Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【忘れたくない選手】ルイ・コスタに想いを馳せて-幸せをもたらすマエストロ-

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幸せを運ぶ10番、マヌエル・ルイ・コスタに想いを馳せるプレイヤーレビュー。

頼りになる人ってどういう人なんだろうかと考える。

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付いて来い系の兄貴分的な人もいるけど、どうも俺頼りになるだろ?感が凄い。
逆に輪から離れた所で、冷静にみんなこんなんで良いのか?って意見を放り投げてくる人もいるけど、なにを偉そうに感が出る。
だが稀に聖人みたいにいつの間にかみんなの真ん中にいて、優しさと正しさをもった人に会う事がある。
この人を怒らせたらむしろ俺の方が悪い、そう思える。
こういう人がいる場所は陽性の空気に溢れてて心地がいい。

 

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2008年5月11日、ポルトガルの潮風を感じる陽だまりに溢れたスタジアム、1人の選手のキャリア最後の試合に5万人以上の観客が集まった。
マヌエル・ルイ・コスタはそこで正しさに満ちたフットボールプレイヤー人生の幕を閉じた。
少し意地悪な記者が、怪我やクラブのトラブルがなかったらもっといい人生だったか?と尋ねた時、彼は、こんな5万人の前で最後にプレー出来る。それは幸せだったって事だ。と返したらしい。

栄光を手にし続けたとは言えないが、人々の心に残り、周囲に好影響を与え続けた彼の様なプレーヤーの存在が、5万人という答えだったんだと思う。

幸せを運ぶポルトガルの10番。
今日はマヌエル・ルイ・コスタに想いを馳せる。

 

彼のフットボールストーリー

フットボリスタのストーリーは悲惨で哀しいものになる可能性がいくらでもあると言える。

自身のプレーが引き起こす負の場面、或いは怪我だったりのコンディションのトラブル、そして全く本人と関係ない場所からの天災の様な苦難。

華やかなプレーの裏でこういう負の部分が刹那である事を際立たせ、数奇な美しさを持つストーリーとなる。

 

ルイコスタのフットボールストーリーもそういう側面もありながら、数奇な巡り合いと彼自身の熱意によって切り開かれた物語であり、数々の苦難も幸せな光景に変えてきた。

 

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1972年生まれ、ポルトガル・アマドーラの出身のルイコスタは、ペレの次に世界で点を取ったポルトガルの英雄エウゼビオにも太鼓判を押された才能を発揮し、18歳で2部デビュー、20歳で名門ベンフィカのエース格となった。


ベンフィカで栄光を手にした後、バッジョ以降低迷し、セリエBから帰って来たばかりのフィオレンティーナに移籍。
ガブリエル・バティストゥータと鮮やかで破壊力抜群のデュオを形成し上位を脅かす華のあるチームとして評価を高める。

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1994年から2000年までバッジョに次ぐフィオレンティーナの10番として盟友バティが移籍した後もチームをけん引していたが、2001年にチームは財政悪化しルイコスタはそのチームを金銭的に救うため、放出される事になる。

6年間チームを引っ張ってくれたエースすらも、放出せねばならないという事件に巻き込まれたルイコスタは、悲劇のエースとして永遠にサポーターに愛される存在となった。

 

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当時セリエA最高額の移籍金でACミランに加入したルイ・コスタ。

フィオレンティーナの悲劇があったにせよ、大きなステップアップには間違いない。

それでもドラマはまだ終わらない。

ミランでも司令塔トップ下の位置で輝きを放つが、このミランでのキャリアが実にルイ・コスタらしいストーリーとなる。
クラシカルな10番のプレーが色濃く残るルイコスタは間違いなくミランで輝いたが、この時期のミラン新時代を象徴する中盤2名のスタープレーヤーが時代と共鳴していた。
カカとピルロである。

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驚異的な推進力決定的なプレーを難なく実現できるスキルを持つ出来るカカ、後方のレジスタの位置で自在に配給し支配できるピルロ。

ルイ・コスタのプレーの特徴をより特化して分割させたようなこの2人。

この2人の台頭を経て、ルイ・コスタは活躍の場を譲る事を決意したのだ。

キャリアの中盤を超えたグッドフットボールプレーヤーにはつきものの残酷な現実でも、彼はすんなりと受け入れ、未来を担うプレーヤーをあっさりと賞賛し、その繋ぎ役としての役割をそれが当然のように全うする。
特にカカには惜しみないアドバイスを贈り、彼のプレーの幅を広げてみせる。

全くと言っていいほど陰な感触が無い、すっげぇいい先輩
それでもルイ・コスタがいるミランのイメージは強烈であり、カカと組もうが、ピルロと組もうが、或いは3人同時に出場しようが、マエストロの本領を発揮する。

黄金期を影から産み、自身もそれを支える一員となり、抜群のセンスを見せた事が心に残っているミランでのルイ・コスタだった。

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ミランでの役目を終えたルイ・コスタは故郷ベンフィカへと帰り、キャリア最後の輝きを母国に捧げ、そのフィナーレには数多くの人が詰めかけた。
所属した全てのチームから賞賛を惜しまない最大級の暖かい賛辞を受け、嬉し泣きを隠さないマエストロの物語は正しさに満ちていた。

現役を退いた後も、敏腕テクニカルディレクターとしてベンフィカに在籍する。
アイマールを始め、数々のテクニシャンがベンフィカを求めるのも、彼等のルイ・コスタに対する憧れが大きな要因となっている。

 

そのプレー

良い人だってのは散々書いた通りだが、根本的にルイ・コスタを忘れたくないのはそのプレーにある。

油絵の様に炎の様に暖かく輝く瞬間を閉じ込めたような、抗いがたい芸術的な美しさが彼のプレーにはあった。

 


Manuel Rui Costa (Ac Milan 2001-2006)

 

スラッとした長身で、決して速くはなくとも、しなやかで流麗な身のこなし
背筋を伸ばし、ソックスを少し下げてプレーする。
その芸術の香りがする風貌から繰り出させるのは、古き良きアーティスト型のテクニシャンのプレーだ。
ピッチのあらゆる所に顔を出し、リズムを構築するというよりは、どっしりと構え陣取ったポジションは動かさず、マエストロの様に周りを指揮し動かしていく。

 

簡単には奪えない技術アイディアを持ち、それでいて少ないタッチ長いストライドで放っておけない場所にシンプルに浸入してくる、DFからすると相手のパス回しの中心で周りを動かしながら、自分もぐいぐいと危険領域に入ってくる彼の存在は厄介極まりなかった。
俯瞰して見るとまるで糸に引っ張られる様にDFを集めて、独り独自で別の動きをさせたFWにスルーパスが通る。
潰そうと躍起になっても周りを使っていなされ、あっという間にミドルシュートを打つ体制入ってる、慌てて滑り込めば嘲笑う様に冷静にキックフェイントで外されるのだ。
全てマエストロを中心に動いている様に、いつの間にか間合いと空間を支配する指揮者の持つ絶対性を持っていた。

 


Manuel RUI COSTA pass skills compilation(remake) - christinayan

加えてキックのセンスもズバ抜けて良い
ロングパスもミドルパスも抜群の精度。
インサイドでもインステップでもアウトサイドでも、バウンドまで計算された様なナチュラルなボールで凄く取りやすい。

慈愛に満ちたシルクの様なパスは数々のFWを虜にしていったのだ。
絶対的な指揮力で間を作り出し、時間を止め、数秒後に信じられない世界を描き出すそのキックは間違いなくファンタジスタの能力だった。

 

今思えば、だが、カカ・ピルロの2人でミランの黄金期は彩られたが、ルイコスタはその2人のプレーを少しずつ持っていたと言っていいセンスがあった。
確固たるトップ下像は紛れもなくイメージとしてあるが、アーティストらしい多彩なプレーが数々のチーム、そして相棒にも抜群にフィットし、そしてその美しさを絶賛される、内部の評価がズバ抜けて高い選手でもあったのだ。

相思相愛のバティストゥータを始め、シェフチェンコインザーギフィーゴも、全ての相棒と良好な関係を築きあげてきた。

どちらから歩み寄った関係性などではない、本物の相乗関係を生み出すデュオを、どのチームでも創り上げた。

もちろんそれを後ろから見ていた出し手の選手から見ても虜となるプレーだった。

カカに始まり、アイマールデコなどテクニックをプレーの軸にする選手にとっては最高の教科書であり、憧れであったのだ。

 

幸せをもたらす司令塔

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プレーも、そのキャリアも忘れてはならない選手。
余程の聖人じゃない限り、軽く後ろめたさを覚えるくらいの眩しさすらある。
どんな場所だろうと、どんなプレー環境だろうと、フットボールは出来る。
そういうロマンの領域の事象を起こせるだけの実力と人格を両立して持ったプレーヤーだった。

世間が思ってるより、本人とその周りは幸せだった。

その充実感は正しさに満ちた物語を完遂できたからこその、後味なのではないかと思う。 

 

【Football soundtrack theme Rui Manuel César Costa】

Green Day ’Church On Sunday’

 

Church on Sunday

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  • provided courtesy of iTunes