シャッフルした音楽と「あなたにはこれがおすすめ❕」みたいな予測機能についての話
コンピューターと人間ついての話やストーリーが好きだ。
ターミネーターとかロックマンとかロックマンXとか。
忘年会シーズンでアルコールとともに布団に入って、なかなか寝付けずディープな話題をスマホで探しつつ眠気を待つ時期。
本気でターミネーター的な話の出発点になるかもしれない技術的特異点・シンギュラリティの話は特に面白くて、2045年あたりには人間の生活を劇的に変える技術的な進化が訪れるらしく、それに期待したり危惧したりと様々な説がある。
中でもこういう話でネーミングが特に良くて、さらに興味深い話が不気味の谷の話だ。
人間がロボットや機械と共同で作業や生活を行うには、親近感や好意を抱くことが不可欠であるが、ロボットが人間に似てくれば似てくるほど、ある時点で突然に嫌悪感と奇妙さを覚えるという予想をグラフに表した時の急落ぶりを谷に表したものだ。
こういう不気味の谷は、それに近い感覚が多分個人差があって、人それぞれ既に感じてるものもあるんじゃないかと思う。
その個人差には多分趣味が影響していて、僕の場合はサッカーと音楽になる。
サッカーでも日本代表のブラジル戦で吉田のファウルに適用されPKを取られ話題になったビデオアシスタントレフェリーとかも、議論になる程、奇妙に感じている人もいる。
今回はより頻繁に訪れる違和感、音楽での話だ。
僕が感じたのはストリーミングサービスでのおすすめ曲のサービスである。
ちょっとしたコラム、忘年会帰りや寝付けない時、サクッと読んでいただければ幸いです。
音楽の聴き方の話
皆様はどうやって音楽を聞いているだろうか。
全米レコード協会調べによると、
・ストリーミングサービスが50%近く
・ダウンロードが30%前後
・CDが20%
といった配分になっているらしい。
皆様はどうだろうか。
僕といえば、CDを買いつつ自分でiPodに入れて、ダウンロードでカバーしつつ、ストリーミングはビビって登録しているだけである。
やっぱりCDの温かみの様なものは大切にしたいし、家にCDは置いときたいし、ライナーノーツも読みたいから、CDは外せないのだ。
ダウンロードでも”だいぶ便利だな”と感じていつつ背徳感すらある古い人間なので、ストリーミングの便利さや万能さは、完全に不気味の谷の下り坂に入ってきているのかもしれないと思うのだ。
とにかく便利で、数々のアーティストの何万とも言える曲の中から、月々数千円くらいでいくらでも聞けるし、ラジオの様にエンドレスでBGMを流してくれたり、歌詞が表示されたり、キャッシュ保存もできてどこにでも持ち運べる。
もちろん入ってないバンドの曲とかもあるだろうけど、それだけでポピュラー向けのコンテンツと切り捨てられないほどの曲数をカバーしてると思う。
一番すごいと思うのが、ステーション機能と言って、AIが聴いていた曲の傾向から好きな曲を勝手に探してきて、「これもいいいですよ」って次の曲にねじ込んでくるのだ。
膨大な曲群から探してくるので、すごく有難いんだが、ここに僕は最大の違和感を感じてしまうのだ。
とても迅速な速さで無駄がなくて、すごく膨大なデータからだから論理的で、的確なんだろうけど、どうしても無機質な感じと、自分の経験と感性の方が優れてると思いがちな負けたくない感じが先にしてしまうのだ。
友達に教えてもらうおすすめより抵抗がある。例えおんなじ曲だったとしてもだ。
酔っ払って帰ってきてネットサーフィンしてる時、これが音楽ストリーミング版不気味の谷であるとの思いが湧いた。
その根拠は、今のiPodが僕にとっては思い入れがありすぎることに起因する。
その根拠
iPodで音楽を聴く僕にとっては、こいつは相棒なのだ。
旅もこいつなしでは行けないくらい、その位の愛着があるものなのだ。
だからランダムにシャッフルしてると、奇跡のステーション機能に巡り合ったエピソードには事欠かないのだ。
どれもテクノロジーの範疇を超えるミラクルな流れを演出した、本当の話。
ボロボロになるまで仕事してようやく後5分くらいで家だって時に、Oasis"Don't Look Back In Anger"が流れる。
全くのシャッフルなのにthe Offspring"Have You Ever"-”Staring At The Sun”の原盤とセットリスト通りの鉄板の流れで流してくる。
難波章浩の”TAKE ME HOME, COUNTRY ROADS”のカバーを聴いて、最後のサビで”この道は故郷へ続いても僕は行けない、行かない道”という歌詞を噛み締めていたら、そのままHi-STANDARD”Growing Up”に雪崩れ込み、"男には行かなきゃ行けない時があるんだ、この街の事は覚えておくよ”という歌詞にさらに心を動かされる。
Oasis - Don’t Look Back In Anger
Hi-STANDARD - Growing Up [OFFICIAL MUSIC VIDEO]
イヤホンから脳波をキャッチしてんじゃないかというくらい、その時の僕の心にヒットするシャッフル。
予測機能の広さ浅さではなく、マニアックにニヤリとさせてくるクリティカルさは、絶妙にいい気分にさせてくれるのだ。
無論、この俺のiPodの方がすごいだろ、感はもちろん馬鹿馬鹿しい偶然の話だ。
要はたまたまその時の気分と絶妙に合い、僕の中の思い出をなぞった話である。
ただそれを感じさせる愛着に理由があるのもまた事実なのである。
自分で何百枚っていう単位のアルバムを一枚一枚詰め込んで、その中からいい感じに自分でいくつかのプレイリストを試行錯誤して作っていく。
本気で楽しむために、自分の大好きな音楽をカスタマイズしてきた自負みたいなものが、魂として相棒に宿っているのだと言いたくなる。
音楽に触れているという感覚が、やっぱり今の方が大きいのだ。
完全ランダムである意味いい加減だと言えるシャッフルで、自分でこだわり抜いたトラック達を聴いているからこそ、ファニーな感じが出てくる。
ちょうど良い機械感。
神ってる、と言える展開以外にも、そこは違うだろって気の抜ける様な展開もいくらでもある。
でもそれも笑い話になったりで、結構面白いのだと思うし、機械的な=適当な・ちょっとポンコツなって図式があったからこその振れ幅だったという事も言える。
大げさに言えば、僕が音楽とともに生活する上でストーリーになり得るのだ。
そういう偶然をおもしれぇと思いながら過ごせる今の相棒が、ドラマチックに思えすぎて、新しいものに目がいかないという状況なのかもしれない。
Ken Yokoyama- Believer(OFFICIAL VIDEO)
結局は慣れなのかもしれない
今のiPodのシャッフルは、最早親しみ深く長年の友達に”これもいいぜ”って勧められてる様な感覚で、ストリーミングの最新ステーション機能はキリッとした知人くらいな近さの感じがする。
まだとっつきにくい。
しかも、こっちは下手に自信も自負もあるもんだから、最初は”あの、これも良いですよ”って上げてくれた曲も”その程度か”みたいな感じに思う自分が否めない気もする。