Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【無人島に持っていく一枚シリーズ9】Cage The Elephant 'Cage The Elephant'【ディスクレビュー】

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無人島に持っていくならどのアルバム?

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無人島に持っていくシリーズ9
新譜のレビューはやっていたけど、それ以外にも心に刺さったアルバムは山ほどあるのだ。
音楽友達と良く酒飲みながら話すネタ、無人島に持っていくならどのアルバムを持っていく?という話題。おもしろかったので記事にしました。のその9
 
今回は2008年発表のインディー・ロックバンドCage The Elephantの1stアルバム'Cage The Elephant'に想いを馳せる。
何故日本版のウィキペディアがないのだ
そう思うほど現在のロックシーンの最前線でヘッドライナー級になったインディー・ロックバンド、ケイジ・ジ・エレファントのデビューアルバムとなったセルフタイトルアルバム。
40年前のガレージパンクロックから90sのオルタナティヴロックすら鮮やかに網羅し、つい最近までのロックすら飲み込んだ突如として現れたロックンロールは、これが何だかは直ぐにはわかんない、でも好きか嫌いかで言うと超好き、そういう類のスティッキーなロックだった。
今回はCage The Elephantの1stアルバムに想いを馳せます。
 
 

他の無人島シリーズはコチラ!

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Cage The Elephant 'Cage The Elephant'

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Cage the Elephant

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Cage the Elephant

Cage the Elephant

 

 

2005年に結成したというCage The Elephant、敬虔なカトリックコミューンで育ったシュルツ兄弟と街の悪3人組がくっついて出来たというぶっ飛んだバンドで、でもライブを見てみりゃ敬虔な奴は一人もいないってほど傍若的でエネルギッシュなパフォーマンスで徐々にロックシーンの話題をさらっていったよう。

もともと別のバンドも組んで解散したりしてるアメリカのケンタッキー州出身の5人ながらイギリスのインディー・ロックシーンから火が点き2008年にはこのアルバムにも収録されるシングルでデビューし、同年'Cage The Elephant'を1stアルバムとしてリリースしたのだ。

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1stアルバムといいつつ、それまでのインディー活動のベストみたいな所はもちろんあって、近年は更に初期衝動と練り上げられた才気がいいバランスでミックスされている作品が増えている。

このCage The Elephantにおいても、1stの前からその才気は放たれている中それを結晶化したような1stアルバムだったわけだが、そういうバランス度外視でだからこそ天井知らずの圧巻の魅力にまみれたドロドロにかっけぇ1枚だったのだ。

 


Cage The Elephant "Ain't No Rest For The Wicked" Guitar Center Sessions on DIRECTV

 

パンク&ガレージなスタイルから地続きに奔放に繰り出されるスティッキーなロックは粘り強く僕らを掴む音楽的なフックとアイディアががちゃつき満載した眩しさがある。
頭のネジがぶっ飛んだ様なフリークアウトしまくったサウンドは、ロウなものでありなデザインは奇抜ながらロック的にはそれが的確で重層的
何より繊細に緻密に、とは言えない稚拙なものだろうと一切合切構わずに、ポジティブなヴァイヴを爆発させた真のロックエモーショナルが根底にあるのも大きかった。

 

 

マシンガンのようなヒップなラッシュはレッチリ的なそれ。

明らかにセックス・ピストルズのジョニーロットン的な瞬間もあるし、アークティック的なスタイリッシュな凄みもあるし、BECK?リアム?ジャック・ホワイト?とも想える瞬間が激流の様なサウンドの中で煌めいては流れていく、そんなボーカルのオルタナ性はハイパーフロントマン、マット・シュルツの凄い所。

とにかくスウィート&セクシャルで、デトロイトの熱風を感じるようなギターもあればスペイシーなグルーヴもあるサウンドの中でもアイコニックに光る。

演奏も歌も超個性的ながらロックの最強要素をまとめ上げたぼくのかんがえた最強のろっく。

キッズ的な拙さも思わせようが、彼らには片耳に入った批判ももう一方から出ていって全く気にしないでいられる才気が溢れている。

怪物性すら感じさせる真の雑多さ、ミクスチャーなオルタナロックの灼熱な高揚感はめまいを起こしそうな程なのだ。

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めちゃくちゃに聞いてると思い浮かぶのは、ケージの外から彼らがクレイジーに歌ってるのを見るんじゃない、いつの間にかケージに心囚われていて、ぐっちゃぐちゃのケージの中に入る勇気をくれてるようだということ。

些細なディティールを気にして飛び込まないよりは飛び込んだ方がいいとロックにはいつもお世話になっているが、どっかケージの外から見てるだけで満足してやいないかい?

像でも入れとけるでっかい頑丈なケージ、そうじゃないと彼らの音には耐えられないのだ。
そういうロック的な最強さがスティッキーに何度も僕の心を掴み、ぶち上がる高揚感とこうじゃいられないぜって焦燥感で僕を満たし居ても立っても居られなくする魅力がある。

 

ソングレビュー

1.In One Ear


Cage The Elephant - In One Ear (Live From The Vic In Chicago)

頭の中のコードを全て引っこ抜くエモーショナルブレイク型のオープニングトラック。

超絶ガレージながらアッパーでラウドフルに感情のタガを外す系の直感反応型のアンセム。

スティッキーでドライヴィンなギターの掛け合いのグルーヴが軸に、マシンガンみたいにサウンドとボーカルのラップになすがままな快感。

可能な限り爆音で浴びたいノイジーで粘り強い音、僕らの音楽を何と言われようと気にしない、片耳から入ったことはすぐに抜けてくんだ、前バンド時代の評論家にコケにされた経験を圧倒的な音でぶっ壊してきた。

とやかく言ってたやつが爆風でぶっ飛んでくようなイかれた爽快感でアルバムは幕を開けるのだ。

 

2.James Brown


Cage The Elephant (James Brown)

巨匠の名前を冠したロックンロールチューン。

怒涛のピアノサウンドとマットの声で咲き乱れるパンキッシュな音の動き。

ポゴダンス不可避のシンプルながらぐっちゃぐちゃの高揚感が、ピアノとギターのぶっ飛んだ高音で彩られて見るも鮮やかになる。

抑揚無視に最後の瞬間まで小突かれまくるサウンドはまさにガレージで心地いい。

 

3.Ain't No Rest for the Wicked


Cage The Elephant - Ain't No Rest For The Wicked

このアンセムこそ彼らをミステリアスでエクスタティックな存在にしている象徴的な一曲。

beck的なエレアコのギターの奇妙な調べから、パーカッシヴなクラッシュビートで、'罪人に休んでる暇なんてない、金のなる木なんてないよ。カネがいるんだ'と救い様のないリアルをストーリー仕立てで語る。

傍若的でスウィート、退廃的で浮遊感あふれて、ガチャつきながら鋭く心を揺らし、もう何だかわからないよって思いながら踊らされる。

最期まで爆発はせず淡々としたクールな質感がホットなサウンドの中でより無機質に響く。

 

4.Tiny Little Robots


Cage The Elephant - Tiny Little Robots - Track 4

ジャッキー映画の中国人のキャラクターみたいな掛け声から始まる怒涛のパンクチューン。

ジョニー・ロットンの様なスティッキーなボーカルに、ドライヴィンなテンポからズガガガッと滑り落ちてくギターサウンドがガンガンにうねっていく。

グライムするサウンドの中、灼熱のボーカルがノイジーにセクシーに炸裂し泳ぐのもまたとない快感だ。

 

5.Lotus


Cage The Elephant - Lotus - Track 5

一点ちょっとクールでトリッキーなナンバー。

ストップ!でブレイクが頻繁に入るメロウで緩急に溢れたセクシーでスタイリッシュな一曲。

通して聞いてると、何だよもう格好いいなぁ、と変化にも圧倒されるセンス溢れる一曲だ。

かなり反社会的でレトリックな歌詞もよりスタイリッシュさを感じられる。

 

6.Back Against the Wall


Cage The Elephant - Back Against The Wall

シングルにもなったミドルテンポのオルタナアンセム。

艶やかなメロディーに枯れた声。

徐々にうねるバンドサウンドと宙空にしばらく留まる巻きの入ったボーカルはカオスに音世界を彩っていく。

美しければ美しいほど虚しくなる類のギターメロディーが素晴らしく映えつつ、サイケなグルーヴのなかロックギターが劈くように切り裂く展開は超快感。

 

7.Judas


Cage The Elephant - Judas - Track 8

カオスでフリーキーなギターメロディーに包まれたミドルナンバー。

妙にカラフルなサウンドが無機質ながら時にメランコリックにフックを付けてくる。

スローモーションがかかったように力尽きるかと思いきや、最期にまたハチャメチャに踊る展開が、一筋縄ではいかない。

 

8.Free Love


Cage The Elephant (Free Love)

超フリーキーでファンキーなロックンロール。

何処までも不協和音的に暴れまわるグランジーなメロディーを、実にファンクなリズムで刻む超カオス的オルタナティヴな一曲。

宇宙までぶっ飛びそうなスペイシーな音世界でも、きっちりド真ん中で踊りきるマットのボーカルはハイパーだ。

聴き終わりの清々しさに理由の詮索は必要なさそうな圧巻の一曲だ。

 

無人島に持っていくスティッキーなロックンロール

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今回無人島に持っていくのはCage The Elephantの1stアルバム、'Cage The Elephant'でした。

この記事を書くのに結構聞いていたが、もう離れないってほど耳と心をドロドロにしている。

それが全然心地良いからロックは不思議だ。

 

まだまだ紹介したいアルバムは一杯。

荷物が音楽でいっぱいになってもいいじゃないか。

 

それではまた別の記事で。