Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【コラム】カズの誕生日に思うベテランプレーヤーの是非

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50歳のレジェンドのセレモニーと開幕戦

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カズが50歳の誕生日を迎えた様だ。
石原軍団的な壮年の格好良さを身に纏い、サッカーだけでないニュースになるスターってのは、やっぱり凄い。
 
ただ、Jリーグの大幅な改革があり、各クラブが本気度をひしひしと見せる中、横浜FCの本気度は世間一般の人に伝わったのか?
大事な指針となる開幕戦がセレモニーに終始してしまった感もある。
そのセレモニーが大きなものを呼ぶのはもちろんわかるけど。
 
ベテランが目立つJリーグ
思えば昨年のMVPは中村憲剛だ。
各国に散っていた黄金世代のフットボーラーも、日本に集結しファンとしては嬉しい。
そのファンにすら、手放しで喜んでいい状況なのかという危惧もある。
いつまでもベテランが輝くリーグは、若手のパワー不足と、表裏なのではないかと。
 
今回は、そんなベテランプレーヤーに対するレビュー。
あまり悲観的にならず、あくまでポジティブに彼等の意味を紐解いてみたい。
是非お付き合い下さい。
 

黄金世代の余熱

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2002年の自国開催のW杯を経て、サッカー人気は爆発し、期待はずれに終わってしまったが2006年のW杯まで、おそらくこの4年間は黄金世代といって問題ない。
おそらくサッカーを今まで見てなかった人が1番多く見始めた時期でもあって、それほどまでに自国開催は大きかったし、何より魅力的な選手ばかりだった。
当然今の選手だって魅力的なのだが、より多くの範囲の人が関心を向けていたのはこの時代だと思う。
中田英がいて、俊輔がいて、小野がいて、稲本がいて、高原がいて、宮本恒靖がいて、川口能活がいた。
その余熱は今のJリーグにおいても、プレーの面でも集客の面でも大きく作用している。
やはりファンは俊輔のキック小野のコントロールに魅了される快感を覚えているし、それがスタジアムに足を運んだり、試合をネットで観たりって行為に繋がっている。
逆に言えば、当時しかサッカーを見てないファンにそこしか見ない人もいるからこそ、中々若手が浸透しないのかもしれない。
 

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プレーの面でもそうだ。
昨年のMVPは中村憲剛だし、得点王は大久保だ。
技術的にも日本国内でトップクラスを誇るのが30代中盤の選手という結果。
そして更に開幕戦を観戦しててベテランが目立ったワンシーンがあった。
 
昨年末、日本を大いに盛り上げた鹿島と、大久保を獲得したFC東京の一戦。
開始10分の事。
中々ゴール近くでボールを貰えない大久保が中盤まで下がってボールを受けに行くなんて事ないシーンで、ボールを受けに行く直前、小笠原が猛烈に激しいチャージを背中から喰らわせた
大久保が前を向いた所でそこまで危険な位置でもなかったが、それでも潰した
ボールに触りリズムを掴みにきた大久保に、リズムを掴ませないとばかりの強烈な意思の篭ったチャージ。
大久保のスパイクが脱げる程のプレーだった。
プレーが止まり紐を結び直す大久保を冷ややかな目で「早くしろよ」と見下ろす小笠原の佇まいに、言葉少なでも試合のキーとなる人物をピッチの中でメンバーに示したベテランらしさを感じた。
その場面だけ潰せばいいんじゃない。
最初からゲームに参加させないくらい潰さないとやられる。
大久保を知っているからこそ、イニチアシブを一瞬でも渡すな、そんな意思表示だった。
 
そういうゲームを「知っている」プレーを出来るのはやはりチームにとっては大きく、主力として数えられるのも頷ける。
そんな凄みと技術が同居しているのだ。
これは観ていても物凄くワクワクする火花である。
 

次の世代を考えて

ただそれだけではいけない。
 

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セオリーでいうと、その老獪さとか頭脳的とかそういう部分を力・速さで打開するのが若手の役目なんじゃないか。
ベテランを狙う位の若い世代の心意気を彼等も待っている
アイバーソンがジョーダンに1on1を仕掛け続けた様に、というのはちょっと言い過ぎだけどそれくらいの強烈なインパクトが欲しい。
もちろん、今の日本を代表する選手達の主戦場が海外なので、一概には言えないけど、日本のサッカーを盛り上げる事を考えた時、やはりJリーグに輝きがあるべきで、そういう若手のシーンを作り上げるべきなのだと思う。
スポーツニュースで大きく取り上げられるのがベテランの誕生日で、サッカーファンのみが若手の注目選手を知る。
いろんなメディアの媒体があるからこれも一言では括れないが、若手達の一大シーンとはなっていない。
ベテランの注目度の高い事=経済的にOKに繋がる。
それがいまいち良いシステムになっていない気がするのだ。
 

若手のシーン・ベテランのシーン

思うに、今は盛大な世代交代の終了間際なんだと思う。アディショナルタイムくらいだ。
黄金世代の引退試合を興行にして全国をツアーで行脚したら途轍もなく人が入るだろう。
彼等の華麗なプレースタイルと、時代がかっちりと歯車があった奇跡の時代。
そんな黄金世代の最後の時だ。
彼等がピッチにいる内に、残されたリーグは選手は、何かするべきことがあるのだ。
ベテランがやってる事を、なんとなく暖かく見守るだけだとだめだ。
むしろ本質は逆なんじゃないのか?
挑める内に挑む、盗める内に盗む。そのくらいの気概を煽るのもいい。
リスペクトしすぎとかよく言うけど、何かこう無関心な気がする
凄い人達は凄い人達で、自分は自分のプレーをするだけです。
気にしすぎない方がいいのは凄くいい事だけど、今はその時じゃない。
もう時間がない、シーンは切り替わって勝手に訪れる訳ではない。作り上げないとダメだ。
前にも書いたけど、グリーンデイのビリーも言っていたのだ。
 
僕らファンもベテランすごいな、で完結してるムードをもう一歩盛り上げてその先に想いを馳せる、それが新しい楽しみ方になってくる。
この前誘われて、スポーツバーでフロンターレのACL2戦目を見た。
アウェーで引き分けだったけど全く主力が出てなかった分、若い選手は上手かったよ。
後半のサイド側での三好のトラップとか中々できない技術だったと思う。
こういう若手は多いはず。
J3とかに押し込まれるんじゃなく、J1の舞台でシーンを創り上げてほしい。
U-20のW杯もある。舞台はあるのだ。
 
シーンを創り上げ、まだまだノリノリでプレーするレジェンド達。
つまるところ、それにそろそろ引導が渡されて欲しいのだ。まだまだ観ていたいけど、もう変わらないといけない。
中々、燃え尽きない途方もない余熱を、利用しない手はない。
古きものと新しきものがすれ違う大きなシーズンにしてほしい。
三好は20歳、カズは50歳だ。
一つの到達点を超えたJリーグで、30年の差はどういう火花になるのか。
非常に楽しみなのである。