Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【忘れたくない選手】ラウル・ゴンザレスに想いを馳せて-FWとは-

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いまでこそ見たいラウルのプレー 2019.04 リライト

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Youtube時代の恩恵というか、今では何時でも何処でも気軽に名選手達のプレー集を見る事が出来る。
これが実は僕ら1987年生まれ位のファンの青春時代には、ギリギリなかった夢のツールなのだ。
いくつもの動画がまとめられていて、選手毎、プレーヤー毎、テーマ毎にすら対応していて、見たいプレーに何時でも触れられるいい時代だ。
今こそ、ここで言う忘れたくない選手達のプレー集を見るというのが乙なものなのだ。
一昔前のプレーヤーのプレーはDVDにでもなっていない限り中々見る事が出来なかった。
この時代だからこそ、当時中々見れなかったプレー集を見て欲しい選手がたくさんいてそれを紹介したいこの頃なのだ。

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まさにそれにふさわしい選手だった。
レアルとスペインで輝きを放ち続けた往年の名ストライカー、ラウル・ゴンザレス
ゴールシーンは、きっと当時も死ぬほど見た。
でも今まとめられた彼のプレー集を見て、ゴールに関わる全部の動きが、鳥肌モノのシーンの連続だった事を思い出せたのだ。
ピッチを軽やかに舞うテクニカルなFW、かの時代の象徴的なFWだった。
今回はそんなラウルに想いを馳せるレビュー。
素敵な暇つぶしになれば幸い。
 

 

レアルの至宝・スペインの至宝

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1977年、スペインのマドリードで生まれたラウル。
少年期から飛び抜けたゴールへの嗅覚を見せて、両親も熱烈なファンだったアトレティコ・マドリーのユースチームに所属するが、プロデビューを目前にチームが財政難で消滅。
プロ契約にチームが二の足を踏んでる隙に、レアルマドリーのユースが逸材の噂を聞きつけ契約にこぎつけて、ここでレアルマドリーのラウルが誕生した。
 
1994年に17歳でトップチームデビューしてから、2010年までの16年間ラウルはレアル・マドリードの象徴で在り続けた。
これはどのチームよりも難しい。
グティの時も触れたが、レアルの生え抜き選手は、この時代のレアルマドリー銀河系構築のための憂き目に会う事が多い。
毎年の恒例行事の様に、次から次へと各国のビッグネームをかき集めてくる。
そのスペースを開けるために、数々の生え抜き選手が才能を輝かせる事なく各国を放浪する羽目になった。
それでもセカンドトップの位置で、コロコロ変わるビッグネームを相棒に迎え続けながら、レギュラーポジションを守り続け、ついにはレアル歴代最多得点の記録を作るまでになったラウル。
どの能力も他のビッグネームに勝っていたわけではない。
ただし、得点に纏わる事の全てのセンスは、その他のストライカーが持っている武器を凌駕し続けた。
高さよりも、速さよりも、強さよりも、巧さとタイミングだけで誰よりも得点と勝利を演出した完成されたFWだった。

ラウルFW論

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理想のFWに必要なのは何か。
ラウルのプレーにはそれを考えさせられる事がある。
どこよりも結果を求められるポジション、つまりゴールの為の技術が高い事が必要だ。
その為にはシュート、そしてその為のボールコントロール、いやその前の動き出しやポジショニング、とどんどん遡る事になるのだが、ラウルはその全ての工程の力量が途轍もない極致にある。
 
全てはゴールを陥れる為だ。
得点感覚に優れるとか、今や有り触れた言葉だが、本来の意味ではラウルの様にポジショニングからコントロールからシュートまで、全て一連の準備からゴールまで流れに優れるFWに使うべきだ。
 
多彩な得点パターンではあるが、主に得意の左足のゴールが多い。
むしろ、その形に持っていく事が旨かった。
ゴールの位置もキーパーもDFの位置も事前に把握して予測、自分にとって最適な場所にコントロールするイメージと技術がある。
もう得意な「間」でキーパーとの1対1を迎え、それを外している光景を想像できない。
エリアに近い場面でのゴールへの最適解とそれの準備が世界一であり続けた。
いつどんな場面でも変わりなくネットに沈められる事が結果を残し続けてきたラウルの凄さだ。
 
FWとしてのプレースタイルは模範的でさらに世界屈指のレベルだったラウルは、さらにFWとしての振る舞いも優雅だった。
漫画の様に必殺のシュートがピッチのどこからでも決まればわけないんだが、当然ゴールから近い位置でシュートを打った方がいいに決まっている。
それをさせない為のDFラインであり、それを破るための攻撃戦術なのであり、そこに魅力が詰まっているのだ。
その最前線でボールを呼び込み、受け取り、ゴールに決めるというFWの振る舞い。
その気品さみたいなモノがラウルにはある。謙虚に、それでも優雅に、数多くのゴールを決める。
何度も何度も、ボールが来なくても準備を続けるのだ。
 
 
その時代を代表する選手がこぞって所属するレアル、と言うことは世界一のパスの出し手達が揃うという事でもある。
パスは単体では完結しない。
ジダンのスルーパスも、フィーゴのドリブルからのクロスも、ベッカムの高精度のクロスも、ロベカルの高速のクロスも、それだけではだめだ。
ゴールという完結があって、初めて美しさの意味を知るプレーなのだ。
レアルにおいてその役割を負うのは常にラウルであり、美しさを損なわないどころか、彼らしく控え目にプラスαの彩りを加えるくらいのゴールを決めてみせる。
事実、「銀河系」だった頃のレアルのベストゴール集とかを見ても、ほとんどにラウルが出てくる。
決して強いられたプレースタイルではなく、その前にそれを選択できる器用さと実直さが、彼の最大の魅力と言っていい。
銀河の中心は、彗星の様に輝いては流れて去っていくビッグネームではなく、ラウルが指輪にキスする姿だったのだ。

太陽の苦悩と成功に彩られた物語

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どういうFWになりたいか、は別にしてこの凄さ・巧さを知ってほしいというFWはラウルが筆頭だと思う。自分も周りも輝かせるチームとして欠かせない中心。
どんな名手のパスも受けてきた。
どんな名手とも2トップを組んできた。
そこで仲間をひき立てつつ、自分も同様に輝くという離れ技をやってのける。
途方も無い苦労だが、銀河系の中心であり続ける事は、そういう事なのだ。
逆に言えば生え抜きでエースがラウルというキャラクター、スタイルだったからこそ成り立った銀河系なのかもしれない。
事実、ラウルが去ったレアルは銀河系を維持することが出来なかった。
逆に、白い巨人を去ったラウルはドイツ・シャルケ04でも輝きを見せた。
自身の才能に陶酔する事なく誇りを持ちながら、常に輝き続ける。
太陽だって大変なのだ。それでもラウルだから出来た成功に彩られたプレー。
本当に賛辞を贈りたいのは彼の様な選手だ。
忘れたくない選手にすぐに触れられる、この素晴らしい時代。
宇宙の様に広い、WEB世界にまだ見ぬ彼らの凄いプレーがあると思うとワクワクするのだ。
 
【Football Soundtrack theme Raul】
New Found Glory 'Kiss Me'(cover)
Kiss Me

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