Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【忘れたくない選手】アルバロ・レコバに想いを馳せて‐誰よりも深く愛されたマジカルレフティ‐

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2016年引退を発表したウルグアイの稀代のレフティーに想いを馳せる

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毎週の様にハイライトに登場してくる選手ではなかった

忘れた頃に出てくる時は決まって2週連続だったりの固め打ちだったりする。

しかもそれは、あり得ない位置からのロングシュートだったり、エゲツないスピードで超角度で曲がるフリーキック、そこを通せるのっていうような繊細な技術とセンスが詰まったスルーパスもあったし、時にはコーナーキックを直接ゴールに叩き込んだりだったりもする。
何週分かのインパクトをかっさらうド派手なハイライト、しかもその全てが左足な所がサッカーファンのロマンをくすぐる。
決まって魔法の様なゴールの後は少し誇らしげに「オレのことも忘れないでくれよ」と、こどもっぽい笑顔を見せる。
2016年、引退の報を聞いた時、僕が最初に思い出したアルバロ・レコバの印象だった。
 

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1976年3月17日生まれのレコバは2016年で40歳。18歳で母国ウルグアイで選手キャリアをスタートさせてから22年。
選手としての終わりを考えるには充分な時間が過ぎた。
そこにはサッカー疲れた者の退廃感はなく、まだやってたんだという様な虚しさもない、サッカー界ではどこか暖かく迎えられている今回の引退劇。インテルは公式でお別れムービーまで公開している愛されっぷり。
アルバロレコバはその終幕が十分に相応しいと思える愛された選手だったように思うのだ。
 

ウルグアイ生まれのスーパーレフティー

生まれのウルグアイで頭角を表したレフティーは、1997年当時栄華を極めていたセリエAインテルへ移籍。
当初は同時期に移籍してきた怪物ロナウドのおまけの様な扱いで、南米の有望な若手の青田買いの一環に過ぎなかった。
その後すぐにヴェネツィアへのレンタル移籍で残留劇の主役となりインテル復帰。23歳にしてサッカー処の若き天才に用意されている成功へのテンプレートを、その溢れる才能で無事にクリアした。
そしてキャリアの大半を過ごす事になるインテルの「エル・チーノ」(中国人の意味。顔が似てた)となり、世界トップレベルのプレーヤーの仲間入りを果たす。
 
レコバがインテルで残したゴールは248試合で72ゴール。
名手と言われるには十分な成績だが、近年のインフレにより数字だけでみると、どこか少ないと思ってしまう違和感も同時に感じる。
これだけ?いやこのくらいか。
サッカーフリークな人ほど、そう混乱させられる所にこそ、レコバの魅力があると思うのだ。
 

その極端なプレースタイル

「左足の独奏者」と賞賛されるほど、一人で試合を決めてしまう日もあれば、「夢遊病」と揶揄されるほど、ピッチの上をフラフラしているだけの日もある。
日ごとの調子の善し悪しにとどまらず、90分間の88分は使い物にならないかと思えば、残り2分でチームを救って見せたり、シーズンの中の一試合だけ異常なほどの輝きを見せる事もあった。
好不調の振れ幅は名プレイヤーの歴史的に見てもとにかく大きく、名手ならではのムラッ気をこれでもかと遺憾なく発揮するレコバに、ファンは毎週一喜一憂を繰り返してきた。
 
 
数字というものは時にリダンダントに、残酷に結果を現すもの。
絶好調時のレコバからすれば少なく、絶不調時からすれば多く感じる。
そう考えれば至極当たり前の話なのだが、こうして理解すると数字にまで彼らしさが見えてくるから不思議だ。
それもキャリアを通して、この調子だったってのが凄かった。
ベテランになればなるほど、コンスタントに結果を出す経験則みたいなものはプレーと数字に滲み出てくるものだが、レコバの調子の波は常に大荒れ。
だからこそ相手にも読めず、意識の外からの一回のプレーで勝敗を決めつけてしまう。
今や絶滅したファンタジスタならではの、組織をぶっ壊し上回る超不確定要素っぷりがキャリアを通して際立った。
だからこそレコバのプレーは美しいのだ。
 

雨上がりに虹をかける左足

「怪物」ロナウド、「ファンタジスタ」ロベルト・バッジョ、「重戦車」ビエリに「殺し屋」サモラーノ。オールドスクールなファンには特別な名前が並ぶ豪華絢爛なインテルのFW陣。
時代を彩った歴史的なビッグネームが並ぶ中でも、レコバの存在感は決して引けをとらないと思う。
ロナウドの爆発力やバッジョのファンタジー、ビエリの豪快さもサモラーノの狡猾さにも、それら匹敵するあるいは時に凌駕するインパクトをもっていたのが、レコバの左足だった。
 
破壊的でしなやか。
野性的で洗練されている。
悪魔的で天使のような。
その相反する魅力が同時に存在している事が驚異的。
とんでもない位置からパワー満載のフォームで放たれたロングシュートが、寸分の狂いもなく完膚なきまでのコースに突き刺さる。
そうかと思えば、ゴール前の密集地帯で自分だけの位置にミリ単位でコントロールしてから滑らかすぎるシルキーなタッチで完膚なきまでのコースに流し込む。
その両極にあるどちらのプレーのレベルも信じられないほど高位なレベルにあり、まさに何にでもなる何でも繰り出せる魔法の様だった。
 
本人が『今日のピッチが雨上がりなら、僕が虹をかけて見せるよ』と茶目っ気たっぷりに語る様に、彼のゴールはとにかく爽快で見ていて気持ちがイイものがほとんど。サッカーを知らない人でも凄い!となるような改めて説明もいらない一撃や、通でも今のどうなった?となる様な複雑な技術のゴールも。バリエーションが豊かな彼のゴールショーは誰から見ても、とにかく快感指数が高く見ている者を心躍らせるパワーをもっていた。
 
彼は活躍の仕方が派手なのだ。コツコツと点を重ねるレコバに何の魅力もない。
コンスタントな10個のゴールよりも1つのドラマを。
それだけで物語に出来る様な、完成された一瞬こそがレコバの魅力なのだ。
 
 

アンビバレントな魅力

好調と不調だったり、繊細と豪快だったり、夢遊病と独奏者だったり、何やら矛盾するキーワードばかり出てきたが、このアンバランスな脆さが産み出すアンビバレントな魅力こそがレコバが愛された最大の要因だったのかもしれない。
 
スペシャルさとアンバランスさは紙一重。低調なパフォーマンスを続けていても、時にスペシャルな働きをして、評価される事を飄々とさけながら、人懐っこい笑顔を見せておどけて見せる。
ずっとハイクオリティならもっとレジェンドに近いプレイヤーだったとも思うが、レコバというキャラクターにはこれで良かったんだ、むしろこうじゃなきゃというような確信めいたものもある。
もともと嫌いな人でも認めざる負えない、好きな人には愛さずにはいられない。
そんなアンビバレントでロマンチックなプレイヤー、それがアルバロ・レコバなのだ。
 
【Football Soundtrack theme Recoba】 
Third Eye Blind ’Never Let You Go’
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