Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

Nirvanaによせて-今僕がニルヴァーナを聴き続ける理由-

4/5 ニルヴァーナに想いを馳せる

1987年生まれの僕は、今年の秋に30歳を迎える。
僕にとってニルヴァーナは物心ついた時には、もういなかったバンドだ。
 

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それでも以前書いた時に触れたけど、ロックなバンドを探してる道の途中に、必ずニルヴァーナは存在するのだ。
バンドの個性も音楽性もとっても好きなバンドだけども、僕はニルヴァーナ信者ではない
どっかの動画でネタにされてたけどニルヴァーナというとナヴァーナと訂正され、カートコバーンと言うとカートコベインと訂正される様な。
都市伝説的なユニークなネタかと思ったら、本当にそういう人に会ったからね。
 

ただ時が止まったバンドとして、レジェンドの殿堂入り的に自分的フェイバリットバンド集から外れてしまう様な感じも違うかなと思う。

例えばビートルズとかの様に、遠すぎるものでもない。

ニルヴァーナ好きって言うと、そこはかとなく信者感とミーハー感が出るのはなんでなんだろうか。

それでも僕はニルヴァーナってバンドが好きだ、そう言える様な文章を書こう。

今日はそんな日だ。

 

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1994年4月5日、23年前の今日。

カート・コバーンが27歳でその命を自ら絶ってから、時が止まったニルヴァーナの事を今、真剣に考える。

特別なバンドなのだ。ニルヴァーナに想いを馳せて。

彼らの曲と共に、読んでいただければ幸い。

 

Nirvana - Come As You Are

 

 

もういない事を強く意識した初めてのバンド

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僕が初めてニルヴァーナに触れたのは中学校の時に行った小田急沿線沿いの古着屋だった。
お古とは言え、安くパンチのある服を買える古着屋は、お小遣い制の中学生には最適のショッピングスポットというだけで、ヴィンテージの何かを求めていたわけではない。
 
西海岸ぽいTシャツの中に、裸の赤ちゃんが水中の1ドル札を笑顔で追いかける写真。
必ずと言っていいほどある’NEVERMIND’のアルバムジャケットTシャツ。
多分売れるんだろう。記憶は定かではないが実家にあったから僕も買ったんだと思う。
 
音楽を聞いている内にそれがバンドである事に気付き、何やら只者ではなかったという触れ込みの元、全くの予備知識なくNEVERMINDを買って聞いてみた事が僕のニルヴァーナファンの始まりである。
すなわちそれは、カッコよく言えばニルヴァーナが弾け飛んだカケラが東京の小田急線沿いまで届いたという事だ。
確かに店員さんはロック好きそうだったけども。
今日もその辺の中学生がそうやってアナログ的に音楽と出会っていて欲しいと願う。
 


Nirvana - Smells Like Teen Spirit

 

そうして僕はスメルズを聴き、リチウムを聴き、ブリーチこそ至高、いやインユーテロこそ究極、インセスティサイドも好き、みたいな状態にまでなる。
インセスティサイドのレビューした時も書いたけど、洋楽のロックを聴く道の途中には必ずと言って良いほどニルヴァーナがいる。
スマイリーの看板を掲げて気を引いて、歪み歪んだハードな燃える様な音で僕の身を焦がしていった。
 
当然この時にはニルヴァーナはこの世に無く、実際に見る事は叶わないんだが、その事実を初めて強烈に認識し、打ちのめされ、何故なんだと思った事は、カート・コバーンが初めてだった。
マイケルジャクソンよりも、プリンスよりも、ボウイよりも。
リアルタイムに飛び込んできたスターの逝去よりもカートの死というのは、僕の中に寂しさを残した。
ここまで寂しいのはノーユースフォーアネームのトニースライくらい。でも彼なんかは現役バリバリで全然手が届くところにいる所からこの世を去ってしまった。
カートコバーンに関しては、そういう感じでもないのに、何故なんだろうか。
 
カートについて溢れる文とか映像とかは今でも溢れてる。
注目度が高いんだろうし、そのカリスマ性を考えれば普通なのかもしれない。
死を暴くような行為は良くないがその生を僕らで噛みしめるのであればいいと思う
特に僕みたいなヤツは、彼の生を感じられていそうで、感じられていないのだ。
 
そういう背景もまた、ニルヴァーナを特別なものにしていく。


Nirvana - In Bloom

 

ニルヴァーナの時代

僕にとってニルヴァーナが特別な存在になったのは、カートコバーンの遺書を読んだ時。

 

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’徐々に色褪せていくなら、燃え尽きた方がいい’
ニール・ヤングのHEY,HEY.MY,MYの一節が良くクローズアップされる。
でもその全文には、音楽への喜びが無くなったこと、喜んでいる振りができない事、感謝と謝罪が書かれていて、そのピュアで清麗とした情熱的な文書は、同時にそれが遺書である事を強く認識させる重みがあり、この人がいないという事が急激に理解できるような、さっきまでフワフワしてたものが一気に常識になる怖さもあって、呆然と涙を流した。
なんとなくでしか知らなかったその消滅までの過程のその本質、それを一纏めにされた肉声はニルヴァーナを特別な存在にさせたし、カートの声にその瞬間から得体の知れない愛しさに似た感情を持ったのも覚えている。 
Hey Hey, My My (Into the Black)

Hey Hey, My My (Into the Black)

  • ニール・ヤング
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

 
1980年代のセルアウトし肥大化しビッグビジネスにもなったロックを嫌悪し、ハードコア・インディー・パンクに敬意を評し、その鮮烈な才能をラウドに鳴らすことで、カウンターカルチャー的に全世界に共鳴を起こしたニルヴァーナ。
売れてるけど今までと違う、それこそ至高のオルタナティブだったが、数々の軋轢を鳴らしてきたが彼らを、売れてるもの=死ぬべき、という最大の軋轢が襲い、その奇妙な状況な後の悲劇を産んだ。
死をほじくり返す気はないし、悲しい物語として伝わる事は否定しないが、それが彼らの音の温度に繋がる事がわかっただけでも、僕が彼らの音楽を理解する一端になった。
 
ここに違和感もある。
当時のバンド間がどーだとかは全くわからないし、それこそ昔の雑誌を引き出してそこまで考察してる人もいるけど、僕にはここの時点で十分だと思った瞬間でもあった。
当時、どう響いてたかもロック的にとても大事だけど、今僕らに聞かれるって事がとてもロマンがあってそれこそロック的なんではないかと、最近思うのだ。
 

ニルヴァーナの音楽

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彼らが成した時代、その時代よりも自分を形成する矜持に殉じたパンク的な生き様が、近代rockで言えば他に例のない特別な出来事なのは間違いない。
根本的にだが、人を惹きつけるその存在感の炎も、元をたどれば彼らの音楽から来ている。
 
ハードコア、ポストパンク、そしてオルタナインディーロック。それが弾けて混ざったグランジと言う時代を作ったニルヴァーナは、たったの3人だった。
その暗さ重さにとてつもない質量の炎があると思わせるバンドアンサンブル。
デイヴの暴力的でヴァイタルなドラム、ドープで不穏なクリスのベース、そしてカートのギターとボーカル。
ヘヴィでキャッチーな音楽をパンク的に鳴らすそのケミストリーは、暗く鈍い光でも多彩な表情を見せる。
 
'Smells Like Teen Spirit''Lithium''Very Ape'はその不穏さとラウドな音を、シンプルで耳に残る、すなわちキャッチーなリフで爆発させた。
ニルヴァーナを表す時にキャッチーと言う言葉に違和感を覚えるが、その奇妙な状態が奇跡の瞬間だったのかもしれない。
Lithium

Lithium

  • ニルヴァーナ
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

’School’’D-7’’Breed’’Blew’’stayaway’の様に、轟音の渦巻くギターで走り、攻撃性を加速させるアグレッシブで爆発的なドラム、その温度を上から塗りつぶすような超重力で自在なベース、それが生み出す真っ黒な炎を広げるようなカートの声。
このスリル溢れる中毒性を孕んだ破壊的なスピード感もニルヴァーナの必殺の型である。
緩急よりも明暗でギャップを創り出すサウンドメイキングも彼らに良く見られる刺激的な光景だ。
 
School

School

  • ニルヴァーナ
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

 

’About A Girl’’polly’’come as you are'’Dumb’の様にラウドさを一端置き、幽玄なアンビエントを基軸に、じっくり肌を震わせるようなヘヴィーさに美しいメロディーが漂う、ミドルチューンのナンバーも思わず引き込まれ聞き入ってしまう荘厳さすら持つ。

Polly

Polly

  • ニルヴァーナ
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

これらを組み合わせて絶妙なバランス感覚で曲を成した’Serve The Servants’’Heart-Shaped Box’、逆に暴力性をぶちまけるかのような’Negative Creep’、ユニークなリフと暴走気味のサウンドがまざる’Love Buzz’、ここまでのどれとも似つかない’Hairspray Queen’の様な奇怪な曲も、その全てが 思考よりも先に衝動に結びつくロックの快感を伴う音。

Serve the Servants

Serve the Servants

  • ニルヴァーナ
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

暗く僕らの頭上すれすれを滑空する様に、ヘヴィな重力で押さえつけられながら飛ぼうとする重苦しい不自由さもある中のこの上ない爽快感が、彼ら3人からは感じるのだ。

限りなく黒に近い色をしながら、一つ一つ確かに違う色をした曲達は、悠に時代を超えられる悠久の色彩を持っている。

 

今、ニルヴァーナと

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27歳になった3年前、カートコバーンの事をもう一度考えた。
そこでわかったのは、いくら理屈で理解しても、この衝動感はいつでもそれを凌駕してくる。それがこの上ない快感なんだと思った。
その音楽と、ニルヴァーナを今聞く事の意味は似ているのだ。
ニルヴァーナが哀しい悲劇で終わったとしても、その音楽の光量が凌駕する。
 
いまや勝手に少しの使命感すらある。
ロックを好きなら辿り着くべき場所であり、それは必ず理解できる衝動なのだ。
当時の事は詳しくはわからないけど、何千万という人に響いた純粋なロックは、途轍もない説得力とこれまたそれを凌駕する音楽的パワーがある。
 
ドキュメンタリーの一本でも見ないで、まずは曲を聴いてくれ。
彼は音楽家というかバンドマンなのだ、どのバンドが好きでとか、誰と仲悪くてとか、彼を語る誰かの証言とか、そういうのは少しだけでいい。
その音が今響く事を実感すること、それでいい。
奇跡みたいに捉える必要はないけど、時が経ってもとびきり特別な感情を起こさせる彼らは文字通り僕にとってスペシャルな存在であり続けるのだ。
 
大きすぎて、眩しすぎる。けど歳重ねるにつれてすこしづつ見えたような気もする。
それでも何も知らなかった頃の様に、あっという間に火をつけてくれる。
これがニルヴァーナを聴き続ける理由なんだと、そう思った今年の4/5だった。
 
ソングレビューは後篇で。