほどまでにブルーアルバムに近いのか、を期待している古参のファンも多い。
更には少しでも憧れだった歌に近づきたい羨望とか彼らの音楽体験とかが結晶化し音化した部分もあり、過去も未来も捉えた稀有な欠片が彼らの青色に染まり、燦然と輝いた1枚だった。
 
完成形にすら思えた最も素朴でシンプルなウィーザーサウンド
もちろん時代に残るだけの一枚であることは間違いなく、ゴールドディスクを獲得したセールス面での成功以上に大きな衝撃をロック界に与え続けてきている。
ヘヴィなフックナードなメロウを含んだキャッチーなパワーポップメロディー。
心地よい重みのギターサウンドは常に漂い、音の甘さとハードさのダイナミズムは的確・重層的で、しかしながら完璧さよりも'ダサ格好良く’パトス溢れるメッセージ性が滲み出る音の親しみが、良い悪いよりも忘れちゃいけない大切なエモーショナルを産んでいるのだ。
リフもソロもメロディーもギターは常に主軸で眩しいハウリングすら心地良い。
もちろんシンガー、リバース・クォモのモラトリアムでエモーショナルな声がウィーザーのアイコンにもなって僕らの心の中心にいるのは間違いないし、最もピュアなリバースの声が堪能できる一瞬であることも間違いないのも大きなポイントだ。
 
何しろ愛すべき1枚なのだ。音楽的に優れたとかは、結構どうでもいい。
痒い所に手が届く事を言ってくれるんじゃなく、モワモワした誰の心にも宿ってる妄想とか幻想的な憧れを、彼らのロックで歌う事が、どんなものにも勝る瞬間なのだ。
ロック的にド贔屓目で見たくなる感情を呼び起こし、彼らはいつでもスペシャルな枠に押し上げる得も知れぬ魅力なのだ。
僕らにとってラッキーチャームでラッキーカラーだ。
誰でも元気になれそうなノリを超絶センチメンタルに。
ノー天気に爽やかにノるのもいい。
言霊にこめられたネガティヴなヴァイブを感じるのもいい。
そのどちらもってのがきっと正しい用法だ。
用量は制限ナシだ。いくら聞いたっていい。
どれだけヤな事あってもこれさえ聴いてりゃいい事ある。
そう心から縋れる1枚はなぜか、この1枚が浮かぶのだ。
 

全曲ソングレビュー

1.'My Name Is Jonas'


Weezer - My Name Is Jonas

一番最初、彼らと出会う時に流れていてしかるべきなファーストナンバー。

真っ青な背景に普段着でただ突っ立ってるの絶妙なキャラクター具合を尻目に、アコギから始まるイントロに大人しそうな印象の5秒後には振り下ろされるヘヴィなギターのヴァイヴの鮮やかなギャップ。

多分この左から2番目の奴だと、何となくわかる繊細でも生粋のロックナードっぷりを発揮するシンガーリバースの歌声は、爽やかでもブルーな影を帯びていて、それがジャケット写真とのギャップをなんか埋める様な妙に納得するキャラクター性が感じられるのだ。

どこまでも爽やかでもフックに次ぐフックをバキバキに感じ走り抜ける快感はここから始まった。

 

2.'No One Else'


Weezer - No One Else

懐かしさすら感じる鉄板なリズムのギターメロディーが疾走するポップロックナンバー。
開放的なダイナミズムのポジティブサウンドで恐れることなく歌に乗せ、僕以外に笑いかけない女の子が欲しい、と超絶ナードな想いを穏やかに吐露する。
濃密なセンチメントをどこまでも爽快に霧散させ、音楽の力にのせてこそ'気にして無いぜ'と明るく振る舞う様な、’超わかる’と親近感の結晶化したナンバーだ。
推進力あるシンプルで美しくもザラついたパワーリフの耳触りは抜群に良くて、抜けの良い溌剌さが湿気ゼロでやや切ないという、心もんどり打つ最高の湿度を生むのだ。
風に飛ばしたハズの僅かに残る陰りが、ラストのサビで決壊しそうでさらに魅力を高めるのも好き。
 
3.'The World Has Turned And Left Me Here'
壮大で穏やかなロックナンバー。
独特で心地良く体を震わすキックのビートに痺れる。
ヘヴィなリフで構成するメロディーラインと、メロウなギターの音色の綾が補完するように瑞々しく広がる風のようなサウンドは軽やかで暖かい。
いつまでも漂うメロディーに360度支配される感覚は、世界に取り残された僕らに優しく寄り添い、メロディアスで深みのある音は寓話的にすら思える。
優しく丁寧に歌い上げ穏やかに広がる歌声はセンチメンタルを堪えているようで、代わりにギターソロがこれでもかと泣くのだ。
終わりなくどこまでもリフレインされそうなサウンドデザインも、恒久的グリーンな様相で美しい、それだけフレーズが強い曲だ。
何か疎外感を感じる事があった時、パーソナルな想い出を呼び起こし優しく寄り添う大切な一曲。
4.'Buddy Holly'


Weezer - Buddy Holly

彼らが最初にブレイクしたファーストアンセム。

見れば見るほどそっくりなリバースとバティーホリー。

スクール時代にアジア人の彼女をバカにされた気持ちを歌った世紀のラブソングだ。

当時のウィンドウズのパソコンにサンプル的に入っていたらしい、それ程彼らは波に乗っていた。

ギターの重みに思いの丈を載せ、降り注ぐようなメロディーとコーラスのハーモニーが軽やかにパワーポップとしてまとまる強烈に眩しいポップネス

やりれなかった想いが今やアンセムになり、何回ライブをしてもこの瞬間を待っていたんだと想える、ナードな僕らと彼らの絆の曲でもある。

www.footballsoundtrack.com

5.'Undone-The Sweater Song'


Weezer - Undone -- The Sweater Song

デビューシングルでもあるキラートラック。

最初聞いた時の謎めいた迫力は今でも忘れない。

言われてみればサウンドも歌詞もWeezerらしく、わけわからない方向にトンがったエッジ。

淡々と進むビート、マイナーなギターメロディーは曇っていて少しで晴れそうなのか雨が降るのかわかんないのだ。

晴れ切らない憂鬱で同じタイプの人間の心を惹きつけるギターの音色の引力は凄いクレイジーマジカルポップネスを発揮するのだ。

再現VTRの様なパーティーの一幕のセリフパートから、段々とパワーを帯びて凛として叫ぶリバースの轟音ボーカルと謎に満ちた歌詞のヴァイヴはもはやアートの域に昇華してる。
狂気的な所まで一歩足を踏み入れる心情の変化を的確に捉え、憂いがさらに募ったような聴き終わり。

それでも謎めいた爽快さは残るのだ。

 

6.'Surf Wax America'


Surf Wax America By: Weezer

この歌があるから夏のウィーザーは侮れない。

ナードな彼らからパンクなセンチメントを送る屈指のサマーチューン。

波しぶきの様なサーフなギターメロディーは夏の間中頭に残るほどキャッチーだ。

複雑に跳ねるビートが加速し、引き付けてデカイ波に乗るスプラッシュ感もたまらなく夏だ。

サーフィンに行こうと臆面なく言ってみて、働いてる奴らを尻目に波に乗ってみたいとそんな空想が広がる。

まさにブルーな夏、どんなやつにも夏は等しくて偉大で儚いのだ。

叩きつける様なLet's go!で、ちょっと切なくなるのもウィーザーらしい。
 
7.'Say It Ain't So'


Weezer - Say It Ain't So

ウィーザー史上最高のアンセム。

オルタナロック界に残ったリフは何度も僕を切り裂いた。

アンニュイなメロディー、心地良くカチあげる痛烈なフック。

スリリングなまでにハイエナジーで、壊れそうなギリギリの抑揚は本当に美しい。

突き抜けたスケール感のサウンドと、細部の完成度の高いギターの掛け合い。

ウィーザーのスタイルが詰まったアルバムの中で異色で出色というか彼等のアンタッチャブルな一面が出た史上最高の一曲。

 

8.'In The Garage'


Weezer - In The Garage

口笛で吹きたくなるハーモニカで幕開けるウォーミングなパワーポップチューン。
ベースにドラムにリズムギター、震える地面を踏みしめたくなるほど心地いいGを感じる重低音。
ザラついて乾いたメロディー、終始軽やかなリバースの声とこの曲でも大きな役割を果たすコーラスも素晴らしい。
ドープにロックな一瞬は常にあって、サビでガレージから天翔けるメロディーの鮮やかさはアルバムでも随一だ。
素朴さに満ちたややロウなサウンドはガレージらしくいて優しくポップ、彼等ロックバンドとしての原初の光景が優しく脳裏に浮かぶ。
逆にこの曲がスタジアムで天高く舞う瞬間は痛快な光景だった。
 
9.'Holiday'


Weezer - Holiday

眩しいオレンジ色のギターが満面に広がるブライトナンバー。

もうこの辺でアルバムが終わってしまう悲しさもあるのだ。

美しく艶やかなギターサウンドが中心に、それでも安易な歌モノにしない、捻くれオルタナなデザイン。
メロディーが歪んで拗れて夕立の様に降りつけるノイジーなサビの終わり、転調後のジャジーな緩急も含め全体のデザインで骨太なエモーショナルを生む。

どこか彼らも、アルバムの終わりを予期しているような決壊具合は僕らにも響く。

 

10.'Only In Dreams'


Only in Dreams By: Weezer

アルバムのラストを飾る8分超えのロングトラック。

ぽつりぽつりとドープに弾かれるダークなベースライン、サラサラしたアコギはセンチメンタルに曲全体を包み、爪弾かれるメロディーはメロウに佇む。

難解ですんなりは理解できない歌詞ながら、夢の中でだけでしか会えない女の子への空想が渦巻く。

ラストトラックの本領発揮はむしろここからで、急に雨脚が強くなるようなサウンドのサビを超えると、コレ以上はないと思っていた以上に嵐のようなギターサウンドに包まれる。

変幻自在にしなり、ヘヴィにうなるギターを聴きながら、アルバムを振り返る時間。

形式的でなく儀式的に、もう最後まで聴いてしまう至高のギタートラック。

 

無人島に持っていく大好きな1枚

f:id:idwcufds:20180710205739p:plain

いつもお世話になってるアルバムではあるし、死ぬまで聴くと決めたアルバムでもあるが、何故か急速な勢いで聴いている今、想いを馳せたくなって今回記事にしました。

夏に似ている。爽やかで切なくて本当に寂しくなる様な聴き終わり。

いくつになっても女の子の事を考えながら、モワモワと想いを馳せる。一生男の子はそうであればこのアルバムはどこにいようが重要だ。

まだまだ紹介したいアルバムは一杯。

荷物が音楽でいっぱいになってもいいじゃないか。

 

それではまた別の記事で。