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Football soundtrack 1987-音楽とサッカーに想いを馳せる雑記‐

1987年生まれサッカー・音楽(ROCK)好きがサッカー・音楽・映画などについて思いを馳せる日記

【ディスクレビュー】NIRVANA 'Incesticide'に想いを馳せるレビュー【ニルヴァーナ B-side】

ニルヴァーナの問題作に想いを馳せる

 
秋の夜長にあやかって、独り言みたいな文章を書こうと思う。
 
ニルヴァーナが好きだ。
Smells Like Teen SpiritもAbout A GirlもServe The ServantsもBlewもpollyもLithiumもAll Apologiesも。
 
 
洋楽のロックの道に入って誰もが序盤にぶつかる大きな分岐点にニルヴァーナはいると思う。
 
鈍色の空の下いわゆるアメリカの一本道の途中に、あの有名なスマイリーのマークでようこそ!と看板がかかっていて、でもその裏側をめくると真っ黒で血を流したスマイリーがいてここは終着点と書かれていそうな、ブラックユーモアなイメージが沸くのだ。
 
有史以降ロックの歴史を振り返ってみても5本の指に入るくらい重要なバンドだし、影響力・カリスマ性はボーカル・カートの死後20年以上たっても増す一方だ。
隙あらば、何回カートコバーンの死の真相が暴かれた事か。
でもそんなゴシップを読む暇があるならこのアルバムを聞いてくれ。
 
Nirvana 'Incesticide'
 
ニルヴァーナを好きという事はもれなく心はカートコバーンに囚われているに等しい。
アンタッチャブルでアンビバレントでピュア。
初めて知って言い様のないスリリングな好意に襲われ、好きになっていく事に比例して怖いほど彼を理解出来ない。
華と毒が驚くほどナチュラルに同罪して、その焦がす様なヒリヒリとした美しさがカートの魅力なのだと思うのだ。
 
ニルヴァーナのインセスティサイドは所謂Bサイド集である。
だが、ただのシークレットトラック集ではない何かが潜む問題作でもある。
狂ったピュアネスとシニカルな悪戯心が渦巻く衝撃的な一枚。
今回はこのアルバムに想いを馳せる。
 

Nirvana 'Incesticide'

 

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カートが書いたおぞましく奇妙な絵がジャケットのこのアルバムは1992年リリースされた。
CDを売りたいレーベル側からすれば、天文学的な売れ方をしたネヴァーマインドの勢いのままに、次々と新作を出したい所だが、一向に動かないニルヴァーナに対し業を煮やして制作した未発表曲とカバー曲のごちゃまぜのアルバム。
彼等がバンド人生で最も悩まされるセルアウトの方式で、これでもかけとけ、みたいな形で生み出された背景のある悲哀の一枚。
レーベルが恐ろしい程力を持っている時代、それがフラットな状態になる努力がされるきっかけはカートコバーンの死まで待つ事になる。
 

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こんな背景で詰め込まれた15曲の未発表曲とカバー曲、これがまた毒々しいライブ感で美味しい曲盛りだくさんのいいアルバムなのだ。
実際にライブでも演奏される人気曲もある。
1st、2ndどちらのアルバムのエッセンスも感じ、ソニックユースとかツェッペリンとかエアロスミスとかカートが影響を受けたバンドも散りばめられた、渦中からはなれた贅沢な趣味の様な、多彩感。
Bサイド集だからといって、本来のニルヴァーナサウンドから逸脱しているわけではなく、むしろ飾り気なしに放り込まれてくる分、濃密な部分は従来よりも濃く、ニルヴァーナの音から離れている部分ではより彼等のバックボーンが透けて見える様な、図らずしもファンにはたまらない魅力ある作品になっている。
 
 
いくつか抜粋して後述するが、どうしても先に掘り下げたい一曲がある。
これがニルヴァーナ並びにカートへの畏怖の原点で、今日のこの記事の動機でもある。
 
 
ヘアスプレークイーンという曲がある。
 

 

Hairspray Queen

Hairspray Queen

  • ニルヴァーナ
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

 
ユニークなベースラインから、一見メチャクチャの様なギターが絡まり合って奇妙にうねるサウンドになる。
そこに、カートの歌声?が重なる。
初めて聞いた時は、当然なんだこりゃってなるんだが、それと同時に少し怖くすら思う狂い方。
本当に狂っているのか、それともその振りなのか。
どちらとも考えられるし、どちらも正解なのかもしれないと、考え出すとグルグルこんがらがってくる。
これは好きだとか嫌いだとか、理解の範疇を超えている曲だと思った。
ただカートらしいな、と素通りするには奇怪過ぎるし、じっくりこの曲の背景を考えても、せいぜいリリースを迫るレコード会社への腹いせか、身勝手な事を言う人々への想いが爆発したか位にしかならない。
 
ふと、自分が見えている色とその名前は、他人が見ている色とその名前と違うかもしれないっていう心理学の話を思い出した。
クオリアというらしいけど、自分が暖かい赤だと思ってる色が、他の人には青だと認識されているかもしれない。その人にとっては青は暖かい色になる。
全くの正反対だけど、カートの見えている世界もそうだったのかもしれないと考えてしまう。
この曲がニルヴァーナそのものではないが、その深層の一端が滲み出た音楽なのではないかというのは間違いはないと思う。
ひょっとしたらただふざけて作っただけなのかもしれないが、秋の夜長カートが見ていた世界を想像する。
それだけでまた彼らの魅力が深まっていくのが、すごくいいのだ。
 

Incesticide トラックレビュー

それでは気になるトラックレビューに入ります。
入門編というよりは、オリジナルアルバムを聴いてから、聞き進めていくとより楽しめる。
アングラ感もあり、パンク色の濃い曲が多い。
カートの敬愛するバンドのカヴァーやロックへの憧れが滲むトラックもあり、少しプライベートな感触もあるアルバム。
ヘアスプレークイーンは別格。
 
トラックリスト
1.Dive
2.Silver
3.Stain
4.Been A Son
5.Turnaround(Devo cover)
6.Molly's Lips(The Vaselines cover)
7.Son Of A Gun(The Vaselines cover)
8.(New Wave) Polly
9.Beeswax
10.Downer
11.Mexican Seafood
12.Hairspray Queen
13.Aero Zeppelin
14.Big Long Now
15.Aneurysm
 

1.Dive

 

Dive

Dive

  • ニルヴァーナ
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

デモ感漂う気怠いベースから、漏れ広がる様な重いアンダーグラウンドなサウンドが、この妖しいアルバムの冒頭を飾るにはぴったり。

ライブでも度々演奏される準オリジナルなナンバーで、一曲目に持ってきたことからもそれが伺える。

ミドルなテンポがより重低音を際立て、重く鈍い音に絡みつかれる重苦しい高揚感はニルヴァーナならではだ。

 

 

2・Been A Son

 

Been a Son

Been a Son

  • ニルヴァーナ
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

一転して重みを取っ払って、ナチュラルに刻まれるギターが心地よい一曲。

極めて自然に歌うカートが逆に珍しい。

シンプルであっさりしたメロディーと演奏・コーラスの、デモ感がまたいい味を出している。

パッと考えてどのオリジナルアルバムにも入りようのない曲,すごいライトなニルヴァーナ。

 

 

3・Turnaround(Devo cover)

 

Turnaround

Turnaround

  • ニルヴァーナ
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

アメリカのニューウェーブバンド、デーヴォのカバーソング。

ニューウェーブっぽい混じりけのある音に、澄んだカートの声が映える。

少し喜びすら感じる楽しそうに歌う声にちょっと驚く。

このデジタル交じりのパンクサウンドがアルバム内でも随一の中毒性がある一曲。

 

4・Son Of A Gun(The Vaselines cover)

 

Son of a Gun

Son of a Gun

  • ニルヴァーナ
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

スコットランドのオルタナティブロックバンド、彼らが敬愛するヴァセリンズのカバー。このニルヴァーナのカバーによりヴァセリンズの評価が高まるきっかけともなったらしい。

何かその辺りにもカートのほくそ笑むイタズラ心を感じる、なんとも言えない皮肉感。童謡の様な晴れやかなポップさが、広範囲に広がるグライムなサウンドに乗っかる、見通しのイイ良曲。

 

5・(New Wave) Polly

 

(New Wave) Polly

(New Wave) Polly

  • ニルヴァーナ
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

 

2ndのミドルナンバー、ポリーのパンクカバーバージョン。

深く考えずに爆走できる夜っぽいパンクナンバー。

自棄っぱちには聞こえない、リフのドライブ感がこっちの方が好き。

 

 

6・Aero Zeppelin

 

Aero Zeppelin

Aero Zeppelin

  • ニルヴァーナ
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

エアロスミスとレッドツェッペリンをもじった、不穏で粗暴な一曲。

暗闇を滑空するようなサウンドと、破壊的なドラミングにバラバラにされた様なギターメロディー、どこを切り取ってもダークな攻撃性に満ちてるエゲツなさ。

ふざけまくったカートのコーラスからのギターソロは毒々しさの中に爽快さすらある。

 

15・Aneurysm

 

Aneurysm

Aneurysm

  • ニルヴァーナ
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

ライブでもよく演奏する変幻自在のグランジナンバー。

轟くような音から、アクセルを加減しながら緩急をつけて襲ってくる、ささくれ立ったギザギザの音の塊に圧倒される快感。

コーラスの不穏さも、暗く重いメロディーも、轟音のサウンドも、カートの雄叫びも、最後の曲にしてニルヴァーナらしい一曲。

 

 

ニルヴァーナらしいBサイド集

以上いかがでしたでしょうか?

好きだけど簡単には理解出来ない、究極的に厄介な魅力をもつニルヴァーナを、さらにごった煮にして詰め合わせにしたインセスティサイド。

辻褄を合わせる様に有るものを詰め込んで作られたこのアルバムは、だからこそナチュラルにルーツを感じられたり、ロックへの憧憬を感じられたり、異端な狂気を感じられたりする、逆にニルヴァーナらしいものになった。

是非知らない方・敬遠していた人も聞いてみて欲しい。

 

本日はここまで。

それではまた別の記事で。

 

 

Incesticide

Incesticide

  • ニルヴァーナ
  • ロック
  • ¥1700